今周の予定は決まってる?   作:小沼高希

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高校一年生 四回目 二周目 四

今日はそれなりにいい服を選んだ。私の普段着は地味なワンピースとかなのだが、今日はちょっと動きやすさも考えてボーイッシュな感じに仕上げました。化粧とかは特にしてません。いいでしょ高校生なんだし。

 

ルートはきちんと確認しておいた。ウェブ上で下見もした。あとは帰りに消しゴムを買うお店も確認しておいた。シャー芯も買おうかな。

 

これはデートではありませんとも。珍しい遠出と普通のお買い物を同級生の男子とするだけだ。あ、買い物といえば牛乳あったっけ。そう考えて冷蔵庫を開ける。

 

あとちょっとだけだったので飲み干してしまう。卵はあった。というわけで買い物リストにまた一つ追加。これで今日のお出かけは実に有意義なものとなることが決まった。次の周で昨日の私に牛乳買うといいって伝えてもらおうかな。

 

そういうわけで普段遣い用のスニーカーを履いて、ちょっと暑くなった外に足を踏み出す。時間は予定よりも十分ぐらい早い。というか予定も十分ぐらい余裕を見てたよな。

 

とはいえ、ここでじゃあ待機しようとかやると気がつくと三十分経過していて真山くんの家まで猛ダッシュすることになるのだ。何度かやったことがあるので知ってます。私は失敗には詳しいのだ。

 

「……半袖でも良かったかもな」

 

あまり肌を出したくないので薄手の長袖シャツだが、もうこの暑さだったら半袖でも良かったかもしれない。

 

学校に行くいつもの道を、途中で曲がる。いつもなら信号が切り替わるのをじりじりと待つところだが、今日は左に曲がればいいので心が軽い。

 

信号待ちをしなければならない人たちに優越感混じりの哀れみというあまり良くないものを感じながら、スマホで確認しつつ目的地まで向かう。ここらへんは古めの一戸建てが並ぶ地帯だ。

 

「ここかな」

 

GPSで位置を確認。問題なし。表札にも「SANAYAMA」って書かれている。

 

一瞬インターホンを鳴らしそうになったが、ここで少し指が止まる。いえいえ、緊張とかではありませんとも。深呼吸を一つ。

 

さて、いや家族とかいるかもしれないじゃないですか。そこで同級生が訪ねてくるとなると色々言われるじゃないですか。私だってそういう小説読んだりすることもあるんですよ。

 

つまりここではメッセージ送って確認するのがいいんです。完璧だ。そういうわけでスマホを取り出す。

 

「ごめん、待たせた?」

 

そう言って送信十秒後ぐらいに扉が開いて出てきたのは私服姿の真山くん。ふーん、シンプルだけど悪くないじゃん。私にファッションセンスの知識はないのでハレーションを起こしているかどうかぐらいしか判断基準がない。

 

「そういうのは待ち合わせの時間過ぎてからでいいよ、今回は私が早すぎたし」

 

時間は待ち合わせ十五分前。のんびり歩いたつもりだったのに、なかなか時間を潰せていない。なんだろう、焦りでもあるのかな今日の私は。

 

「それじゃあ、行く?」

 

「そうだね」

 

というわけで私は鞄を背負い直して真山くんの右隣をのんびりと歩く。

 

「……和乃さんってさ」

 

「なに?」

 

「こういうふうに出かけること、多いの?」

 

「あまりないね。いつもの行動圏外に行くことは何か用事でもない限りほとんどないし、知らないお店に行くことも誘われない限りは多分ない」

 

「そうなんだ」

 

「だから、もし美味しかったらループ出た後でもいいからまた連れて行ってね」

 

「……うん」

 

「まあ、誘い文句がわからなかったら前の私からのおすすめとでも言えばいいよ」

 

彼にとって私を誘うことがどういう意味を持つかはともかく、友人を誘うだけでも難しいのだ。少なくとも私にとっては。だから私よ、誘われやすくする努力ぐらいはしろよ。できれば誘えよ。

 

「和乃さんって、中学生の時はどういう感じだったの?」

 

「また難しい質問を……」

 

裏の話には触れないようにしつつ、学校生活と趣味の面だけをうまく取り繕おうと頭の中で話を組み立てていく。あれ、あまり話す内容がないな?

 

「話したくなかったら、いいけど」

 

「話せる内容がなくてさ。いやいじめられていたとか、そういうのではないんだけどね?」

 

「あまり、その……仲のいい人が、いなかった?」

 

「友達がいなかったの?って聞けばいいよ。私は直接的に言われる分にはそこまで怒らないからさ」

 

こう言うと割り切りがいいみたいに思われるかもしれないな。純粋に言葉の裏を読むのが苦手なので冗長なやりとりがイライラして耐えられないだけです。

 

そんなこんなで世間話をしながら目的地である喫茶店まで進む。なんか真山くんが車道側に行きたがっているが残念だったな。この前ソファーを譲られた分のお返しだよ。

 

「そういえばさ、真山くんはどこでこのお店のことを知ったの?」

 

個人経営らしいお店だ。レビューは見たところ悪くなかった。内装も綺麗な雰囲気だったし。とはいえちょっと高めの値段設定なので高校生が行くとしたらちょっと特別な意味がありそうだ。

 

「前のループで別の子に聞いた。……今思うと、あれ誘われていたんじゃないかな」

 

「たった十五分でデートに誘われるとは、なかなかやるね」

 

真山くんは否定しなかった。というかこれを言ってしまったので私にとってこれをデートではないと否定する理由が消えてしまった。

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