最後に言い残す事は(第二部開始)   作:かりん2022

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けんこーしんだん

「ほ、本当に六眼だ……あり得ない。その上術式二つだし、そっちの子はよくわからない呪霊操術の完全上位互換だし。傑の呪霊操術だって二代続くのはあり得ないって断言できるほどレア中のレアだぞ……」

「せんせー、腰が引けてる」

「それで、貴方達二人は、五条さんと夏油さんの子供だと?」

「「そうだよ!」」

「元気なお返事でよろしい」

 

 はぁぁ、とため息をつく七海。

 新しい血が交わると、優秀な子が生まれることがあるという。

 発現率が高く、より強くなる特性のある個性と術式が上手い具合に噛み合った末の結果であり、母である継子の真の個性、次世代強化の個性によるものなのだが、そんな事は五条達にわかるはずがない。

 

「あれですか。何かのトラブルで性転換と呪力を失ってしまった夏油さんと偶然あってワンナイトラブしてこの子達ができたという事ですか」

「いや、僕が傑を見間違えるはずがない。彼女は確かにそっくりだけど別人だったはず……!」

「別に僕は認知してもらわなくても、喰霊と二人で強く生きていけるけど」

「いや、認知はする。二人ともするよ。させてください」

「私も?」

「そうだよ。えっと、僕は五条悟。君たちの父親だ。君たちの名前は?」

 

 潔く父と名乗り、しゃがみ込んで視線を合わせて問いかける五条。

 

「眼球の空の糸と書いてがくし!」

「喰らう霊とか書いてくれい!」

「わあ、キラキラしてるー……」

 

 思わず遠い目をする一同である。

 

「名付けは伝統だからね!」

「それどこの伝統? 傑は一般出身のはずだけど」

「ヒーローの伝統」

「ヒーローもの好きなの?」

「「好きー!!」」

 

 虎杖の質問に、元気なお答えである。

 

「確かに傑はそういうとこあったよな……。で、君らマンション出て、どうやって生活してたわけ?」

「狩りしたり野宿したり川で体洗ったり」

「困ったらコンビニでご飯買えたし」

「やめて!? お願いだから文明的な生活をしよう」

「まずは健康診断ですね……」

 

 

 そうして、ちびちゃん達はお持ち帰りされたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ということで。二人とも認知シマス」

 

 男の子と女の子を抱えた五条は、神妙に告げた。

 

「どういうことだ、悟ぅ!!」

「マジか、マジなのか」

 

 夜蛾学長が叫ぶ。プププと硝子は笑う。気持ちはわかる。

 

「えっとね。多分、ワンナイトラブした女の子が子供産んで、直後に傑とも子作りしてた、と思うのだけど」

「そんな事あるのか!?」

 

 あるのである。

 子供達は、まさか真実を看破されたとは思っておらず、びっくりして五条を見上げていた。

 

「狙ってやったのか偶然かはわかんないけど。多分。しかも、子供達が僕達の上位互換。見た時、本当に僕と傑の子かと思ってめちゃくちゃ焦った」

「はあ!?」

「上位互換っていうか、僕の能力プラス糸を操る術式持ってんだよね、眼空糸。あ、男の子の方は眼球の空の糸とかいて「がくし」ね。凄い名前。女の子の名前は、喰らう霊とかいて「くれい」。喰霊は呪霊だけじゃなくて、例えばカラスを食べれば空を飛ぶ力を一時的に得るし。食べるのも腕が巨大な口になってだから、人間なのを疑うくらい。母親がよっぽど特殊な体質だったんだろうね。死んじゃったみたいだけど。めちゃくちゃ強いよ、この二人の術式。まあ、対外的にはもう僕と傑の子って言っちゃおうかと思ってる」

「正気か」

「いいの?」

 

 喰霊ちゃんは初めて申し訳なさそうに問うた。

 その頭を優しく撫でる。

 

「喰霊を放置はできないでしょ。傑の子となると風当たりも強くなるし、僕の元でしっかり保護して教育したい。眼空糸の風当たりも強くなるけど」

「全然いいよ! 僕ヒーローだし!」

「そのヒーローってのも早めに矯正しないとねー。傑も多分それで折れたんだし」

「しかし……それで通るのか……!?」

「本当の事いうより通ると思うけど」

「まあ、まずは健康診断だな。予防注射とか、ちゃんとしてるか?」

「あー。してない」

「そういえばしてないね」

「生まれてから? 一度も?」

「そうね」

「そうな」

「まずそっちからだな」

 

 そして二人の大脱走が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヂュウシャいやぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「あああああああああん!!!」

「ヒーローは注射なんかに負けない、だろ?」

 

 肩で息をして、五条は子供達を押さえつける。

 五条を手こずらせるその偉業を容易く成し遂げた子供達は、腕を押さえて泣いていた。でも子供達よ、五条が取り押さえた時に負った傷の方が深いのだが、それはいいのか? いいのである。なぜなら怪我と注射は全くの別物だからだ。注射ってほら、なんとなく怖いじゃん? 怖いのだ。小学生にとっては。

 

「うええええええええ!!!」

 

 校舎はすっかり半壊し、懐かしさと同時に頭痛がして頭を抑える夜蛾だった。




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