最後に言い残す事は(第二部開始)   作:かりん2022

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大ピンチ

夏油は焦っていた。

理由は我が子の躍進である。

ちょっと待って、私、子供に負けてない?

それもこれも、悟が子供に掛かりきりになってせっせと呪霊を取り込ませているからである。

3級未満は問答無用で取り込めるし、1級でも悟が弱らせれば取り込める。

特級呪霊を狙ってみようか、なんて話しているのも聞いてしまった。

 

その上、私は家にいろ、である。これは酷い。

 

ちょっと焦り始めた私は、伊地知に特級任務を求めた。

 

「困ります、困りますよ、夏油さん!」

「ちょっとだけだからさ」

「特級がちょっとなわけないでしょう!? 安定期入ったとはいえ、妊婦さんは大人しくしててください!」

「そこをなんとか!」

「なりません!」

 

 いい争っている間に、悟が私を後ろから抱きしめた。

 

「すーぐーる。やんちゃは産んでからにして」

「また我儘言ってるんですか。喰空くんも心配してるんですよ」

 

 伏黒はいい、喰空も心配そうにする。

 

「私は喰空に負けるわけには行かないんだよ!」

「子供相手に何ムキになってるんですか……」

「傑。僕は次期当主だから、一族を守るために強くならないとなんだよ」

「出来た子だ……!」

「誰が出来てない親だ!!」

「そんな事は言ってないでしょう!」

 

 振り払って去ろうとするけど、悟の力が強い。

 

「僕もう、お前の不安とか逃さないようにしてんの。不満があるならちゃんと言えよ」

「私はやれる! 私だってやれる!! 私だって最強なんだ」

「サイキョウ……? それはちょっと奢りすぎなんじゃないの?」

 

 喰空が疑問の声を出す。

 何せ、喰空のいた世界は個性社会。

 人類の数%にも満たない術師とは違うのである。

 八割が個性持ちの中で、次世代の方が強い個性を持つ中で、揉まれてきたのだ。

 っていうか、傑もそうなはずでは。保育園で散々泣かされてきたのはなんだったんだよ。喰空がそう思うのも無理はなかった。

 

「保育園(の教師)から出直してこいよ。傑、八割非術師のぬるま湯に慣れるの早すぎ。そんなの誰だって無双できて当然じゃん。上には上がいるって簡単なことまで忘れちゃった? 保育園で泣かされて育って、保育園の子供に四苦八苦する先生生活送って、どうして謎の自信を保てんだよ」

 

 喰空はヒーロー社会で生きて、ヒーローに憧れてきた。

 喰空は間違いなく善良である。だがしかし、煽りにかけて右に出るものはいないと言われる2人の子供でもあるのだった。

 

「だから強くなるんじゃないか! 協力してくれないならもういい、自力で呪霊を探してみせる!」

「だからダメだって!」

「離せ! 君も馬鹿にしてるのか、悟!!」

「お前と腹の子が狙われて攫われたばっかだろ、呪霊だけじゃないんだ。あと7ヶ月大人しくしてろって。あ、そうだ! 傑に頼みたい事があるんだ。傑にしか頼めない!」

「そんな言い逃れを……!」

「ほら、僕忙しすぎて、あんまり生徒たち見てやれてないんだよ。年齢は違えど、傑だって教師してたんだろ。僕がいない間、生徒たちの事を頼みたいんだ」

「えっ ぐっ 夏油さんに担任をしてもらいたいです!」

 

 一瞬驚き、五条に突かれ、伏黒はお願いする。

 

「ね、お願い」

「お願いします!」

「……仕方ないな」

 

 そんなわけで、夏油は一年生の担任になったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 伏黒は百葉箱の前で呆然とした。

 

「夏油先生。宿儺の指がないんですけど」

『それは大変だね! すぐに行くよ!!』

「臨月近いんだから大人しくしててください。こっちはこっちでなんとかしますから」

『大丈夫だって。うっ いっった』

 

 バタバタする声が聞こえる。陣痛という声も聞こえた。

 なんだか大変そうで、伏黒は深いため息をついた。

 

 このままだと、五条先生も駄目そうだろう。

 担任が2倍になったのに手間が2倍になった気がする。

 面倒臭い人物が増えたので。

 喰空は別。彼はいい子だ。伏黒を兄と呼んでくれる。自分もくーと呼んだりする。

 伏黒としてはありえないほどデレッデレの対応である。

 彼のするいろいろな個性の持ち主の話はインスピレーションの助けにもなる。

 見切りをつけて、調査に戻る伏黒。

 

 虎杖と出会い、沢山の呪霊に追われ。

 大ピンチに、彼が来た。

 

 

 

 

数多の呪霊が玉となって宿儺の指と共に虚空に吸われていく。

 

 

 

 

「もう大丈夫! 俺が来た!」

 

 大好きだというヒーローの口真似をする可愛い弟分。

 弟分の大失態に伏黒は大いに焦った。

 

 

「くー! ぺっしなさい! ぺっ!!!」

「? !!!!!!」

 

 大ピンチである。




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