Sideマリ
「マリ。かぼちゃパイをくれ」
「おや。遅かったねアーリア」
大広間でハロウィンパーティをしていると、アーリアが後から入ってきた。
「いや、マクゴナガル教授のところにスネイプ教授について伝えてた。」
「……お疲れ様」
本当にスネイプ教授が暴走するせいで苦労人になっているなぁ。
「それで、スリザリンの女の子達、やたらマリに感謝しながら食事しているけど、何やった?神様仏様マリ様とか言ってるけど」
「いやね、アイが日本でアイドルしているだろう?」
「マリと一緒にデビューしました!」
アイが割り込んでくる。強引に私ごとアイドルになったよね。斉藤社長も困惑してたよ?
「そうなのか。……で、それが何でマリに感謝につながるんだ?」
「アイドルは体系維持も大切だからねーマリにご飯作ってもらったんだよー」
「カロリー糖質どちらも80%カットの料理を提供させていただいたよ。明日から希望に応じて配膳されるらしいからアーリアも食べてね。あ、今日の分は私が作ったよ。自信作さ」
そう。太らないために食事を開発しました。ホグワーツの料理って結構カロリーが高いんだよね。ホグワーツの屋敷しもべ妖精にも教え込んだから明日からスリザリン寮の食事を試しに追加してもらえるようにした。校長には事後報告でちょっと怒られたけど。好評なら他の寮にも配膳されるかもしれない。
「ああ、それは感謝されるわ……でもそういうのって味が薄かったりするもんじゃないのか?」
「そこは改善済みだよ」
「マリの料理はおいしいからねー。一口食べてみる?」
英雄作成を舐めないでほしい。体調管理もモチベーション維持も大事な要素だからね。
アーリアがアイにあーんされてパンプキンパイを1口食べる。
「クッソ美味い。そして美少女からのあーん最高かよ」
この美味しさでカロリー糖質カットは感謝されるわーとか言いながら食べてる。
でもアーリア。アイからのあーんでおっさんが出てきているよ。
「やっぱたまにアーリアってスネイプ教授みたいな感じ出すよね」
「……マリさんや、胃薬は無いかのう」
「はい。結構ダメージ入ったね」
最近アーリアの胃が死んでおり、スネイプ教授の件もあるので、マクゴナガル教授に材料を用意してもらった。いっぱい用意してある。存分に使うといい。
「……マリお兄さんの手作り久々でおいしいです。」
「私としてはアイ用に作ったものじゃなくて、ちゃんと栄養価がある方を食べてほしいけどね」
リインは小食ということもあり、小柄になってしまっている。だから本当はカロリーカットしてない方で食べて欲しいのだけども。
「でもマリお兄さんの手作りの方が好きなので」
「分かるー。マリのご飯が食べたいー」
ふむ。そう褒められると嬉しいね。リイン用にちゃんと栄養あるものも作ってみようかな?部屋にキッチンを作ればそんなに手間にはならないだろう。
「分かった。じゃあ週2回くらい私が作ろう」
「「やったー!」」
そんな話をしていると、大広間のドアが大きな音を立てて開かれ、クィレル教授が大広間に入ってきた。
「トロールが……地下室に……お知らせしなくては……!」
そう言うと気絶したのか床に倒れた。
「嘘が下手だねー。わざと気絶するなんて」
「……え?あれ演技なの?」
「あ、でもトロールが地下室に来たのは本当みたいだよ。ね?マリ」
「うん。合ってるよ」
怒号と悲鳴が飛び交うなか、のんびり会話していると、ダンブルドア校長が一喝し、大広間を静かにさせる。
「監督生は生徒を寮に!先生方はこちらに集まるのじゃ」
生徒へ指示を出し、生徒を安全な場所に避難させようとしている。
そんな中、マリ、アイ、リイン、アーリアは比較的のんびりしていた。
「なあマリ。地下室にトロールが出たのにスリザリン寮に避難するって普通に危ないのでは?」
「危ないと思うけど……一回千里眼で視てみようか」
赤紫色の瞳が少し光り、スリザリン寮までの道や地下室を確認する。
「アイさんの星が入ったような目もきれいだけど、マリの目も澄んだ空って感じの赤紫色できれいだよな。夕暮れの時の不思議な空の色っていうか。千里眼使ってるとよりきれい」
「私、ただ明るい緑色だから羨ましいです……」
「でもそれ父さんへ特攻入るから」
「私はリインの目も好きだよ?」
アイ達が雑談しているのを聞きながらホグワーツを視ていると、かなりまずいことが分かった。
「いやこれまずいね。3匹城に入ってきている。というかスリザリン寮までの道筋に1匹いる。先輩がヤバい……アイ行くよ!アーリアはリインに守ってもらって!」
さすがに死人が出るのは良くない。アイを連れて寮の方向へ駆け出す。
「俺が守られる方なのか……いや分かってたけど……」
監督生として生徒を寮に送っていたらトロールに襲われた件。
異常事態過ぎて、変なことを考えてしまっている。まだそんな思考ができているだけ
そんなことを考えながらアイとマリに先輩と呼ばれすぎて、先輩があだ名になった監督生の男はトロールと必死に戦っていた
「プロテゴ・トタラム!」
トロールのこん棒が振り下ろされる前に盾の呪文を使い、後ろの後輩達を守る。
クィディッチのキーパーで鍛えられた動体視力はギリギリのところで攻撃をそらしていた。
「コンフリンゴ!レダクト!」
顔に爆発呪文を打ち込み、こん棒に粉砕呪文を打ち込むが、効果は無いように見える。
「……普通のトロールじゃ無いのか?魔法への耐性が高すぎる。スリザリン生、大広間まで下がれ!」
生徒を下がらせようとしても、こちらの状況が分かっていない後方が鈍く、あまり効果がない。他の監督生の一人はトロールになぎ倒され、残りの6人は群衆の波に飲まれてまだこちらに来れない。
「地下室に出たなら寮に避難させるのは悪手だっただろ」
嘆くが状況は変わらない。
「ガァァアァァアア!!」
「メッチャ怒ってるな……」
そりゃ爆発呪文を顔面にぶち込まれたら怒るか。
「エクスパルソ!」
あ、ダメだ。呪文を無視して突っ込んでくる。
大したダメージも与えられず、死なないように盾の呪文くらいは、
そう思っていると救援が来た。
「
後輩のマリが符を投げると木がトロールに絡みつき全身を縛る。トロールの動きを一時的にだが完全に止めていた。しかし、予想していた通り魔法への耐性があるのかすぐに木を引き千切り、動き出そうとしている。
「マリ!そいつ魔術に耐性が!」
「大丈夫。もう終わりだよ」
マリがそういうと、トロールが止まった一瞬で、アイが踊るように一歩を踏み出し、半回転しながら飛び上がり、その勢いのまま首を刎ねた。
「なっ……!」
振るわれた剣は美しく孤を描き、砕ける木片と吹きあがる血しぶきすら幻想的だった。
紫がかった黒い髪と、一番星を連想する瞳が綺麗で、どうしても目で追ってしまう美しさがあった。それはまるで神話の一幕を見て……
「魔法が効かないなら殴った方が早いよね☆」
「アイ、回転軸がちょっとブレてたよ。ぶれなければもう少し断面がきれいになるから姿勢を意識してね。ダンスにもつながるから」
色々台無しだった。そしてなんかアドバイスしている。なんだこの人達。
「あ、先輩。避難していーよ!もう2匹は別のところみたいだから寮までは安心だよー」
「あ、はい。アイさん」
一連の流れを見てスリザリン生はこの二人にいちゃもんをつけるのはやめようと思った。あと敬語で話そうと誓った。そしてマリとアイのヤベー話が1つ追加された。
「あ、もう1匹がちょっと危なそうだから助けに行ってくる」
そう言うとマリさんは駆け出して行った。それに続けて待ってよーとアイさんも駆け出す。
Sideハリー
トイレで泣いているハーマイオニーとそれを慰めるドリムを助けに来たロンとハリーは、何とかトロールをノックアウトさせ安心していた。
「その……ごめんハーマイオニー。言い過ぎた」
「私も、ごめんなさい。ちょっと無神経だったわ」
「仲直りできてよかったわ!」
ロン、ハーマイオニーは仲直りできたらしい。トロールもなんとかなったし、早く寮に戻らないと。
「ロン、ハーマイオニー、ドリム。このトロール気絶しただけなんだよね?」
「頭にこん棒落ちただけだから多分そう。トロールって頑丈だから……」
ロンが答える。
「とりあえず、出ましょう?」
「男2人が女子トイレにいるのはまずいと思うわ!私は面白いと思うけど!」
ドリムがテンション高く言う。基本的にこの妹はあんまり考えないからなぁ……それ僕たちが在らぬ噂出ちゃうから。どさくさに紛れて女子トイレに侵入する変態メガネと変態赤毛とか。……考えたら辛くなってきた。
「確かに、女子トイレにこのままいたら確実に減点だね。とりあえず出ようか」
ハリーはそう言うとトロールを避けて出口に向かって歩き出す。
扉を開けて廊下に出て、ハリーが最初に目にしたのはもう1匹のトロールだった。
「ハリー?何で止まって」
「下がって!もう1匹いる!」
ぶつかってきたロンをトイレに押し込み、扉を閉める。トロールは既にこちらに気が付いている。頭が悪いとはいえこのまま自分も中に入ったら逃げ場のないトイレで襲われることになるだろう。であれば、3人をトイレの中に隠して、自分が逃げれば……
少ない時間で瞬時に判断する。火事場の馬鹿力か、周囲がスローに感じ、思考する時間は十分に取れた。
後は逃げるだけ、そう思い、左足を踏み出して逃げようと思った時に見えてしまった。
すでに自分に近づいているトロールが無慈悲にこん棒を振り上げているところを。
周囲がスローに感じていたのは、自分が死にかけていたことに気が付いた危機、恐怖の感情による体感時間の延長だった。
(ああ、これは死んだ)
周囲がゆっくり動いているように見える。踏み出した足を今すぐに動かしたいのに、ほとんど動かない。逃げれないことは十分に分かった。
(どうせなら一思いにやってくれないかな)
あの太いこん棒が振り下ろされたらミンチだろう。その瞬間までスローモーションはめちゃくちゃ嫌だった。誰が好んでつぶされる感触を味わいたいものか。
結局いい思い出はあんまり無かったな。両親の事は知らないまま、何も残せず死ぬのか。
(ああ、嫌だな)
この世界のハリーポッターは本来ここで死ぬ運命だった。妹を家族の悪意で殺され、兄をヴォルデモートが連れ込んだトロールに殺され、家族を失った少女の英雄譚が始まるはずだった。
世界が止まってしまったかのようなスローモーションの中、ハリーは美しいものを見た。
剣を持ち、白い髪をたなびかせ、笑っちゃうような速さでこちらに向かってくる人の赤紫の澄んだ瞳は、もうすぐ死ぬと思っていたハリーの視線すらその瞳に惹きつけた。
2つの銀閃はトロールの腕と頭を斬り
死の運命を切り裂き
世界をズラした
「やあハリーポッター。無事かい?」
赤紫の瞳から目が離せない。
「えっと、はい。怪我も無いです」
「それはよかった」
その後、マクゴナガル教授とスネイプ教授が来て色々と話をしていたがまったく耳に入ってこなかった。
思い起こされるのは澄んだ赤紫の瞳と銀の閃。
引き寄せられた。魅入ってしまった。その輝きに焼かれてしまった。
花弁が舞い散った。
後日、ハリーポッターが頭を下げてマリに弟子入りをするところを多くの人に見られて、マリのヤベー話が1つ追加されてしまった。
最後の方、もっとうまく書ければなぁ
勉強します……