ヘルカイザー、エクシーズ次元に行く   作:交響魔人

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アークファイブの二次創作で野呂がデュエルをする二次創作がほとんどないので、今回デュエルします。
タイラー姉妹とエド・フェニックスの出番はありません。


ヘルカイザーVS野呂守

 廃墟となったハートランド。アカデミア兵が跋扈し、レジスタンスが抵抗する戦場だった…。

 

 昨日までは。

 

 

「温い温い温い!行け、キメラテック・ランページ・ドラゴン!古代の機械工兵を攻撃!」

「うわああああああああ!ブルーへの昇格があああああ!」

 

 新たに手に入れたサイバー流の融合モンスターが、ラーイエローの生徒を吹き飛ばす。

 

 

 

「な、何で!アカデミアに逆らって壊滅したサイバー流が、今更、現れるんだ!」

「裏切り者に支給したサイバーデッキを使っているんだろう…。だが、裏切った振りをしていた時もイリナ様は想定して、キメラテック・フォートレス・ドラゴンは一枚も入れていないはず…」

「じゃあ、なんであいつは持っているんだ!」

 

 

 

 

 プロとして舞台に身を置く立場から、異世界での戦いを経て車椅子生活になり…その後は主催者側に回ってずっとリハビリ生活で燻っていた丸藤亮。

 

 そんな燻った火種である亮に、「サイバー流の新規」という油と「存分に暴れられる環境」という薪をくべたらどうなるのか。

 

 答えがこれである。

 

 

 

 

 

 

「いやぁああああ!お願い!1ターン、1ターンだけ待って!」

 

 

 亮に哀願するオシリスレッドの少女。可愛らしい顔立ちは、恐怖に彩られている。

 この場にユベルがいれば、『キミはそんな命乞いが通じると思うのかい?』とあきれるだろう。

 

 

「黙れ!サイバー・ツイン・ドラゴンでセットモンスターを攻撃!」

「古代の機械合成獣が!」

「ダイレクトアタック!」

「きゃああああああああああああ!」

 

 

 

 相手は先攻ドローしようとする、エクシーズすら知らないド素人。そいつをカードにするだけで昇格できる。

 そう聞いていた彼らの当初の行動は「いかに先に丸藤亮を見つけるか」という競争だった。

 

 例えるなら鬼ごっこだ。

 その認識は正解だ。

 

 違ったのは、鬼は自分たちではなく、相手が『鬼』だった点だ。

 

「もうだめだぁ、お仕舞だぁ…。」

「勝てるわけがない、逃げるんだぁ…」

 

 

 もはや戦意喪失した数名のアカデミア兵は逃亡を開始する中。

 青い制服の少女が前に出る。

 

 

「全く不甲斐ないわね!あたしがやっつけてやるわ!」

「…えっ?どうして特務兵団がここに…?」

 

 

「行くわよサイバー流!永続魔法、切り裂かれし闇を発動!そしてジェネティック・ワーウルフを通常召喚!ここで永続魔法の効果発動!通常モンスターを召喚・特殊召喚した時、1枚ドロー!魔法カード、融合!場のジェネティック・ワーウルフと手札の幻のグリフォンとアレキサンドライドラゴンを融合!現れなさい、ガーディアン・キマイラ!あたしはこれでターンエンド!ちなみに、切り裂かれし闇には続きがある!1ターンに1度、通常モンスターを素材にした融合モンスターがバトルする時!相手モンスターの攻撃力分パワーアップするわ!さぁ、かかってきなさい!」

「おおっ!カード効果の耐性に加えて」

「戦闘でも一度だけ必ず勝つ効果!これなら!」

 

 

 その布陣に希望を見出すアカデミア兵だったが。

 

 

「手札からサイバー・ドラゴンを捨てて、サイバー・ドラゴン・ネクステアを特殊召喚!モンスター効果発動、蘇れ、サイバー・ドラゴン!そしてぇ!魔法カード、強制転移を発動!」

「…は?えっ?」

「チェーンして速攻魔法、ご隠居の猛毒薬!さらにチェーンして非常食を発動!強制転移とご隠居の猛毒薬を墓地に送り、ライフを2000回復ぅ!さらにご隠居の猛毒薬でライフを1200ポイント回復!」

 

 相手の場に移動するガーディアン・キマイラ。そして自分の場に来るネクステアを特務兵団の少女は茫然と見つめる。

 

「バトルだぁ!ガーディアン・キマイラでネクステアを攻撃ぃ!続けてサイバー・ドラゴンでダイレクトアタックだ!」

「いやあああああああああ!」ライ4000から900、900から0

 

 

 

 無許可で参加した特務兵団員が敗北したことで、アカデミア軍の士気は瓦解する。

 

 

―――――

 最後方の司令部にて。

 

「まだ倒せないのですか!すでに予定を3分56秒もオーバーしていますよ!」

 

 野呂司令が怒鳴りつける。

 

 

「サイバー流は圧倒的な強さで、オシリスレッドやラーイエローが使用する古代の機械巨竜、古代の機械魔神では足止めすらままならないと…前線からは撤退要望が!」

「何を言っているのです!再度、前線司令部に通達!『後退は認めない。敗北主義者は再教育する』と!」

 

 

 アカデミア軍がエクシーズ次元を侵略できた理由はいくつかある。

 戦争の準備を長年整えてきた事。不意をついてエクシーズ次元の有望なデュエリストを早期に始末できたこと。

 

 だが、一番の要因は圧倒的な数。

 

 前線で戦っている亮は、手札と盤面を引き継がずライフだけ引き継ぐ『サバイバル・デュエル』を強要させられている。

 つまるところ、古代の機械魔神の効果を4回当てられれば、それでアカデミア軍の勝利なのだ。

 

 

 

 

 そういう特殊なデュエルを強要される事を知った亮は、このデュエルにおいてライフを回復するための速攻魔法、神秘の中華鍋、非常食、ご隠居の猛毒薬を一枚ずつ投入している。

 無論、レジスタンスがそういうライフ回復カードを入れていることは承知しているが、それでも数で押し切れると野呂は判断した。

 

 今までなら押し切れたから。

 

 

 

 

 最前線で指揮を執っていたカシュー教官は、後退要請を司令部に出すも、司令部からの指示を受けて呆然とする。

 

(な、何故だ!なぜこんなことに!)

 

 簡単な任務ではなかったのか?

 エクシーズ次元にいるのは少数の「反逆」の名前持ちが散発的な抵抗をしているだけ。

 そこに滅び去ったサイバー流が。それもド素人が参加したので叩き潰すだけだったはずだ。

 

 圧倒的な数で押し切れば勝てる。そのはずだ。そのはずだったのに。

 すでに四割がカードにされてしまった。被害は甚大。これ以上はエクシーズ次元の避難民狩りにも支障をきたす。

 というより、戦術的には撤退して再度立て直しを行わねばならない盤面だ。

 

 

「か、カシュー教官!サイバー流がすぐそこに!」

「げ、迎撃しろ!ぐ、グローリー・オン・ジ・アカデミアぁあああ!」

 

 それでも、上がやれといったらやるしかないのが現場だ。

 カシュー教官は【シモッチバーン】デッキを取り出した。

 

 

―――――

 …その殲滅っぷりを、物陰から呆然と「反逆」の名前持ちのレジスタンスが眺めていた。

 

 

「…隼。彼はアカデミアだと思う?」

 

 アカデミア軍から『反逆の邪龍』と名付けられているハートランド・デュエルスクール・ダイヤ校出身の黒髪清楚系少女は、黒咲に問う。

 

「融合を使ってはいるが、アカデミア軍ではないだろう。奴からは修羅の如き強さを感じる。」

 

 

 所属校も所属するレジスタンスも違うが、アカデミア軍を殲滅する!という一点で意気投合している過激派な狂犬組でさえ困惑してしまう。

 亮が昨日襲撃してきたレジスタンスの裏切り者…『イレギュラーズ』が使ってきた【サイバー流】を使ってはいるが…。

 

 

「…一体。彼に何があったというんだ…。」

「ユート、考えるのは後よ。アカデミア軍を殲滅しましょう!」

 

 瑠璃のセリフに、レジスタンスは一斉に頷き突入する。

 正面からヘルカイザーが無双しているところに、側面からレジスタンスの襲撃。

 

 楽に昇格出来るチャンスに釣られてやってきたアカデミア軍に勝ち目はなかった。

 

 

 

 

―――――

 野呂司令は呆然としていた。

 

「報告します。ラーイエローとオシリスレッドで構成した2個師団は殲滅されました。カシュー教官もカードに…。残っているのは…サイバー流や「反逆」の名前持ちとの交戦を避け、敵前逃亡したこの5人のオシリスレッドだけです…。」

「ぬ、ぬうううううう!」

 

 顔を真っ赤にする野呂司令。だが、ここはすでに安全圏ではない。

 

 

「野呂司令!レジスタンスがこの支部にまで迫っています!」

「…撤退します。」

「物資はどうするのですか?!このままでは」

「放っておきなさい!今は一刻も早く撤退するのです!」

 

 

 慌てて施設から逃げ出す野呂だが。

 その前に『鬼』が立ちはだかる。

 

 

「お前が指揮官だな?」

「ぐぬぬっ!壊滅したサイバー流の亡霊め!4分38秒で倒してやります!」

 

 

 なかなか斬新な挑発に、亮は少しだけ目を細める。

 アカデミア軍の大部隊を蹴散らしながら膨大なライフを回復したのだが…。

 カシュー教官のせいで、膨大なライフは初期ライフまで削られている。

 

 

「ほぅ。そいつは楽しみだ。かかってこい!」

 

 

 

ヘルカイザー ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

野呂 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

 

 

「先攻は譲りましょう。」

「いいだろう。俺はサイバー・ドラゴン・ドライを召喚!効果発動にチェーンして、サイバー・ドラゴン・フィーアを守備表示で特殊召喚!」

「これで、二体のモンスターのレベルが5に。となれば…」

「レベル5となったサイバー・ドラゴン2体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!ランク5ッ!サイバー・ドラゴン・ノヴァ!俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

 

 

ヘルカイザー ライフ4000

手1 フィールド サイバー・ドラゴン・ノヴァ(2) 

    魔法・罠 伏せ2

野呂 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

 

「私のターン、ドロー!手札からマジシャンズ・ソウルズの効果発動!デッキからレベル6以上の魔法使い族モンスターを墓地に送ります。」

「墓地に送ったのは…ブラック・マジシャンだと?!」

「その後、このカードを墓地に送るか、特殊召喚するか、どちらかを選びます。私はこのカードを墓地に送る効果を選択!その後、墓地からブラック・マジシャンかブラック・マジシャン・ガールを特殊召喚します。復活しろ、ブラック・マジシャン!」

 

 亮の前に、初期バージョンのブラック・マジシャンが現れる。

 

 

「私は、時の魔術師を召喚!永続魔法、セカンド・チャンスを発動してから、時の魔術師の効果発動!表を宣言して、コイントス!」

 

 ソリッドビジョンのコインが宙を舞う。数秒後、地に落ちる。

 

「当たりか。」

「受けなさい、サイバー流!タイム・マジック!」

 

 

 時が流れ、サイバー・ドラゴン・ノヴァはさび付き破壊される。

 

「だが、サイバー・ドラゴン・ノヴァには三つ目の効果がある!現れろ、サイバー・エンド・ドラゴン!」

「アカデミア軍に歯向かったサイバー流の象徴…ですが私には通じません!ブラック・マジシャンは時の魔術師のタイム・マジックの効果を受けた。これによりブラック・マジシャンは年を重ね、魔法極めし老賢者!黒衣の大賢者に進化します!」

 

 野呂のデッキが輝き、そこから一枚のカードが飛び出る。

 場のブラック・マジシャンが年老い、黒衣の大賢者が現れる。

 

 

「攻撃力2800、実物を見るのは初めてだ。」

 

 

 ブラック・マジシャン自体がレアカードな上に、時の魔術師の効果が発動されなければ特殊召喚出来ないため、亮は在学時代、地下デュエル、プロリーグでも使い手を見ることは無かった。

 

 

 

「そうでしょう!ここで黒衣の大賢者の効果発動!デッキから魔法カードを手札に加えます。私が手札に加えるのは速攻魔法、超融合!」

「なっ、何ぃ?!」

 

 亮は思わず驚愕する。

 ユベルとのデュエルの後で何があったのかは、全てを見届けた弟から聞いている。

 

 

 

「速攻魔法、超融合を発動!手札のパラサイト・フュージョナーを捨て、時の魔術師とサイバー・エンド・ドラゴンを超融合!時の魔導士を融合召喚!」

「時の、魔導士…。」

「どうです!このアカデミア軍司令、野呂守の時魔法戦術は!」

「…俺を4分38秒で倒すと言っていたが、まだ早いぞ?」

「むっ、ですがすでに遅れが出ている以上、このターンで倒しておきましょう。バトル!時の魔導士でダイレクトアタック!」

「罠発動。聖なるバリアーミラーフォースー!さらにチェーンして速攻魔法、非常食を発動!ミラーフォースを墓地に送り、ライフを1000、回復する」ライフ4000から5000

「ひょええええ?!」

 

 虹色のバリアが野呂のモンスターを全滅させる!

 野呂の場はすっからかんになってしまう。

 

「ぐぬぬっ、メインフェイズ2に入ります!魔法カード、龍の鏡を発動!墓地から時の魔術師とパラサイト・フュージョナーを除外し、千年竜を融合召喚!」

「パラサイト・フュージョナー…。なるほど、融合代用モンスターか。」

 

 そういうモンスターを亮は知っている。とはいえ、このカードは初見だが。

 

 

「カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

 

 

ヘルカイザー ライフ5000

手1 フィールド 

    魔法・罠 

野呂 ライフ4000

手0 フィールド 千年竜

    魔法・罠 セカンド・チャンス 伏せ1

 

 

「俺のターン、ドロー!」

「ここで永続罠、永遠の魂を発動!手札または墓地からブラック・マジシャンを特殊召喚!」

 

 野呂は石板を連想させる永続罠を発動させる。

 

 デュエルアカデミアの歴史の授業。

 かつて古代エジプトにおいて、デュエルモンスターズは石板に封印した精霊を使役していたという。

 

 授業ではこう習った。『石板を砕けば、精霊は消滅する』と。

 

「速攻魔法、サイクロンを発動!」

「永遠の魂がっ?!ぐぬっ、永遠の魂が破壊されたとき、私の場のモンスターはすべて破壊されてしまいます…」

 

 石板の破片に巻き込まれ、ブラック・マジシャンと千年竜は消滅する。

 

「俺は、サイバー・ドラゴン・ネクステアを召喚!効果発動!墓地から攻撃力または守備力が2100の、機械族モンスター1体を引きずり出す!戻ってこい、サイバー・ドラゴン・ノヴァ!」

「しかし、攻撃力2100と200なら!」

「サイバー・ドラゴン・ノヴァのモンスター効果発動!俺の場か手札のサイバー・ドラゴンを除外することで、攻撃力2100ポイントアップ!ネクステアを除外ぃ!」

「攻撃力4200?!おのれ、特務兵団長イリナ君のせいで…」

「バトルだ、いけ、サイバー・ドラゴン・ノヴァ!」

「ひょぇえええええええええ!」ライフ0

 

 

 

 野呂の時魔法戦術は敗れ、カードに封印されてしまう。

 亮は即座に野呂の墓地から超融合のカードを抜き取る。

 

 

「…特に力は感じられないが…。」

 

 何かの縁と思い、亮は超融合をコートの内側にあるポケットにしまう。

 

 

 それから数分後。アカデミア軍の総司令部を制圧。

 

 

「明日、俺は融合次元まで攻め込む。お前たちはどうする?」

 

 

 亮の問いかけに、レジスタンスの全員が首を縦に振る。

 時間をおけば、アカデミア軍は再び戦力を整え攻め込んでくる。

 

 

 

―――――

 融合次元のアカデミア軍。その最奥にイリナは呼び出されていた。

 

「…アカデミア軍の二個師団が壊滅。それに加えてカシュー教官と野呂司令が交戦するも敗北。事実か?」

「はい、その通りです。プロフェッサー様!」

 

 チーモンド教官が胡麻をする。

 

「これもそれもすべて!かつて我々にたてついたサイバー流のデッキを、エクシーズ次元の裏切り者に支給するという計画を立てたイリナの責任です!」

「はぁっ?!」

 

 アカデミア軍最高指導者、赤馬零王の御前ではあるが、非道な仕打ちに思わずイリナは声を上げる。

 

 

 

「…事実と相違ないか?」

「お言葉ですが、プロフェッサー様!確かに立案しましたが、その計画を一時中断するよう指示を出しました。件のサイバー流を倒してから行えばいいと!なのに!」

「こうなった以上、誰かがサイバー流を倒さねばならん…。イリナにこの件を一任する。」

「…お任せください。」

 

 

 絞り出すようにイリナは答える。

 

 

―――――

 アカデミア軍の士官用に用意されていたであろうカレーと、ドローパンの具なしパンを亮が食べていると。

 

 

「…サイバー・ドラゴン・ノヴァの派生カードが完成したわ。サイバー・ドラゴン・インフィニティよ。」

 

 瑠那が提示したモンスター・エクシーズのテキストを一読し、亮は考え込む。

 

 

「…強力な効果だな。ネクステアで蘇生出来るのか。」

「私に出来るのはこれぐらい。だから、勝って終わらせて…。この次元戦争を。」

「当然だ。」

 

 

 新たに手に入れたモンスター・エクシーズと、高田から奪ったガーディアン・キマイラをエクストラデッキに収納。

 アカデミア本部へ乗り込むべく、一時休息をとる。

 




野呂は時計を常に意識しているので、時の魔術師デッキにしてみました。
千年竜、時の魔導士の融合召喚を狙いつつ、豊富なブラマジサポートで黒衣の大賢者の特殊召喚を狙うデッキ。

GX二次創作は世にあふれていますが、ヘルカイザー相手に黒衣の大賢者の特殊召喚に成功するキャラは、ここの野呂が最初で最後でしょう。

そしてとうとうインフィニティ入手。
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