人生ずっと迷子、この小説もずっと迷子!!!!!   作:柳芽帆奈

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こんなタイトル名だけど、CiRCLEもRingも出てきません。そんな訳で久しぶりの更新です。


第十話「The CiRCLE of life」

 なぜだろう、今日は嫌な予感がする。

 

 オブリビオニスが舞台に上がって最初に頭に思い浮かんだ感想である。確かに最初のライブで乱入騒ぎもあったのは事実だが、それ以降は特に変わったことも起きていない。今日のライブの観客の入りは良いし、設備の調子も特段悪いところは見当たらない。リハーサルの際にも何度も確認し、文字通りすべてが完璧に整った状態である。

 

 しかし、彼女の第六感は危険信号を発していた。まるで自分たちが『獲物』になってしまうと言い聞かせるように。

 

「どうしたんですか?いきますよ」

 

「え、ええ」

 

 そんな違和感にとらわれかけていたオブリビオニスだが、特徴的な5元ベースを携えたティモリスの声掛けでわれに返り、すぐに襟を正す。

 

(まあ、一応注意だけは働かせておいた方がいいかもしれませんわね……)

 

 そう考えながら、彼女は青い髪を揺らして壇上へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、彼女の予感は当たっていた!

 

 それは劇のパートが終わり、楽曲演奏のパートに入っていた時のこと。

 

『黒のバースデイ』のサビに入るまさにその瞬間、左右、中央、観客席の後ろにある三つの扉がすべて勢いよく開け放たれ、それと同時に、どこからか荘厳なクラシックの音色が紡がれる。

 

「「「「「なっ!?」」」」」

 

 左右の扉から現れたのはシマウマやヌー、キリンといったサバンナの動物や頭に草をのっけて草に扮した人間達。中央の扉からはヒヒ、アカハシコサイチョウ、そしてライオンに扮した人間が現れた。しかし、驚くのはそれだけではなかった。

 

「……陛下」

 

「やっぱり来ましたわね……登さん!」

 

 そう、陛下と呼ばれたライオンに扮していたのはなんと以前の乱入騒ぎの黒幕、赤松登。以前の乱入隊は燈が中心になっていたが、今回は本人直々の登場と相まったのだ。彼の右腕には神々しい刺繍が施された布がかけられていて、まさに『百獣の王』と呼ぶにふさわしい風格を醸し出していた。

 

・・・・・(王の中の王よ)

 

 ・・・・・(俺達の王よ)

 

 ・・・・・(俺たちの国のカシラよ)

 

「ちょっと!なんで歌詞が点々なのさ!」

 

「落ち着いて、アモーリス。この曲はJASRACにもNexToneにも情報がないから歌詞を載せられないんだ。作者がルビに歌詞を多分大丈夫な範囲で適当に加筆、和訳したのを載せてくれてるから、それで我慢しなさい」

 

「ドロリス!メタなことを観客の前で話さないでくださいまし!ていうか何でそんなに冷静なんですの!」

 

 何故か冷静にアモーリスを窘めるドロリスにオブリビオニスは困惑する。無理もないだろう、いきなり乱入してきた奴らが某有名ミュージカルの音楽と恰好を携えてやってきたのだから。しかも曲が『King 〇f pride r〇ck』なあたり、完全にラストの再現である。ネタバレはまずいですよ!?

 

・・・・・(先祖代々この地を治めてきた王たちは)

 

 ・・・・・(神妙不可侵にして敬われる存在である)

 

(すべてはよみがえった……!)

 

「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっ!」

 

 長い余韻の後、ライオンに扮した登は観客席の背もたれに右足をのっけて、勇ましい雄たけびを上げる。それと同時に動物達が歌いながら一斉に舞台の中央……つまり、Ave Mujicaの五人に向かって進軍し始めた。

 

・・・・・(この国を治めてくれ)

 

 ・・・・・(この国を治めてくれ)

 

 ・・・・・(この国を治めてくれ)

 

 ・・・・・(恐怖ではなく、平和をもって治めてくれ)

 

「こ、こっちに来た!」

 

「みなさん!早く逃げますわよ!」

 

「……楽しそう」

 

「睦!バカなこと言ってないで早くいきますわよ!」

 

 もはやオブリビオニスとしての設定を完全に放棄してしまった祥子。ショー?に見とれている睦を引き連れて慌てて舞台袖へとはけていく。そのあとを追うように動物たちが登を先頭に追いかけていく。先ほどまで重厚なゴシックホラーの世界観に包まれていた劇場は、生命が巡り輝くサバンナの大地へと変貌してしまった。ちなみに観客はというと……

 

「すごーい!まんまライオンキン〇じゃん!」

 

「一粒で二度おいしいって最高だよね!」

 

「いやいや!?世界観ぶち壊しじゃん!Ave Mujica返してよ!……ってなんか楽器持ち始めたけど」

 

「演奏してる……しかもめちゃめちゃ上手い。これはこれで悪くないかも……」

 

 観客も前回の乱入事件を経て変な免疫がついてしまったようだ。アフリカンミュージックとロックの融合にすっかり魅了されてしまっている。

 

 一方そのころ、Ave Mujicaの五人は……

 

「ていうか祥子さん、逃げるといってもどこに逃げるんですか」

 

「このままエレベーターで地下の駐車場に降りて搬入口から外に出ますわ!そこなら関係者以外は入れないから大丈夫d」

 

・・・・・(時は来たれり)

 

「エレベーター、だめ……」

 

・・・・・(時は来たれり)

 

「階段からも出てきたんだけど!?」

 

「くっ……どれだけ人を呼びましたの……!」

 

 劇場のそこかしこから歌声が聞こえてくる。五人はまさにサバンナの住人達の『獲物』のごとく逃げ回っていくが、その歌声は徐々に彼女たちに近づいてくる……

 

・・・・・(安らぎの道の上で)

 

 ・・・・・(我らが居場所を見つけるその時まで)

 

 ・・・・・(生命は巡り続ける)

 

 そして、正面玄関の辺りでついに五人は取り囲まれてしまう。最早逃げ場のない彼女たちは祥子が抵抗するものの、またもや乱入隊に駐車場へと担がれていく。そこにはいつの間にか普段着に戻っていた登が待ち構えていた。

 

「やあみんな!」

 

「やあみんな!じゃありませんわ!何度私たちの邪魔をすれば気が済むんですの!?」

 

「いや二回目ですけど」

 

「言葉の綾ですわぁ!?しかも本格的な衣装まで用意して……」

 

「目には目を、歯には歯を、演劇には演劇をってよく言うじゃん。ちょっとね、劇団雨季乾季さんからモノホンの衣装とか小道具を借りてきたから高かったけど」

 

「たかが乱入のために金使いすぎですわ……しかも雨季乾季って何ですの……あと二季足りませんわよ……」

 

 彼女には勢いよくツッコミを入れられるほどの気力はもう残っていなかった。むしろ、多分面白がってグルになってるであろう事務所から独立しようか否か本気で考えているほどである。

 

「それで、今回は何やるの?」

 

 そんな様子の祥子に対してほかの四人、特ににゃむはノリノリである。大丈夫なんだろうかこのバンド。

 

「え!?え、えーとそうだね企画だねうん……」

 

 しかし、ノリノリなにゃむに対して登はどこか様子がおかしい。先ほどの威勢のよさから一転、急に言葉に詰まってタジタジになり始める。

 

「どうしたんですか?」

 

「な、なんでもないから!なんでもないから!」

 

 どう見ても何でもありそうな返答である。

 

「……登さん、まさか〇イオンキングやりたいから乱入しただけとかないですわよね?」

 

「そん、そんなえあk、そんなわけないじゃないか!?」

 

「図星でしたのね」

 

 どうやら図星だったようだ。

 

「ちょっとちょっと!どういうことなのさ!」

 

「イヤホンと違ううんだって!ちょっと待ってててよ!」

 

「もう文が崩壊してますわよ、取り繕っても無駄ですわよ」

 

 祥子の指摘もよそに、登は慌てた様子で携帯を手にしてどこかに連絡を取り始める。そして大体1分が経った頃に電話をポケットにしまった。登は汗は流れているものの、元の落ち着きを取り戻したようだ。そのあと、迎えの車がやってきたので、五人はひとまずそれに乗り込んだ。

 

「えーと、とりあえず企画は『モンゴルでド〇えもんのドンジャラ』をするということで」

 

「絶対急に決めてますわよね!?無茶苦茶な企画ではありませんの!?」

 

「伏せ字取っちゃいなよ!どうせあの青狸でしょ!」

 

「いえ、ドザえもんです」

 

「それアカン方のやつ!」

 

「もうちょっとマシな企画考えてくださいよ」

 

 登の無茶苦茶な企画に五人はスッカリあきれ顔である。

 

「じゃあ『最強クラスの心霊スポットでマスカレードする』は……」

 

「いやですわよ!?怖いの嫌いですの!」

 

「あんたらのバンドのイメージなんだっけ」

 

「……ちなみにどんなところ?」

 

「関東近辺にある洋館。なんでももともと住んでた薬中の駐留軍の軍人が麻薬乱交パーティーの末に集団殺人をやらかして、百人近くの死者が出たらしい。そのあとに住んでた住人も次々に謎の体調不良やじs「もうやめてくださいまし!」……まあやばいところだよ」

 

「あの、私たちを殺す気ですか?」

 

「でも再生数は伸びそう……」

 

「いやさすがに命が惜しいので……」

 

「いやもういってもらうから」

 

「いやいや勘弁s」

 

 prrr……

 

「あれ?」

 

 と、ここで初華の携帯から着信音が鳴る。気になった初華はメンバーに一言断ってから電話に出る。

 

「あ、あの、もしもし」

 

『あっ、初華か!今何してんだ!』

 

「えっ……?」

 

 しかし、電話をかけた相手の声を聴くや否や、初華の顔が一気にこわばる。

 

「初華さん……?」

 

「な、なんで登さんが電話に出てるの……?」

 

「の、登さん?」

 

「ちょっと待ってください?登さんは助手席にいるじゃないですか」

 

『え?いやいや、俺は今そよと一緒にRingにいるんだけど。それより、お前ら劇場を出た後行方不明になってんだy……今いる……ばsh』プツッ

 

 なんと電話の相手は助手席にいるはずの赤松登その人。しかもなんとAve Mujicaの五人は行方不明になっているという衝撃の事実が知らされた。初華が聞き返そうとするも、電話は途中で切れてしまい、その後は何度かけなおしても繋がることはなかった。

 

「嘘……私たちが行方不明……?」

 

「ちょっと待ってくださいまし!一体どういうことですの!?」

 

「じゃ、じゃあ、助手席にいる登は……」

 

「・・・」

 

 にゃむが恐る恐る声を上げるも、助手席にいる登からの返答はなかった。恐怖におののく五人をよそに、そのまま都内を抜けていく。行き先は先ほど話に出てきた洋館。彼女たちは自分たちが本当の意味で『獲物』になったことにやっと気づいたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 繧医≧縺薙◎縲√?繝ゥ繝シ縺ョ荳也阜縺ク縲

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