仮面ライダーディクリード   作:夢野飛羽真

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OP曲
AK-69:Forever Young feat. UVERworld
https://www.youtube.com/watch?v=YEJJe8L-ANE



第1話 侵略者

大阪市内のとある場所にある倉庫の様な建物。

この中央部にはリングがあり、100人程の人々がそのリングを囲むようにパイプ椅子に座っている。

後ろの方にはスクリーンとステージがあり、そこからステージに向けて花道が伸びている。

ここは普段、プロレスや格闘技の興行が開かれるスタジオであり、本日も地下格闘技の試合が行われている。

 

「赤コーナー、千草海来選手の入場です。」

 

リングアナの一声と共に、会場が暗転してスクリーンには千草海来と言う男の名前と写真が映し出される。

 

『もう大丈夫!何故って?私が来た!』

 

続いてスピーカーからは人気アニメ"僕のヒーローアカデミア"の登場キャラであるオールマイトのセリフと共に、ポップなEDM系の洋楽が流れ始める。

 

「おおー!」

 

「キター!」

 

この団体では定番の登場演出が始まると、常連客達は歓声を上げ始める。

その歓声を浴びながらステージの脇から登場したのはまさに格闘家と言えるような筋肉と金髪が特徴的な青年だった。キリっとした釣り目が印象的な整った顔立ちに、背中の鷹のタトゥーがこの試合を見に来た人々の目に入っていく。

彼こそが千草海来と言う男であり、この地下格闘技団体のエース選手である。

彼がリングに入っていくと、その中をサイドステップで一周する。

 

「さあ、ヒーロータイムだ!」

 

入場曲が鳴り止むと共に、海来が右手を高く突き出して声を上げる。

それに呼応するように観客達も歓声を上げる。

 

「彼が、この世界最強の男…」

 

そんな彼の試合を見つめる1人の青い髪の女性が居た。

その手には、大型のカメラ型デバイスが握られており、そのカメラレンズがリング上の海来に向けられている。

 

「彼ならば、この力に適応できるはず。」

 

女性がデバイス越しに見つめるリングの上。

試合開始を告げるゴングが鳴るのと同時に、海来と青いグローブの男の試合が始まる。

そのルールは寝技も可能な総合格闘技の試合らしく、青いグローブの選手が、赤いグローブを手にはめている海来にタックルを仕掛けてくる。いきなりのタックルで海来を押し倒して寝技の展開に持っていこうという魂胆であったが…

 

「見切った!?」

 

海来はその攻撃を見切ったかのように、タックルを仕掛ける相手選手の頭部目掛けて飛び膝蹴りを繰り出す。

その反射神経に、デバイスを持つ女性は驚いた様子だ。

 

「あっという間じゃねえか…」

 

そこから体制を崩して倒れた相手の頭部に、海来は上から何度も拳を振るう。

いわゆる、パウンドと言う攻撃の嵐を相手に浴びせ続けて戦意を奪い取る。

 

「一方的ね。」

 

相手の上に馬乗りになって何度も拳が振るわれ、レフェリーが試合を止める。

一方的な試合展開となったことで、レフェリーがテクニカルノックアウトを告げて試合を止める。

僅か15秒でのTKOに、会場からは歓声が上がる。圧倒的な試合内容に、デバイスを持つ女性も驚きの声を漏らす。

 

「1位だぜ!」

 

そのリングの上では、この勝利を喜んで右腕を高く突き上げる海来の姿が観客の視線を集めているのだった。

 

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今日の試合も圧勝出来て気分が良い。

 

「じゃあ、またな~」

 

勝利の余韻に浸りながら、大会後にセコンドしてくれたダチ達と別れて帰路に着く。

俺は酒は嫌いだから、あんまし打ち上げとかはしない。

試合の後も俺はさっさと帰って家で風呂にでも入るのがルーティンになっている。

 

「あの!」

 

と家に帰ろうとしていたら、可愛らしい女の人が俺に話しかけてきた。

青い髪を肩ぐらいの長さまで伸ばしたクールな印象の子だ。

もしかして俺のファンか?こんな可愛いファンがいるなんて嬉しいモンだぜ。

 

「お、サインか?それとも写真か?」

 

「ち、違います!ちょっとこっちに来てください!」

 

ファンサービスをしようかと問いかけたところ、突然その女の人に腕を引っ張られる。

 

「おいおい、なんだよ。」

 

「良いから!話さないといけないことがあるんです!」

 

と言ってその女が俺の腕を引っ張るが、俺の身体はビクとも動かない。

 

「んー!んー!」

 

俺の腕を一生懸命引っ張る彼女だが、格闘家の俺の身体はそんなんじゃ動くこともない。

 

「分かった。話聞いてやるからそんな引っ張んなって…」

 

そんな健気に引っ張られたら、流石に話を聞いてやらないと申し訳ないと思って彼女の希望に応えることにした。

 

「あ、ありがとうございます…」

 

と言うことでその女の子に連れられて俺は裏路地の方に向かう。

もしかして、告白?かと思ったけどそんな雰囲気には見えない。そもそも初対面でいきなりそんなことするとは思えねえ。

 

「で、話ってなんだ?そもそもテメエは誰だ?」

 

「私は茶谷四葉と申します。突然なんですが千草海来さん、あなたは仮面ライダーになって戦ってもらいます。」

 

「か、仮面ライダー?何言ってんだ?」

 

突然"仮面ライダーになって戦って欲しい"と言われたんだが、仮面ライダー?ってのがそもそも何かわからない。ファイターのことをよく分かんねえ名前で呼んでる格闘技団体か何かか?

 

「仮面ライダーは仮面ライダーです!あなた知らないんですか?」

 

「知ってるわけねえだろ!新しい格闘技用語か?」

 

「違います!仮面ライダーっていうのは…」

 

「見つけたぞ!茶谷四葉!」

 

「イー!イー!」

 

その四葉って女が仮面ライダーとやらについて語り出そうとした時、俺達がいる裏路地に緑色のカニみたいな怪人と、白い骨が描かれた黒タイツの奇声を発する男たちが突然入ってくる。

 

「なんだ?コイツら?」

 

「話は後です!こっちに来てください!」

 

俺は四葉に付いて行って現れた怪人達から逃げる。

 

「アイツらは何なんだ!」

 

「彼らはショッカーと言います。前世界の征服をもくろむ悪の組織です!」

 

「それって結構ヤバいんじゃ!?」

 

どうやら、さっきの奴らはこの世界を支配しようとしているヤバい連中らしい。

勝手に支配されるのは気に喰わねえ!

それにこの四葉って奴はショッカーに追われちまってるらしい。

 

「けど、仮面ライダーの力があればショッカーを倒せます。」

 

「仮面ライダーってのはヒーローみたいな奴か?」

 

「そ、そうです!」

 

「だったらさっきの話!受けてやるよ!」

 

仮面ライダーって奴の意味が少しわかった。

それはあのショッカーとかいう怪人達に対抗するヒーローらしい…

世間に見捨てられた地下格闘家の俺が、ヒーローになれるチャンスなんだ。

それに、俺らが生きてるこの世界をどこの馬の骨か分かんねえ奴らに支配されんのは気に喰わねえ!

 

「仮面ライダーになってやるよ!あの怪人とかショッカーとか全部ぶっ倒してやる!」

 

「覚悟、決めてくれたみたいですね。じゃあ、スマホ出してください。」

 

「お、おう。良いぜ。」

 

俺のスマホを出すように言われたので、そいつをポケットから出すと、そこに四葉がカメラみたいな機械を翳す。

すると2つの機械は光となって重なり、1つのスマホ型デバイスに変化する。

 

「これは…」

 

「あなたのスマホはディクリードライバーに変化しました。バッテリーは無限、カメラも高性能。電波はどこでも届きます。そして、持ち主であるあなたを仮面ライダーに変身させる機能があります。スマホから読み取ったあなたのパーソナルデータによって、あなた以外が起動できないようになっています。」

 

俺のスマホのデータって…検索履歴とか色々と見られたら気まずいんだけどまあ…俺しか使えねえみたいだしヨシ!

 

「見つけたぞ!」

 

ゲ!さっきの怪人達が俺らに追いついてきた。

ご丁寧に黒タイツ達と俺らに向けて走ってくる。

 

「とりあえず、アイツらぶっ倒せばいいんだな?で、どうやって使うんだ?」

 

「まずは、変身アプリを起動させてください。」

 

「OK!」

 

『変身者、千草海来を認識しました。』

 

ディクリードライバーの画面にあるアプリを起動させると、女の機械音声の声がスマホから流れる。

その時、俺の腰にベルトみたいなものが巻き付く。

 

「デバイスの画面部分を表に向けて、ベルトに装填してください。」

 

「おう!」

 

俺はその指示通り、ディクリードライバーをベルトに取り付ける。

 

「カードホルダーからカードを取り出して、デバイスに翳して読み込ませてください。そして、変身と唱えるんです!」

 

「このカードか!」

 

俺はベルトの右横にあるカードホルダーから、1枚のカードを取り出す。

 

「変身!」

 

『カメンライド!ディクリード!』

 

そのカードをディクリードライバーの画面に翳すと、そいつは灰色の粒子になってベルトに吸い込まれていく。

 

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『カメンライド!ディクリード!』

 

ディクリードのカメンライドカードがベルトに吸い込まれると、その画面から20個のビジョンが飛び出してくる。それらは全て1人の戦士の姿を模した、灰色のホログラムであり、それらが海来の身体と重なり、彼を1人の仮面の戦士に変化させる。

 

「これが…」

 

変身を終えた自身の腕を不思議そうに見つめる海来。

今の海来は黒のアンダースーツの上に、バーコードを模したアーマーを胸部や肩に装備していて、体の多くは金色のパーツが付いている。紫の複眼が騎士の兜を模したバイザーの中にあり、そこから自分達に迫り来るショッカーの怪人と戦闘員を睨みつけている。

 

「仮面ライダーディクリード。あなたが変身する仮面ライダーの名前です。」

 

「これが、仮面ライダーか。」

 

自身が一瞬にしてアーマーを纏っていることに驚きつつ、海来はファイティングポーズを構える。

 

「仮面ライダーだと!?だが関係ない!潰せ!」

 

「イー!イー!」

 

緑色の怪人のガニコウモルが指示を出すと、戦闘員達がナイフを手に持って仮面ライダーディクリードに襲い掛かる。

 

「初めての戦闘ですが大丈夫ですか?」

 

「問題ねえ、戦い自体はいつもやってる!」

 

腕を振り上げ、ナイフでディクリードに切りかかろうとする戦闘員。

だが、その刃が自身の身体に達することを海来は許さない。

右足を軸足とし、身体を回転させながらその戦闘員のナイフを持つ手を狙って左足で蹴りを放つ。

 

「喰らえ!」

 

さらにその左足を振り切って、身体を回転させながらその左足を着地させつつそれに合わせて右腕を振り回す。蹴りと共に放たれたバックアンドブローに戦闘員は対処しきれずにこめかみに打撃を喰らって脳を揺らして地面に倒れる。

 

「まだまだ!」

 

続いて攻撃を仕掛けてきた戦闘員の顔面に飛びつきながら膝蹴りを撃ち、地面に倒してしまうと、続いてナイフを突き出してきた戦闘員の腕を掴み、自身の方に引き寄せる。

そのまま腕を持って全身を使って戦闘員の身体を持ち上げると、その体を背負うようにして地面に投げつける。いわゆる柔道の背負い投げだ。

 

「武器ありでも、関係ねえ!」

 

海来は自身の格闘技の技を活かし、ナイフを手に持つ戦闘員達を次々と倒していく。

 

「こうなったら俺が!」

 

連れてきた戦闘員達を、素手で一掃されてしまったことでガニコウモルもディクリードに攻撃を仕掛ける。

鋏が着いた腕を振り下ろして、その刃でディクリードを切り裂こうとする。

 

「なっ…!」

 

だが、それよりも先にディクリードが右足から放ったカーフキックが、ガニコウモルの足元を刈り取る。

右足を蹴られてバランスを崩したところを、更にディクリードのパンチの押収が襲い掛かる。

 

「ラッシュだぜ!受けきれるか!?」

 

縦横無尽に放たれるディクリードのパンチは、ガニコウモルの頭部や腹部、胸部に打ち分けられていき、着実にその拳がガニコウモルの体力を削っていく。

 

「おっと」

 

ガニコウモルの甲羅が誇る強力な防御力でも、ディクリードのパンチのラッシュによるダメージが通っていき、少し足がふらついてしまう。

そこで状況を打破するために、口から溶解粉末を出すが、ディクリードはそれを瞬時に見抜いて避ける。

 

「あぶねえ…当たってたらヤバかった。」

 

ガニコウモルが吐き出した溶解粉末が地面に落ち、コンクリートが解けているのを見て、ディクリードは少し驚いた様子を見せる。もし当たっていたらと考えると、海来自身は警戒心をさらに高めてガニコウモルと向き合う。

 

「海来さん!ディクリードにも特殊な能力があります。使ってみてください!」

 

「おう!」

 

四葉の指示を受けると、ディクリードは腰のカードホルダーから3枚のカードを取り出す。

そこにはそれぞれ"SHOOT"、"PANKRATION"、"DEEPENEGY"と書かれている。

その内のSHOOTのカードを、ディクリードライバーに読み込ませる。

 

『アタックライド!シュート!』

 

すると、ディクリードの両腕が青色のエネルギーを帯びる。

 

「その拳を撃ち出してください!」

 

「分かった!」

 

その状態でディクリードがシャドーボクシングをするように、パンチを打つ動作をすると、青いエネルギーが球状になってその動きに合わせて撃ち出されていく。

次々と放たれる青いエネルギー弾が、ガニコウモルに迫り、その強固な甲羅にぶつかっていく。

エネルギー弾を受けたガニコウモルの身体から、次々と火花を散らしていく。

 

「すげえ!これ強いぞ!」

 

1枚のカードで十数発のエネルギー弾を連発できるその力に、驚きつつもディクリードはガニコウモルへの攻勢の手を止めない。

 

「喰らいやがれ!」

 

再びガニコウモルに接近すると、腹部に向けてパンチを放ち、ガニコウモルの腹部の甲羅を打ち砕く。

 

「キイエェ―!」

 

先程のエネルギー弾と、ディクリードの拳が自身の甲羅を打ち砕いたことに驚きの声を上げるガニコウモル。防御力には彼自身かなり自信を持っていただけに、それが突破されてしまったことでディクリードの力をその身で感じてしまうこととなった。

 

「さて、稲妻を落としてやるぜ!」

 

『ファイナルアタックライド!ディ・ディ・ディ・ディクリード!』

 

そして狼狽えるガニコウモルにトドメを刺すために、ディクリードは新たなカードを取り出してディクリードライバーに読み込ませる。ドライバーの画面から現れた20枚のカード型のエネルギーがディクリードとガニコウモルの間に現れる。

 

「トウッ!」

 

そして一気に飛び上がると、そのカード達もディクリード自身に追従していき、それぞれが重なってディクリードの身体に吸収されていく。

 

「ハアアアァァァ!!」

 

右足を突き出した状態でガニコウモルに向けて突き進んでいって、そのキックがガニコウモルの胸部に突き刺さる。

 

「キィー!」

 

その足から流れ出るエネルギーがガニコウモルの身体に流れ込み、その負荷に耐えられなくなった怪人の身体は吹き飛ばされていきながら爆発する。

 

「これで、全員か…」

 

ガニコウモルと彼が率いる戦闘員を撃破できたことを確認すると、変身を解除して海来は生身の自分を晒す。

 

「見事でした、海来さん。」

 

「当然だ。で、これからどうすれば良い?今後もこいつらは来るんだろ?」

 

「ええ、戦い続けなければいけません。なので、私と共に来てください。」

 

これからも怪人はやってくる。そのことが分かっているため、海来も次なる戦いに挑む覚悟を既に決めている。

そんな彼を連れて、四葉は歩き出そうとする。

 

「で、どこに行くんだ?」

 

「我々の秘密基地に向かいます。ショッカーに対抗する組織、"BRAVE"の…」




千草海来 (ちぐさかいき)/仮面ライダーディクリード
24歳
CV豊永利行
大阪府を拠点に活躍する地下格闘家。
アルバイトをしながら地下格闘技の試合に出続けている。
目は釣り目で整った顔立ちをしており、髪は金色に染めている。
身長175cm、体重70kg、体格は筋肉質で服の上からでも分かるほど筋肉が付いている。
背中には大きめの鷹のタトゥーが入っている。
熱くなりやすい性格で、正義感が強い。
テンションが上がりやすく、周りからうるさいと言われてしまうこともある。
喜怒哀楽が表に出やすく、割と素直。

主人公の入場曲のイメージ
https://youtu.be/Vhd3KXq-Mfo
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