ハリー・ポッターがバグった件   作:怠惰の徒

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アクロマンチュラ

 

「なにこれ?」

 

談話室に降りてきたアーリアが見たものは、カオスだった。

 

「マリ!よくもディーのキューティクルを燃やしてくれたわね!」

 

「ダフネさん……!」

 

ダフネは激怒していた。談話室のソファーでマリに詰め寄っている。発端はディーの髪の毛が焦げ付いたせいである。そして、自分のために怒ってくれているダフネにディーは感激していた。

 

「もう、戻したんだからそんなに怒らなくても良くない?」

 

「分かってないわね!マリは本当に分かってない」

 

「ダフネさん……!」

 

「自分が育て上げた髪が幼女の構成要素になっている、それがいいのよ!貴方が魔法で直したらマリが育てた髪になっちゃうでしょ!なんで分からないのかしら……!」

 

「……あれ?ダフネさん……?」

 

「今初めてあんたと友達になったことを後悔しているわ……」

 

「ご飯をよくあげているのもそういう理由だったんですね……」

 

上からディー、パンジー、リインである。あまりにもあんまりなダフネの発言に引いている。ドン引きである。

 

「俺が言うのもなんだが、なんというか、見た目が良くてもこれはどうなんだろうな」

 

「本当に君もな。僕の同学年のスリザリンの可愛い子にはこんなのしか居ないのか……?」

 

ドラコは嘆いた。

 

「君もって……俺が入る事には遺憾の意を……いや駄目だわ。自分目線でも無かったわ」

 

 

 

 

ダフネ・グリーングラス

美人なのにロリコンなせいでものすごく残念な子扱いをされている。見た目はとんでもなく美人だが、1年目にリインへの異常な執着で即残念判定されたので被害者は少ない。

 

マリ・アヴァロン

可愛い系の美人。だが男だ。そして精神が割と人外寄りになってしまっている。見てくれは最上級にいいし、料理も上手で、魔法も勉強も教えるのが上手い。というか本人的には教えるのは結構好きらしく、そのせいで他寮の生徒にも被害者が多い。

 

アーリア・スネイプ

かっこいい系の美人。異性同性含めて距離感が致命的に終わっており、女性相手には恥ずかしがり、男性相手にはがつがつ仲良くなる。そのせいで勘違いしたいとこが無数に存在する。特に自寮の生徒に被害者が多い。

 

リイン・ポッター

セコム(主にスネイプ教授とその他)の存在を常に考えないといけない、ある意味歩く地雷。幼いながらも容姿は整っており可愛い系。誰にでも優しく、ワンチャンあると思わせておいて、親しくするとスネイプ教授による追加課題(何近づいてんの?)を出されたり、度が過ぎるとマリによるお仕置き(何迷惑かけてんの?)をされたりする。

 

アイ・ホシノ

可愛い系の美人。ヴィーラじゃねーの?というくらいに人を魅了していく天性の怪物。笑顔一つで惚れる奴が出る。本人はまるで興味を持っていない事が態度で分かるのと、マリにべったりなせいで察する人が多く、被害者は少ない。

 

 

スリザリンが誇るある意味地雷な美少女達である。

 

 

 

 

「……改めて考えると僕の代終わってない?」

 

ついでにクラッブとゴイルもいる。ドラコは泣いていいかもしれない。

 

「というか俺はもう諦めてるけど、マリが普通に美少女枠に入っているのはどうなんだ?」

 

諦めの悪いアーリアではあるが、指摘は最もだった。

 

「二度おいしいだろ!」「有るからこそロマンがあるだろ!」「ノーマルも百合も両方できるんだぞ!」「そうだそうだ!」

 

「うるさいぞ外野共!」

 

談話室で聞いていただけのアホどもがガヤを入れてきた。うちの寮、こういう団結力は無駄に高いんだよなぁ……

 

「ああそうだ。話は変わるんだけど」

 

「まだ髪を燃やしたことを許してないわよ!」

 

「前言ってたアクロマンチュラの毒が手に入りそうなんだけど」

 

「髪くらい、いくらでも燃やしてもいいわよ!」

 

「ダフネさん!?」

 

手ひどい裏切りだった。妹の方が大事らしい。

 

「リインが言ってたんだけど、バジリスクが出た時位禁じられた森に蜘蛛が向かってたんだって。だから千里が……まあ、とある魔法を使って視てみたんだけど、いたよ。森の奥にね」

 

「そう……簡単に手に入らないだろうけど、何とかしてみるわ」

 

悲壮な顔でダフネが覚悟を決める。妹が死ぬまでそう時間は残っていないだろう。それまでにアクロマンチュラを倒せるレベルに成長しなくてはならない。アクロマンチュラは魔法使い殺し。並大抵の腕では

 

「どのくらい強くなれば……倒せるかしらね」

 

「なんか覚悟決めているところ悪いけど、次の週末の夜あたりに毒もらいに行ってくるから大丈夫だよ」

 

「……?」

 

やっぱり人の心とか無いらしい。

 

「それは無いだろマリ……」

 

「マリお兄さん……いいですね。これで研究が捗ります」

 

リインさん?貴方もそっちの枠だったっけ?

 

「さあ、バケモノ退治の時間だ」

 

 

 

 

 

 

「わしの友だ……いいやそいじゃねぇ。仮にアクロマンチュラがこの森にいたとしても、子供だけで戦うのを許可するわけない。ダンブルドア校長もそうおっしゃる」

 

当然ながら許可が出るわけなかった。森へ向かうところでハグリットに止められた。森番が森番してた

 

「まあ、だよね」

 

そう俺が呟くが、止まる人たちじゃなかった。

 

「友達って言った?あの半巨人……アクロマンチュラを飼いならせたってことか?……あれを?すごい才能だ」

 

マリがそう言っているが、確かにそうかもしれない。アクロマンチュラはドラゴンと同じく、扱いきれない魔法生物として有名だ。

 

「どうしましょうか……」

 

「薬の為だし、校則の1つや2つくらいいいでしょ。いざとなればスパチャでどうにかなるだろうし」

 

おいマリ。父さんの加点のことをスパチャって言うの止めろ。

 

 

 

 

 

 

「ハイそんな訳でやってきました~。深夜の禁じられた森です」

 

ダフネ、マリ、リイン、ドラコは禁じられた森にいた。4人である。

 

「ちょっと待ってくれマリ。アーリアは?」

 

「来たら吸魂鬼ほいほいになっちゃうからディーと留守番だよ」

 

「アイさんは?」

 

「宿題忘れてるから戻らせた。今頃アーリアが監視してレポート書いてるんじゃないかな?」

 

「思ったよりしょうもない理由での不参加!?」

 

ドラコは後悔した。そんなことなら宿題をやらなければよかった。そうしたら来なくてよかったのに。

 

「さて、アクロマンチュラだが、毒を採取するのが今回の目的だ」

 

森に入って少しすると、マリが言い始める。

 

「アクロマンチュラの魔法省分類はXXXXX。要するに懐きもしないし、平和的な交渉もできない。だからボコして奪う」

 

「なるほど。分かりました」

 

「原型残して剥ぎ取るじゃだめなのかしら」

 

「継続して採取したいから、殺すのは駄目かな……貴重素材だし」

 

「リイン?マリ?ダフネ?」

 

考え方が蛮族か何かなんだけど本当にこのまま行って大丈夫だろうか。

 

「じゃあアクロマンチュラについて軽くおさらいしておこう。好きなものは人肉、人の言葉を話せるけど、全く友好的ではない生物だ。まあ、人肉好きな時点で友好的なわけないけどね」

 

「それは確かに……でも現実的に、人肉を好む蜘蛛なんてものが自然に生まれるものなのか?噂ではアクロマンチュラは改造された魔法生物の一種じゃないか、って話も出てるけど……」

 

「まあ、十中八九そうだろうね。自分の研究を守るために改造して作り出された生物だよ。でも、品種改良とは少し違うようでね、ちょっと生命を冒涜しているような作り方をしたみたいでね、作った人ごと死んでしまったよだよ」

 

えぇ……。何それ怖い。

 

「あれ?じゃあなんでマリお兄さんはその毒が欲しいんですか?人によって作り出された生物の毒くらいなら模倣できそうな気がしますが……」

 

なんか怖いこと言ってる。ただでさえこれから怖いことしに行くのに、そういう事言うのやめてほしい。

 

「いやぁ……さすがに夢魔といえど、魔法使いと蜘蛛を合成するのは倫理観に反するというか……ね?」

 

「ね?じゃないんだが」

 

衝撃的な事実だった。え?あれそうやって作られたの?

 

「なんというか、蟲毒みたいな感じで呪いを強めて作ったみたいなんだよね。いくら僕でも人を原料に使うのは気が引けるよ」

 

「気が引けるだけなのか」

 

どうしてホグワーツには倫理観を学ぶ授業がないのだろうか。父上に今度奏上してみよう。

 

「ああ、なんとなく分かりました。作られた最初のアクロマンチュラの恨みで、作った人物が死んだのですね」

 

「正解。だから制御も無く人間への殺意がヤバいやつらが世に解き放たれたって話だね。さすがに最初の1匹はもう死んでいるだろうけど、その殺意と怨念は引き継がれていった……さて、話はここまでにしよう。着いたみたいだ」

 

そうマリに言われて森の奥を見ると、像と同じレベルの大きさの蜘蛛が見えた。

 

「わしらの住処に何をしに来た。人間。……それと混じりものか?」

 

「驚いた。そう言うのも分かるんだね。自己紹介をしよう。僕はマリ。君の毒をもらいたいから来たんだけど、くれないかな?」

 

「アラゴグだ。……外の怪物か。だが人間である以上、わしらの餌だ。ハグリット以外と交渉する気もないし、生かして帰す気もない」

 

取り付く島もないようだった。分かっていたことだ、とドラコは思う。

 

「さあ、わしらの子よ。食事の時間だ」

 

物騒な事をいう。やはり魔法省分類XXXXXの生物なだけあって、一筋縄では行かなそうだ。無数の蜘蛛の眼がこちらを見ている。

 

「さあ、アラゴグ討滅戦の時間だ」

 

「まって、生かして毒とるんじゃ無かった?」

 

「プランBでいいですね」

 

「そうね。この状況ならそうだと思うわ」

 

「まって、僕にそのプランBってプランの内容伝えてる?何も聞いてないんだけど!?「じゃあ、行動開始だ!」……アーリア!突っ込み役は君だろう!何でいないんだ!?」

 

 

 

 

 

「じゃあ私は右半分をやりますね。左はお二人で」

 

プランB、単純にマリが親玉から毒を奪って、取り巻きを残りでどうにかするだけの作戦である。もはや作戦でもなく行動指針のレベルなので適当にプランBとか言っているだけなのである。深夜テンションって怖い。

 

「分かったわ!」「僕はまだ何も分かってな……あっぶな!」

 

そう言いつつ剣で子蜘蛛を両断するドラコ。地味に無茶ぶりには慣れたものだった。

 

憧憬・災厄の枝(レーヴァテイン・メモリア)

 

「リイン!それはまだ制御しきれてないでしょ!この辺り一帯の森が燃えちゃうから、いざという時しかダメ!」

 

マリから警告が入る。それを聞いたアクロマンチュラは燃やされてたまるものかと木から降り、地上から迫ってくる。

 

「むぅ……いい手段だと思ったのですが。なら普通やりましょうか」

 

「なんか物騒な事が聞こえたんだけど!?」「毒取れればなんだもいいわ!」「ダフネ!?」

 

災厄の枝ではない入学時から持っているマリお兄さん作の杖を持つ。

 

「アグアメンティ、水よ」

 

リインの杖先から大量の水が噴出する。それは洪水に匹敵するような量。ただの一般の呪文で出していい威力ではなかった。

 

「私も、不意に得てしまった力ですが、制御できるようになったんです」

 

「水のないところでこれほどの卑劣を……!」

「ダフネ!?何言ってるんだ!?状況を考えて!」

「言わなきゃ行けない気がしたのよ!」

 

アラゴグの子供たちは水に押し流されていく。しかし、何体かは木などにしがみつき、終わるのを待とうとしている。

 

「燃やされると思って地上に降りてきたのが失敗でしたね。グレイシアス、氷河となれ」

 

瞬間、水がすべて凍り付く。リインは龍の心臓を手に入れてしまった。手に入れた直後は制御なんてできていなかった。だがマリは夏休みの間にリインに魔力の制御方法を身につけさせた。

 

「普通の呪文でも、大量に魔力を注げばこれくらい強力になるんですよ」

 

まさしく、極地と言えるような世界を作り出したリインが呟く。

 

 

 

 

 

「くそっ!こんなに数が多いと……!」

 

「愛するアステリアのために頑張りなさい!」

 

「僕別に告白とかしてないんだけど!?いや、気になってないかって言われたら嘘になるけど……」

 

アステリア・グリーングラス。同期の美人の全員ががロリコンだったり距離感バグってたりそもそも男だったりと何かしら問題がある中で、唯一、本当に唯一普通に性格もよくて可愛い子だ。しかも自分に対しての好感度も高いときている。気にならない方がおかしいだろう。

 

「あの子の呪いを解くために必要なのよ。アクロマンチュラの毒が」「ヤル気出てきたぞー!」

 

そう言うのはもっと早く言って欲しい、とドラコは思った。モチベーションが違うのだ。

 

「毒よこせおらぁぁぁぁ!」

 

「ストレスたまっているのかしら?」

 

剣で切り裂き、杖で弾き飛ばし、親玉の方へ向かう。たとえ勝てないとわかっていても、戦わなければならないときがあるのだ。

 

 

 

 

 

「逃げるな!卑怯者!逃げるなァ!」

 

「ドラコ?いや、毒は多分マリが手に入れているわよ?」

 

撤退していくアクロマンチュラに対してドラコが咆える。

 

「多分愛するアストリアが待っているんだ!逃げるなァ!毒よこせぇぇぇ!」

 

「貴方の中で私の妹はどうなっているのかしら……え、大丈夫よねこれ。深夜テンションなだけよね?場合によっては引きはがさないと行けなくなるんだけど」

 

「うるさい。君はリインでも撫でてろ」

 

「うるさい接触禁止なのよ!?」

 

 

 

 

 

少し時間は戻る。

 

「わしの相手はお前がするのか?」

 

「不満かい?」

 

「…………ふん。骨がありすぎる相手だ」

 

アラゴグとてマリとの力の差は理解している。だがアクロマンチュラとしての本能が呪いが、目の前の人間を食えと叫ぶ。

 

「度し難い本能だね。だがその呪いこそが欲しいもの。存分に恨んでくれ」

 

「ぬかせ……」

 

アラゴグがマリに噛みつこうと迫る。

 

「!」

 

が、即マリから離れる。

 

「あれ?もっと恨みに任せて突っ込んでくれればよかったのに」

 

アラゴグが退かなければ、死なない程度に串刺しになっていただろう。無数の刃が地面から伸びていた。

 

「異空間から物を取り出しているのか。厄介な……」

 

「殺したら元も子もないから、致命傷は狙わないから感謝してね」

 

あくまでマリの目的はアクロマンチュラの毒。それも継続して採れるようにすることがベストだ。つまり、上下関係を分からせるなりして、献上するようにしないといけない。

 

「けど恨みを忘れられても困るんだよねぇ」

 

「ごちゃごちゃと……むっ!」

 

いつの間にかマリが手にしていたのは150cm程の大きな杖。とん、とマリが杖の先で地面を叩くと、木々がアラゴグを拘束する。

 

「うん。ユグドラシルの杖といったところかな。便利でいい出来だ」

 

ゆっくりとアラゴグに近づく。毒を出すのは牙だったはずだ。木を操り、アラゴグの牙から毒をもらう。アラゴグが拘束されたことで、他のアクロマンチュラは撤退することに決めたらしい。

 

マリの最終的な目的は、兄や姉と同じく英霊になることである。そのために、魔法界で名をはせ、実績をあげることが目的になっている。

 

「けどまあ、弟君もずれているよね。今使ったあの道具だけでも英霊になるのに相応しい出来なのに」

 

アヴァロンでマリを観察しながらレティは呟く。

 

「目標が「私たち」だからなぁ……なんやかんやハードルが上がりすぎて気が付いていないんだろうね」

 

武器を作って英霊になった者もいる。千子村正などはその筆頭だろう。ただ刀を打って英雄に名を連ねた人物もいるくらいだ。魔法薬の学問を発展させ、強力な杖を作り、神話の怪物を討伐した。これだけ成果をあげて英雄と認定されないはずがない。

それでもマリはあがき続ける。英雄を作ったマーリンになるべく、英雄候補を育て続ける。

 

「まあ、実際はリインちゃんかアイちゃんだろうなぁ。他にも金髪の男の子とか手を出しているみたいだけど、本命はあの二人だろうね」

 

思い入れも強いみたいだし。そう考えながらマリがアラゴグの毒を採取するのを眺める。

 

 

 

 

 

 

Sideアーリア

 

 

「何がどうしてこうなった……」

 

朝、スリザリンの談話室に行くと、もうカオスとしか言いようがなかった。

 

「お姉ちゃん……」

 

なぜかこっちを向いて「お義姉さん」呼ばわりしてくるリインさん。心の中で父さんが狂喜乱舞している。あれ?どういうこと?マリと俺が結婚した?マリなら顔もいいしやぶさかでは

 

は?

 

何でもないです……

 

言葉に出してないはずなんだけど……何で?……まあいい。次だ。

なんかふんふん言いながら外に出て素振りをしているマルフォイと、それをうっとり見ている女生徒達。……スリザリンの談話室にこんな外に出れるようなでかい窓は無かったが気にしない。どうせマリかアイさんの仕業だ。

次、なんか鎖に雁字搦めになっている黒い大きな犬。……あれ?これシリウスブラックでは?……まあ、マリがいるし、ディーもいるからどうにでもなるか。

次、なんか踊っているダフネさんとなんか号泣しているダフネさんからロリコンを取り除いた感じの子とそれに抱き着く友達と思わしき子。……何で踊ってるの?何で泣いてるの?

次、「シリウスブラックがグリフィンドール寮を襲ったんだって!」「ウィーズリー家のやつが襲われたって話みたいだ!」ああ、そんな時期か。でもそのシリウスブラック、そこにいるんだけど。

最後、マリが力尽きたかのように寝てる。なんか薬瓶持ってるみたいだ。

 

「なんだこれ……」

 





何とか生きてますが、ちょっとリアルが忙しく、更新遅くなりそうです。
ちょこちょこ更新するので、見てやってくれると嬉しいです。
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