・男子生徒(16)(備考・名前呼ばれるシーンはカット)
・星野アクアマリン(16)(備考・まともなシーンはカット)
・有馬かな(17)(備考・重曹呼び、および舐めるシーンはカット)
以上。
舞台設定
・高等学校、空き教室(備考・カメラ、三脚、スケッチブック、学生鞄あり)
時間設定
・放課後
「ズトスキダヨ、ムカシーカラ!」
「……くそ、お前を見てると『今日あま』の現場は天国だった気がしてくる」
「ヒトリニサセネーヨ!」
「寄せに行ったつもりだろうが鳴嶋メルトはまだ上手かったぞ」
「マジカ、ウマイナナリシマメルト」
「演技の外まで浸食されてるぞ規格外大根」
「一体何やってんの……?」
「有馬?」
「うお、有馬かな! 本物だ!」
「ようやく残ってた大根処理したな……」
「ここ芸能科の棟よ。アンタの声が聞こえてきたから覗いてみたら、なんで一般科のアクアがここで稽古……稽古? してるのよ」
「今日はこの教室誰も使ってないから丁度いいってこいつが許可取ってきた」
「こいつ? 貴方は……ああ噂の」
「どうもー星野の友達やってる未来の大作家でっすー!」
「面の皮の厚さはすでに大物ね。いいんじゃない? 業界で生き残るのには厚かましくないとやっていけないし」
「やったぜ有馬先輩のお墨付きだ!」
「お前、京都でお茶漬け薦められたらそのまま上がり込みそうだよな」
「失礼な。ぶぶ漬けに合う具を聞いておかわりしてからお暇するわ」
「厚かましさの権化じゃねぇか。理解してる分、始末が悪い」
「……」
「どうした有馬?」
「……私、高校入って初めてまともに先輩扱いされた!」
「……良かったな」
「そんな! 有馬先輩を適当に扱う失敬な輩がいるんですか!?」
「えぇえぇ、いるのよ会って早々重曹だのロリ先輩だの敬いのウの字も覚えてないような輩が」
「困った奴もいるもんだなぁ星野」
「そうだな。困っているなら相談してくれよ有馬」
「アンタと! アンタの妹だよ後輩兄妹!」
「そんなまさか」
「『またまた御冗談を』って顔すんな」
「ほぉん、仲良いなー二人共」
「飲料水のCM台本? カメラまで持ち込んで何やってるかと思えば……そういうのは脚本家つけずに監督がまとめてやるものじゃない」
「師匠から監督側の視点も持っておけば後々の手間が省けるって出された課題でして……」
「こいつが、イメージまとまらないから書いたのを試しに撮りたいとか言い出してな」
「五秒、十五秒、三十秒。それぞれの時間で合わせたセリフの塩梅が難しいので、体で感じつつ撮ったもの見ながら調整しようと躍り出ました。考えるより御覧じろの精神は大事」
「微妙に聞き覚えない精神……その結果さっきの農家も項垂れるボロボロ大根だったわけね」
「フォマエノカンガエソウナコトダッ」
「ホントやめてたまに夢に見てうなされるんだから……あと鳴嶋メルトの方がまだマシ……」
「すんませんこれマジでダメな奴ですね」
「トラウマになってるじゃねぇか」
「演技できる星野を巻き込んだはいいものの、俺の演技力が想定よりアレだったもんで別種の伝わらなさが発症して精査どころじゃなくなったんです」
「演技というより邪教団から迫りくる盆踊りゾンビだけどな……」
「そんなこの世の終わりみたいなことある!? でもちょっと見ただけでアレだったし……」
「なんででしょうね……俺はフィーリングで演じてるだけなのに。何故かどつぼにフォーリング」
「フィーリングだけでこんなに転げ落ちれるならある意味才能だよ。羨ましい限りだ」
「ヤッターぶぶ漬け級のお墨付き貰ったぜー」
「おかわりほしいか?」
「お暇しま~す……」
「アクアはアクアでなんでこんなのに巻き込まれちゃったわけ?」
「演出の勉強もしてるって前に話しただろ? こいつ相手なら好き放題できるから復習と練習台には丁度いいんだ。天ぷら定食で手を打った」
「安く請け負ったわねー」
「激しく後悔してる。ラーメンも付けてもらうぞ、チャーシュー増しましな」
「カロリーを増やせば許せるレベルだったアレ?」
「そうだ有馬先輩、十五秒バージョンだけでいいからちょっとやってもらえませんか!?」
「あのねぇ今はアイドルでもあるけど、別に役者を休業してるわけじゃないの。演技してほしかったら事務所通してもらえる? 一発芸感覚でホイホイやるほど安くないのよ役者の演技は」
「これは有馬が正しい。線引きしないと際限がなくなるからなこういうのは」
「ごもっとも……はぁ、星野と二人で告白シーンやってほしかったんだがなぁ」
「まあでも未来の大作家に恩を先行投資しておくのも悪くないわねやるわよアクア!」
「いえーい、有馬先輩は懐が深ぇや! ダメ元でも言ってみるもんだな!」
「急に演技の特売セールを始めるな……いややっぱり助かる、このまま続けたら俺ごと規格外品にされそうだ」
「ああうん……小学校の学芸会でも見れない大惨事だものね」
「……ちょっと待って、告白シーンを男二人で撮ろうとしてたわけ!?」
「いや本当は演劇部の女子を星野に口説かれる役やらない? って何人か釣り上げてたんですよ」
「釣り上げたて」
「勝手に人の名前を撒き餌にするな」
「でも今日は全員参加のミーティングだったそうで、一人残らず顧問に引っ張られていきました」
「みんなサボる気満々だったのに連行されちゃったのね……あーよかった……」
「おかげでこの有様です。なーにが悲しくて男同士で口説き合わなきゃならんのか」
「こっちのセリフだ。実際はスタートライン地平線の彼方にあった訳だが」
「プププー、いいんじゃないの~? そういう需要あるし。アクアにしたって同性愛系のドラマから声がかかるかもしれないしね~!」
「切羽詰まってないなら遠慮する」
「そりゃそうだ……いやそういうの書く可能性あるし、一回試しといた方が良いのか?」
「やるとしても絶っ対に巻き込むなよ。色んな意味で」
「それで、どんな設定なのよ脚本家さん?」
「『青春の味』がお題なんで、やってほしいのは『甘酸っぱさ全開な両片想いの学生』ですね。告白にも飲み物の話にも見えるギリギリを攻めてもらえますか」
「ふぅん、要はとっとと告れば終わるのにビビッて現状維持してるヘタレをやればいいわけね。ちょっとノリ気にはなれないけどやり切ってあげるわ。ノリ気になれないけど!」
「滅茶苦茶ノリ気なテンションじゃねぇか」
「それをさっき買って来たこの……レモン、スパーク? を片手にお願いします。意外とロングセラー商品らしい。今日初めて飲んだけども」
「いや主役になる商品でしょうが。適当に選んだものでいいの?」
「こういうのって撮る側は商品選べないんで別にいいとかで。でも選んだのはそうだし……んーレモンの花言葉は『誠実な愛』とか『熱意』……そんなのも意識しててもらえると助かります」
「花言葉? お前がそういうのに詳しいの意外だな」
「バイトしてる花屋で聞いたー」
「お前花屋でバイトしてるのか!?」
「そんな絶妙に似合わない顔してるのに!?」
「ぶっはっはっはまとめて花の肥料にしてやろうか? 店長を悪く言うんじゃねぇよ!」
「矛先を店長に向けてダメージ逸らした!」
「店長が花屋向きの顔じゃないって貶してるのお前じゃねぇか」
「貶してねぇよ。ただ頭が半分アフロで顔に傷があるブラジルとインドのクォーターなだけだよ」
「全情報にフックしかない!?」
「……バイト選んだ理由は?」
「店長の画風に惹かれて」
「せめて人柄に惹かれろ」
「ちょっとあくまで参考に聞きたいんだけどこの二人、いつからの片恋なわけ?」
「一応考えてますけどシーンに関係は……あんまガチガチだと幅が出ないって師匠に釘刺されまして。必須じゃない事は監督や演出だけで共有しとくだけで丁度いいとか」
「……ソウネー。ホンっトその方がいいわねー」
「それ絡みで色々あった顔だな」
「別にー? 気合入れて色々練って行ったら現場でちゃぶ台返されたり、役の印象反転するような設定さらっと後出しされてその場で一から練り直しになったりしただけよーアハハ」
「ぐが……勉強になります」
「しっかり勉強して前例にならうなよ。頼むから」
「やっぱある程度設定吐き出しとこうかな意識共有って大事だしうん……二人は三歳ぐらいからの腐れ縁。軽口叩き合う仲だと思ってくれればいいです」
「ふ、ふ~ん」
「出会ってすぐの頃に互いの鼻っ柱をへし折り合って、気の置けない関係を続けてきた」
「……いいじゃない」
「最大三十秒の話でもしっかり作りこんでくる辺り結構マメだなお前」
「しかし最近、恋心を自覚。双方が相手の変化に気づき、明らかに自分に気があるのもわかった」
「うんうん!」
「しかしそこから何もないまま半年も過ぎた!」
「いやぁぁぁあああ!」
「おお、すげぇ。説明だけで役に入り込んだ! その焦燥感大事です!」
「ガチの悲鳴にしか見えないのは気のせいか?」
「もっっ、ちろん演技よ!? えぇ演技ですとも! このまますぐ始めたって一発OK出せるから!」
「そりゃすごい! 星野といい、プロは始まる前から違うなやっぱり!」
「という流れでこのシーンになります。十五秒なんでセリフはここからここまでで。えーと……このカメラどこ動かすんだっけな? そうだ、何度も撮るので飽きたらアドリブ入れても構いません」
「役者が超困る文句を直前でぶっ込んでくるこの作家。十五秒に何を付け足せってのよ」
「チョコシロップチョコソースエクストラホイップダークモカパウダーチョコチップ追加で」
「もうチョコの味しかしないでしょそれ。モテない男子のバレンタインかなにか?」
「男子はバレンタインに……チョコを買えないんです……! ギブミーチョコレート!」
「戦後にはまだスターもバックスも存在しねぇよ。カメラはほら、ここ押せばいいんだよ」
「お、動いた……うっし準備はいいな! では行きましょう。テイクワン……アクション」
「言いたい、ことがある」
「……ぁによ?」
「俺は……ずっとな――」
「……ぁ……!」
「――三股してるがお前とも付き合いたかった。お前で四人目だがいいか」
「は? 股裂けて死ね」
「カットー」
「今! 絶対! そんな流れじゃなかったでしょ!? 甘酸っぱい青春の味どころか酸性の毒で誠実な愛とか溶解してるんだけど!? 初っ端からアドリブ入れるとか何考えてんの!?」
「いや有馬の後ろから『ボケて!』のディレクションがな」
「作家ァ!」
「すみません先輩。こんなにいいリアクションする役者がいるなら……大喜利しないのは無礼だと俺の熱意がハジケました!」
「急に大喜利する方が無礼でしょ! アンタ体内にコント作家でも飼ってんの!?」
「いるかいないなら、いた方が面白い! ウェルカムトゥ我が胃の腑!」
「飼わずに消化する気満々か!」
「コント作家って胃壁で吸収できるのか」
「アクア、そもそも三股って何!?」
「二股だと芸がないと思」
「アンタが三股とかむしろ現実的すぎて無理!」
「無礼なのはお前だ」
「しかも私が四人目とか腹立つっ。せめて最初に告りなさいよ!」
「最初ならいいのかお前……!?」
「いいわけあるかスケコマシ三太夫!」
「先輩、こいつは三股って明確にするよりも全員を付き合う直前でキープしてまんべんなくデート繰り返すタイプですよ。相手が要求してきたらぬるっと付き合いだす感じの」
「無礼の記録更新をするな」
「そのくせ本命とか本気になったら、俺じゃ幸せに出来ないから……とかいって身を引く!」
「なにその性質悪いネクラプレイボーイ」
「風評被害も拡大するな」
「んじゃテイクツー……アクション」
「言いたいことがある」
「なによ」
「本当は……十股なんだ」
「どっから調達した残りの七人」
「カット」
「ボケての再犯」
「またか作家ァ!」
「俺だってやりたくない……でも繰り返しはボケの基本だと教科書にもあるんです!」
「お笑いの教科書捨てろマニュアル脚本家! 守破離の精神の方を学びなさい!」
「気を取り直してテイクスリー、アクション」
「実は女それぞれに隠し子がいる」
「どうやって隠したそんなスキャンダル! クソ作家ァ!」
「天丼は……三回やらんと成立しないんです!」
「体内のコント作家とっとと消化しなさい! 乗っ取られてんぞ!」
「お叱りを頂いたところで今度こそまじめにやりましょう。温まってきたところだろうし」
「有馬を沸騰させただけだろ。どの口で言ってるんだお前」
「今度こそ余計なカンペ出さずにしっかりやりなさいよ!?」
「有馬も有馬で結構面倒見がいいよな」
「え、それはまぁ……得もあるし……」
「ふむ、じゃあいったん気分変えて告白する側を逆にしてみましょう!」
「ハ、ハァァッ!?」
「俺たちもふざけ過ぎた自覚はあるので。ここは先輩にビシッと引き締めて欲しいなと」
「ふざけた原因はお前だけどな。正直どうかと思う」
「ノッておいて自分だけ罪から逃げんじゃねぇよ」
「演技始めてから展開を変えるとか何考えてんの!? さっきそういう話したでしょうが!」
「問題ないと思うぞ? 二人とも相手に気がある状態だから話を切り出すのはどちらでも話は通る」
「もともと『どっちでも行けるなどうしよう』って決めかねてたからこの教室借りたもんで」
「それ、は! あ……うん……単純だしどっちつかずで半端だからいけるわねコレ」
「抜き身の意見で切り刻みにくるなこの先輩」
「お前のふざけ方考えたら、初対面な分これでもセーブしてる方だぞ」
「マジかよ。お前らそんな常に殴り合っててよく関係続くな」
「問題ない。大事な俺の……友達だからな」
「なるほど。星野と友達なら、キャラの濃さと我の強さの説得力すごいな」
「どういう意味だ」
「先輩が整ったところで。テイクフォー、アクション」
「言いたいことがあるの……私」
「なんだよ」
「……」
「……?」
「私……も既婚者と不倫してるの……」
「――?」
「カァット!」
「せんぱ……有馬ァッ!」
「違、これは……これが守破離の離よ……」
「天丼の四度漬けでしょうが! そこまでいくとただクドいだけなんすよ!?」
「天丼なのか串カツなのかわからないな」
「うっさいわ! ア、アンタらがボケ倒してるから私もちょっとふざけたくなっただけよ!」
「嘘つけぇ! 明らかに『共演者のNG連打で緊張薄れてつい噴き出した』系列の失敗でしょうが!」
「ぐぅっ!」
「しかも『この男近くで見るとホント顔良いなーこれに……告白!?』ってヘタレた顔して!」
「はっ、ハァァァ!? そん、そんな顔してないし私!? プロの役者がそんなことで日和るわけないでしょ、難癖付けるなら証拠出してもらえますぅ!?」
「証拠映像バッチリ撮ってんだよぉ! なんなら不倫言われた瞬間の魂抜けた星野も残っとるわ!」
「別に魂抜けてはねぇよ」
「え何アンタ私から不倫って言葉が出てショック受けちゃったの~!? 安心しなさい、今もこれからもそんなことする予定ないから~!」
「お前も秒で復活するな四度漬け役者」
「ある程度撮ってみたが」
「どぅがぁ……あらゆる方向から容赦ないダメ出しぃ……」
「アンタの台本は、本の出来上がりから作品の完成までに演者が間に挟まるのを半端にしか認識できてない。腕のある作家の台本は、短くてもこんなのよりずっと読みやすくて解りやすくて役者への要求と信頼がある」
「追撃の手が緩まねぇ……!」
「出来ることには妥協しないからな有馬は」
「無駄に凝った表現すれば面白くなるわけじゃないの。そんなに頭いいと思われたかったぁ?」
「死体蹴りには妥協しろ有馬」
「この恨み晴らさで置くべきか……助言もマウント取りも一つ残らず糧にしてくれるわ……!」
「お前もお前でタフだな」
「そもそも設定からちょっと気になる。これで自分から告白とかしないでしょ」
「え、そこですか? 好きでチャンス有りそうなら即決告白豪速球でいいのに、むしろ半年も何もしてないのは変だったなーって反省してますけど」
「こ! こういうのは……ぁアレよ、言うなれば男女のライバル関係なんでしょ。先走って告白とかしたら、なんかこう負けた気になるのよ!」
「恋愛って戦なんですか……!? でも多分自分を好きだろうって雰囲気にあぐら掻いて、横から掻っ攫われたりしたら元も子もないですよね?」
「グベェギャッ!?」
「先輩!? どうしたんですか蛙がロードローラーに轢きつぶされたみたいな声出して! 新境地!?」
「おおよそアイドルの喉から出てはいけない音が出てたな」
「ダイジョウブヨ~あははは……」
「大丈夫な人類の顔をしていない!? Dr.星野こういうときどうすればいいんだ!?」
「……そっとしておけ」
「なんか原因に見当ついてる感じじゃねぇか、このすっとぼけ大吾郎」
「とはいえ、確かに好きだから出来ないってのも乙っちゃ乙の乙女心だよな。好きだから、言えない……吐かない……飲み、飲み込んだ。これの方が良いか」
「閃いたのか。じゃあ撮りなおすか?」
「そうしたいけど今日はもうなぁ。撤収の時間だ、俺もこの後バイトだし」
「あ、結構時間経ってるわねー……何も気にせず好き放題に演技するのも偶にはいいかも」
「好き放題? そうですかね、有馬先輩の演技ってむしろ『引き立て役強制ギプス付けて動きづらくなってる』みたいに見えましたけど」
「ちょっと見ただけで何言ってんの? というか、なにその伝わりづらい例え」
「もっとこうチマっとした身体をビーンとやってババーンと出て周りをギュルンバビュウやっちゃえばサンライズ! ってなるので衆愚共がギラギラーンダブルピース!」
「より伝わらない表現に振り切んないで。後半もうなーんもわかんないじゃない」
「助言したいのか解読をさせたいのかどっちだ」
「役者の知識薄いから言葉の検索がな……プリーズ解読、役者やってる星野!」
「わかる気がしてたが、お前の謎擬音で自信がなくなった」
「脚本家として致命的よコレ。演技できなきゃ何も言うなとは言わないけど、せめてお遊戯会レベルでいいから人類と判別できるようになってから他人の演技に口出ししてほしいんだけど?」
「ぐ、説得力が皆無なのはともかく間違ってはいない気が。んー……パッと説明しづらいから次やる時に先輩がジャイアントスイングできるの書いて持って来ますね!」
「は、次? いやまたやるとか言ってな」
「やっべ、そろそろバイトが! 悪いけど戸締り頼むぜお店のお花たちがお待ちだからお先にお暇ー有馬先輩今日はありがとうございました! 先輩送ってやれよ星野―!」
「今日はたまたま暇だっただけでもうこんなの無、理ぃ……あーあ速ぁ……ねぇ、アイツなんであんなに我が強いわけ?」
「……あいつ、俺の友達」
「あー……説得力、ハンパないわねー……」
「……ホントにどういう意味で言ってんだ」
――好きだから、飲み込んだ。新フレーバーも!
「五反田監督のCM制作手伝ってたらワンフレーズだけ使ってもらえた! 有馬先輩全く関係なかったけれども!」
「そうか、良かったな」
「ジャイアントスイングはどうにもならなかったが有馬先輩って楽しい人だよなー。設定周りを我が身の如く真剣に考えてくれるなんて星野クラスの面倒見の良さ。類は友を呼ぶもんだな!」
「そりゃどうも」
「演技の話にしても覚えて損はないからちょっとかじってみるぜ『今日あま』の鳴嶋メルト参考にして!」
「……もっと参考になる作品貸すからそっち使え」