今周の予定は決まってる?   作:小沼高希

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高校一年生 四回目 五周目 一

今日は木曜日。まもなく週末。ああ、休日は何をしようかな。寝る。積んでいた本を読む。やりたいことはいっぱいある。

 

「おはよう」

 

「おはよー」

 

登校時に声をかけてきた真山くんにさらっと返して、今日も今日とて高校生らしく勉強の日々である。

 

そうそう。この真山くんであるがここ最近あまり関わっていない。次にループに入ったときのために色々と準備しているんだが、まだ何もない。どうしたんだろ。

 

いくつか可能性は考えられるんだよね。まず一つは純粋にまだループが起こっていないというもの。この場合は私に連絡する意味はない。

 

次の可能性は、ループがちょうど深夜の短い期間にあったとかで寝過ごしてしまったとか、あるいは私に電話しても取らなかったとか。意識がどういう形で連続するかは知らない。そういうこともあるのだろうか。

 

あるいは、今ちょうどループの最中にいるけど私以外にかまけているか。言い方が悪いぞ。別に毎回来てもらう必要もないじゃないか。前のループではそういうことしていたらしいしね。

 

「……和乃さん」

 

「珍しいね、なに?」

 

そうやって休み時間になって、真山くんが声をかけてきた。目を合わせながら手探りでノートと教科書をしまっておく。

 

「伝えなくちゃいけないことがあって」

 

「お一人様いくつまで、みたいな限定セールでもあった?」

 

真山くんが他の仲の良い人を差し置いて私を頼るなんて、まああまりないわな。可能性の中で高いものの一つがこれだった。転売とかなら遠慮しますけど。

 

「今、ループ中」

 

「……はいはい。廊下行く?」

 

「そうだね」

 

まあというわけで移動。私の認識では最初のループ内だ。いやぁまさか本当にそういうタイミングだとは。なお運命的なものではない。空き時間にはしょっちゅうループと真山くんのことを考えていたからね、ある種当然だ。

 

「で、期間はどれぐらい?休み時間が終わる前にコードを伝えておきたくて」

 

短い場合でも、コードは送信可能だ。生成用のメッセージを含んだメールを送ればいい。っと待て、パソコンを私はシャットダウンしてなかったか?仮想マシンが動かないと意味がないのでは?

 

「……正直に言うのは、かなり怖いんだけれども」

 

「……前の周の私が、何かやらかした?」

 

可能性を潰しておきたかった。笑ってそうじゃないって返してほしかった。

 

「和乃さんは、終わるのが怖いんじゃないかって」

 

「……伝えたのか、私は」

 

伝えたとしたら、それはかなり特別な場合だろう。私は見栄っ張りで、こういうものを隠そうとするはずだ。弱みを見せたくないと考える傾向がある気がする。

 

だから、それなりのことがあったのだ。時間切れに耐えられなかったか、あるいは素直になったか。私が素直に?できるのかな。

 

「うん。聞いた」

 

「その状況について聞きたいけど……まずは基礎情報。今は何周目?期間はどれぐらい?三周目か四周目……いや、待って」

 

一周目は一周目だとわかるはずがないので除外。二周目は、私がコードを伝えるだろう。三周目でそれを受け取って解読。もし放射性崩壊や競馬の結果や天気の変化が起こったなら、それについて知るためにコードをさらに先の周に送る必要がある。

 

もし一致したのであれば、四周目以降は覚えておくべき情報は一つだけだ。同じだったという、ただそれだけ。

 

「コードは一緒だった?」

 

頷く真山くん。ああ、なるほど。

 

「……世界が決定論的だってことに、耐えられなかった?」

 

「そうじゃない。前の周以外の和乃さんは、そういう素振りを見せていなかった」

 

「なにがきっかけ?……告白でもした?」

 

私が気を許すというか、色々とはっちゃけるための条件が正直わからない。経験がないので。

 

「……似たようなことを、した」

 

「……結局、何周目で、いつ終わりそうなのさ」

 

「聞きたいの?」

 

「ああ、聞いたら私が怖がるんじゃないかって話?」

 

「……うん」

 

たぶん、どの周の私でもここでは見栄を張って時間を聞き出すのだろう。そして、どうせ最後はそれなりに怖がっている横で真山くんは巻き戻るのだ。

 

「いいよ、聞かせて」

 

それがわかっていても、私は聞く。

 

「……今は五周目。始まったのは昨日の夜遅めの時間帯。終わるのは土曜日の夕方」

 

「となると……そろそろ終わる感じ?」

 

「たぶん今回か、次か」

 

「今回だといいな」

 

そりゃ終わらないことを選べるなら選びますし、望めるなら望みますよ。でも、そういう私の意志とは全く関係なくループはたぶん起こっている。

 

「僕もそう思う」

 

「気にしないで、って言っても無理だよね。たぶん変なことを言った私はテンションが上りすぎていたんだと思う」

 

ということは私もそういうことをしてしまう可能性がある、と。というかそれぐらいのことは言われなくてもわかるべきだろ。中学生の頃にやらかした失敗をもう忘れたのかと問い詰めたい。

 

「……大丈夫」

 

「私は終わるなら後のことは考えなくてもいいけど、真山くんはそうはいかないでしょ。どこかで話す時間作ろうか?」

 

「……それなら、土曜日に喫茶店行かない?」

 

「……デート?」

 

私の質問に、真山くんは頷いて返した。

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