真剣で私に恋しなさい+ ~ある侍の新たなる人生~   作:黒猫大佐

8 / 9
第5話 勝負が終わって・・・

―――SIDE:鉄心

 

「・・・なんと!?」

 

「これは驚きましタ!」

 

まさかモモに勝ってしまうとは。

 

隣でルーのやつも驚いとる。

 

しかも小次郎は気を使っとる気配がまるでせんかった。

 

つまり小次郎は純粋に剣の技量のみでモモと戦っていたということじゃ。

 

ふむ、小次郎はこと剣の技量のみでいえばあの黛と同格、いや、もしかしたら・・・・・

 

しかし、これだけの剣の使い手ならばワシが知っていてもよさそうなのじゃがのう。

 

「(しかも最後に放ったあの桁違いな殺気・・・それに、あの技はなんじゃ?)」

 

小僧が放った殺気は実戦・・・しかも、"死合い"を経験しとるもののそれじゃった。

 

そして、ワシの目に間違いがなければ"ほとんど"や"ほぼ"ではなく"完全"に同時に三つの斬撃を繰り出しておった。

 

「(燕返しか・・・ほっほっほ!まったく、佐々木小次郎ここに極まりじゃな。)」

 

まことに興味が尽きん小僧じゃ。

 

 

―――SIDE OUT

 

 

 

 

―――SIDE:小次郎

 

「(ふむ。今の私ではあれがせいぜいであるか。)」

 

この体になりまだ確認していなかった"燕返し"を放ったが、結果は満足のいくものではなかった。

 

力が落ちて斬撃の速度が落ちたのもあるが、なにより、あの斬撃の牢獄はわたしの愛刀の間合いがあって初めて完成する。

 

今回、百代殿が回避できなかったのは初見だったからであろう。

 

だがまあ、此度の勝負はそれなりに満足のいくものであったがな。

 

それに、今回の敗北をどう捉えるかは分からないが確実に百代殿はまだまだ伸びるであろう。

 

「ククク」

 

私は思わず笑いが漏れる。

 

こちらにやってきた鉄心殿が私に話しかけてきた。

 

「まさか、モモに勝ってしまうとはのう」

 

「まだ荒削りなところもあるが、百代殿は大した腕であった。いや、あの才にはまことに感服する」

 

「ほっほっほ。しかし、小次郎よ。おぬしもかなりの腕をもっとるみたいじゃの」

 

「いやいや。私もまだまだ精進の足りない若輩者であるよ」

 

クク。いや、今の私は小僧そのものであったな。

 

鉄心殿は笑みを浮かべていたが、ふと真面目な顔をして私に問うてきた。

 

「して、改めておぬしの事を聞きたいのじゃが」

 

む、ここは真面目に答えていかねばならんな。

 

「うむ。私に答えられることなら何なりと」

 

「では改めて聞くが名を何という?」

 

「佐々木小次郎と」

 

「ふむ。どこから来たのかの?」

 

「・・・その前に聞きたいのですが、ここはどこですかな?」

 

「ここは、神奈川県の川神市じゃ」

 

やはりここは冬木の土地ではないらしい。

 

「ここに来る前は冬木という地におりました」

 

私の答えに鉄心殿が言ってきた。

 

「・・・・・ふむ。ワシが知る限り冬木と言う地は聞いたことがないがのう」

 

「何と!」

 

冬木を聞いたことがないと。

 

「(どうゆうことだ?私が冬木にいたのは間違いない。冬木はそこそこ名の知れた土地だったと思ったが。)」

 

ここで私の頭にある可能性が浮かんだが、ここでそのような荒唐無稽なことは言えぬな。

 

・・・仕方ない。

 

「・・・・・少なくとも私の周りではそこが冬木と呼ばれていたのは確かです」

 

嘘ではない。

 

「そうか、ではその冬木はどこにあるのじゃ?」

 

「私は冬木の地より外へ出たことがなっかったので冬木がどこにあるかわかりません」

 

「それなら、どうやって川神に来たんじゃ?」

 

「信じられぬやもしれませぬが、気が付けばこの土地におりました」

 

私がありのままに説明をする。

 

「むむ。それなら、親御さんたちが心配して居るじゃろう」

 

「親族はすでにいませんな。私はこれまで一人で暮らしておったので心配する者もいません」

 

これも嘘ではない。

 

親などはとうの昔に亡くなっておるしな。

 

「なんと!・・・むう。では、最後に聞くがこれから行くあてはあるのか?」

 

「いや、ありませんな。私もいかがしたものかと考えていました」

 

鉄心殿は少しの間考えるそぶりを見せ深く頷くき、私へ言ってきた。

 

「ならば、ここに住むかの?当然保証人にもワシがなってやろう」

 

・・・・・なんと!?このようなあやしい者にそのようなことを言ってくれるとは、

 

「それは何ともあり難い提案ではあるが、よいのですかな?」

 

「構わん。何やらいろいろと事情があるようじゃが、これでも人を見る目はある。おぬしは悪い人間ではないようじゃ。それならば受け入れる。どうじゃ?」

 

「どうも何も、その様な好条件飲まぬ筈がない」

 

「では決まりじゃな」

 

私は鉄心殿の言葉に、

 

「忝い。世話になる、鉄心殿」

 

頭を下げて礼を言った。

 

「うむ。」

 

「ああ。それと鉄心殿、一つ頼みたいことがあるのですが」

 

「何じゃ?」

 

私は鉄心殿にあることを頼んだ。

 

 

―――SIDE OUT

 

 

 

 

―――SIDE:釈迦堂

 

百代のヤツが誰かと戦ってるようで見に来てみれば、

 

「誰だ?あのガキは」

 

そこには知らねえガキと勝負をしている百代の姿があった。

 

しかも、

 

「おいおい!百代のヤツ圧されてんじゃねえか」

 

百代のやつが圧されるってことは、あのガキ相当な腕だぞ。

 

そうこうしているうちに、ガキが奇妙な構えをとりやがった。

 

「ありゃ勝負を決めるつもりだな」

 

するとあのガキがとんでもねえ殺気と、ありえねえ技を出しやがった。

 

「何だ!?あの殺気は。しかもありゃ・・・俺の目がおかしくなったのか?」

 

勝負が終わった後、ガキと爺さんが何か話してるみてえだ。

 

ふ~ん。どうやらあのガキはここに住み込むことに決まったみてえだな。

 

それにしても、

 

「・・・佐々木小次郎か」

 

はっはっは。こりゃおもしれえことになりそうだ。

 

 




人となりが完全な悪でなければ、素性が知れなくても鉄心なら受け入れてくれると思います。

ちなみに私の小次郎はなかなか頭の回転が早いみたいで、ここが元いた世界とは違う世界だと気付いたようです。

釈迦堂を出しましたが、多分幼少期での釈迦堂との絡みは今のところ書かくつもりはありません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。