膝を折り今にも死にそうな五条を無い目で見つめる。一方その五条は引き抜かれた剣の痕に反転術式で治療を試み治しながらも契約について考えをまとめていた。
六眼で得た情報ではこの化け物が呪霊とは異なる存在、「悪魔」であること。そして契約を結ぶことでその力の一端に与ることもできるし、悪魔に物事をさせることもできる。
(つまりこの化け物…闇の悪魔が納得する条件で俺たちを逃がせと契約できるかもしれない)
だが考える時間すらも彼らには残っていない。横に倒れている夏油の傷からして今すぐにも反転術式で治療しなければ助からないだろう。
なにを渡せば助かるか…と思考の海に飛び込んでいる最中、視線を感じ前を見る。
「.̵̣̪͓͔̊̉̀̏.̷͍͉̲͔̱͚͎̫̱͉͙͒͋͑̊͊́̆̆͌̂ͅ.̷̠̭͉͖̥͐͊̒͋̒̈̀́̉.̵̞͙̠͕̦̭̖̗̫͇̎̂̐͗̆̈́̔͂̉̚̚.̴̰̠̖͎̗̳͈̘̭̤̑͒̓̃̽̀͛̀͌.̸͉͈̯̙͔͇̳͎̦̅̓̄͗̂.̷͎͈͓̯͎͈͔̳͔̳͆̓͋̊͛̌̑ͅ.҈͈͎̖̲̬̬͕̖͚̞͙̍̔̃́̓.̶̗͕̖̮͚̬̖̞͇̄͋̅̊̇ͅͅͅ.̴̝̝͉̙̭͕̓̈̓̌͌.̴̜͈̫̥̘̣̟̯̜̳̣̾͊̌̂̎.̴̙̪̗͕̗͕̩͎̥̘̘̞̓͊̒̓̀̂͒̀̾̈.̸̭̱̦͚̬̤̬̿͋͂̈́̀̌̿̂̉̽͐̚」
目がないはずなのに目が合う。一瞬でも敵意を向けられたら死に至るその視線に晒され体が硬直するがそれでも五条の脳は特別性。その意味に限界環境ながらも気が付いた。
(目が合う..ってことはこいつ、俺の目を見ているということ…六眼か!)
「闇の悪魔!俺の右目をやる!代わりに俺たちに危害を加えるな!」
その瞬間、右目が黒ずみ、光が消え、何も見えなくなる。瞼を閉じている時とは違う、完全な闇。発狂しそうになる己の頭を抑え五条はすぐさま夏油の腕一対とその体を引っ掴んで掌印を結び瞬間移動した。
通常瞬間移動するには現在地と目的地の間を整備しなければいけないのだがそんなことを気にする五条ではない。
現在地と目的地の間にある距離を「縮めて」家入硝子の元へ跳ぶ。硝子は数少ないアウトプット可能な反転術式使い。未だに血を流し続ける夏油を救えるのは彼女以外に存在しない。
「ん?おかえ…」
「硝子!今すぐ傑を直してくれ!」
「え」
いつものように運ばれて来る患者を癒しながら煙草を吸う。そこに突如として腕が切れ根がちょん切られ体中から血を垂れ流している夏油。服に大量の血が滴っているが夏油よりは元気がありそうだがしかしその右目は霊障に蝕まれ深淵に飲まれ黒ずみ奥が見えなくなっている五条。
「ッ!とりあえずこの台の上に傑置いて!」
情報量の多さになにがなんだかわからなくなるがとりあえず夏油が重傷だという事は誰の目にも明らか。
腕は後回しにし胸に開いたでかい穴の治療から入る。
「傷大きすぎ…!針と糸持ってきて!」
「ああ!」
「すまない」
治療は夜まで続いた。
反転術式で直せるとはいえ呪力は有限であるが故に現代医療の力も借りつつようやく峠を越えたのが夕方ごろだった。
「気にしてねえよ」
「だが、私は悟の一生涯使うであろう右目を潰してしまったのだ。どう償えばいいのか私自身にもわからないくらい、それは重い」
「だから気にしてねえって言ってんだろ。例え片目だろうが六眼は生きてるし俺たちが最強なのには変わりねえだろ」
「…そうだな」
俺
天上天下唯我独尊。あの理不尽な闇の化け物と相対した後だからこそ驕っていないが今の五条は正しく最強だ。
今の自分では彼の足元に立てるだけ。そしてそんな尊ぶべき彼の強さを削ってしまった要因の一端を担ってしまった…
と考えた所で夏油は己の考えの矛盾に気づく。
例え夏油がいてもいなくても誰があの場に立とうともあの化け物にとっては等しく塵同然。唯一五条だけが興味を示された程度。ならどっち道自分のせいじゃなくね?
「気にしてないならこの話は終わりでいいな。それよりもアレは一体なんなんだ?最強に成った悟でもぼこぼこにされたんだろ?」
「…傑、お前、なんつーか、豪胆だな…」
「よく考えたら私のせいじゃない事に気が付いたからな。悟も気にしてないならいいだろ?」
「お前の性格の悪さっていうか、空気の読めなさそういうところだよな。だから歌姫から殴られるんだろ」
かくして闇落ちフラグはへし折れたのだった。
『結局、アレなんだったんだい?』
『異世界の神っぽいなんかってことは視れたんだけど…なーんもわかんない。どうも世界の法則から外れた力持ってるみたいだしマジ意味不って感じ』
『なら呪霊でもないのか』
五条は気が付いていないが、右目の六眼をあげる、という事は元々そこにあった六眼の場所には闇が居座っているという事でもある。
闇の悪魔は右目を通して外の様子を見ていた。
そしてどうも彼らが使っていた術は同族の力を利用している者ではないという事に気づく。
呪力。呪霊。その存在は悪魔の関心を引き興味を持たせた。
両面宿儺との邂逅は近い。
なんも展開思いつかないので続きません
・代わりに俺たちに危害を加えるな!
この時だけでなく金輪際、という意味。