Sideマリ
「「うわぁ……」」
「父さんの目が死んでる……」
先日のミセスノリス石化事件によってロックハートが提案した決闘クラブが形になってしまった。そして闇の魔術の防衛術の授業の一環として提案されてしまったため、スネイプ教授と僕が巻き込まれた。さすがにお手本は先生の方がいいだろうということでロックハートとスネイプ教授が舞台の上に上がって説明をしている。
あ、父さんがロックハート吹っ飛ばした。
「ええ、あえて、そう。あえて見本を見せるために吹き飛ばされましたがね!もう少しスマートに杖を振った方が避けにくいですよ」
なんか言っているけど、負け惜しみだなぁ……というか杖を吹き飛ばさずにロックハート本人を吹っ飛ばすあたりスネイプ教授もイライラたまっているなぁ。
「じゃあペアを組んで練習して!マットは人数分用意されていますから」
2年生だけとはいえ全寮の生徒が集まると結構多いな。
さて、先ほどから一言も話していないアイから圧を感じる。……うん。原因は分からないけどめちゃくちゃ怒ってる。え?怒るような事起きたっけ?
「じゃあ俺はいつも通りリ「アーリアは私とね」……アイさん?あの、肩が痛いよ……?」
アイがアーリアの肩を握り、引きずっていく。助けを求める目をアーリアから向けられるが、あれは無理だ。
「リイン。今日は僕と組もうか」
「え、あの、アーリアさん助けなくてもいいんでしょうか?」
「……あれはわしらには救えぬものじゃ」
なんかそのうち校長が言いそうだな、とか思いながらアイがああなった原因を考える。アーリアに対してなんとなく原因に察しはついた。多分、ディーが原因だ。
「あの、アイさん?何で俺は強制的に組まされているのでしょうか?」
「うーん。私の中でも整理できていないけど、とりあえずムカついたからかな☆ボコボコにするね!」
「え、ボコボコ!?何にム「うちのマリを引き連れて聖母ムーブを見せつけるのはさぞかし気持ちよかったでしょうね!アーリア」何の話!?」
「マリがお父さんで子供まで授かったんだってね!震える子を優しい顔でだっこして頭撫でたんだってね!白い髪をしたマリの子を授かったんだって?」
「いや全部誤解じゃねーか!」
ディーが半泣きだったのを見かねたアーリアがマリに言って送り返すことになった時の一幕だった。マリにガチビビりして動けないディーをアーリアがだっこして外に向かったのを何人かの生徒が見ていたらしい。当然。アズカバンに送り返すからマリも一緒に歩いていた。
マリが近くにいて震えるディー。それをだっこしてなだめるアーリア。同じ白い髪をして隣を歩くマリ。
うん。確かにはたから見たらアーリアが僕の子をだっこしてなだめているようにしか見えないか。
「それと、『君が死なないようにお守りをあげよう。この眼鏡をかければスリザリンの怪物くらい余裕だよ』だっけ?」
「脚色されすぎてて原型が残ってない!?『死なないように』しか合ってないよ!?」
メガネ渡しただけなのにすごく曲解されていた。どうしてそうなった。僕も全く想定していなかったんだけど。
「アイさん。それは嫉「よくわからないから私なりにすっきりしそうな事をして解消するよ」説明すらさせてくれない!?許される道はないんですかね!?」
「よし。準備ができたみたいだね。じゃあはじめ!」
「最悪のタイミングで開始の合図が!?」
「はいどーん!」
アイの杖から赤い色の閃光がアーリアに向かって奔る。アイ?それ
「あぶなっ!」
ギリギリかわすアーリア
「外しちゃったかー」
「待って、本当に待って。今のエクスペリアームスじゃないよね?」
このままだと流れ弾があたったら洒落にならないし、一言だけ言っておこう。
「アイ!」
「マリ!助けてくれる「危ないのは使っちゃダメだよ」そうじゃない!もっと別のことを言うべきだろ!」
「わかったー。足の小指ぶつけたくらいの痛みまでにしておくねー」
「それでも結構痛いやつ!」
本当にヤバそうなら助けよう。そう思いながらマリとアーリアの戯れを横目にリインへ眼を向けて練習をしようとしたら
「そう。無言呪文のイメージはそれで合っている。切りつけるように杖を振るい、心の中でセクタムセンプラと唱えるのだ」
「僕が知らない呪文なんだけど!?スネイプ教授!?」
スネイプ教授が開発した呪文だろうか?え、僕を実験台にしようとしている?
「あの、マリお兄さんに向けて大丈夫な呪文でしょうか?」
「ミスマリなら大丈夫だとも。不審者が来たらこの呪文を容赦なく叩き込みなさい」
いやまあ、大概の事には対応できると思うけども。
「えっと、じゃあやりますね」
初見の呪文は効果が分からないからまずい。アーリアの事を気にしている場合じゃ無かった。アイとアーリアから目を離す事になるけどこっちに集中しよう。
「待って、こっち見ててほし痛ったあ!!」
「えい!」
わー可愛い掛け声だー。とか言ってる場合じゃないよね。これそのまま受けて大丈夫な奴だろうか。避けた方がいいかな?いやでもちゃんと発動したかわからないし、身代わりに受けてもらおうかな。
袖から符を1枚取り出し身代わりとして真っ白な自分に似た人型を作る。
リインが放った白い光は白い式神にあたり、ズタズタに引き裂いた。
「「ええ……」スネイプ教授?」
さすがにこれはダメでは?殺傷能力高すぎでは?リインはスプラッタ系苦手だから防がなかったら泣いてたよ?
「いやその、すまない。推しに自分の考えた呪文を使って欲しくて……我慢できなかった。反省はしているが後悔はしていない」
反省はしているのか。でも罪には罰だよ。スネイプ教授。
「今日から1週間、推し活を禁止ね」
「我輩を殺す気か!?」
「ほら、父さんを止めるのに俺が必よ痛ったあ!!」
「破ったら2週間リインがハリーに見える幻術かけるからね」
「ッッッッッ!!??!?」
とんでもなく絶望しているのは反応から分かった。
暴れて満足したのかアイの機嫌が直り、べったりと僕にくっついている。誤解しないでほしいが、アイは僕を愛しているのは間違いない。ただ、僕を何と位置づけて愛しているのかが分かっていない。それが分かるまで、僕は基本アイの好きにさせるつもりでいる。
愛する、というのは複雑なのだ。そして、その答えは自分で探すしかない。
でもアーリアがぐったりするまでやるのは少し反省しようね。
「さて、練習もできたようだし、何組かステージの上で実戦してもらいましょうか!2年生は私が担当していないクラスもありますから、折角だし決闘してみましょう!」
さっきの決闘でスネイプ教授の方が優秀だと気が付くと思うけども。
「ではそうですね。私はハリーを先鋒として出しましょう!」
この人の話は芝居がかってちょっと煩いなぁ。
ハリーを見ると、ものすごく嫌そうな顔をしている。ただロックハートは人を見る目があるらしい。あの中だとハリーが一番強いだろう。ハーマイオニーに呪文の知識や精度は負けているが、決闘で一番必要なのは度胸だ。ハーマイオニーは研究者タイプだからまだ決闘できるレベルで精神が強くないだろう。車から飛び降りれるハリーの方が強い。
「……そうだな。我輩は……ミスマリ。壇上に上がって欲しい」
「「「それは勘弁してくれませんか!?」」」
グリフィンドール生のほぼ全員が叫んだ。同級生の死体は見たくないとか言っている。
「へぇ……」
「何でハリーはヤル気になってるの!?死ぬわよ!?」
ハーマイオニーがハリーを止めようとしている。ハーマイオニーは去年、賢者の石を守ろうと奮闘しているときに、トロール4体の斬り殺された死体を見ている。そんな人と友達が戦うのは止めるだろう。
「みんな僕をなんだと思っているのさ?さすがに同級生を殺しはしないよ」
「『殺しは』って言った!死なない程度になにする気だ!」
「いや本当になんだと思っているの?」
僕のことを快楽殺人者だとでも思っているのだろうか?首切ったのみんなの前だと1回あるかないかだけなんだけどなぁ。
「あー。皆さん反対しているみたいですし、別の人を推薦してもらえませんかね?」
「そうか。そうだな……じゃあドラコ。行けるか」
指名されたのはドラコだった。ドラコは顔を輝かせると了承して舞台の上に上がる。
「やあハリー。こうも早く戦える機会が来るとは嬉しいよ」
「ドラコ……去年の僕とは違うことを見せてあげる」
カチャ、という音と共に2人は剣を構える。
「「いや何故剣を構える!?」」
珍しくロックハートとスネイプ教授がシンクロした。ガキン、という音と共にハリーとドラコが剣を振り、鍔迫り合いを始める。
「「魔法使えよ!」」
またシンクロした。見てる分には面白いなぁ。
「なんか火花散ってる!?」「魔法使いなら魔法使えよ!?」「ってかいつ動いた!?」「やっぱり魔法打つより斬った方が早いよね」「ロングソードをこの狭い場所であそこまで自由に動かす。やるようになったわねドラコ」「ダフネは何目線で見てるの!?」「剣閃が見えない……え?なにこれ?」「時折見える火花が綺麗だ」「なぁにこれぇ?」
鍔迫り合いをやめて互いに離れる。剣を振り、一進一退の攻防を繰り広げる。うん。いい剣裁きだ。でもそろそろ止めようね。
「『止まれ』」
甲種言霊でハリーとマルフォイを止める。ついでにこの場にいるアイとリイン、スネイプ教授以外も止まる。
「ハリーもドラコも、それじゃあみんなの勉強にならないでしょ……落ち着いたかな?はい『動いていいよ』」
「「っはあ、はあ……」」
「あれ?」
ちょっと強く魔力を乗せすぎたみたいだ。ハリーとドラコ以外も止まってたし、呼吸もできてなかったっぽい。危ない危ない。
ちょっとした事件はあったが、魔法を使った決闘が始まった。
「ステューピファイ」「プロテゴ」
「レダクト」「プロテゴ」
「あの、エクスペリアームスだけ使うように伝えたと……思うんだけど……」
ロックハートが困惑している。さすがに剣だけじゃなくて、多少は魔法を手ほどきしているからね。ある程度は魔法のみでも戦えるさ。
「サーペンソーティア・マキシマ!」
マルフォイが大蛇を出してきた。ざわめく観客。
「『動くな』」
ハリーが蛇語で動くなと言った。……君、蛇語使えたのか。
さすがにこのサイズだとロックハートでは対処が難しいだろうから何かあった時のために前に出る。スネイプ教授は近すぎず遠すぎない距離でリインの近くにいる。まあ、あの人は実力はあるし、リインは安全そうかな。
でも推し活にならないようにライン見極めているのは偉いけど、それもまた推し活では?
「『金髪の方に行け』」
蛇語が聞こえたが、……今のはハリーか?蛇語だとシューシューとしか聞こえないから判別ができない。金髪だと結構いるけど、マルフォイに逆襲させようとしているのか?
「ちょ、こっち来るな!」
何でこう毎回巻き込まれるんだアーリア!?え、じゃあさっきのはドリムか?……いや、ドリムは蛇からかなり遠い場所にいる。可能性は0じゃないが低い。一番近い金髪がアーリアだっただけ……ああもう。
「アーリアこっち!『止まって』」
僕の口からシューシューと蛇の声が聞こえ、蛇が止まる。スリザリンの血筋だから蛇語くらい話せるんだよね。
「マリぃ……」
涙目のアーリアがしがみついてくる。また腰抜けてない?大丈夫?と腰あたりにしがみつくアーリアの頭に手を乗せわしゃわしゃと撫でる。……悪手だったかもしれない。
「ドラコ。視界を遮って動こうとしたのは分かるけど、蛇大きくし過ぎすぎだよ。ヴィペラ・イヴァネスカ」
強めに魔力をこめて蛇を消失させると、安堵の溜息が聞こえた。
「……なあハリー。君、パーセルタングだったの?」
ロンの言葉に、安堵からざわついていた広間が静かになる。
「え?普通じゃないの?師匠も話してたし」
「「あれを普通と思うな!」」
ロンとハーマイオニーから突っ込みが入る。あれ呼ばわりとは。悲しく……はならないか。
「じゃあ、アーリアさんが襲われたのはハリーの指示ってこと?」
誰かがそんなことを言ったせいでこのままだとハリーがスリザリンの継承者になりそうだ。だが、『そこの金髪の方に行け』と言った人間が分からないから否定もできない。あの状況だと確かに怪しいのはハリーだ。
「違うよ!僕は蛇に動くな、って言ったんだ!あ、師匠なら分かるでしょ!」
「最初にそう言ったのは確かだよ。でもそのあとに、ハリーが言ったのか、別の誰かが言ったのか分からないけど、金髪の方に行け、という蛇語も聞こえた。まあだから、アーリアじゃない人が、例えばドラコが襲われていたかもね。ただ、状況からすると僕はハリーが犯人だとは思ってないとだけ言っておこう」
あとアーリア。そろそろアイが爆発しそうだから離れた方がいいと思うよ。
結局、ハリーに対する疑惑はぬぐい切れないまま決闘クラブが終わった。そしてそれは彼らが何か知っているであろうスリザリン生に聞きこむために潜入を決意させたのだった。
「師匠!二角獣の角の粉末と毒ツルヘビの皮の千切りって持ってない?」
「あー、そこの上から4段目、右から5番目とそっちの一番下の一番右にあったと思うよ」
「ありがとう!」
「あ、でもポリジュース薬使っても談話室のトラップに引っかかるから」
「……やめときます」
その後、大広間でドラコから話を聞いたが、特に得られるものはなかった。
リインガチ勢(の一部)
スネイプ教授(推し活1週間禁止中)
クラッブ(接近禁止)
ゴイル(接近禁止)
ダフネ(接触禁止)
次の投稿は時間置くかもです。