今周の予定は決まってる?   作:小沼高希

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高校一年生 九回目 三周目 二

真山くんが嘘をついている可能性は高い。いや、この言い方は良くないな。何かを隠していると考えてもいい、ぐらいにしておくか。

 

鍵になるのは前の周からの私のメッセージ。その時の私と真山くんが完全にグルになって何かサプライズをしかけて来るとしたら、秘密にしておくはずだ。

 

つまりはそうじゃない。何らかの心の準備をしておけ、というメッセージかもしれない。ただ、私がけしかけたんだとしたら詰めが甘い気がする。つまり真山くんの主導か?

 

あるいは私自身がここまで読むと考えて、それすら組み込んでのあの2というメッセージなのだろうか。わからん。考えすぎてしまっている気もする。

 

「……っと」

 

そういう自問自答をしていたので周囲の人たちからワンテンポ遅れて席から立つことになった。終業式。暇なので余計なことに考えが巡ってしまうんだよな。実際、さっきの問題はそこまで考えても意味がないものだ。

 

さすがにクリスマスの夜に一線を越えてくるとかはないだろう。そうしたら私は4を受け取っているはずだし、何よりどちらにもその度胸はないはず。ない、よな。たぶん、私にはない。

 

「……和乃さん?」

 

教室に向かう廊下で真山くんが話しかけてくる。心配そうな声色。どうだろう。なにかそんな思い詰めた顔でもしてたかな。ちょっと前まで考えていたことからするとしていたかもしれない。

 

「ああ、ちょっと考え事を」

 

「最近悩んでばかりじゃない?」

 

「前の周もそうだった?」

 

精神的に悩み事が生まれた可能性もあるな。真山くん関連で。何か心理的に変わるきっかけがどこかにあったとか?あるいは何かしてくるんじゃないかと期待してしまっていたとか。

 

「……ちょっと、寝不足気味になってたと思う」

 

「そうか……」

 

夜遅くまで何かをしていた。何だろうな。コード生成プログラムのバグ修正とか?いやでもそういう重要な情報だったら真山くん経由で伝えてあるか。

 

「何か今周の私宛に、前の私から特に伝言とかは頼まれてないよね?」

 

「コードと……それ以外は、ない、はず」

 

「わかった」

 

まあいいや、真山くんが何か悪意を持って行動してくるとかでその背後に私がいるとかなら厄介すぎるが、そうでないならなんとかなるだろう。これは私の勝手な勘。最近は自分の勘を信じられるようになってきた気がする。

 

「そういえば真山くんの家にサンタって来た?」

 

「サンタクロース?」

 

「そう」

 

色々な伝承があるけど、結局のところはクリスマスの時に良い子にプレゼントを持ってくるおじいさん。その実態はまあ、言わずもがなといったところであろう。

 

「……僕の家には来なかったよ、プレゼントは貰えているけど」

 

つまりは普通に親からクリスマスプレゼントをもらっていたのか。いいことだ。

 

「そう、私のところには小学生の頃までは来ていた」

 

「それ以降は?」

 

「直接欲しい物を聞かれるようになった」

 

「そう……」

 

まあ別に世界中のみんなにプレゼントをくれる人がいるとは思っていなかったけど、親がそういうサービスをサンタクロースに依頼していると思っていた。実際はもう少しシンプルな結末だったけど。

 

「じゃあ、今でももらえるの?」

 

「そうだね、まあでも今欲しいものあまりないからな……」

 

「本とかは?」

 

「高校に入って読むことが少なくなったし……」

 

「ゲームとかパソコン関連とか」

 

「課金はしないことにしてる」

 

「開発者に適切な利益が回るようにすることも楽しませてもらった側の心がけでは」

 

「……そうかも、そのくらいはやってもいいかも」

 

「自分のお小遣いの中から出す分には文句は言われないと思うけど」

 

ちなみに私はこういうのを解禁してしまうと無際限に色々突っ込みそうなので買い切りをメインにしています。サブスクリプションができるほど自分の管理能力を信じていないとも言う。真山くんはそういうのは上手そうだよな。

 

「……今は、あまり欲しい物が思いつかない」

 

「……そっか」

 

何かを送りつけようとする私の作戦は今のところ前途多難な雰囲気が漂い始めてきている。大丈夫かなこれ。このままだと私はこのループを活用できずに終えてしまう。まあ別に損する訳ではないからいいのだけれども。

 

もちろん、真山くんが何かをしてくれる可能性は高い。というかそのために前の周をかけて何かをやって、その過程でその時の私が次の私にメッセージを送るだけの意味があると考えるような進展があったのかもしれない。

 

ただ、仮説の上に重ねた仮説に過ぎない。そういうものは過度に信じるべきではない。期待をしてはいけないわけではないけど、その期待が裏切られるぐらいならもとからしないほうがマシだろう。

 

「もう冬休みだね」

 

「……だね、自習室に来る以外の予定はあるの?」

 

夏休みの大半をそうやって過ごしたのだ。それでも他の同級生たちと一線を画すとまではいかないあたり、すごい人が多いのだなぁと実感する。

 

「あまりない」

 

「そっか、私も」

 

私達はちょっと悲しい笑いを交わす。なんだよ、もっとこう年頃の少年少女らしくクリスマスにデートとかしろよ。まあ無理か。

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