Sideアーリア
「何してんのお前ら?」
アーリアがキングスクロス駅からホグワーツに向かおうとすると、ハリーとロン、ドリムが柱の前で荷物につぶされていた。今年の俺はマリからのプレゼントという名の(交通機関を乱した)迷惑料で検知不能拡大不可能……あれ?……まあ、アイテムボックスになっているトランクを持っている。トランク1つだけだから、カートとか使わないし、超楽に移動できる。
「アーリア。あ、ちょっとカートが暴走しちゃって、……すいません」
駅員が何事かと様子を見に来ており、ハリーが素早く謝る。
「気を付けてね」
そう言って駅員が去り、ハリーがこちらに事情を説明する。
「アーリアさん。なぜか通れなくなってて、ドリムが入ろうとしたら壁のままで」
「間違った場所……ってわけでも無いよな。どれどれ」
壁に入ろうとするも、確かに通れない。
今年は2年生。確か、リドルの日記のことを知ったドビーがハリーが通れないように細工してるんだっけ?え?巻き込まれた?
「というか、何であなたここにいるのよ?」
「いや、普通に遅れただけなんだけど……」
ドリム・ポッターに注意しろ。マリに言われたけど、表面上特に変わらないように見えるな……
というかマリさん。君また交通機関を乱しただろ。俺置いてけぼりじゃねーか。
「どうしよう。このままだと僕は1年、ホグワーツに行けずにあの家に戻ることに……」
ハリーが嘆いているが、それはさすがに違うだろう。このまま居れば迎えが来るはずだろう。最悪マリが来てくれるだろうし。
……あれ?あいつ原作知識忘れたって言ってたよな?
……じゃあ、入り口閉じられていることワンチャン知らない可能性ある?
※普通に知ってる。アイとリインを優先しているだけである。
「ハリー!パパもママも戻ってこれないかも知れないし、車で行こう!」
「うん!そうしよう」
……乗っけてってもらうか?いやここで待っていた方がいいな。組み分けは見れないかもしれないけど、さすがに寮に居なければ分かるだろうし。駅まで来たのにそのまま帰るのはなんか癪だし、近くのカフェにでも行って時間を少しつぶして、店をいくつか見てから家に帰るか。
「行こう!アーリアさん!」
と考えていたらハリーに腕を掴まれて引きずられていく。
「いや、俺はいい、あの、ちょ、力つよっ!離して!本当に大丈夫だから!HA☆NA☆SE!」
流されるまま車に乗る。後ろに乗るかって?ちょっとドリムが怖いので助手席でいいですか?ハリーが見張っていれば流石に大丈夫だと思うんだよね。
「ロン!ワンチャンあるかもよ!?」
ないです。
「思ってたよりスリリングぅ!」
「大丈夫アーリアさん?怖いなら手を繋ごうか?」
「運転に集中しろやぁ!」
いいところを見せようとして事故るとか本当にやめてね!?
空高く飛んでる車の上で俺は思っているより絶叫していた。
「わー!高〜い!助手席が一番死にやすいから事故ってもいいんだけども 」
車では確かに助手席が一番死にやすいが、飛んでいるのであれば対して変わらない。全員死ぬだろう。
「ドリム?何か言った?」
「何も言っていないよハリー」
そうこうしていると、ホグワーツ特急が窓の外に見えてきた。
「おい、なんで列車に近づく!?危ないって!?」
ロンの運転でホグワーツ特急に近づく。意味ないじゃん!絶対意味ないはずじゃん!
「ハリー!?」
後ろでドリムが叫んだ。何があったって!
「おいハリー!人は飛べないんだぞ!?飛び移ろうとするな!」
ドアを開けてホグワーツ特急に飛び乗ろうとしていた。
「行ける気がする!」
「「「無理だからやめろ!」」」
ハリーの凶行を全員で止める。マリが一時期弟子にしてたから脳筋になってしまっている。呪文使うより殴ったり斬ったりしそうだ。今年の決闘クラブ大丈夫だろうか?
でもよく考えたら同類がスリザリンにもいたから大丈夫……じゃねえ。より惨劇が起きそうなんだけど!?
「ロン!列車から離れろ!」
「任せて!共同作業だね……!」
「何寝ぼけたこと言ってんだ!お前を車から落とすぞ!?というかどこに共同作業の要素があった!」
ロンが浮かれているのもあり、だいぶ混沌としてきていた。ホグワーツ特急に近づいたのも、この思春期によくある「いいところ見せたい」と思ってしまうやつのせいなのではないだろうか?やんちゃを見せてキュンとする精神年齢はとうに過ぎてんだこっちは!
と自分のことを全く自覚していないアーリアは思う。お前の顔の良さが発端だぞ。
「いや、君が隣に乗るとか言い出すから、そりゃはしゃぐよ」
「ハリー何か言ったか?」
「何でもない。僕の友人はなんて奴に惚れてしまったんだ。クーリングオフとかないのかな」
しばらくホグワーツ特急の少し上を飛んでいるとホグワーツ城が見えてきた!日はもう沈みかけており、紫がかった赤い空とホグワーツ城の幻想的な光景を見ることができた。
「「よかったー。無事についた」」
ハリーと同時にこんなことを言っていると、ロンが衝撃的な一言を言ってきた。
「ところで、これどうやって降りるんだろう?」
「「「は?」」」
思わず全員でロンを二度見してしまった。
「え?お、お前動かし方知ってるからこれでホグワーツに来たんじゃないのか?」
「ロン?小粋なジョークだよね?……飛び降りれる高さになったら飛び降りようかな」
「え?うそでしょ?こんなところでバッドエンド?」
全員動揺した。
「というか、燃料も正直何使っているかも分からないんだよね。というか徐々に高度下がってるし」
諦めたロンはハンドルすら握ってなかった。
「ちょ!せめて、せめて生き残れそうなところ探して!」
助手席からハンドルを掴み、軌道を修正する。せめてグラウンド!森とかだと木にぶつかった時点でアウト……ダメだ。グラウンドまでたどり着かなそう。禁じられた森を抜けたところまでは持つか?
「わーお。共同作業になっちゃったよ。死ぬ前にいい思い出が作れちゃったね」
無駄に悟ったような顔で言うロン。
「マジで馬鹿な話をするのはやめろ!」
こんなところで死にたくはない。もうすぐ森を抜ける。抜けたら速度は出ているから多少怪我をするかもしれないが地面にこのままゆっくり下降させる。
「……森も抜けたしそろそろ行けるか。じゃあ僕はここで」
「まって!せめて私も一緒に……」
「さすがに抱えるのは無理。僕がいなければ多少軽くなるから少しは怪我のリスクも減ると思うし」
ハリーが裏切って車から飛び出た。いやまあ、鍛えられてたからこの高さからなら飛び降りれるのか。
「あ」
前見忘れてた。
「ちょっと!?その「あ」は何?死にたくないんだけど!?」
後ろでドリムが騒いでいるがそれどころじゃない。これ木に突っ込む。
いや大丈夫だ。原作と違ってロンが運転せずに俺が運転した。つまりあれは暴れ柳じゃない。QED、完全証明だ。自分の頭の良さが怖くなるぜ。
ってやってる場合か。あれ暴れ柳じゃん!映画で見たやつじゃん!
思ったよりテンパってた。
「「「ああああああああああ!!!!」」」
がさがさと音がしただけで、思ったよりは衝撃が少なかった。奇跡的に柳の枝に乗っかったらしい。
「あー……生きてる」
「悟った顔してたやつがなんか言ってるなぁ」
「いや、それはごめん」
「どうでもいいけど、今どこにいるのよ?」
ドリムに言われて気が付いたが、まだ全然危機は去ってない。
「暴れ柳の、枝の上ですかね」
「……最悪じゃない!」
と言ったら車が大きく揺れ始めた。
「車を落とす気だ!」
ロンが叫ぶ。まあ、暴れ柳側からしたら急にクッソ重たい物が自分の上に乗ってきたわけで、暴れるよね。
前に後ろに大きく揺らされる。何度か揺らされた後は、車が地面にはじき出される。
「ぐえ!」
「きゃあ!」
「おっと」
空飛ぶ魔法の車から吐き出された。やけに俺だけ優しく出された。そう言えば危ない運転咎めたり、最後の方はハンドル握って大丈夫なように頑張ったし、車を大事にしようとした思いを汲み取ってくれたのだろうか。
車の立場からしたら、やんちゃしてたロンと騒いでるだけだったドリム、なんか飛び出したハリーにはいい思いしてないだろうしな。
だからだろうか。荷物も俺のトランクだけ優しく吐き出され、そのままどこかへ走っていった。
ふと上を見ると暴れ柳が車と同じようなサイズの瘤がある枝を振りかぶっていた。
車よ。せめて範囲外で出してくれませんかね。
「「「いやああああああ!!!」」」
全力で後ろに下がろうとしたら、何かに押されて前に倒れる。
「アーリアさん!」
あ、これ避けられないわ。
このまま上から枝がたたきつけられるだろう。下手したら死ぬだろうし、大けがは避けられないだろう。
痛そうだな。と考えたところで自分でも意外なほどに落ち着いていた。色々ありすぎてキャパが超えたのかもしれない。というか絶対押したのドリムだろ。あーあ。マリの言うこと聞いてもっと警戒してたら違ったかなぁ?
「はあ、全く。『止まれ』」
目の前に暴れ柳の瘤が来たタイミングで動きが止まった。風がすごい。
「はえ?」
緊張が解けたからかペタンと座り込んでしまう。
「生きてる?なにこれ?何で止まった?」
「甲種言霊。簡単に言えば、魔法による強制命令みたいなかんじかな」
「マリ!」
後ろを向くと、珍しく白い長い髪を束ねていないマリが歩いてこちらに来ているのが見えた。
身支度が適当になっているようで、支度もせずに寮の部屋から来てくれたのだろう。けどこう、なんだろう。髪をまとめていないと美少女に見えて情緒がおかしくなりそうだ。
暴れ柳の前まで来て木を撫でながら言う。
「君もごめんね。あんなのがぶつかったら痛いよね。植物用の薬は……うん。これがいいかな」
何やら瓶を振りかけると、裂けていた幹が治っていく。
「アーリア立てる?」
「すまん。無理だ」
腰が抜けて、全く動ける感じがない。
「死にかけたし、しょうがないか」
「近い!顔が近い!顔がいいの自覚して」
お姫様抱っこで暴れ柳から遠ざかる。知らなかった。お姫様抱っこってこんなに顔近くなるのか。されたことないから分からんかった。
腰が抜けているせいで暴れるわけにも行かず、ただ顔を赤くするだけだった。
「よし。ここでいいかな。……ロンがにらんでるから後でフォローしておいてね」
「お、おう。ありがとう。いや違うんだ。元男として美少女顔が近くにあったから赤くなっているだけなんだ。アイさんに同じことされても同じ反応する自信があるし」
美少女のガチ恋距離だぞ?コロッといっちゃうよ?いや、マリは男だから美少年……いややっぱ美少女だ。
「毎日鏡でも見てれば?あ、そうだ『動いていいよ』」
「自分の顔見ても別になんとも思わんだろ」
転生して知った事の1つ。自分だと見慣れてしまい、耐性がつかない。自分見て美人さんとかうっとりしているやつはただのナルシストだから当然ではある。
マリの言葉で暴れ柳が動き始める。といっても、元の位置に戻るだけだったが。
「さて。じゃあ聞きたい事もあるし、寮に戻ろうか。トランクはこれだよね?」
「ああ。ありがとう。でも父さんとマクゴナガル教授がこっちに向かっているから無理だと思うけど」
俺は悪く無いことを説明できないと説教コースだよね。マリさん。説得手伝ってくれたりしない?
「さすがに無理だよ。まあ、状況的に無理やり連れてこられたと説明するしか無いんじゃない?」
父さんに事情を説明してハリーを生贄に何とかなった。というかハリー。怒られるの嫌だからってしれっとホグワーツで寛いでたのは許さないからな。
翌日、ロンのもとに吠えメールが届き、泣いていた。気になっている子にかっこいいところを見せようとして失望されているとか、かなりガチな内容を俺の前で吠えられて泣いていた。さすがにちょっと同情……できんわ。死にかけたし。
しかしまあ、年1回死にかけるとか俺も主役級なのかね?
「騒がしいのは好都合だね。さすがにここで話すのもなんだし、必要の部屋がいいかな。アーリア、聞きたいことがある」
「ああ。俺も少し相談したい」
昨日の夜は事情説明でろくに時間がとれず眠ってしまった。
マリに連れられて必要の部屋へ行く。今日は荷ほどき等でお休みの日になっており、アイさんとリインさんは寮の自室に先に戻り荷ほどきをしている。
必要の部屋に入り、紅茶を用意してもらい、話始める。
「それで、どうだった?」
「予想通り、俺を狙ってた」
暴れ柳の一件で確証した。ドリム・ポッターは俺の命を狙っている。
「でもなんだろう。上手く言葉にできないんだが、俺も狙われるのが当然だし、やり返して殺さないといけない、そんな感じがするんだ」
言葉に出すと少し嫌だな。俺が異常者みたいじゃないか。だんだんとドリムを殺したいと思っている自分がいる。そんな自分に嫌悪感を感じる。
「なるほど?何かしらの魔法制約のような物ができているのかな。なんにせよ千里眼が使えない今年だと調べるのは難しいね。護符とか渡しておくよ」
「え?千里眼使えないの?」
そっちの方が問題だろ。頼りにしてたのに……
「まあ、姉さんに禁止させられてて」
「お前、姉さんいるのか」
初めて知ったぞ。あれ?でもキャンプにいなかったって事は澄んでいる場所は違うのか?留学してるとかだろうか。
「姉さんの話は後でいい。余裕ができたらアーリアを調べてみよう。今のところ森に捨てられていた事しか分からないし、もしかしたら森に捨てられる前に何かあったのかもね」
次はハロウィン+決闘クラブ?