『オーグマー』。
次世代ウェアラブル・マルチデバイスであるそれは、AR技術を活用したものであり、世に発表されると瞬く間にユーザーが増え、その便利さ、手軽さ、高機能さですぐにスマホの立場を危うくし今では街ゆく人の大半が装着して皆が皆、虚空に向かって手を振っているというひと昔前の常識から見ればなかなかに面白い光景を作っている。
それに加えてそのオーグマーの熱をさらに熱くしているのが、新たなゲームの登場である。
名前は、『オーディナル・スケール』。
それをプレイするには家の外に出て、しかも体を動かさなければいけないので今までゲームの覇権を握っていたフルダイブ型VRゲームからは一見退化していて、だいぶ昔に流行ったVRギアを着け、手にコントローラーを持ちながら家の中で頑張って体を動かしてプレイするという、フルダイブ型VRで育った世代からすると「なんだこれ?VR詐欺か?」と言われてしまうようなVRゲームを思い起こさせる、ARゲームとなっている。
だが、その要素をポジティブに考え、健康にいい!!という面を押し出すとともに、一般の企業と協力してプレイヤーには特典をつけるなど、フルダイブ型VRの弱点をうまく突いてサービスを開始し、社会に広く受け入れられ人気を博した。
さらに言うなら、フルダイブ機能が非搭載ということで社会に広くトラウマを残した『ソードアート・オンライン』のような事件が起こる可能性が皆無、という点もフルダイブ型VRに苦手意識を持っている人を引き込める要因となり、ユーザーを増やせることが出来た一つの理由だろう。
そして、かく言うフルダイブに苦手意識を持っていた比企谷八幡も、その点が魅力に感じオーディナル・スケールを始めた一人というわけだ。
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奉仕部の依頼が全くといってないため活動中と言っていいのか微妙だが、とにかく活動中。
オーグマーを使い、電子なためガガガ文庫特有の青さが堪能できなくなり少々悲しくなったガガガ文庫の電子書籍を読んでいる俺の視界に、アラームでセットしていた時間になったことを知らせるためにでかでかと「時間になったよー!!」という旨の真っ赤な文字が発生して読書が続行できなくなる。
ふむ、この律儀に約束を守ってくれつつも、邪険に約束を果たす感じがなかなかのツンデレ具合を見せてくれる。そうか、オーグマーは萌えアイテムだったか⋯⋯!
「雪ノ下」
「何かしらビクリ谷くん。正直いきなりそう発作を起こされても困るのだけれど。全く、倒れるなら潔く倒れてほしいわ」
「いや、発作じゃねえし倒れねえわ。てかなに?そんなに俺に倒れてほしいの?」
「ええ、あなたのその顔はあるだけで雰囲気を悪くするもの。なら、淘汰されるべきなのよ。⋯⋯ああ、そういえばあなたはゾンビだったから倒れなかったのね。全くしぶといわね」
「いや言い過ぎ言い過ぎ、なんで名前呼んだだけでこんなに罵倒されなきゃいけないの俺?あとゾンビじゃねえし。アラームだアラーム。お前もあるだろアラームでビクつくことぐらい。⋯⋯ただ、連絡があってな。活動中悪いんだが、帰っていいか?」
雪ノ下にちょっと業務連絡をしようとしただけでこの罵倒具合。逆の安心できてしまっている俺がどこかに⋯⋯、いや決してMじゃないよ?ほんとだよ?ハチマンウソツカナイ。
「また、ヒッキー?この前もそう言って帰ったよね?」
「確かに、あなた最近部活動を放棄しすぎではなくて?さすがに目に余るわよ?」
ぐ、さすがに最近特に理由を言わずに帰っていたツケが回ってきてしまった。
「実はアレがアレでアレでな、帰らなきゃいけなくてな」
「あなた最近部活動を放棄しすぎではなくて?さすがに目に余るわよ?」
「いやだからアレがアレで⋯⋯」
「あなた最近部活動を放棄しすぎではなくて?さすがに目に余るわよ?」
「⋯⋯」
「あなた最近部活動を⋯⋯」
「いや分かったから、その誰も得しない無限ループはやめてくれお願いだから⋯⋯」
「なら早く理由を言って頂戴。そもそもあなたが理由をこっちにキチンと伝えてくれていたならこう詰めることもなかったのよ?」
いやそうなんだが、ぐうの音も出ないほどにこっちに非があるのだが⋯⋯。
問題は、理由を言ったところでこいつが納得してくれるかなんだよなあ。
はあ、覚悟決めるしかないか。
「⋯⋯オーディナル・スケールだ」
「?」
なかなか勇気が出せず、ぼそっと言ってしまったから聞こえなかった二人は首をかしげる。
「オーディナル・スケール。最近有名だから知ってるだろ?そいつで5時からイベントがあんだよ。それに行きたくてな」
「なるほど、つまりゲームじゃない。そんな理由で帰るつもりなの?私は許可しないわよ。そもそもあなたには一緒にプレイする人もいないでしょうに」
やっぱり、許してくれないか。⋯⋯何とか説得するしかない、か。
幸い、オーディナル・スケールは説得に役立つ要素がたくさんある。
「いや確かにソロプレイなんだが、俺もなかなかの上位ランカーでな、イベントってなると俺のアカウントに参加要請がいっぱい来んだよ」
「なっ⋯⋯!?比企谷くんが上位ランカーですって⋯⋯?」
「へーっ、ヒッキーすごいんだねっ!」
ふっはは、俺が雪ノ下を驚愕させることが出来るとはな。なかなかに気持ちがいい。
「あと言っておくがな、あのゲームを甘く見ない方がいいぞ。特典でなかなか良いものを貰っているし、めっちゃ動くから体も鍛えられる。何より、外に出て、社会に広く受け入れられているゲームのコミュニティで活動しているということは俺にとってかなりの成長だと思うんだが?」
「⋯⋯確かに、その意見には一理あるわね。⋯⋯はあ、比企谷君、あなたはその参加要請にもうイエスと答えてしまっているのかしら?」
「ああ、受託してもうあっちでは俺がいる前提で作戦が立ってる」
「⋯⋯はあ、仕方ないわね、許すわ。頑張ってきなさい」
「え?ゆきのんいいの?ゲームだよ?」
よっしゃ、許可とってやったぜ。これでもう奉仕部公認だな。これからは気負わずにイベントに行けるぜ。
「考え方を変えるのよ由比ヶ浜さん。今やゲームはeスポーツもあって立派な生活手段の一つだわ。そして上位ランカーである比企谷君は奉仕部所属。なら奉仕部としては誇って彼を送り出すべきなのよ」
「あ、たしかに!ヒッキー!」
「お、おう。なんだ?」
いきなり由比ヶ浜に呼ばれて言いよどむ。全く、陰キャにとっては大きい声ってだけでもダメージを受ける要因の一つになり得ると何度も注意しただろ?⋯⋯いやしてないけどさ。
「頑張ってね!ヒッキーは奉仕部の誇りだよ!」
「⋯⋯おう、りょーかい。ま、頑張ってくるわ」
由比ヶ浜からの激励を貰ったところで時計を見ると割と時間が経ってしまっている。
じゃ、そろそろ行きますかね。
「じゃ、行ってくるわ。⋯⋯あと、この時間帯にイベントが発生するのは期間限定でな、それが終わったらちゃんと居られるから」
「ええ、分かったわ、いってらっしゃい。⋯⋯ああ、ちょっとまって比企谷君。あなた、ランキングは何位なの?」
部室から片足が出たところで引き止められて疑問を投げられる。
⋯⋯俺のランキング、ね。
「───8位だ。ちょっと調べたらエイトマンって名前があるはずだ」
感想、評価ください!
作者はなんかあらすじ考えるの苦手で、この作品を書き始めた当初にテキトーに考えたあらすじを今も使ってるんですが、いかんせん雑すぎるというか、心残りがあるので質問です。 あらすじを変えるべき?
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変えるべき
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そのままで