「で、アズカバンでピーター・ペティグリューが映っている記事を見つけて、それでピーター・ペティグリューへ復讐……いや、この感情としては過去との決着かな?そのためにピーター・ペティグリューがいるホグワーツへアズカバンを抜け出して来たってわけ。今頑張って捕まえようとしているみたいだけど、まだ捕まえられていないみたい。最後に、虐待されてたリインが心配でスリザリン寮まで忍び込んだって訳みたいだね」
「それより先に色々説明した方がいいと思うんだけど!?」
普通に言うマリに突っ込みを入れる。みんなポカーン顔だよ。ついていけてないよ!急に大悪党が無実の罪で収監されてましたは理解が追いつかないし、それ以上に真犯人もホグワーツにいるとか洒落にならない情報だと思うんだけど!?
「そうかな?どうせピーター・ペティグリューも寮の中に入れないし……スリザリン寮なら安心でしょ?色々侵入者対策しているし」
「それはそうだけど」
1年生の時からマリが自重せずに色々やっているのと、
「それにシリウス・ブラックはこのまま逃がした方がお得だね。いい感じにピーター・ペティグリューを捕まえてくれれば解決するし、ピーター・ペティグリューもシリウス・ブラックが追いかけまわしていればホグワーツで悪さもできないでしょ」
「文字通り猟犬になってもらうってことだね!じゃあ拘束解いちゃおうか」
「犬ですからね。フフ」
そう言いながら杖を振って鎖を解くアイさんと、ツボに入ったのか笑うリイン。楽しそうで何よりです。
「……俺を逃がすのか?」
鎖を解かれ、心底不思議そうな顔をするシリウス・ブラック。にマリが答える。
「話聞いてた?君に罪がないことは分かっているし、逃がした方が結果的に安全だから逃がすだけだよ。存分に復讐に励むといい」
し、辛辣ぅ……。そう言えばマリってギリギリ自分の寮の生徒までは気にかけるけど、それ以外に対しては懐に入って無ければ割と扱い酷いタイプだった……。スリザリンで過ごしていると忘れるけど。
正直マリ以外もスリザリン生はこの傾向が強いので今更な感じではある。身内にはマグル生まれ含めて、ありとあらゆる人間にとてつもなく懐が深いのだが、外部にはとてつもなく冷たい気質なのだ。
「……そうか」
そう言ってシリウスは犬に変身してスリザリン寮から去った。
「……なあマリ」
「ん?どうしたのドラコ?」
「さっきシリウス・ブラックがロン・ウィーズリーを襲ったって話を聞いたんだが……」
考えるように言うドラコ。うん。分かっちゃうよね。つまりロンが飼っているネズミが……
「つまりシリウス・ブラックはゲイってことか?」
「一体今まで何を聞いていたんだドラコ」
思わず突っ込んでしまった。
「アーリア。認めがたい事実だとは分かっている。凶悪な犯罪者が実はただの同性愛者だったとは認められないよな」
何でそうなる。
「アイさんからシリウホ・ブラックと呼ばれるのも分かる」
「アイさん!?」
アイさん史上最悪の間違え方だった。スをホに間違えるだけでこんなに酷くなることある?字だけみたら完全に何かのゲームのRTAとかでホモってことにするためにふざけてつける名前だよ。シリをウホウホしてそうな名前だよ。スリザリンでのシリウス・ブラックへの風評被害が激しすぎる。
「ん?シリウホがどうしたの?グリフィンドールでコンって男の子を襲ったんだよね。いくらグリフィンドールが好きでも性癖になると引くよねー」
そう普通に言うアイさん。コンって誰……いやロンか!というかグリフィンドール好きを性癖と思ってやがる……
「アイさん?何でグリフィンドール隙が性癖だって話になったんだ?」
「なんかドラゴが言ってたんだけど、ブラック家?はマルフォイ家と同じくスリザリンの血筋の一族のはずなのに、グリフィンドールが好きすぎてグリフィンドールに入っちゃったんじゃないかって。しかもドラゴがスネイク教授に聞いたところだと、顔も血筋も金も持っているのに在学中に男女の関係を噂されることもなく、友達とずっとつるんでたっって聞いたらしくて、より女に興味がないと思わせるなって」
ドラコぉぉぉぉ!?どういう解釈してんの!?寝不足にしてもひどすぎる!?
グリフィンドールで年下のロンを襲った。*1
アイさんがシリウホって言ってる。*2
スリザリンの血筋の一族なのにグリフィンドールに組み分け。*3
在学中、男女の関係が噂されていないから女に興味ないと思われている。*4
そのせいか、性癖がグリフィンドールの年下だと思われている。*5
……うん。これだけ並べてみるともうダメだ。シリウス・ブラックが同性愛者じゃない証明が難しい。なるほど。これが悪魔の証明ってやつか。無いということを証明するのは難しいなぁ……
遠い目でブラックに憐みの意を送るアーリア。ちょっとロンを襲っただけでこれとはかわいそうが過ぎる。
唯一の救いはスリザリン生にしか噂が広がらないことだろう。そもそも直接会ったとか信じてもらえないだろうし、裁判が間違っていたとかの話は実家が魔法省につながっていることが多いスリザリン生が言えるわけなかった。
というかこの件に関してスリザリン生としては、ピーター・ペティグリューが例のあの人の部下であればスリザリンは狙われないだろうし、アズカバンから脱獄できるような魔法使いのシリウス・ブラックが犬になって巡回しているからそこまで危険もない。日が昇っているような時間帯は襲われることは少ないだろうし、夜は寮に戻っているのでディーもマリもいる安全な環境なわけで、別にどうでもいいや、の状態だった。
「あー……ちょっと皆聞いてくれ」
先輩と呼ばれる、クィディッチのキャプテンもこなすスリザリンの上級生が声をあげる。本名はほとんどの人間が知らない。アーリアも知らない。
「マクゴナガル副校長から話があるそうだ。全員1時間後までに大広間に集まってくれ。まだ部屋にいるやつは起こして状況を説明してあげてやれ。十中八九シリウス・ブラックの件だ」
校舎内……しかも寮内まで侵入されたからそのあたりの注意喚起だろうか?とアーリアは考える。だが、スリザリン生にとってみれば色々事実知っちゃったしなぁ……というか危険もないし、別に良くない?っていうムードである。
そしてアーリアは知っている。ピーター・ペティグリューは大それたことができない小心者であり、ロンのペットのネズミになっていることを。
「なあマリ。ピーター・ペティグリューだが」
「ああ、シリウスの記憶見て分かったよ。ロンのペットになっているネズミでしょ」
さすがに千里眼持ち。分かっていたか。
「グリフィンドール生のペットになるのが性癖って、類は友を呼ぶって本当だよね」
「何でそうなる!?」
何も分かってねーじゃねーか!千里眼持ちの超すごいマリはどこに行った!?
……いやでもそうか。この男の娘、マーリンの血筋のせいで人の気持ち考えるの超苦手になっているんじゃないか?だからドラコがアホみたいなことを言っているのに「そう言う考えもあるのか」って学習して変にねじ曲がってるのか。
「でもそうなると困るよねー」
「アイさん?」
何だろう。今までの話のせいですごく不安である。
「類は友を呼ぶ理論だと、レーピン先生もリインのお父さんもそうゆー性癖持ってるかもしれないってことだもんね」
「そう……ですね。私のお父さんも、もしかしたらグリフィンドールにしか興奮できなかったのかも……」
「草葉の陰でお父さん泣くぞ……」
娘にそんな誤解されたらしばらく立ち直れなくなるよ……いやもう半分くらい取り返しがつかないことになっているんだけど。
そんな雑談を何とか矯正しようとアーリアが奮闘しているが、誤解は全く解けなかった。そんなこんなで大広間に集められた生徒はマクゴナガル副校長とダンブルドア校長からシリウス・ブラックがグリフィンドール寮に侵入したと発表するのだった。
他寮が驚愕し、恐怖に震える中、スリザリンはもう帰っていいかな?という心境だった。何なら朝の出来事で既にお腹一杯でもう他の寮が怖がっている、とかあんまり揶揄できる状況ではないのである。しばらく大広間で寝泊りする案もあったが、「狙われているやつと一緒に居られるか!」というグリフィンドール以外からの反応から無しとなった。実のところ、一番安心したのはスリザリン生だった。
「ふぁ……終わった?」
「ああ、厳重に注意することってだけだったぞ。というか寝てたんだな」
大広間の椅子に着くなり、マリは寝ていた。昨日の疲れがまだ残ってたらしい。
もう解散の流れだったので、起きてくれたことはありがたい。
「んー。じゃあ戻ってもう少しだけ警備強くしておこうか」
少しストレッチをして椅子から立ち上がるマリ。正直ちょっと色気があって目に毒だった。
地下に向かう途中、気になったので1つ聞いてみる。
「そう言えば、何でマリはピーター・ペティグリューを捕まえないんだ?マリならすぐ捕まえられるだろう?」
そう言うと、マリは少し気だるげに話し始める。
「あー。なんというか、別に脅威に感じなかったっていうのが1つ」
「ふむふむ」
確かに、ピーター・ペティグリューとかいう超小物*6なら、マリにとってみれば相手が動いてからでも問題なく対処できるのか。
「あとは、多分ダンブルドア校長がハリーのために用意した試練だろうから、邪魔するのもなって」
「ふむふ……は?」
え、まって。それははちゅみみ。
おっと、思ってた答えと斜め上の回答が来て思わず幼児退行してしまった。でもそんなことある?
「冷静に考えてみなよ。何でネズミという害獣が、ペットショップに売られていたわけでもないのに、ピンポイントでウィーズリー家で飼われるんだい?何でホグワーツというダンブルドア校長の庭で気が付かずに居られる?」
僕の拠点にそんなのが入ってきたらすぐわかるし、とマリが言う。
確かに、ロンのペットになっている時点でおかしい。*7さらにはホグワーツというダンブルドア校長の拠点ともいえる場所で普通に生活している。ダンブルドア校長が見逃しているのだろう。*8なるほど。原作読んでいるときから腹黒なところがあると思ってたけど、なるほど、愛を説く割には酷いことをするものだな、腹黒校長。*9
「そんなこんなで僕からは手出しをしないことにしたってこと。ダンブルドア校長がハリーを育てる邪魔はしないようにしないとね」
「そうか……?あれ?でも1年生の時思いっきりハリーを弟子にしてなかった?」
「ッグ……*10」
なんかマリが刺されたかのように仰け反った。
「というか2年の時もリインがやったとはいえ筋書滅茶苦茶にしてなかった?」
「ちがっ……!それは姉さんが!」
仰け反ったのを戻して、なんか半泣きになっているマリ。……こう、普段ツヨツヨな男の娘が涙目になっているのは来るものがあるな。心の中のあれがあれしそうだぜ!
「……アーリアお姉ちゃん、その、そういうこと思うとアイお姉ちゃんが……」
ハッっとなった時にはもう遅かった。
「ちょっと、表行こうか?」
「待って違うんですこんなの誰が見てもそう思うと思うんですだから悪くな……」
言い訳を聞く間もなく、俺はアイさんにスリザリンの窓の外に広がる草原に連れて行かれ、よくわからん呪いを連射されることになった。
「掠ったの脇腹なのに右脚の小指があああぁぁぁぁあああ!?」
「まだまだ!これも追加!」
「左足の小指があああぁぁぁぁあああ!俺の小指になんか恨みでもあるの!?」
「小指にはないけど、アーリア、マリを性的な目でみたよね?」
「出来心だったんです反省してま痛ったい!?」
「あの涙目見たら、気持ちは分かってしまいますけどね」
「よくやるなぁ……」
平原で騒ぐアイとアーリア、リインを見ながら、マリは考える。
マリは1つ、転生に関してアーリアに言わなかったことがある。
「こんなふうに中途半端に転生することなんてあるのかって話なんだよね。僕の意志一つでここまで歪められるほど神様転生ってのは甘いモノなのかな?」
確信には至っていない。
「この程度で歪む何て」
それでも気が付くことはある。
「まるで僕らと同じような人が……」
ただの人がこの状況を作ったみたいじゃないか。
リーピン「スリザリン生の僕を見る目がなんか変なんだけど」
スネイプ「愉悦」
実は2巻でドビーが閉じたポートキーをアーリアが通れなかったのは姉妹設定の布石でした。
誤字報告、感想ありがとうございます!励みになります!