戦場帰りサイボーグと受付嬢   作:けんけんぱん

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王都到着。

 

 

 

 

 

 

 

 

 道中色々と……なんか盗賊が居たりデカい猪の巣があったりしたが、まあなんやかんや王都に到着した。

 

正確に言うと検問の列に、だが。

 

 

 

 15年ぶりの景色なら、多少は感慨深くなるかと思ったが……うん。なんか無駄に豪華だなーって感想しかないわ。というかあんなキラキラの壁ってちゃんと硬さはあるんかね?いざという時にすぐ砕かれそうなんだが。

 

 

 道中で貰った肉を齧ったり、ミニサンドイッチを作っていたりすると気が付けば検問に着いていた。外から御者が受け答えをしているのが聞こえる。

 

 

「中の方、検査の為出てきてもらってよろしいでしょうか。」

 

分かりました、と大きめに返事をして馬車から降りる。ローブは…まあどうせ脱がされるだろうから脱いどくか。

 

 

 私と目が合うと、金髪の若い衛兵はポカンとした顔で見上げてくる。

まあ全身金属の人間なんてそうそういないから驚くのも無理はないか。

 

 

 

 数秒は驚きが隠せない様子だった彼女も、流石プロと言うべきかすぐに真顔に戻って質問をしてくる。

 

 

「ご職業は?」

 

「元軍人、いや一応まだ現役だっけ?タナカ。」

 

「国の危機の時に駆り出される特殊な予備役、といった感じだ。まあどちらとも言えるが……現役を名乗っていいと思うぞ。」

 

「年齢と出身をお願いします。」

 

「32。出身はこの国だよ。」

 

「了解しました……」

「ところで、一つ。個人的な質問なのですがお聞きしてもよろしいでしょうか?」

 

「いいよ、何だって聞いてくれ」

 

「……その。お二人は前線帰りの方でしょうか。」

 

特に隠すことでもないので、正直に答える。

 

「おう、俺も後ろのこいつも、()()()さ。」

 

 

それを聞いた瞬間、先ほどまでは真顔だった彼女の表情が少し和らぎ、軽い尊敬の情を感じる顔に変わる。

 

 

「なる、ほど。」

「お疲れ様です。後ろのタナカさん、どうぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タナカの方もさっさと応答は終わり、ようやく王都に到着、といった感じか。

 

御者は予定が少し遅れたせいか私達を降ろすといそいそと馬車を走らせてどこかに行き、残されたのは

大きめの広場で金が入った袋と食料だけを持った私とタナカ。

 

 

「何する?」

 

「とりあえず飲みましょうか。中央の方にいい酒場があるんです。潰れてなければいいんですが。」

 

中央、というのは中央区の事で…王都には東西南北、北東南東南西北西の八区と中央区があり、

最も発展しているのが中央区でそこには多種多様な店があるのだ。

 

「ん。あと俺はタバコの補充もしねえと。」

 

 

 

 そんなこんなで歩き始めた私達だったが、視線が多い。原因は私の体もあるだろうが……一番は、タナカの顔だろう。

こいつは極めて顔が良い。俺の人生で会ってきた人間の中で一番顔が良かったのは誰か、と聞かれたら間違いなくタナカを選ぶくらいには。

 

 

 なんかチマチマと少し()()()な女性がタナカの顔をガン見して、隣の私を見てそそくさと遠ざかるというね、ちょっと失礼な行動を繰り返されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いやぁあっぁ飲んだ。タナカが推すだけはあった。つまみも酒も少し高いがそれに見合う味だった。

戦場ではいつ襲撃があるか分からなかったので思う存分は飲めなかった酒も、あえて疑似臓器を弱めてから飲むことによって久々に()()()

 

気分がいい。店はもう去ったが、なんだかやけに気分がいい。

 

 

こう、ね。戦争終わった!って実感するねぇ、酒は偉大だよ。

 

 

 

 タナカは先に宿を取りに行ったらしい。夜になったらこの酒場前で集合だと。

 

 

酒場で聞いておいたギルドとやらに向かおう、と足を踏み出すとふらっと足が揺らいだ。

千鳥足か。

 

 

15年ぶりの千鳥足、なんだか良い気分だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 教えてもらった位置通りにギルドはあった。レンガ造りの建物は横にも縦にも長く、大きな扉は開けっ放しにされている。

 

中に入ると奥の方に酒場らしき場所があり、そこには酔っぱらった男共女共がわんさか。その中を店の見習いであろう子供がこまごまと動き回っていて可愛らしい。

 

次に目を引くのは、入口の横に広がる受付?らしき場所だ。

そこには中々に容姿がいい男女が並んでいて――それぞれに列が出来ている。分かりやすく可愛い女の所におっさんが、男の所に女が…たまに男が。

 

 

 

 

 

 

 ……私の姿に気付いた人々がこちらを注視してきて、なんとなく居心地が悪い。

 

 

 

 

 

 

「初めての方はこちらへお越しください。」

 

 

もじもじと立ち尽くす、私の耳に凛とした声が届いた。

 

 

声がした方を向くと、そこには『初心者案内所』と書かれた吊り看板と――

それらしき受付が。ここからだと少し見えにくいが、彼女の見た目は……

 

「どうぞこちらへ。」

 

 

 

……っと、行くか。

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