高校に入って最初の中間試験のテストを改めて確認しながら、私は少し笑みを浮かべる。
「
そういう声が聞こえて返却された解答用紙から目を上げると、同級生である
「……いいけど、何?」
私は立ち上がり、隣を歩く彼に声をかける。
「不随意のタイムリープを起こしてる。終わる条件は回数。前の和乃さんから、小学三年生の時に物を盗んだことがあるって聞いた。ワンタイムパスワードがこれに切り替わるから、確認して」
「一度に色々言い過ぎ。まあでもそうか、そんなに時間がないかな」
脳を無理矢理にクールダウンさせたように振る舞わせる。多分色々とミスもするだろうがまあいい。
「というより私と話すの、慣れているね?」
「なんていうか、面白いから」
「それは何より」
アプリの起動が遅い。その間に言われたことを考えておこう。
不随意で、終了条件は回数だっていうこと以外にもそれを知っているという情報もある。ということは脱出経験あり。そうだとしたら不随意だということが知られているのも理解できる。
「……確認した。用件は?」
さっき秘密を言われた時の驚きと緊張は脳をいい感じに温めてくれたようだ。後で時間があったら悪くない方法だったと褒めておきたいな。でも前の私が褒めてるかも。いや褒めはいくらあってもいいものか。
「いや、あまりなくて」
「……急いでないの?」
「うん」
「あー、でもそうか、全体の時間があまりないものね」
もし違ったら否定してもらうこと前提で会話を進める。あまり良くないとは思うが、真山くんが何度も同じ話をするよりかはマシだ。
「前の時に和乃さんが何か聞きそびれたみたいだったから、確認したくて」
「一応違う私だけど、ある程度はわかると思う。ヒントはある?」
平行世界の私から意外な形で謎を出されてしまった。
「いつもループする時の間って何を……ってことだった。たぶん、何してるのか聞きたかったんだと思う」
「それは気になる。もう慣れてるんでしょ?」
「まあね、月一ぐらいだし」
「そんな頻度で……」
思った以上だった。というかそれだけ繰り返していたら心理的な方でなにか影響出そうなものだけど。
「ええと、本を読んだり、あとは高校入ってからはまだ良く知らない人に話しかけたりしてる」
「それは強いね、私は……たぶん真山さんが話しかけてこなかったら話す機会はほとんどなかったと思う」
名前ぐらいは知っていたけどね。スポーツも勉強もできて、結構仲の良い人が多い印象。具体的に誰と話しているかとかは記憶にないけど。
「僕だって、ここまで助けになるとは思わなかった」
「私ってそんな役に立った?」
というか不随意発生なら何かを狙って変えたりするのもしにくいだろう。いつ終わるかもわからないなら、変なことをするのもできない。
「……毎回毎回同じようなことの繰り返しだと、さすがに飽きるからさ。和乃さんと話す時はいつも新鮮で楽しい」
そう言って真山くんは綺麗な笑顔を向けてくる。なんとなくに胸が傷んでしまうな。それに結構顔立ちも整っているし。好青年というやつである。
「それは、よかった」
「僕も今周で確認できてよかった」
「で、どうするの?やることないんでしょ?」
「しばらく和乃さんと話そうかなって」
「話すネタ、私からはそんなに出てこないからね?たぶんどこかでどっちかがネタ切れになるよ」
「なにかいい方法、ないかな」
そう言われて私は少しだけ考える。問題はランダマイザが必要だってことだ。真山くんの動きとかを元にするとなると、加速度とミリ秒単位の時間をもとに乱数を生成してそこからお題を出すタイプ?三題噺みたいなやつなら、語彙リストを用意すれば作るのはそう難しくないだろう。
「……もしこのループが終わったら、準備をしてみる」
「どういうこと、するの?」
「スマホのアプリを使う。私と話す時に一回振ってもらうと、それで私が話す内容に使うヒントが出る。もし話したい内容があるなら使わなくていいよ」
「和乃さんって、頭の回転が速いよね」
「色々読んでいるだけ」
アプリをもとにするのはなんかの漫画で読んだのだ。具体的にどれとは思い出せないのが少し辛いけど。
「それでも、僕は飽きちゃうからさ」
「ループってやっぱり辛い?」
「たまに。いくらやっても降り出しに戻って何もしてないことになるのが試験とか宿題の提出とかだと大変で」
「ああ……それはきつい」
「だから、宿題とかはできるだけ早くやるようにしている」
「それができたら苦労しないんだよ!」
やっぱりこいつはただ純粋に出来が良いやつだ!
「それは褒めてもらってるって思えばいい?」
「妬み、かな。私に妬かれる程度には真山さんはしっかりしているから」
自己肯定感を高めておこう。他人を褒めるのはやはり気分がいい。
「私にとっては一回褒めるだけだから、褒められたいなら言ってね」
「……ループ終わっても褒めてくれる?」
「場合によりけり。あとは導入、悪くなかったよ」
「よかった。次も使わせてもら