side 組み分け帽子
「アイ・ホシノ」
ダンブルドア校長に呼ばれ、1人の女生徒が組み分けの儀式に向かう。
少女は幼いながらも美しく、大食堂の目線を釘付けにしていた。
アイが座って帽子を被せられる。
(むぅ……なかなか強力な閉心術じゃな)
1年生でここまで強力な閉心術を使う人間はそういない。
(すまぬが、少し心の中を視させていただけないだろうか。これで入る寮を決めるからの)
(しょうがないな~)
少女にお願いすると、少しだけ視させてくれ……心の中視させてくれてるこれ?
(マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮……)
(いやこわぁ……え、すまん。そうじゃなくて)
(マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮。マリとリインと同じ寮……)
(あ、これは話通じない奴じゃな……)
「保留!あと、マリとリインという者、ここに来なさい!」
「あーそうなっちゃったか……リイン。行くよ」
「はい。マリお兄さん」
リインが呼ばれた瞬間、スネイプ教授がなんか団扇のような物を取り出そうとしたが、必死にマクゴナガル教授が抑えている。
あなたはそんなキャラじゃないでしょう!寮生が失神しますよ!
吾輩の推しだぞ。なぜ推させてくれない。推しは推せるときに推さねば後悔するのだぞ!
いや、だからあなたはそんなキャラじゃないでしょうが!
とか言っている。マクゴナガル教授、あなたも大概キャラ崩壊しているのじゃが。
広間がざわつく。それはそうだろう。保留と言われた生徒は今までいない。というか組み分けに他の人が呼ばれたことは今までない。
「じゃあ私から見てもらおうかな」
マリと呼ばれる少女が帽子をかぶる
(いや結局お主も視えないんかい!)
まったく読めなかった。真っ暗である
(あ、そっか。ごめんごめん。閉心術使ってた。じゃあ見せるけど、吐かないでね)
少し見えるようになってきた
(あ、ちょっともう一回心閉ざしてもらっていいかの?こんなずたずたな精神見せられるの想定してない……吐きそう……)
なんというか、元の精神を引き裂いて新しい精神を入れようとしている感じだった。組み分け帽子的にはすごく気持ち悪い。
(だから言ったのに……まあ、アイとリインのおかげでなんとかなってるよ)
(そうか……ん?)
(何か気になることでも?)
(いや、うむ。リインとアイと同じ寮にさせてもらう。それはそうと、絆は深めておくのじゃぞ。いつかは分からんが、試練が訪れると思うのでな)
(言われなくても、そのつもりだよ)
(あと、アイという者には説教するように。あんな風に「マリとリインと同じ寮」って大きい声でリピートしてくるやつは初めてじゃった)
(ゴリ押ししたのかー。まあ、あの子にも私たちが必要だと思うから、間違った選択じゃないのかもしれないね)
「保留!次!」
やっぱりざわつく。2連続保留だからしょうがないのだが。ハッストール(組分け困難者)以上にレアな話だ。というか初めてである。
リインに帽子を被ってもらう。スネイプ教授が立ち上がろうとしている。マクゴナガル教授が必死に止めている。いやお主ら本当にどうした……
さて、リインの中を見せてもらおう、と思ったのだが、まったく何も見えなかった。
(いやお主も閉心術使えるのかい!)
(あ、はい。マリお兄さんに教えてもらったので……)
(組み分けに必要だから少し見させてもらってもよいかの?)
(分かりました……)
ふーむ。愛情に飢えておるな。よくもまあこんな酷い扱いを受けて性格がねじ曲がらなかったものじゃ。忍耐力もある。知識もあって優秀。勇気はないが、愛するもののためなら踏み出せる力強さもある。じゃがまあ境遇を考えると……愛情が与えられる環境がいいじゃろうな。であれば
「全員スリザリン!」
スリザリンから歓声が上がる。スネイプ教授がマクゴナガル教授を弾き飛ばして立ち上がりガッツポーズをしている。コロンビアポーズである。
芸能人と同じように見た目麗しい2人と、幼い見た目ながらも可愛い少女で、全員まとめての組み分けという前代未聞の生徒を獲得したスリザリンから歓声が上がるのは分かるが、スネイプ教授は本当に何しているのだろうか。
スリザリンの席に移動した3人が声をかけられている。
「美しいレディを3人も獲得できてスリザリンはラッキーだったよ」
「えー。マリは男だよ?」
「「「「…………は?」」」」
(お主男じゃったんか)
Sideリイン
「えっと、マリお兄さんが女の人と間違えられるのはよくあるので……」
マリお兄さん、最近どんどん可愛くなってきてるから……
「そ……そうなのか。男なのか。いや、それはそれでありなのか?新しい扉が開かれるのか」
先輩?が困惑している。
「ところで君たちはどこの血筋なんだい?スリザリンに組み分けされたとなれば、純血か半純血のどちらかだろう。マグル生まれでは無いと思うのだが」
血筋……私の中ではあまり話したい話題ではない。
そう考えていると、マリの膝に乗せられ、抱きしめられた。
「マリお兄さん……」
「大丈夫。私から説明するよ」
そう私に言うとマリお兄さんが話始める。
「聞いててあまり面白い話じゃないけど大丈夫かい?」
「……大丈夫だ。スリザリン生は身内には甘い。何かあったら助けられるように知っておきたいんだ」
「そうか。ありがとう。じゃあまずは血筋のはっきりしているところから。今膝に抱えている子はリイン・ポッター。ポッター家の子だね」
「ポッター…!生き残った男の子の兄妹ということか!?」
「ただ、ポッターとは言わないであげてほしい。この子、家では虐待されてて、9歳の頃に私が引き取ったのさ。ポッター家の親族で生き残っているのはマグルだけで、とてもじゃないけどいい扱いをされていなかった。ああ、この子の兄と姉はそこそこの扱いされてたみたいだけど、この子は親族にかなり似てたみたいでね」
ダーズリー家にいたときは色々酷かったなぁ……
「……今はマリお兄さんとアイお姉ちゃんがいるので……大丈夫です」
「そうか。辛いことを聞いてしまってすまない……配慮するように伝えておく」
マリお兄さんとアイお姉ちゃんがいるから、かなり気持ちとしてはよくなってきている。フラッシュバックすることはなくなってきた。
(やっぱり、今のままじゃ良くないよね……)
マリお兄さんからはゆっくり治していこう、って言われている。アイお姉ちゃんにも協力してもらって、徐々に色々なことができるようになってきている。部屋の隅で縮こまらないと眠れなかったり、ご飯食べて吐いていた頃からするとものすごく改善はしている。
「何か困ったことがあったら遠慮なく頼ってくれ。代わりに、同じ寮生が困っていたら助けてやってくれ」
「えっと……私で助けになれば……」
「ああ。できる範囲でやってくれるだけで大丈夫だ」
マリお兄さんに色々教えてもらったから、少しは助けになるだろうか。
「さて、後アイと私のことだね。ざっくりいうと、私たちは孤児なんだ。もうあんまり気にしていないから気遣いは不要だよ」
「あ~。私お母さんに捨てられてたね。マリと会うまでは結構荒れてたなぁ」
笑顔でマリお兄さんとアイお姉ちゃんが言う。どちらも、取り繕うのが上手だから本心まで分からないけど……あまり気にしていない、というのは本当だと思う。
「だから正確な血筋は分からないけど、少し調べてみたら私はスリザリンとレイブンクローの血が、アイには安倍晴明の血が混じってることは分かったよ」
「……ん?……え?スリザリン?セイメイ?」
先輩が固まった。どっちも有名な血筋だから……
「日本では結構有名な人だよねー。分かった時は思ったより大物の子孫でびっくりしたよー」
「いやどっちもビックネームじゃねーか!」
あ、アーリアさんだ。
「やあアーリア。同じ寮になったね」
「おうマリ。色々教えて貰うからな」
スリザリンに組み分けされたらしい。マリとアーリアが話していると、固まっていた先輩が動き出した。
「……すまない。ちょっとびっくりしただけだ。……ちなみに、どうやって調べたんだ?」
「血液を魔法薬で反応させて調べる方法があってね、それで調べて、後はDNA検査……まあマグルの方法とか色々使って確認してみたよ」
痕跡探すの大変だったよ、と言っている。マリお兄さんはどうやってスリザリンとセイメイとレイブンクローの血筋のDNAを探したのだろうか。
「さて、そろそろ組み分けも終わりかな。残りのポッターはグリフィンドールに入ったみたいだね。ポッターを取った!って赤毛の子たちが騒いでるみたいだ」
それは私にとっては好都合だ。まだ昔の家族に会うのは少し怖い。授業で会うのはまだ耐えられるかな……
その後、校長から話……というか一言あり、校歌を歌い、食事を取って寮に案内された。
スリザリンは地下に寮があるらしい。
「男女別だから、アイとリインとは別の部屋かなー」
「え~遊びに行っちゃうよ?」
「他の男もいるからダメだよ。私も女子寮に入れないしね」
マリお兄さんは別なのか。寂しいな
そんなことを思いながら、部屋の割り振りを確認する。
「あれ……先輩。男子寮に私の名前がないけど、間違えてますかね?」
「いや、合っている。組み分け帽子がまとめて組み分けした人間は初だ。何かしらの要因もありそうだから同室にするべきと判断した。あと、君の顔だと同室予定だったマルフォイ君から性癖がゆがみそうだから勘弁してほしいと言われたスリザリン生の性癖を
「後半聞こえてますけど……まあ、分かりました」
「マリお兄さんと同じ部屋……!」
「よかった~」
4人部屋に私の名前とマリお兄さんとアイお姉ちゃんの名前がある。後は……アーリアさん?
「ちょっと待て、なんで俺も?」
「その……スネイプ教授からの依頼だ。絶対リインと同室にしろと……杖突きつけられて」
先輩が青い顔して話す。相当怖かったようだ……
「父さんぇ……」
「後、伝言も。家に帰ったら思い出とか色々聞くので仲良くするように。あとできれば写真もください本当にお願します。だって。めっちゃ懇願してたぞ」
「父さんのキャラがどっかいってる……」
あの人愉快だなぁ……
「後、マクゴナガル教授からも書類を預かってる」
「書類……?」
先輩がアーリアに何かを渡す。許可証?みたいな文字が少し見えた
「何を貰ったんだい?アーリア」
マリお兄さんも気になったのかアーリアさんに聞く。アイがマリの方に顎を乗せて一緒に見に来る。私は身長の関係でちょっと見えない。
「……なんというか、組み分けの時の父さん……スネイプ教授をみた?」
「なんか団扇取り出そうとしてた人?」
「ああ。マクゴナガル教授曰く、その団扇に「一生永遠恒久リイン推し」って書いてあったらしい」
そういえば、初めて会った時に私のことを推すって言ってた。
「ええ……アーリアのお父さんドルオタになってる。やってることがライブ来たファンだよ」
「ぐふぃぁ……」
アーリアさんが崩れ落ちた。
「えーっと、ごめんね☆」
「アイ。止めを刺さないであげて」
「えっと、大丈夫ですか……?」
思わずアーリアさんに手を差し伸べる。
「……あんまり大丈夫じゃないが、大丈夫だ。問題ない」
マリから聞いたことがある。大丈夫じゃない人が言うセリフだ。
「ふう……書面なんだが、スネイプ教授がリインに無駄に加算しそうなので、それを止める権利書というか依頼書みたいな書類だ。……ええ……これ俺がやるの……?」
ちょっと可愛そうである。
「その、すまないが項垂れていないで寮の部屋に行ってもらえないか?今日中に荷ほどきをお願いしたい」
先輩に言われてしまった。確かに、寮の部屋を確認して荷物を整理する時間が必要だと思う。結構色々持ってきてしまったのだ。
「じゃあ行こっか。どんな場所かな~」
「場所は分かったから案内するよ。3人ともついて来て」
マリお兄さんに連れられて寮の部屋に着くが
「「「うわぁ……」」」
「え?結構雰囲気あんじゃん」
アーリアさん以外は同じ反応をしていた。なんというか……
「めちゃくちゃジメジメしてますね」
「超暗いね」
「解放感がないのはちょっとなぁ」
私もアイお姉ちゃんもマリお兄さんも酷評していた。
「これは改造しがいがあるね☆」
「まずは広げようか」
マリお兄さんが杖を一振りすると部屋が広くなる。
「……一応聞くが、何した?」
「検知不可能拡大呪文のような何かかな」
「それ魔法省から規制入ってるやつぅ!」
「もどきだから大丈夫だよ」
アーリアさんが突っ込んでる。大丈夫。検知不可能拡大呪文っぽい呪文だから引っかからないのは知ってるので。
「やっぱもっと光欲しいよねー」
アイお姉ちゃんが杖を壁に振るうと大きなガラスができ、外にはきれいな草原が映る。
「……えっと…映像?」
「適当な高原とつないだだけだよ~。映像だと風とか感じられないじゃん?外に出てリフレッシュもできるように空間捻じ曲げてつないでみた」
「めっちゃ高度なことしてるじゃん!」
「そうでもないよ。姿をくらますキャビネット棚みたいなものだよ?」
「そういわれればそうなのか……そうかも?」
アーリアさんが混乱している。
「床はいいですけど、壁はもう少し温かみが欲しいですよね」
私もマリお兄さんとアイお姉ちゃんに習って少し部屋を改造する。
床は大理石のママにして、壁を木や壁紙を上手く使って温かみを出す。光は窓から取れるので、白目の色を使って全体的に明るくなるようにする。天井は明かりが欲しいのでLEDを配置して、スイッチを入口あたりにつけて……もう少し天井は高さが欲しいかな。あ、ベッドももう少し大きくしないと。
「リインさん?君も君でさらっと空間広げないでくれない?というかなんでベッド大きくしたの?」
「え?マリお兄さんと一緒に寝るためですけど……シングルだと小さいかなって」
「爛れてるよぉ!父さんの脳が破壊されるよぉ!」
アーリアさんがまた崩れ落ちた。爛れているとはなんだろうか?
「リインはまだ知らなくて大丈夫だからね。アーリア。あんまり酷いと喋れなくするからね。あと、普通に添い寝しているだけだよ。リインを一人にしておけなくて」
「私も行くからもう少し大きくしてねー」
「あ、はい……これくらいですかね」
アイお姉ちゃんに言われてもう少しベッドを大きくする。うんちょうど3人で寝れる大きさかな。
「……マリ?本当に俺の勘違いじゃないんだよな?」
「勘違いじゃないよ。少し話したけどトラウマの件だよ」
「……汚れているのは俺だったのか。なんか……少し横になりますね」
マリお兄さんと何か話していたアーリアさんがベッドで横になる。なんというか、めちゃくちゃダメージを受けたように見える。大丈夫だろうか。
「リインは気にしなくていいよ。さて、アイが窓つけてくれたから窓の前はもう少しスペース欲しいよね」
「そうだね。テーブルとかも置きたいし、もっと広くしよっか!」
そんな話をしていると入口に女生徒が2人来た。
「ここがあの男の住処ね……」
「何言ってるのダフネ?」
「あれ?パンジー。一発噛ましてやるわって言ってなかった?」
「言ってないわよ!?っと。あなた達3人が男と同室になった子……じゃないわね。そこの白い髪の子が男……男?」
パンジーと呼ばれた女の人が首をかしげる。
「これは性癖歪むわね。フォイフォイが拒否したのも分かるわ……というか部屋豪華過ぎない?」
「あの……これは勝手に改造しているだけなので……マリお兄さん。アイお姉ちゃん。お客様来たよ」
振り向くと、ちょうどマリお兄さんが部屋を拡張する所だった。
「こんな感じでいいかな?」
「いい感じ!じゃあ机と椅子をこの辺に置いてっと。どう?」
「うん。ちょうどいいんじゃない?……リインが呼んでるみたいだからいったんここまでにしようか」
マリお兄さんが気が付き、こちらに向かってくる。
「ふむ。大方女子寮なのに男がいるから気になってきたのかな?私はマリ。よろしく」
「アイだよー。よろしくね」
「あ、改めまして、リインです。よろしくお願いします」
アイお姉ちゃんも来てくれて、3人で自己紹介する。
「あ、あとそこで横になっているのはアーリア。スネイプ教授の養子で、うーん。苦労人かな。それと、私はこの部屋以外には入れないようになっているみたいだから安心していいよ」
マリお兄さんだとその魔法くらい解除できると思いますが……言わないでおきます。
「そう。一応対策しているのね。自己紹介がまだだったわね。私パンジー・パーキンソン。隣の部屋だからよろしくね」
「私はダフネ・グリーングラス。パンジーと同室なの。よろしくね。それにしても面白いね。こんなに部屋改造した人初めて見た」
「どうせなら快適に過ごしたいからね」
隣人の人が優しそうな人で良かった。そんなことを思いながら仲を深める。辛かった日々はあった。けど、今は幸せになった。そんな気持ちで今日を終わる。
初授業まで進まなかった……
後半難産だった。書きたいところまでがまだ長い