今周の予定は決まってる?   作:小沼高希

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高校一年生 第八幕間 二

さて、他人に聞かれたくないような秘密についてかなり深入りするような、二人きりの会話をするのにいい場所とはどこでしょうか。正解は自習室である。少なくとも私と真山くんの場合にはそう。

 

「……なるほど、ね」

 

情報量の多さに机に突っ伏して私は言う。今までの真山くんから語られた話を整理しよう。偽装ラブホテルに複数回私は連れ込まれてて、最終周含めて家にも何度か真山くんが来ていて、それ以外にも自転車で県外に行ったり、何も考えずずっと歩いたり、一緒に星が綺麗な公園に行ったりしてた。

 

「いやよく考えるとかなり無茶苦茶してない?」

 

「おかげでちょっと疲れた……」

 

「だろうね」

 

呆れが半分。もう半分は自分があからさまな共犯者だったことから頑張って思考をそらすべくどうでもいいことを考えようとして使っています。

 

「……それで、さ」

 

「うん」

 

「和乃さんの第一級にしている秘密を聞いた」

 

「……そっか」

 

まあそういう場所に行ったわけだ。それぐらいの関係にはなったんだろう。羨ましいな。まあ消えゆく私達にそれぐらいの役得があってもいいかとも思わなくはないが、それはそれとして許せねぇな。

 

「……あのさ」

 

「ん?」

 

「覚えてないかもしれないけど、何度か和乃さんから秘密を聞こうとしたことがあって」

 

「……今の私にそこまで聞かれた覚えはないけど、まあ聞かれること自体は想定されてしかるべきだよ」

 

「でもさ、和乃さんにとってそれはたぶん、あまり思い出したくないものだったんじゃ……」

 

「んー、まあ今回のループのおかげで忘れていいものになったのは楽だったかな」

 

「……そう、か」

 

これについては私のほうが感謝したいぐらいだ。昔にぼんやりと一人で考えて決めていたことが、こういう形で帰ってくるとは思ってなかったしね。

 

「あとそうだ、第二級は聞いた?」

 

第二級、つまりはあの時のアカウントのIDとパスワードの組み合わせ。今となっては使えないものだが、もしかしたら探せば私に関するなにかが出てくるかもしれない。

 

「それが何かは聞いた。具体的な内容は聞いていない」

 

「わかった。……そうだね、私としてはこのくらいでいいよ。他に伝えておかなくちゃいけないことってありそう?」

 

「……今はない、かな。あとそうだ、和乃さん」

 

「なに?」

 

「和乃さんのお父さんが僕を知ってた、ってどういうこと?」

 

「ああ、それね。ええと」

 

そういうわけで今度は私が話す番。といってもそこまでの内容はないんだよな。父は名前も性別も知らなかったわけだし。まあ先入観を排除した上で荒い画像だとわからないのかもしれない。真山くんは美人さんだからね。

 

たぶん人感センサーかなにかである程度記録されているんだろう。一定以上近づいたら録画される、みたいな。そういう技術的な話がメインになってしまう。

 

たぶん真山くんが聞きたいのはそうじゃないが、私が話せるのはこれが限度なんだよ。やっぱり親とちゃんと話し合わなくちゃいけないのかな。両親がいるタイミングがなかなかないのだけれども。

 

「というわけで、あまり詳しくはわかってないと思うよ。それでも深夜に来るのは程々にしたほうがいいと思う」

 

「……じゃあ、今度挨拶に行ったほうがいいかな」

 

「娘の同級生に挨拶に来られた親って、なんかこう……」

 

父と似たようなこと言うなよ。真山くんは常識人枠でしょ。

 

「よくないかな」

 

「まあ友達ってことならいいと思うよ、そういう関係の人は私はここ数年いなかったので……」

 

中学校の頃のつながりはクラス替えで希薄になり、今となっては精神的にちょっと色々あったなぁと思う時期ではリアルの人間関係が悪くなっていて。そうして卒業式の後は一人で帰るような状況になっていた。

 

そういうわけで、近場の高校に入って同じ中学校からの人も多いのにもかかわらず私は高校デビューというやつに失敗して一人ぼっちの学園生活を送りかけていたのだ。というか、少なくとも五月のあの日まではそうだった。

 

まあ、その平穏もいきなり変なことを話し出してきた同級生に破壊されたんですけれどもね。まったく、こういう形でジュブナイルの主演女優か助演女優かは知らんけど関われるとは思ってなかったよ。

 

「……やっぱり、和乃さんって変な人だよね」

 

「否定はしないよ?」

 

「……それで、さ。そういう人に何回か好きって僕は言われてて」

 

ちょっとうつむいている真山くん。ああやばいな、この空気は私のほうがちょっと辛い。いや真山くんもなんていうか色々あるんだろうけれどもね?

 

「真山くんも言ってるんじゃないの?」

 

「言ってるけどさ、なんていうか……」

 

「まあ私と何やったか覚えているのは真山くんだけなんだから、あまり気にしなくていいのでは?」

 

伏せたい事実ぐらいあるだろうし、私が秘密を公開したからって言う必要もないと思うのだ。まあこれは私の価値観かもしれないけどね。

 

真山くんはしばらく黙ったままだった。まあ私だって声をかけることができなかったわけだけど。

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