真剣で私に恋しなさい+ ~ある侍の新たなる人生~ 作:黒猫大佐
―――SIDE:百代
「・・・ふっ!・・・せいっ!・・・はっ!」
今日もいつもどうりに鍛錬を行いノルマをこなしていく。
「(・・・はぁ。めんどくさい)」
こんな鍛錬より実戦の方がよっぽどいい修行になるのに。
でも真面目にやらないとジジイがうるさいしなぁ~。
まったく。煩いくそジジイめ。
「・・・はぁ。さっさと終わらせて舎弟でも弄りに行くとするか」
「こらモモ!しっかりと集中せんか!」
「わかってる。煩いぞジジイ!」
しかたなく私が気合を入れなおして鍛錬をしようとしたとき、見知った気配が修行場に近づいてきた。
「(どうやら師範代が帰ってきたみたいだな。・・・ん?)」
出かけていたルー師範代が帰ってきたみたいだが、知らない気配が師範代に連いてくる。
ジジイも気付いてるみたで入口の方を見てる。
「(誰だ?)」
そう考えているうちに師範代が修行場に着いたみたいだ。
「ただいま戻りましタ」
「うむ。御苦労じゃったなルーよ。」
師範代だけ修行場に入ってきた。
どうやらもう一人の気配の持ち主は外で待っているみたいだ。
「ところでルー。誰かを連れとるようじゃが」
「ええ。先ほど帰ってきたときにここを覗いている者がいたのですガ・・・」
「ふむ・・・」
「その者は、川神院と知らずにここから強い気配が感じられると興味を持って覗き込んでいたようデ」
「・・・ほう」
へ~。気配を感じてここに寄ってきたとゆうことはそこそこ強いのか。
「それで、その者と会っていただきたいのですガ」
「いいじゃろう。そのような者ならこちらも興味がある」
「ありがとうございまス。入ってくるネ」
師範代の声で知らない気配の持ち主が修行場に入ってきた。
―――SIDE OUT
―――SIDE:小次郎
「じゃあ、少しここで待っててほしいヨ」
「承知した」
ルー殿に連れられて修行場と思われる場所の入口まで連れてこらた。
ルー殿の言葉に従い待つ間、あたりを見る。
「(ずいぶんと立派なところであるな)」
建物を見たときから感じていたことだ。
私はこのような立派な修行場で鍛錬はしたことがない。
そして、修行場の中からは先ほどの強い気配が感じられる。
全てに興味が湧く。
「クク。まことに興味が尽きぬな」
しばしの間待っていると、
「入ってくるネ」
とルー殿の声が聞こえてきた。
「ふむ。それでは行くとするか」
私は修行場の中へと歩を進めた。
―――SIDE OUT
―――SIDE:百代
「「!」」
入ってきたのは私と同じ歳くらいの子供だった。
しかし、何よりその格好だ。
紫色の陣羽織に着物。挙句に足袋に草履だと。
どこかの時代劇の撮影場から抜けだしてきたんだろうか。
ジジイも驚いているみたいだ。
だけど普通の子供がそんなものを着ていたら違和感を感じるが、こいつはむしろ自然に感じる。
「ふむ。ルー殿そちらの翁と娘子が総代殿とその孫殿ですかな?」
「そうだヨ。こちらが川神鉄心様とその孫の川神百代ネ。・・・鉄心様」
「うむ。ワシがここ川神院の総代をやっとる川神鉄心じゃ。そして、こっちが孫の・・・」
「川神百代だ!よろしくな」
私はそう挨拶をした。
「して、小僧。お前さんは何というんじゃ?」
ジジイが時代錯誤な格好をした子供に尋ねる。
「そうでしたな。そういえばまだ名乗っていませんでしたな。いやはや、これは失礼をした。」
そいつは口の端を、ニヤッとつり上げる。
顔に浮かび、読み取れる感情は―――喜悦。
名を聞かれる事、答える事が嬉しくて楽しくてしょうがないといった顔をしている。
私たちが注目する中、声を発する。
「私の名は――――――」
そして、私たちの視線を柳の如く自然体で受け流し・・・
「佐々木小次郎」
そいつは高らかに、その名を私たちに名乗った。
・・・佐々木小次郎だと?!
「ほっほっほ。それはまた大層な名前じゃの」
「それは本名かネ?」
ジジイが愉快だとばかりに笑い声を上げ、師範代が佐々木小次郎と名乗った子供に聞いている。
「さよう。生憎とこれ以外名乗る名は持ってはいないのでな」
佐々木小次郎・・・あの大剣豪・宮本武蔵の最大のライバルの名前だ。
・・・ずいぶんな名前じゃないか。
「(強いのか?)」
そういえば、川神院に来たのも強い気配を感じたからだと言っていたな。
それに修行場に入ってこっちに歩いてくる姿はとても自然な動作だった。
・・・・・・・・・・・・・うずうず
私はこいつの実力が確かめたくなり、
寸止めで小次郎の顔面に向かって拳を放った。
でも小次郎は、口元に笑みを浮かべたまま微塵も動ぜず、動きもしなかった。
「・・・何で避けようとしなかったんだ?」
「クク。なに、当てる気がないと解ったのでね」
そんな事を言ってきた。
はっ!おもしろい!!私もこいつに興味が出てきたぞ。
「こらモモ!!何をやっとるんじゃ!!」
ガン!!!
「痛!!何すんだくそジジイ!!」
私は頭を殴ってきたジジイに向かい文句を言う。
「すまんの。孫が失礼をした」
「いやいや。よいのですよ鉄心殿」
「そうかの。そう言ってもらえると助かるわい」
「ええ。いやしかし、百代殿はこの歳でとてつもない強さですな」
ふん。当然だな。
「しかし・・・」
ん?
「クク。いやなに、百代殿はまだまだ自分の才に振り回されているようですな」
なんだと!
小次郎は片目を閉じてこちらを見て、口に笑みを浮かべながらそう言ってきた。
「ほっ!なんと!分かるか御主にも」
なっ?!ジジイまでそんな事を言うのか。
いいだろう。だったらこいつに私の強さを解らしてやる。
「そこまで言うんだったら私と勝負しろ!!」
私は小次郎にそう言い放った。