「揃ったようじゃな!」
そこに、かつて会った占い師の女の子が現れた。
「占い師の女の子!?」
「お主らの身柄はこの天才占い師、智糸様が預かったぞい! 具体的にはお主らを狙う悪意から10年間匿うぞい!」
「私達を狙う悪意……?」
「五条悟の弱み兼、有用な術式と器!」
ビシッと私を指差す。
「五条悟、及び夏油傑を弱らせる材料!」
ビシッと灰原を指差す。
「お主らは狙われておったのじゃ!! 敵は総監部じゃからな。一時助けたとしても最終的には逃れられなかったじゃろう。具体的には任務を許容量以上に詰め込んだり、等級詐欺依頼に放り込んだりな。環境がブラックすぎて、忙しくとも等級がおかしくとも不自然でもない環境じゃし。今は身を隠し、力を磨くのじゃ」
「総監部が敵? 一体何故。それにその理屈だと、悟も狙われていることになる」
思ってもいないことに、戸惑いながら問いかける。
「その通りじゃ! 話は1000年前に遡るのじゃが、因縁があるのじゃ。五条悟当人の知らぬ因縁がな。じゃが、五条悟1人なら、成人までは五条家が守るじゃろう」
「待ってください、七海は!?」
「それゆえに呪術界から離れよという忠告じゃ」
悟をそんな悪意の中に置いておくなんて心が痛む。隣に立つ力さえないというのか……。しかし、力を磨くと言っても。
「力を磨くと言っても、私は呪霊を取り込んで強くなるんだが?」
「この箱庭は、地球の位相空間じゃ。つまり、領域や帳の中に引っ込んでいる呪霊に干渉する事ができるハイパーな空間なのじゃ! 食料と教育用のあれこれ、衣服は私が用意するので心配するでないぞ」
「それは分かりましたが、妊娠させられたのは?」
それについては大いに文句を言いたい。
「白飴は呪霊の呪力を取り込み、孕めるのじゃ。総監部の背後に、数多の呪霊と呪詛師を従える者がおる。特級呪霊も然り。それに対抗する為じゃ」
「黒飴は?」
「両親の素養を受け継ぐ子を孕めるのじゃ。黒幕は宿儺の復活をも目論んでおる。今のままでは、五条は宿儺に勝てん。ゆえのテコ入れじゃ」
そして、智糸は指折り数える。
「未来は変わった、はずじゃ。お主が術式と体を奪われる事を防いだ事によるプラス。お主が呪詛師になる事で、得られる味方が得られなくなるマイナス。子供のプラス。お主たち自身の戦力のプラス。これで勝てると良いのじゃが……。黒幕は悪意の化身。好奇心で日本人を一つの呪霊にする企みをするような奴じゃ。これで勝てると良いのじゃが……」
とりあえず、悪意はないようだった。
今まで言ってきた事は当たっていたし、道具も本物。
助けられたのも事実なんだろう。
悟の子供を狙った可能性もあるし、完全に信じたわけではないし、他に方法は無かったのかとか、何者なのかとか、色々疑問はあるけれど……。
ひとまず、私達は箱庭の中で子供達を育てる事にしたのだった。