灰原の子供は雄人と名付けられた。
私の子供の名前は、勝と渡と名付けた。
将来、勝てますようにと。未来への橋を渡れますようにと。
戸籍の手続きはこっそり智糸がしてくれた。
3人とも、くっそ強かった。
雄人は呪力や術式も強いが、呪霊時代の記憶が薄ら残っていて傲岸不遜。
術式は雷龍浄化。反転術式の雷を落とす、雷を無理やり弱点属性にして打ち込むなどやりたい放題の龍の使役である。式神形式もできるし、一体化して龍人化……爪を伸ばす事などもできる。
勝は六眼無下限呪霊変具。
渡は交眼転移封具生成。
ちなみに呪霊変具とは、呪霊を道具に変える構築術式もどきである。
勝もやばいのだが、渡もやばい。むしろ、渡こそ五条家の血と夏油の血のハイブリッドと言える。
視界のシャッフル、つまり違いが望んだ人や呪霊との視界共有が出来る他、呪霊を誰でも使役可能な形の、いわばモンスターボール的なものが作れてしまうのだ。使用は極めて簡単で、呪霊に投げるだけ。効率は劣るが、非術師にも出来てしまう。しかも、呪霊は呪具の持ち主に従う。呪紙や呪糸を生成しての封印なども得意だ。
やばすぎる上に本人の身を守る術式としては転移があれば十分。
狙われる可能性はとても高いので、しっかり育てなくてはならない。
子育てはとても大変だった。
クッソ大変だった。
生活資金をやりくりする智糸も大変だが、ほんっとうに大変だった。
1人途中で増えたしね。
そして、10年が経った。
「私は頑張った!!!!! 後は任せたのじゃ!!」
「ありがとう。智糸さん」
「全部上手くいったらお礼します」
解放されたのは帳の中。
真人退治の只中である。
「傑は何もしないでね!」
「僕と勝で競争だね♡」
「特級呪霊か、腕がなるのぉ」
「夏油さん、見ててください!」
「夏油さん、サポートは任せて!」
「夏油さん、五人は俺が守ります!」
止める間もなくターッと行ってしまう子供達。しかもばらけて。
「あっ 駄目だってば!」
子供達の躾は難しい。
雄人と順平は体育館で対峙していた。
「君達は一体?」
「灰原 雄人! 呪霊に騙されし哀れなる人の子よ、お主の母はこちらで保護しておる。この紙に書いてあるホテルでぐっすりじゃ!」
「母さんが!?」
「大体、普通のいじめっ子ごときに宿儺の指なんぞ用意できるはずがなかろう! お主だってわかっとるはずじゃ、本当の犯人が! 取り返しがつくうちに、疾く生徒達を目覚めさせよ!」
「僕は……!」
「さあ、この手を取るのじゃ!」
「君は、君はなんでそんな事を知ってる!? 何がわかるって言うんだ! 僕は!!」
「ええい、お主は母を助けたいのか復讐をしたいのかどっちじゃ! 片方しか叶わんぞ! どうせお前がこのまま凶行を行えば母も巻き添えになるのじゃからな!」
「っ!!」
その時、体育館に駆け込んでくる者がいた。
「順平!!!」
「虎杖くん!」
「順平、なんだよこれ! まさか、その子供がやったのか!? えっ ナナミンにそっくり!?」
「違う、これは僕が……!」
「なんで、順平!」
「っ わかった。君達に従うよ」
「順平!!!」
そこに、子供が転移してくる。
「雄人! 皆が負けちゃう!」
「む、こうしてはおれん! 順平、自らの手で決着をつけるのじゃ!」
「そ、れは……! 真人さんは……!」
「順平!」
そして消える一行。
虎杖は慌てて順平達を探した。
「よくも邪魔してくれたよね、お前ら何者?」
首を絞められながら、余裕の表情で真人は問う。
「ガッハ」
利久が異形化してないのは奇跡だった。
怪我をする利久、呪具を掲げて利久を庇う勝、携帯カメラで癒す菜々子。
美々子はギリギリと真人を縛り上げている。
攻撃力が足りなかった。
呪力で強化しているとはいえ、子供の筋力。
呪具の力は申し分なくとも、相手の素早さや力に対応するのは難しい。
「これが特級……これが、実戦!!」
今までは、なんだかんだ言って夏油達という圧倒的庇護があった。
それがないとこんなものか。勝は歯噛みする。
真人は菜々子の術式を振り払って暴れ出す。
「真人さん、何故僕の母を!?」
「あー。バレちゃった? ざぁーんねん」
真人、余裕の微笑み。
「その攻撃を止める力、無限だよね。その目隠しといい、最強の術師五条悟の子供かな。それが化け物になったら、どんな顔をするだろう。ワクワクするなぁ!」
無限を呪力で無理やり突破。
腕を縄で釣って美々子が強制離脱させる。
「やらせない!」
「じゃあまず君にする」
「!!」
「美々子ねぇ!!」
「可愛い娘に何か?」
遊雲による一撃。
夏油傑である!!!!!!
「君は、ターゲットの……!」
「あ、やっぱりまだ狙われてるんだね、私」
「今日は大漁みたいだね!」
「網を食い破られなければの話だけどね!」
「夏油さん、これ、七海到着前に離脱出来ます?」
駆けつけてきた灰原に問われ。
「難しい、かもね」
襲いかかってくるのを遊雲を振って一撃、したら残ったのは皮だった。
逃げられたのである。
「離脱するよ」
「父様なのじゃ!」
「「げっ」」
「灰原……! 何故ここに! 私がここで死ぬ運命だったとでもいうのですか?」
「ううん。君は今年のハロウィンに死ぬ予定。準備があるから、またね!」
「お待ちなさい!」
そうして、一行は姿を消した。
「良かった、母さん……!!」
ホテル室内。涙を流して再会を喜ぶ順平。
それにもらい泣きする一行。
「僕も父様と感動の再会する♡」
「いいよ。おいで。君も」
「「父様ー♡」」
ギギギ、と振り返ると、青筋たてた五条が渡と勝に優しく呪符を巻いてぎゅっと確保していた。
「あー、悟? 久しいね……」
「傑。この10年。どうやって僕の追跡を誤魔化してたかは知らないけど、ようやく出て来たんだ。ちょっと大事な話がある……」
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