今周の予定は決まってる?   作:小沼高希

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高校一年生 第六幕間 八

「大丈夫?」

 

そう声をかけてくる真山くんに、私はうつ伏せのままゆっくりと首を振る。

 

「……そっか」

 

体育祭の疲れはまだ取れない。動いた時間はそこまででもないはずなんだが、たぶん精神的なもののほうが大きいな。打ち上げも辛かった。いや、楽しくはあったんだけれどもね。

 

集まった人たちはちょっと騒ぐのが好きな人たちで、かといってお酒を飲むほど理性と社会性がないわけではないほどには真面目なやつらである。まあ高校の制服を着た団体には身分証明書でも出さない限りはお酒はまず出してもらえないと思うけどさ。

 

それでも、もう三日は経つはずだ。なんだろうな。体力使いすぎて風邪でも引いたかな。まだ夏みたいな天気だけど暦の上では秋なので流行を先取りしたって言えませんかね。無理か。

 

「休日ゆっくりすればなんとかなるよ……」

 

「帰ったら?」

 

「……そこまででもないかな」

 

「保健室とか行かないの?」

 

「……そこまででもないかな」

 

「……触っていい?」

 

「いいよ」

 

真山くんの手がどこに伸びるのかなと思ったら私の額だった。背中とか撫でたいのかと思ったじゃないか。いやでも気を使ってくれてもらえるのは嬉しいな。

 

「うーん」

 

「どう?」

 

「熱はなさそう」

 

「そう……」

 

やる気が入らないと授業とかも真面目に受けられない。さっきも予習してある範囲だったからなんとかなるけど、まだやってないところなら危なかった。次の授業はなんだったかな。時間割がすっと出てくるほど頭の中が整理されていない。

 

「眠いとかある?」

 

「今は眠気ないんだよ……」

 

だからこそ、全体的に身体が重いっていうのは辛いのだ。寝れなかった時期とかこんな感じだったな。最近は健康的な生活をしていたから久々の間隔だ。

 

「次の授業、大丈夫そう?」

 

「……座っているだけなら」

 

「何かあったら言ってね」

 

「……うん」

 

「……和乃さんを巻き込んじゃったのは、ごめんね」

 

「それは謝ることじゃないよ、大丈夫」

 

私は手探りで真山くんに触れようとするが二回ほど空振りする。三回目でブレザー越しのお腹に当たった。

 

「なに?」

 

「とくになにもないけど……」

 

「……そう」

 

授業中は意識がふわふわするけど休み時間には回復する。かといってやる気は出ない。どうにかなりませんか?なんか気合の入るものありませんか?

 

「そろそろ、次の授業だよ」

 

「……移動、教室?」

 

「化学基礎、確か今日はそうだったね」

 

「めんどくせぇ……」

 

そう言いながらなんとか立ち上がって、ふらつく視界をどうにか処理すると教室にいるのは私と真山くんだけだった。いつの間に。急がないとな。

 

「本当に不安になるんだけれども」

 

「力入れてないだけだから大丈夫だよ……」

 

そう言いながら力入れてないのは普通に問題だろとか考えてしまう。よくないな。

 

教室の壁にぶつかりながら鍵を回収。いやはや、皆さん私と真山くんに信頼を置きすぎですね。椅子に引っかかってる誰かのブレザーの中にお財布とか入ってたら盗んじゃいますよ。別にしないけどさ。

 

「ええと、教科書もいいや……」

 

ロッカーの中から取り出すのも面倒だ。どうせ実験だし記録用のタブレットだけ持ってけばいいでしょ。忘れていたので自分の机の中から回収。

 

「閉めるよ」

 

真山くんが私の手からすっと鍵を抜きながら言ってくれる。取られないように手に力を入れることすらできなかった。

 

「ありがとう……」

 

かちゃりという金属音を聞きながら、私は廊下で背を伸ばす。うん、立つと血行が良くなったのか多少マシになったな。

 

「そろそろチャイムだよ」

 

メタルバンドの腕時計を見る真山くんが言うと同時にスピーカーから音がした。

 

「正確だね」

 

「この時計とチャイムの時間、三秒ぐらいずれているんだ」

 

「この学校の時計もかなり正確だね」

 

実際どういう方法でチャイムが流されているかは知らないけどね。間隔が電波時計と同じってことは先生がボタンを押しているとかではないだろう。嫌だな職員室の当番表にチャイム係があって遅れた時計に合わせて放送しているの。

 

「遅刻したら怒られるかなぁ」

 

「体調不良の同級生の少女の面倒見ていた人を遅刻扱いするなら私が苦情を言うよ」

 

「……ありがとう」

 

「いやその、面倒見てもらったのはこっちなんだけれどもね?」

 

そう言って理科実験室に入ると、まあ一瞬だけ視線が向いてすぐに雰囲気が授業に戻った。顔見知りの人が私に座る席を教えてくれる。あ、前の黒板を見るにたぶん席が決まっていたのか。

 

実験内容はタブレットに共有されていた。この先生は比較的こういうのが得意というのか好きな先生なのだ。まあ慣れていない生徒からは不評だけどね。

 

ファイルに目を通す。だいたい問題ないな。実験は嫌いじゃない。仮定をどうやったら実証できるか。その実証に穴はないか。そこらへんをちゃんと考えると辛いけれども、高校レベルなら難しくない。真山くんを相手にするよりは簡単だ。

 

まとめ役をしてくれた人の指示に従って私は立ち上がり、実験用具が入った箱を自分たちの机まで運ん

 

[一周目終了]

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