「マンション出てきてよかったのか?」
「ハロウィンまで隠れ住む位の資金はあるしね」
大いに誤解されるような写真をばら撒いてから来たのは、意趣返しだ。
何せ、継子は夏油傑そっくりだった。写真越しなら魂の判別とやらも出来まい。
「慌ててるだろうな、五条先生」
「悪い奴ー」
「何よ、止めなかったくせに」
「だって、なぁ」
夏油傑を救う事は出来ない。もう過ちを犯してしまった後だから。
だから仕方ない。仕方ないし、夏油傑の望み通りでもあるのだが、それでも殺されてしまった事には恨み言を言いたいわけで。特に喰霊の父は、夏油傑なわけで。
そうなると、眼空糸も最愛の妹を悲しませた実の父に思うところがあるわけで。
「それにさ。個性を得たからには、なるでしょ、ヒーロー」
「当然。渋谷事変は俺達の手でなんとかしてやろうぜ」
思い上がった子供が二人。雑踏へと消えていく。
その頃、マンションでは。
「どこだよ、子供っ!!! まじで俺と傑の子供!? 覚えないんですけど!!」
写真を見てふるふると震える五条悟。
写真には確かに、女体化した夏油傑にしか見えない女の子と男女の子供が写っていた。五条悟そっくりで一目で六眼とわかる眼の男の子に、夏油傑そっくりの黒髪の女の子。五百年に一度の六眼をどうやって二代続けて作ったとか、色々言いたいことがあるのだが。
大事なことは、マンションがもぬけの殻ということ。
誰かに攫われたのか、自分達の意思で出ていったのかすらわからない。
事情を話そうにも、なんと言えばいいのか。
途方に暮れる最強様だった。
結局、硝子には相談したのだが。
「クズ。くず。屑。どうやって作った。なんで私に取り上げさせなかった」
「知らないよ!? 本当に覚えないから!!」
「でも写真には写っているようだが?」
「そうなんだよね。懸賞金を……いや、却って危ない。秘密裏に信頼できる相手に話して、捜索の手を広げるしかないね」
「私の方でも情報は集めておく」
「お願いするよ、硝子」
そうして、五条は気づく。気づいてしまう。
「あ」
「なんだ」
「傑そっくりの女の子に、一回だけワンナイトラブした事がある」
「なるほど、本人だった……と。体の大きさが違いすぎるが、双子ということか?」
「いや、あれは傑じゃなかった。傑そっくりだったけど」
「ほんとかぁ〜?」
「本当だって!」
「でもまあ、傑そっくりの別人って事なら、お前と傑に似ている説明はつくな。二人目は傑とそのそっくりさんの間の子かもしれないし」
「だよね」
「だがそれ、偶然か?」
「さあ……? そもそも、あの子、呪力を持たない天与呪縛でもなさそうな子だったよ。傑が手を出しそうにないんだけど」
「そんな存在がいるのか?」
「僕も不思議には思ったんだけど……あの時は、ちょっと精神的に追い詰められてて」
「はぁ……傑は一人っ子だったはずだしな」
謎は深まるばかりである。
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