ハリー・ポッターがバグった件   作:怠惰の徒

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愛の魔法

side アイ

 

「マリ~まだ~?」

 

「もうちょっと待ってほしいかな」

 

エントランスでリインと一緒にマリを待つ。ちょっと時間がかかっているようだ。

 

「というか君たちの荷物も入れているんだから、こう、手伝うとかは?」

 

「無理かな。検知不能拡大呪文かけた鞄の中に入れてるし、邪魔になっちゃうと思うし、入れ忘れがないか確認するくらいしかできないかな」

 

「あの……多分手伝っても上手くできないと思います」

 

「それもそうだね。っと、さて準備できたから行こうか。表に車用意してあるから車でキングスクロス駅に行くよ。忘れ物はないかな?」

 

用意していたものは全て入っていることを確認している。そしてこれが始まりの瞬間。これから、愛の魔法(呪い)をかけられた人が居る世界に入る。

(うーん。私は愛を理解できるのかな)

マリが言うには、少なくとも20になるまでには、嘘じゃない愛を見つけることができるらしい。マリと過ごした3年間で、ある程度本物が分かった気がしている。ただ、それでもまだ愛している、と口に出しても嘘だと自分で分かってしまう。

(まだマリとリインには愛しているって言ったことなかったな)

だもまで言う気はない。二人には嘘をつきたくない、ということもあるが、もし本当に言葉にして、それは嘘だと自分で分かってしまったら、今までの人生が嘘になる気がして……

 

「緊張しているかい?アイ」

 

「うーん。ちょっとね。本物が分かるかなって」

 

私がこちら側(魔法)の世界に入った理由の1つ。嘘ではない本当の愛を見つけること。

それが始まるのだから、緊張はする。

 

「アイ。君の眼も特別になってきているから、列車に乗ったらハリー・ポッターを見に行くといい。きっと、本当の愛と嘘の愛の両方が見れると思うよ」

 

本当の愛と嘘の愛。マリは呪いと愛は紙一重と言っていた。きっと、ハリー・ポッターにかけられた愛も呪いに近しい物なのだろう。マリから、ハリー・ポッターが生まれた時に何があったのか聞いている。母親の愛で、闇の帝王の死の呪文をはね返した、死んでも愛するってことが母親に捨てられたアイには分からない。

(……少しは愛が分かるのかな?)

 

「……ポッター……」

 

「ああ!ごめんねリイン。まだ辛いよね。……ごめんアイ、リインは私が見ておくから、見に行くときは1人でお願い」

 

「うー。ちょっと寂しいけど分かった」

 

そんな会話をしていると、キングスクロス駅に着いた。車から降り、マリに案内されて駅を進む。

ホグワーツの案内には、9と3/4番線から列車に乗って来るように書かれている。9と3/4番線って何?

 

「マリ、この案内に書かれてる9と3/4番線って、どうやって行くの?実数じゃない路線は初めてだよ。何かの暗号?」

 

というか、案内なしだとたどり着かないと思うのだけど、マグル出身者はどうやってここまでたどり着くのだろうか。

 

「暗号、近いかもしれないね。そこにあると知っていれば入ることができるってだけの簡易的な魔法さ。隠しているだけってことだね」

 

移動キー(ポートキー)じゃなかったんですね…」

 

「っとここだね。幻術使って認識されにくくしているからさっさと入って個室を取ろうか」

 

マリはそつなくこういうことするんだよね。

私もマリも自慢じゃないが顔がいいし、しかも女の子に見える。リインもロリコンにはたまらないくらい幼く可愛い。

その分ナンパが多い。そして子供だけなので舐められ、強引に来る人もいる。ちょっと面倒なのだ。

 

「……あ、意外とすんなり入れるんですね」

 

「おー。景色が急に変わったね~」

 

「立ち止まってると後ろから突っ込まれるかもだから移動するよ」

 

確かに、壁に突っ込んでいるから前が見えなかったし、このままここにいるのは危ないか。マリとリインと一緒に列車に向かう。ホームには両親に見送られる子も多い。大丈夫?と心配そうな家族、頑張れよと励ます家族。

(これが普通の形なんだよねー)

今の私たちの関係は少し歪だ。家族と思っているが、父親も母親もいない。私は母親に捨てられ、マリは両親が存在せず、リインの両親は死んでいる。2人と過ごす日々は温かいものだが、一般的な家庭都はほど遠いだろう。

(家族……ね。作った方が愛が分かるのかな?)

11歳の私がまだ考えることではないと思う。ただもし家族になるとしたら

(本当の家族になるってのもありだよね~)

まだあんまりイメージできないけど、きっとそれは幸せなことなのだろう。

 

「ちょうど4人の個室だ。ここでいいかな?」

 

「大丈夫です」

 

思考をめぐらせていると、マリとリインが席を見つけたようだ。

少し早めに来たのと、まだ多くの生徒は家族と話をしているようで、列車の中はガラガラだった。

 

「うん。いいと思う。出入り口からも近いし」

 

出やすいし、ちょうどいい。

 

「ね、早速ゲームしない?色々持ってきたんだー」

 

「アイお姉ちゃん。枯山水持ってきたの……?」

 

「おー、のびのびTRPGも持ってきたんだ」

 

「せっかく色々持ってこれるように鞄の中を広くしてもらったからねー。暇させないぜ☆」

 

「じゃあせっかくだからテーブルをっと」

 

マリが杖を振り、部屋をバレない程度に広くし、テーブルを取り出す。

 

「ちょっとしたお菓子も置いておくよ」

 

「いいね~」

 

出発までのんびり待とう。

 

「私は苔で庭を作る!」

 

「なら私は石を多めに貰っていこうかな」

 

「えっと、波紋合わせる感じで……」

 

コンコンコン

枯山水をプレイしていると、ドアがノックされる

 

「すまない。空いてないだろうか。ちょっと交通機関が遅れて……ってマリ、アイさん、リインさん。久しぶり」

 

「あ、不審者ジュニア!」

 

「誰が不審者ジュニアか!アーリアだ!」

 

スネイク教授の養子だったっけ?

 

「えっと、一人分は空いているので……良ければどうぞ」

 

「助かる。俺も早めに来たかったんだけど……バスが遅れちゃってさ、危うく組み分けの儀式に遅れて恥ずかしい思いをするとこだった」

 

「へー。……あれ?マリ。私たちは車で来たけど、そんなに混んでたっけ?」

 

「権力って便利なんだよ。色々信号とか調整して早めに駅に着くようにしてもらったから」

 

あ、もちろん出資先が勝手に調整してくれたんだよね。とか言っている。うちのマリは過保護だなー

 

「おいちょっと待て。やたら信号が赤になったり一部か混雑したのって」

 

「当然、私たちが優先されたら交通機関狂っちゃうよね」

 

個人を優先させた分、全体最適化されている信号を変えたらそれは混雑するだろう。

 

「お前のせいじゃん!俺が遅刻しかけたのお前のせいじゃん!!全力ダッシュした俺に謝れよ!」

 

「メンゴ☆」

 

「軽っ!」

 

マリア?とマリが軽口を言い合ってる。この二人、こんなに仲良かったっけ?

 

「マリ。マリアとそんなに仲良かったっけ?会うの2回目だよね?」

 

「ちょっと事情があって夢の中で話し合ったんだよね。それでちょっと仲良くなった感じ」

 

「ふーん」

 

なんかちょっともやもやする……ムカついている?うーんよく分からない感じ。

マリが誰かと仲良くなるのは問題ないと思っているはずなんだけどなー

 

「というか、俺の名前マリアじゃなくてアーリアな」

 

「そうだっけ?」

 

そうだったかも……相変わらず名前を覚えるのは苦手なんだよねー

 

「あの、そろそろ入りませんか?通行の邪魔になっちゃうので……」

 

「優しい……天使か。っとすまない。じゃあお言葉に甘えて入らせてもらう」

 

気が付けばアーリアの後ろに何人か席を探している人が並んでしまっていた。確かに邪魔になってしまっているようだ。

マリアが入ったからか、空きがないか何人か覗いていく

 

「まだ名前覚えられていない気がするが……」

 

「もう少し時間をとってあげてほしいかな。さて、今ゲームしてたんだけど、アーリアもやるかい?」

 

「お、いいね……ってなんで枯山水?よく持ってきたな……重いだろ」

 

「他にも持ってきてるから、色々やろうね」

 

 

しばらく遊ぶ

 

 

「おい待て。復讐者で追跡者で逃亡者で光堕ちしてるドジっ子ヤンデレ虚弱体質吸血鬼ってなんだよ。どういうストーリ作ればいいんだよ。なんでこんなに変に属性押し付けられた?キャラが迷子になってるんだけど!?」

 

「ただの幽閉された魔術師なので」

 

「ただの魔術師に監禁されたアイドルなので☆」

 

「あの……エンディングでドラゴン退治しないといけないのですが……」

 

「幽閉されているから行けないね」

 

「監禁されちゃってるから行けないね」

 

「それ俺一人で倒しに行くの!?ドジっ子ヤンデレ虚弱体質吸血鬼が!?勝てる未来が見えないんだけど!?」

 

やたらマリアにいろんなカードが押し付けられた、のびのびTRPGをやっていると、外が少し騒がしくなった。

 

「マリ、見える?」

 

千里眼を持っているマリなら騒がしい原因が分かるだろう。

 

「ちょっと待って……」

 

「……マリ?」

 

マリの様子がおかしい?何か苦しんでいるような……

 

「何でもない。大丈夫。私たちの前の車両の後ろから3つ目のコンパートメントにハリー・ポッターとドリム・ポッターがいるみたいでね。マルフォイ家とちょっともめてるみたいだ。ちょうどいいからアイは見に行ってくるかい?リインは私が見ておくから」

 

そうマリが言うとリインに膝枕する。羨ましい。マリに膝枕されたいし、リインに膝枕したい!

 

「なんとなく察するけど……アイ。せっかく見れるチャンスだから一度見てきた方がいいと思うよ。組み分けによっては近くで見ることできないだろうし」

 

「あー……じゃあせっかくだから俺も行こうかな。主人公サマを見ておきたいしね」

 

「んーじゃあ見てくるよ。マリに鍛えられた眼もあるし」

 

マリ曰く、私の眼は特別製らしい。マリが千里眼を持っているように、私もちょっとした魔眼を持っているらしい。魔力?のようなものが見えるらしく、そのせいで私は嘘が分かっていたらしい。

コンパートメントを出て、マリが言っていた場所に向かう。

金髪の子供がちょうど立ち去るところだった。私たちとは別方向に向かう。

 

「アイさん。名前忘れちゃうと思うけど、あの3人はマルフォイ、クラッブ、ゴイルだ。まあ、いいところのお坊ちゃんって覚えておけばいいかな」

 

「へー。まあいいや。早く愛の魔法を見に行こう!」

 

「本当に興味ないのね……」

 

3バカ?が入っていたコンパートメントに入る

 

「たのもー!ここにポッターがいるって聞いたけど誰がそうかな?」

 

「アイさん!?急に入ると驚くから!」

 

後ろでマリアがなんか言っているけど気にしない。私はさっさと見るもの視て戻りたいのだ。

 

「えっと……僕がハリー・ポッターで、こっちが姉のドリム・ポッターですが……どなたでしょうか?」

 

「何この子?急に入ってきて、原作じゃこんなのなかった……」

 

メガネの少年がハリー・ポッターで、ふるふわの髪をしている少女がドリム・ポッターらしい。もう一人赤毛の子がいるが……まあいいや。

 

「ちょっと傷跡見せてほしくてさ。ね?いい?」

 

「顔面の暴力……ハリーじゃ断れないな……」

 

マリアがまた後ろで何か言っている。

 

「いいけど……顔近い!」

 

許可を得たのでじっくり視る。

(……なるほど。マリが愛と呪いは紙一重って言ってたけどそういうことね)

自分の死と引き換えにかけた愛の魔法。もはや執着や妄執に近しいのかもしれない。ただ一人を自分の愛する子に近づけなくする呪いと言ってもいい魔法。

(……ん?何か混じってる?)

なんだか重たい魔力の中に変な物が混じっている。魔力しか見えない私にはいまいち表現できないが、ボロボロにされた布みたいな感じ。

うん。でもなんとなく分かった。百聞は一見に如かずとはよく言ったものだ。見返りは求めていない、一方的に渡すものだったのだ。でなければ、死んだ後に愛は残らない。

 

「なるほど。ドリムちゃんの方も見せてねー」

 

「急に何を……顔が近い……!」

 

許可は得てないがじっくり見る。

(ハリーと違って混じってはいない。でもこの感じ、愛じゃない……?マリが言ってた偽物ってことかな)

なんだかハリーと違って、重いというよりは軽く、形式的な感じがする。なんというか、言語化が難しいのだけど、とりあえず渡しただけの適当な花束って感じ。

 

「うん。ありがとう。ドームちゃん」

 

「失礼ね!ドリムよ!」

 

「視たいものは見れたし、参考になったよ。じゃあアーリア、戻ろう!」

 

「だからアーr……名前を間違えてないだと!?ってちょっと待って」

 

コンパートメントを出てマリとリインが待っているコンパートメントに向かう。後ろでなんか騒いでいる気がするが、まあいいや。

 

「ハリー、僕無視されたんだけど……」

 

「あ、はじめまして。俺は付き添いで来てたアーリアというのだが……すまない。ちょっとこう、特殊な環境で育った子で」

 

「顔……近い……きれい……」

 

「ちょっとハリー!?私の方がきれいでしょ!」

 

「いや、アイさんには勝てないだろ。俺も見惚れることあるぞ……いやちょっと待て。ジニーの人生の難易度がくっそハードモードになってね?4巻どうなんのこれ?

 

「アイさんって名前なんだ……」

 

「ハリー!?ダメよ!妹は認めないわ!」

 

「あ、俺もそろそろ戻るわ。またな。ハリー、ロン、ドリム」

 

「え?僕自己紹介してないけどなんでわかったの?って答える気ないねあれ」

 

あれ、アーリアが戻ってこない。一応一緒に来たし、一緒に帰った方がいいだろう。

 

「アーリア。早くマリとリインの所に戻るよ!」

 

「今行くって」

 

そんなに遠くないので、30秒もすればマリとリインのコンパートメントに着く。

 

「ただいいまー」

 

「おかえりなさい」

 

膝枕されたままのリインが言う。むぅ

 

「わたしもー!」

 

杖を一振りし、椅子を少し大きくして、リインと添い寝する形でマリの膝枕に合流する。

 

「さて、どうだったかな?愛は視れた?」

 

「うん。なんとなく分かった。これだけでもここに来た価値があったよ」

 

そして、お母さんは私のことをあまり愛していなかったことも分かった。

愛している人間に暴力を振るうことはない。愛と呪いは紙一重。私はお母さんに()われていたのだろう。

(それでも、きっと最初のころは愛してくれていたのかな……)

私のことをなんとも思っていなかったわけではないのだろう。じゃなければ、私は愛されていることが嘘かどうかなんて分からなかったはずだ。

 

「そっか。……ゆっくりでいいよ。一気に理解するのも、思い起こすのも大変なことだからね」

 

マリに頭を撫でられる。ちょっと辛くなっちゃったこともお見通しみたいだ。

 

「うん……」

 

今は少し休もう。ちょっと色々考えすぎた。マリの言う通り、少しづつ消化していく方がいいだろう。本当の愛をちゃんと理解するために。ガッツくことも必要だけど、空っぽの私には急に色々入ってくると大変らしい。

 

「ただ、時間的にそろそろ着替えないとだからちょっと失礼して」

 

パチン。という音とともにローブが着せられる。

 

「え?ちょっと待って。それずるくない?」

 

アーリアが突っ込む。マリの置換魔術で一瞬で着替えたことを言っているのだろうか?

 

「……え?私もできますが……」

 

リインも使えるし、私も使える。

 

「え、できるの?……マリ?お前なにした?」

 

「ん?置換魔術の一種だよ。アイとリインにも2年くらいかけて他にも色々教えたけど」

 

「……え?世界屈指のキングメイカーが2年間育てたってこと……?マリ、この二人どのくらい教えた?例えば魔法薬だと何が作れる?」

 

「フェリックス・フェリシスとか脱狼薬とか生命の源水とかかな。調合はオリジナルだからそんなに時間かからずできるよ」

 

「なんか聞いたことない薬もあるんだが……それはやりすぎだろ」

 

マリには色々教わっている。日本ではダンス・歌・科学、イギリスでは呪文や魔術。マリの教え方がいいからか、すぐに覚えられた。

 

「大は小を兼ねるって言うからね。アーリアも着替えるかい?今なら同じようにやってあげるけど」

 

「じゃあ頼むわ」

 

パチン。という音とともにアーリアにもローブが着せられる。

 

「おお……便利だな。俺にも使える?」

 

「同じ寮だったら考えておこう。さて、そろそろ着くから色々戻そう」

 

そういえば、マリと私でコンパートメントの中を改造していた。空間広げたり、椅子大きくしたりと結構やりたい放題している。

ボードゲームやテーブルを片付けていると列車が減速し始める。ホグワーツが近いようだ。

 

「着きましたね……マリお兄さんとアイお姉ちゃんと同じ寮だといいのですが……」

 

「その辺は私に任せてよ!私に策ありってね!」

 

「組み分け帽子に何する気かな?変なことはしないで欲しいけども」

 

列車が完全に停止したので、雑談しながら席を立つ。花弁が1つ席に落ちているのをアイは見た。

 





ちょっとグダグダだったかもしれん。すまない。
次は組み分けから合同授業あたりまで?

書きたいところだけ書こうと思っているので、スキップするところはスキップします。この人たちクディッチとか興味なさそうですし。
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