もう一人の転生者
sideマリ
うんうん。アイもリインも優秀だね。
入学までもう少しだけど、教えたことはすぐに吸収し、呪文も問題なく4年次までの物は全て使えている。
「マリ!できたよ!」
「マリお兄さん……どうでしょうか……?」
守護霊の呪文を唱え、成功させた二人。アイはカナリアを、リインはウサギを呼び出した。
「うんうん。いい出来だ。でも気を付けてほしい。これを使うときは
恐怖を感じている最中に幸せな記憶を思い出す。精神が強靭出なければできないこと。
「うーん。でも私が思い出しているのってマリに初めて会った時の記憶だから、すぐ思い出せると思うんだけどなー」
「私も……公園でマリお兄さんに撫でられた時の記憶」
「思い出しやすくていい記憶だね。さて、君たちにはホグワーツの入学案内が届いたと思う。なんでか知らないけど、私にも届いているけど」
そう。なぜか私にも入学案内が届いていた。マリ・アヴァロンの名前で。スリザリンとレイブンクローの血筋も入っているし、学校に通ったことがないことも事実だから、問題はないのだろうが、私自身がホグワーツで学ぶことがあるのだろうか?
「え!マリと一緒に学校行けるの!」
「マリお兄さん……すごく、嬉しいです」
二人がうれしそうで何よりである。
「じゃあ、よかった、ってことにしよう。さて、今日は学校に行くための準備をします。これからダイアゴン横丁に行くよ。グリンゴッツでお金を引き出して、ローブと教科書、鍋とか備品を買おう。杖も新しく買えるけど、どうする?」
「杖はいいや。マリに作ってもらったやつが一番合ってる気がするから」
「私も、アイお姉ちゃんと同じでマリお兄さんに作ってもらった杖がいい」
「そうか。製作者としては嬉しいね。じゃあ杖以外を買いに行こう。準備ができたらエントランスに集まってくれ。一応、姿現しだとまずいから、適当な魔術使って移動するよ」
買い物だけじゃ、原作キャラに会わないだろうし、大丈夫だろう。
sideリイン
「へ~ここがダイアゴン横丁か~なんか古い感じだね」
マリお兄さんにダイアゴン横丁に連れてこられる。アイお姉ちゃんもマリお兄さんも美形なので、すごく注目される。
日本でアイドルにスカウトされてたくらいだし、しょうがないのかな……
「よし。魔法界のお金は準備できたから、まずはローブから行こうか。本は重いしね」
グリンゴッツ魔法銀行で人間界のお金を換金したマリお兄さんに連れられて、マダム・マルキンの洋装店に向かう。
「アイ、リインのことお願いね」
「任せてよ~!リイン、行こう?」
「はい、アイお姉ちゃん」
男女に分かれて計測に入る。なんか男の方から色々聞こえる
女性の方はこっちではありませんよ!
いや、私男だから
ダメです。男だとしてもここで着替えることは許しません!風紀は乱れます!個室に行きますよ!
ええ……ああ、もう分かった。じゃあ連れて行ってくれ
マリは大丈夫だろうか?
「うーん。あなたは小さいから、少し大きめに作っておきましょうかね」
「あ、っはい」
店員さんに話しかけられて採寸する。すんなりと終わった。
アイお姉ちゃんと一緒に店先で待つ。そんなに待たずしてマリお兄さんも帰ってきた。
「いやー。ひどい目に合ったよ。これホグワーツ入っても同じなのかな?」
「マリは可愛いからねー。美人さんになると思うし、今と変わらないと思うよ」
私もアイお姉ちゃんやマリお兄さんと同じく美形になれるだろうか?
身長が幼い頃の経験のせいか、あまり伸びず、小さいままである。
「むぅ……私も」
「リインはこのままでもいいの!抱きつきやすくて可愛いし」
「もちろん、おっきくなったら美人さんにもなれるだろうし、リインはどう転んでも将来有望だね」
一言だけでもアイお姉ちゃんもマリお兄さんも察してくれる。今のままでもいいと言ってくれている。
昔と違って、あったかい。もっと撫でて欲しい
「リリー……?」
撫でられていると、大きな鉤鼻をした男が、信じられない物を見たような顔でこちらによろよろと歩いてきた。
「え、っちょ、父さん?」
横の少女は似ていないが、親子なのだろうか。仲が良くて羨ま……
「っひ!」
大きな鉤鼻の男がこちらに手を伸ばしてきた。怖い、痛い、殴られる……!
ダーズリー家にいたころの記憶から、どうしても今一緒に住んでいるマリお兄さんとアイお姉ちゃん以外から手を伸ばされると、怖く感じてしまう。
「おっとそれは良くないね」
マリお兄さんが杖を一振りすると大きな鉤鼻の男は蔓に巻きつかれて動けなくなる。
「それ☆」
アイお姉ちゃんが杖を振るうと赤い閃光が大きな鉤鼻の男の頭にぶつかる。失神呪文だろう
「父さん!?」
大きな鉤鼻の男は蔓で拘束され、気絶する。隣の少女がなんか叫んでいる。
「はーい、リインはこっちにおいで~」
アイお姉ちゃんに抱き寄せられる。安心する。
「よいしょっと」
マリお兄さんによって、人払いの結界が出来上がる。
「さて、これで落ち着いて話ができるかな。不審者と不審者の娘さん」
あ、これマリお兄さん怒ってる。
「とりあえず、尋問からかな。サージト」
マリお兄さんが覚醒呪文をかけ、不審者?を起こす。呻きながら不審者が目を開ける。
「……我輩は……何を……何故縛られている」
「いや、そりゃ不審者にはそう対応するでしょ」
「そうだよ!私たちのリインをこんなに怯えさせて。場合によっては通報だよ!」
「というか、セブルス・スネイプ教授ですよね?私たちのリインに何の用ですか?」
繰り返すが、マリお兄さんもアイお姉ちゃんも怒っている。というか、二人とも杖構えている。ヤル気満々である。
「ああ、私はセブルス・スネイプだが……リリー!」
無数の失神呪文がほほを掠める。そんなにいっぱい撃ったら死んじゃうんじゃ……
「我輩が悪かった。いったん落ち着いて欲しい」
「俺からも頼む、父さんはちょっと、こう、パニックになっただけだと思うんだ。そのあたりも含めて説明させてほしい」
さすがに焦ったのか、スネイプ教授?は冷や汗を掻きながら懇願している。その隣の女の子も正座しながら懇願している。
「マリ~どうする?千里眼でなんか見えない?」
「うーん。確かに似ている似ている人の写真は持っているみたいだから、その人と間違えたのかな?でも背丈だいぶ違うし、年齢も違うんだけど」
どうも私に似ている人と間違えたらしい。
「その、我輩の死んだ同級生に似ているのだ。リリー・エバンス、いや、結婚したからリリー・ポッターと名乗っていたと思うが」
……ポッター?
その、苗字の人間は、嫌な物を思い出す……
「リイン、お姉ちゃんがいるから大丈夫だよ」
アイお姉ちゃんからの抱擁が、少しだけ強くなる。
「ナイスだよアイ。さて、このままだとキリがないからまずは自己紹介をしようか。私はマリ・アヴァロン。二人の家族、みたいなものかな。よろしくね」
「アイ・ホシノでーす。日本出身です。よろしくね!暫定不審者さん」
「えっと、リイン……ポッターです。……よろしくお願いいたします。」
名前を聞いた瞬間、スネイプ教授?が驚いたような顔になる。
「そうか……セブルス・スネイプだ。ホグワーツで魔法薬学を受け持っている」
「……アーリア・スネイプ。父さん、セブルス・スネイプの養子だ」
本当に教授らしい。こんな人で大丈夫なのだろうか?そして付き添っていた短い黒髪の女の子は養子らしい。私たちと同じような境遇なのだろうか?
「我輩から聞かせてもらってもいいだろうか?」
「おおよそ視たから分かっているけど、どうぞ」
「その子は、2年前に失踪したジェームズ・ポッターとリリー・エバンスの子供か?」
あ、私って失踪扱いになってるんだ。
「えっと、両親の正確な名前は知らないけど、多分そうだと思う」
「そうか……そうか……よかった」
スネイプ教授は涙を流す。えぇ……何この人
「すまないな。我輩は君の母親リリーのことを愛していてな。その形見が居なくなったと聞いて、少々荒れていたんだ。特に、君は彼女によく似ている。それで、無意識に……すまなかった」
その後、スネイプ教授に境遇を話すと無言で金貨を渡され、一生推すと言っており、校内でのフォローは全力でやらせてもらう、とも言っていた。
積もる話が済んだ所で、マリお兄さんとアイお姉ちゃんと買い物をして帰った。
side アーリア
俺は困惑していた。ハリーポッター世界にTS転生したと思っていた。
色々試したが、特典も何もなく、森で死にそうな所をスネイプ教授に救われた。
最初はハリーポッターの世界にTS転生したのか、と絶望していたが、住めば都と言ったところか、意外とすぐに慣れた。
結構美少女だし、これはこれで楽しい、と思って日々魔法薬の作成や簡単な呪文の勉強などをしており、充実した転生だとのんびり過ごしていた。
原作のことは原作主人公に任せて、巻き込まれないように立ち回ればいいかと。
が、そう言っていられない事態が発生していた。
入学シーズンになり、ダイアゴン横丁に行った時のっことである。
なんか、ハリーポッターの世界にいないはずの奴らがいた。
(いや世界観んんんんん!)
盛大にパニックになった。その後の話はあまり聞いておらず、なんか大変だったんだなー、くらいしか感想が出ない。
「ああ、後で話そう、アーリア・スネイプ」
そうマリに言われて、その場は解散になった。というか後っていつ?
その日の夜、夢を見た。
「やあやあ、アーリア・スネイプ。舞台装置の君。フランクに話してくれ」
「わあああぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁ!!!!」
マリ・アヴァロンがいた。
「驚きすぎじゃないかな。前世の記憶を持つTS転生者さん」
「なんで分かるんだよこわ!」
真っ白い空間にマーリンに似た人間がいた。
いや、やっぱ世界観おかしいって!
「一応、なんちゃって千里眼を持ってるから」
「特典ありとかずるいって!」
こっちは裸一貫で放り出されてるんだぞ。なんで千里眼とか特典持ってんだよ。
というか、今分かっている限りで「Fate」と「推しの子」の2つが混じったことは分かるんだが?どうなってるん?
Fateはまだわかるよ?魔法と魔術つながりで、しかも同じイギリスに舞台あるし。でも推しの子ってなんだよ。にわかだから分かんねーよ。日本舞台のアイドルアニメでは?というかどっちも未履修だからなんとなくしか知らんのだが。
「いやー、これ特典じゃないんだよね。ざっくりいうと、マーリンを作る人柱になっちゃってさ、必死に抵抗して何とか人格守っただけで、むしろ特典っていうか呪い?って感じなんだよね。もう少しで人格なくなるところだったよ」
逸般人だったらしい。え、精神力だけで神様に逆らったってこと?
「あーこっちは何もなくてね。森の中に捨てられて死ぬかと思った」
なんていうか、どっちも苦労したんだなぁ。というか初手殺されかけるっ酷いな。誰かのための生贄ってこと?
「まあ、お互い大変だったね。あ、前世の記憶はないんだけど、ここがどうなっているかはある程度把握できてるよ」
またあっさりと重いことを……前世の記憶ないのか。
「頼む。教えてくれ、ハリーポッターの世界可と思ったらFateと推しの子の要素来て混乱してるんだ」
「あー、分かった。まず勘違いしているようだけど、Fate要素は私だけで、時計塔とかはないよ」
「んんんんんんん???」
一番親和性ありそうな要素がなくなった。
「で、千里眼が不完全だから完全に分かっているわけではないけど、混じっている要素をいうと、推しの子、アイドルマスター、BLEACH、東京レイヴンズが少なくとも混じってる」
「いや世界観どうなってんのおおおおおおお!!!」
予想外に色々混じってた。闇鍋かな?
「え?どういう繋がりでそうなった?」
「あ、結構未履修が多いのかな?」
「あ、はい。推しの子は星野アイがアイドルやってるくらいしか知らないし、アイドルマスターはキャラの名前くらいしか……東京レイヴンズは未知です。BLEACHは一応全体の流れは知ってる。「俺自身が残月に」のあたりまでは漫画読んでた」
いや、BLEACHは死の秘宝に関わるか?死後の世界とか繋がりありそうだし。
「考察している部分も多いから、完全じゃないけど話をしよう」
「お願いします」
「まず勘違いしているけど、推しの子はアイドルアニメじゃない。むしろサスペンスが近いかな?まあ、「愛」が関わるからハリーポッターと繋がりは多少ある。そのつながりでアイドル要素のあるアイドルマスターも入っているのかな。BLEACHは正直分からない。死の秘宝あたりで来るかも。東京レイヴンズはもっと謎。霊繋がりかな?
ああ、ちなみに、まだあるかも知れないから救いがないよね……」
「ええ……」
もうおなかいっぱいデス。
「あ、ちなみにアーリア君には何か目的とかある?私はマーリンだし、とりあえず今面倒を見ている二人をバットエンドから救おうと思ってる」
「あー特にないです。俺も死なないように生きていければなって。あーでも魔法関係の職に就きたいから、勉強はちゃんとしようと思ってる」
「同じ寮になったら導いてあげてもいいよ?可愛い女の子だしね」
「キングメーカーに導かれるなら安心だな。可愛いって呼ばれるのはまだちょっと複雑なんだけど」
少し談笑してから、夢から覚める。入学の時まで会えないだろう。
世界観おかしい世界で、心強い味方……味方か?が増えたってことにしておこう。
さて、君はどんな物語を視せてくれるのかな?
スネイプが、おかしくなっちゃった……入学までざっくり書く予定だったのに……
9/9 誤字報告ありがとうございます。修正しました。