決闘クラブのひと悶着からしばらくが過ぎ、アーリアは授業終わりに1人でホグワーツ内を散策していた。
あれから何人か石化している犠牲者が出ているが、マリからもらったメガネをつけているからまあ死ぬことはないだろう。
「なんか競技場の方が騒がしいな」
図書室で本でも借りようかと歩いていると、クィディッチの競技場の方が騒がしかった。そういえば、今朝ドラコがシーカーに選ばれたって話が出てたな。ということはグリフィンドールとクィディッチの練習で揉めてるのか。
まあでもドラコは改心しているというか、変に突き抜けたし酷いことにはならないだろう。そう思いながら一応様子を見に行く。スリザリン生は助け合いが重要なのだ。
「あー結構揉めているなぁ」
確か、グリフィンドールが予約していたのを、メンバーチェンジがあったからスリザリンが特例で使えるように掛け合って許可されたんだっけ?原作では描かれていなかったけど、去年のグリフィンドールもハリーがシーカーになった時に使っていたはずだ。
グリフィンドールの上級生は分かっているだろうけど、下級生が少しヒートアップして罵詈雑言が飛び始める。
「穢れた血め!」
ドラコの代わりにお前が言うのかザビニ。
「ナメクジくらえ!うわぁ!」
おお!原作通りの逆噴射だ!……って言ってる場合じゃないか。
「あーロン。大丈夫か?折れた杖を使うのは危ないぜ?」
「アーリアさん……オェ大丈夫だよ。……オェ余裕さ……オェ」
全然大丈夫じゃなさそうだ。俺の前でかっこつけてもあんまり意味ないんだけどなぁ。頑張らずに吐いた方が楽だぞ。
「あー……マダムポンフリーのところに連れてってあげな。後グリフィンドールも去年同じ権利使ってハッフルパフから練習スケジュール融通してもらってるんだから文句は言わないで欲しいんだけど」
リインさんのおかげで光堕ちしている父さん、もといスネイプ教授だから原作みたいに強制的にってことはないはずだ。
グリフィンドール生はしぶしぶと引き下がっていった。
「これ、使えるかも」
図書室に向かい、いくつか本を借りて戻ると、騒がしい競技場に珍しくマリが1人でいた。
マリがいる?去年のクィディッチで禁止カードになったはずでは!?自力で脱出を!?
「おいマリ!何でいる!?鍛えるの禁止にされてなかった!?」
「どうしたんだいそんなに走って……あれ?僕って分かる?」
コテンと首を傾げるマリ。皮がプーリンになっているせいでムカつくほど可愛い。
「あ、魔眼殺しに幻術も見破れるような効果つけてたのか」
「……ん?幻術って事は名前呼ぶのはまずいのか?」
「勘のいい女は好き。バレなきゃ大丈夫だよ」
あ、好きって言われた……キュン……じゃねえよ。俺は何考えてんだ。でも感覚的にはメス堕ちっていうかBLに堕ちそうな感覚だったな。
「まあ、それは一旦置いておこう、で、あれは何やってるんだ?」
闘技場を見ると、ドラコが地上で目隠しをしながら4つのブラッジャーを避けながらスニッチを掴もうとしている。いや何故目隠ししているのにブラッジャーを避けれる。というか箒に乗って訓練しろよ。
「ポジションがシーカーらしいからまずは見なくてもブラッジャーに当たらないようにしないとね。その第一段階だよ」
「あれで第一段階!?……最後何やらせる気だ」
「目隠しはせずに、ブラッジャー透明化させてそれに当たらないようにしながらスニッチを掴む練習かな。あ、さすがに箒には乗せるよ。ある程度の周辺視野と見えなくても感覚でブラッジャーを察知できるようにしてほしいからね」
「そんなことできるもんなのか?」
「普通はできないだろうね。でもドラコは秀才だ。多分大丈夫だよ」
そういうもんか。でも秀才ね。天才とは表現しなかったな。
「……今年のスリザリンはグリフィンドールに、ハリーに勝てるか?」
去年はグリフィンドールと引き分けられた。リーダーの先輩はいるが、メンバーが何人か入れ替わり戦えるのだろうか。
「いや、先輩から賄賂もら……僕の好意で、たまーにこっそり練習見てるし大丈夫だと思うよ」
「おい何言いかけた?」
そう問い詰めるも、ニコニコ笑っているだけだった。まあ、マリは金に困ってるってことはないだろうから、マリの年齢だと手に入れにくい物とかを融通してもらっているのだろう。
「ところでそろそろ突っ込まないと行けないと思うんだけど、あれ何?」
指さした方にはザビニが懸垂していた。懸垂している下の方ではびりびりと音がしている。
「ほら、差別的な言葉使っちゃったからさすがに反省させないとね。肘が90度以上になったら強制的に電流流してびりびりにさせる罰ゲーム、みたいな?」
「びりびりって……どのくらい?」
「あれくらい」
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」
「ザビニがすごい痙攣してる!?」
耐えきれなかったザビニが落ちて電流の餌食になっていた。煙出てない?大丈夫なのか?
「魔法でいい感じに調整しているから大丈夫だよ。後遺症とかも何もない。便利だよね」
「心を読んだかのように答えるね」
「アーリアは顔に出やすいからね」
そうなのだろうか?マリの事だからデフォルトで開心術使ってても驚かないけど。
「あ、先輩は見える距離を2メートルから半分に減らすね」
「任せろ!全部止めて見せる!」
去年からスリザリンのキーパーの失点はほぼなかったけど、原因が分かった。酷い練習を見てしまった。
Sideドラコ
ついにグリフィンドールとの試合の日がやって来た。
「ドラコ。君はクィディッチにおいて秀才だ。まれにみる才能と断言していい」
けど、とマリが続ける。
「ハリーポッターはクィディッチにおいて天才だ。凡人を、秀才を踏み台にして、凡人が生涯をかけて身に着けた技を、秀才が必死に練習して身に着ける絶技を、少しの試行で、それこそ初めて見た試合中に身に着ける。それを目の当たりにするのは正直キツイよ。その圧倒的な格差に絶望するか、その強烈な光に焼かれて焦がれるか、どちらかにしかならない」
「それじゃあ僕は、どんなにかけてもハリーには勝てないのかい?」
「才能は理不尽だ。決して埋められない差を作る。どれだけ練習して技を出しても、どんな作戦を練っても、それに対する回答を出せるのが天才という人種だよ。だから、君は個人では勝てない。勝とうとするのであれば君一人で戦ってはいけない。けどそれは、君は試合に勝てても、ハリーに、勝負には勝てない試合をするということだ」
「……」
「その覚悟はあるかい?」
「……マグルの世界にはこんな言葉があると聞きました。One for all All for one」
「そうだね。1人はみんなのために、みんなは1つの目的のために、そんな意味を持つ諺だだね」
「僕もスリザリンのチームの一員だ。だから……」
この試合で僕がやることは1つだけ。
「さあ!今試合が開始されました!」
開始と同時に、ハリーを探し、すぐにマークにつく。
「付き合ってもらうぞ!ハリー!」
「ドラコ程の美男子からデートのお誘いとはね。光栄だけど遠慮させてもらおう」
一挙手一投足を見逃すな。フィールドを見渡せ。同時に熟せ。相手はクィディッチの天才。ありとあらゆる物を利用してつなぎ留めろ!
おあつらえ向けにブラッジャーがハリーに迫る。……今!
「ぐっ!ブラッジャーの軌道を
「少し掠める程度で躱しておいてよく言う!」
スニッチを自分でも探しながら、ハリーの視界を遮り妨害をかける。……またブラッジャーが来たか。
「2度目はないよ!」
「ッチ!」
もう対応するのかよ!……今!
「……なあハリー?君ブラッジャーの恨みでも買ったのかい?……っよ!」
「そんな覚えはないけど……っと」
「さあ!今100対0でスリザリンのリードです!」
そんな実況の声が聞こえた時、スニッチを見つけてしまった。まだ追うには早い。なら見つけた今の思いをそのままに全速で箒を飛ばす。
「させない!」
フェイントの極意?感情を乗せる事かな。普段通りに、そこにあると信じて飛ぶ。それだけだよ。
フェイントで逆方向へ箒を飛ばす。感情をそのまま使ったからだろうか。ハリーも疑いもせず引っかかってくれた。マリの助言を思い出してよかった。
ついでとばかりにウロンスキー・フェイントもやってみたがそこまでは引っかかってくれないらしい。
「……なるほど。君がそんな戦術をとるとは思わなかったよ」
勘がいい。だが、っと。本当にブラッジャーがよく来るな。
「だけど、これで僕たちスリザリンの勝利だ」
「ついに150対0!このままだとシーカーがスニッチを取ってもスリザリンと引き分けです!」
「だがまだ負けてはいない!」
最悪だった。スニッチと反対方向に来たのに、見える位置にスニッチがあった。
「つれないなハリー。もう少しデートさせてもらうよ!」
インに入り、ハリーと競り合う。少しだけでもハリが大周りしなければならないようなコースを位置取りする。焼け石に水かもしれないがやらないよりはましだ。
そして、ハリーとスニッチを取り合う寸前、スリザリンが点数を入れたことを実況の声で聞いた。ハリーは集中状態で聞こえていないだろう。指先の距離1つで勝敗が決まるこの瞬間、外の声が聞こえる程度にしか集中できない僕と違い、ハリーはスニッチにしか集中していない。
このままでは勝負には負けるかもしれないが、試合には勝ったぞ!
そう思った瞬間、下から何かが来るのを感じた。
ハリーがスニッチを取る寸前、ありえない速度で下から飛来したブラッジャーがハリーのスニッチを取ろうと伸ばしている腕に直撃し、ハリーは少し上に上に吹き飛ばされて、箒から落ちて行った。そして、僕はスニッチを取った。
「……は?」
「今スリザリンのシーカーがスニッチを取った!グリフィンドール完封!」
一瞬の困惑、その次に湧いたのは怒りだった。ふざけるな。こんな勝ち方は求めていない。落ちて校庭に倒れるハリー。近くにはブラッジャー。
「レダクト!」
未だにハリーを狙うブラッジャーに懐から杖を出して破壊する。……ブラッジャーはおそらくハリーを狙うように魔法がかけられていたのだろう。普通のブラッジャーの速度では無かったし、試合が終わっても執拗にハリーを狙う意味が分からない。
ああ、こんな結果の勝利なんか欲しくなかった。
「……ありがとうドラコ。助かったよ」
「……勝負は預けておく。こんなの、勝ったとは思えない……腕は大丈夫か?」
「あー。多分折れたかな。でも大丈夫。こんな時のた「ああハリー!もう大丈夫!私が来たからには骨折くらいすぐに直してあげますとも!」……この状態でも師匠の薬効くかなぁ?」
「あー。スーパーキャッチができそうだね。じゃあ私はこれで」
ロックハートがハリーの腕を直そうとして、杖を振ったようだが、腕がぐにゃぐにゃになった。いや、何故そうなる。というか何しに来た。この人に教わらなくて本当によかった。スネイプ教授のリイン推しには(主に同級生の胃がやられそうだったりと)思うところもあるがこればかりはいい判断をしてくれたと思う。
でもマリに教鞭取らせるのはもう少し頻度落としてくれないだろうか。
現場でバタバタしていると、誰かが駆け寄ってくるのを感じた。
「ハーマイオニー。そんなに手を引っ張らないでくれ。ちょ、アイも背中から下りてくれない?」
ハーマイオニー。普通はマダム・ポンフリーを呼ぶよ。
「あー師匠。この状態で薬飲んで大丈夫かな?」
「んー。ダメだね。骨がなくなってるからこの薬じゃ効かないよ。この薬は時間経過で治るような怪我しか治せないからね。……いや何で骨がなくなっているんだい?」
それはそう。何で治そうとして骨がなくなるのか。
「骨生え薬を素直に飲むしかないね。あれすごく痛いけど。……痛み止めくらいは渡そうか?」
「ぜひお願いします」
ちょっとまとめ書きするので、しばらく時間かかります。
その分、できたら頻度高く更新するので少々お待ちを。