4月になって、マリとアイが石化した。
その出来事を聞いたスリザリンは、というかホグワーツ中が恐怖した。
スリザリンの後継者はあの二人を石化できるくらいに強いのかと。
トロールを斬り殺すわ、暴れ柳を言葉だけで止めるわ、決闘クラブでアイさんが大暴れするわ、挙句の果てにはマリさんも蛇語話すわ。もうスリザリンの後継者はこいつなのでは?とか思っていた人が被害に合い、石化した。
「スリザリンの血筋で争っていたのではないか?」
「自分の方が優秀だと示したかったのではないか?」
「俺より強いやつに合いに行くって事か?」
「マリに惚れたヤンデレの仕業ではないか?」
と様々な憶測が飛び交っていた。
「リインさん。大丈夫か?」
「ちょっと、厳しいですね」
大事な人が石化してしまった。いくつか持っている薬も使ってみたが効果が無かった。
自分の居場所が崩れていくような感覚。ああ、私は弱いなぁ。
それからの日々は色がなくなったような感覚だった。それでも私が授業を受けれたのはアーリアさんにドラコさん、ダフネさんがフォローしてくれたからだろう。
「スプライト先生が育ててるマンドラゴラが育てば石化も解除されるよ」
「そう、ですよね。私も調合に参加して……」
スネイプ教授なら安心だけど、やっぱり私が自分で作りたいですね。
「……なんでしょうこれ?」
図書館に行く途中、マートルさんがいる女子トイレに行くと、黒い本のようなものが捨てられていた。どことなく嫌な感じがする。表紙には……リドルの日記と書かれている。
こういったものは大体呪われていると決まっているものだよ。とマリお兄さんの言葉を思い出す。図書館の閲覧禁止の棚にある呪われていたり、読むのに特殊な事が必要な魔法
「触らない方がいいですね」
無視しようとすると、日記が勝手に開き、空白のページに文字を出す。驚くも、特に呪うような魔力も出ていなそうなので読んでみる。実際に呪われるようなら護符が先に壊れるだろうから、そのあとに
「えっと……『スリザリンの怪物について知ってる?』……バジリスクですよね?」
急に開かれた文字に驚きながらも読み答えると、なんだろう。日記が動揺している?
「……『うどてしそ』……何を書いているのでしょうか?あ、書き変わりましたね。『それを知っていてどうして学校にいるの?』そうですね、お兄さんとお姉さんがいるからでしょうか。今は石化してしまっていますが」
震えたような文字が一瞬映るもすぐに書き変わる。
「マリお兄さんとアイお姉ちゃんが起きていれば、今頃スリザリンの継承者が起こした事件の石化も薬使って解決していたかもしれませんね」
マリお兄さんなら成長途中のマンドラゴラでも無理やり薬を作るくらいはできる気がする。
「『マリお兄さんってどんな人?』そうですね。女の子より女の子している、とっても優しいお兄さんですね。『年上?』同年代ですよ。ただ私の生まれは遅いので、お兄さんって呼んでます」
いつまでこの問答に付き合えばいいのだろうか?まあ、この後は時間ありますし、多少は付き合ってもいいですね。もしかしたらこの本が犯人、ということもありますし。
「『その人はいつ石化したのか?』えっと、1週間前くらいでしょうか」
なんかまた日記が動揺した気がする。
「さて、そろそろ私からも聞かせてもらいましょうか。貴方はどういう存在ですか?」
少し固まったあと、日記に文字が書かれる。
「『おおよそ50年前の生徒の記憶』ですか。憂いの篩のようなもの?いえ、自我がある時点で別物ですね」
というか、自我がある魔法はほぼほぼ闇の魔術が関わっている。生贄なりを使って対象の者自体に魂を移したりする。生贄ってことは恨みが強い訳で、こちらを騙して同じ目に合わせようとしたり、体を乗っ取ろうとしたりとろくなものがない。
「一気に怪しくなりましたね……『僕は怪しい本じゃないよ?』……より怪しくなりましたね」
燃やした方がいいだろうか。と呪符を出す。
「大丈夫です。痛いのは一瞬で済みますよ。『邪符を焼き払って!
大きな音を立てて日記に向かって炎を飛ばす。マリお兄さんの血を少し使った特別製の呪符。
「逃げられましたね……もしかしたらあの日記が継承者なのかもしれませんね」
明らかに呪われている、そう思える日記を逃したのは少しよくなかったかもしれません。
「何があった!?リインさん!?」
あ、アーリアさんが入ってきました。音とかあんまり気にせずに呪符を使ったから結構な音が出ていたみたいです。でも制御は完璧なので、壁は焦げていません。
「えっと、呪いの日記みたいなのがありまして、燃やそうと思ったのですが逃げられてしまいました……」
「呪いの日記!?リドルの日記か?原作ではこんな事無かったはず……」
「どうしました?」
「ああ、いや、何でもない。その日記に惑わされたりしてないか?」
ああ、闇の魔術の品ですからね。騙されていないかを気にしてくれていたんですね。
「大丈夫ですよ。自分で怪しい本じゃないと語ってたくらいには怪しかったので」
「それは怪しいな……え?そんな感じだったの?というか会話したの?」
「あ、会話といっても、勝手に日記が開いて文字が書かれて、それに回答しただけです。」
「え、勝手に開いて文字が浮かび上がって?そんな機能無かったはずだけど」
なぜかアーリアさんが困惑している。不思議な事でもあったのだろうか。
「えっと、日記に引き込まれて記憶を見せられたりとかも無かったか?」
「はい。えっと、アーリアさんは日記のことを知っているのですか?先ほどからこんなことをしてきそう、って感じで話していますが……」
「あー。うん。同じような話を聞いたことがあるからさ。最後には部屋に監禁されて体を乗っ取られかけたそうだ」
「あ、そうですね。呪われた本だとそんな感じの話をよく聞きますよね。ホラーの話とかで……着信ヤダ……」
去年見たジャパニーズホラーが思い出される。未だに携帯電話が怖い。着信とか来ないでほしい。
「滅茶苦茶トラウマになってるじゃん……」
「着信とか滅びて欲しいですよね」
「リインさんはまだしばらく電話持てないね。というか着信がない電話ってメールくらいしか使えない……いや、それはそれで持つ意味あるかも?」
そうでしょうか?メールしか使わない携帯って、携帯の意味ありますでしょうか?ポケベル?みたいなそういうものでいいのでは?
「っと、こんなところで長く話し過ぎたな。そろそろ行こうぜ。リインさんはこの後どこ行く予定だったんだ?」
「あ、マリお兄さんとアイお姉さんのお見舞いに行こうと思ってます」
「そっか。折角だから俺もお邪魔しても?」
「大丈夫ですよ。きっと2人も喜びます」
医務室に入り、石化しているマリお兄さんとアイお姉ちゃんの個室へ向かう。私の意向でベッドは隣にしている。というかくっつけている。なんとなく、魔法的な繋がりというか、そんなものを感じていたからだった。
個室にしているのは、不埒なことをするような人を防ぐためだった。女神と言われているので、スネイプ教授に依頼して、私の許可が無ければ入れない部屋を作ってもらった。でも色々な物を使っていたみたいだったのに、お礼が握手だけでよかったのだろうか。
「こんなこと言うのもなんだけどさ」
「どうしました?」
「石化しているのにどっちも可愛いのおかしくない?」
驚いたような顔のアイお姉ちゃんと、少し苦々しい困った顔のマリお兄さん。なのにどちらもどこから見ても可愛くて美しい。
「自慢のお兄さんとお姉さんですので」
「どや顔かわよ」
「……?えっと、何か言いました?」
「いや、何でもないよ。あーでも、間近で見るとちょっと他の人と違うなって」
そう言えば、ハーマイオニーさんが石化したとき、皆でお見舞いに行きましたっけ。確かに、ハーマイオニーさんの石化とマリお兄さんとアイお姉ちゃんの石化は少し違う気がする。なんというか、こっちの方が石っぽい?
「他の方はもう少し硬直した、って感じですよね。護符とか持ってたと思うので、その影響でしょうか?」
ローブも含めて石化してなければ持ってた護符を見れたんですけどね。それが分かればもう少し原因を特定できるはずなんです。
そう考えていると、医務室の方が少し騒がしくなっていた。
「何かあったんでしょうか?」
「また2代目悪戯仕掛け人じゃないか?マリとかアイさんみたいな抑止力が居ないせいで最近活動が多いから。父さんもリインさんの様子見すぎてるせいであんまりグリフィンドールを見てないしな」
2代目悪戯仕掛け人はウィーズリー家の双子と私の姉、ロンの4人が名乗っているグループ?のようなものだ。笑える悪戯が多いのだが、偶に洒落にならない悪戯もしているとか聞いたことがある。
「スリザリンとグリフィンドールの確執はまだ残ってますからね」
下級生はまだ良いのだが、上級生は確執が残っており、かなり仲が悪い。
「いやまあ、俺はともかくリインさんに手を出すことは無いと思うけどね。やった時に、マリが起きた時にどんな目に合わせられるか考えると……」
「その……多分手加減しませんね」
正々堂々勝負する事は別にいいと思っているみたいですが、陰湿に攻撃するようなやり方だと多分キレる。ザビニが受けたあれが天国と思えるくらいにはやらかすと思う。
マリお兄さんは懐に入った人に対してはすごく甘いのだ。その分入口がものすごく狭いのだが。
「何でこんなに怪我をしているんですか!」
「マダム・ポンンフリーがすごい怒ってるな」
こちらの部屋にまで声が聞こえた。
「ちょっと見てくるな」
アーリアさんが様子を見に行ってくれた。今のうち位に花瓶の水を換えて来ましょう。
花瓶の水を入れ替え、空間倉庫から新しい花を取り出す。
「ちょっと待て。今なにした?」
戻ってきたアーリアさんに聞かれる。
「普通に空間収納の魔法ですけど……」
「いやなにそれ!?」
「マリお兄さんが開発した高等魔術だそうです」
「そもそもの自力が強すぎる……!マリ居なくても返り討ちにできるだろ……」
「あ、で何があったんですか?」
話題がそれてしまったので元に戻す。
「ああそうだった。リインさん少しここで待機ね。なんか、ハリーとロンとドリムが怪我して運ばれてたみたい。ロンがなんか蜘蛛がどうのって呻いてた」
「スリザリンの継承者の件とは 別みたいですね。……蜘蛛?」
バジリスクのことを調べているときに、聞いたことがある気がする。
「アクロマンチュラ……?いやでも、さすがにあんな人特攻みたいな生き物がボルネオ島以外にいるはずがないですよね」
「そうだな(白目)」
「でも、もしいるならマリお兄さんに教えないとですね」
なぜかアーリアさんが白目になっているが、アクロマンチュラの毒があればダフネさんが喜ぶはずです。
少しして、ハリーたちが医務室から出るのを待ってから寮に帰った。
閑話 少し前のマリとアーリアの話
「そいえばアーリアってアイもリインも呼び捨てで呼ばないよね」
アイとリインが寮の自室に引いてある温泉に行っており、マリとアーリアは2人で話をしていた。アイに一緒に入ろうと引きずられるのを必死に抵抗したりとひと悶着あったのだが。
「あー。そうだな」
「何か理由でもあるの?」
「なんと言うか……女の子を呼び捨てにするのって恥ずかしくない?」
「思春期の男子かな?」
いや、思春期の男の子でももう少し耐性があると思う。
「かといって、ちゃん付けもこう、チャラい感じがするし」
「その割には僕とかドラコとかは呼び捨てだよね」
「マリは女だけど同じ転生者だし、あと別に野郎には遠慮することなくない?」
「だから僕男なんだけど……?というかアーリアは本当に女の子になった自覚ないよね」
思春期男子を馴れ馴れしく呼び捨てにするのは毒だぞ。モンハンだと壊毒だぞ。防御力なくなって一瞬で惚れさせるの本当に良くない……そのうち刺されるぞ。既に後輩が何人か落ちそうだったというか、落ちているのにこの女は……
「ふっ。俺は未だに女湯で興奮して鼻血を出しそうになる女だぞ」
「何て残念な女の子なんだ……」
3話分くらい一気に投稿します。めっちゃ時間かかった割にそこまで量がない……難しい。
次は明日の予定