人生ずっと迷子、この小説もずっと迷子!!!!!   作:柳芽帆奈

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第四話「普通とか当たり前って何だろう」

~side立希~

 

どうも、椎名立希です。燈、そよ、愛音、楽奈と一緒にMyGO!!!!!っていうガールズバンドやってます。

 

そんな私達だけど、実はもう一人、正確にはMyGO!!!!!のメンバーじゃないけど、準メンバー扱いみたいになってるやつがいる。

 

彼の名前は赤松登。身長172㎝、体重57㎏、胸囲80㎝、『彼』という代名詞の通り、男だ。百合の間に挟まる男が許せない奴は今すぐブラウザバックしてくれ。まあ、これ第四話だし今更感半端ないと思うけど。

 

そんな登。息を吸うかの如くそよにストーカーやセクハラまがいの愛情表現を繰り返しては、そよに鉄拳制裁を喰らっているのだが、今日は少し……いや、まったく様子が違っていた。

 

「ママー!ママー!」

 

「おーよしよし。今日も登は元気ね」

 

「ママの身体あったかくて好き!」

 

「私も、どこまでも素直な登が大好きだよー♡」

 

「そよー!」

 

「「「「……」」」」

 

「なあ、私は頭がおかしくなったのか?」

 

「珍しくりっきーと意見が合ったよ」

 

「の、登くんとそよちゃんが、あんなに仲良くしてる……」

 

「甘々カップル?」

 

あの光景は一体何だ!?そよが優しい!私たちの知ってるそよはもっと暴力的で、気性が荒くて、いつも予測不可能な行動をする奴のはずだぞ!?……いや、こっちの母性溢れるそよの方が原作的には正しいのか?ど、どっちなんだ!あれは本物のそよか!?偽物のそよか!?そよか!?そよじゃないのか!?

 

「とりあえずツァーリ・ボンバを出力100%でぶっ放す!それを素手で受け止められたら本物のそよだ!」

 

「やめて立希ちゃん!日本終わる!日本が終わっちゃうよ!」

 

「説明しよう!ツァーリ・ボンバとは、旧ソ連が開発した史上最大の水素爆弾。その威力は広島型原爆の3300倍ともいわれ、仮に出力最大で投下したら関東平野は壊滅状態になるらしい」

 

「楽奈ちゃん!?誰に説明してるの!?あと口調口調!」

 

「りっきー!ちょっと痛いけど、とりあえず歯ぁ食いしばれぇ!」

 

「ぐほぉ!?」

 

!?わ、私は一体何を……

 

「はぁ、はぁ………」

 

「よ、よかった……ようやく正気を取り戻してくれた……」

 

「ご、ごめん……」

 

しまった、燈を悲しませてしまった……後、今すんごく愛音を殴り返したい気持ちだけど、正気に戻してくれたから我慢しないと。

 

「それにしても、急にどうしたんだろうね。そよさん」

 

「う、うん……いつもは優しさ3・暴言暴力7ぐらいだけど、今のそよちゃんは優しさ10になっちゃった」

 

「てか、それ変える必要ある?」

 

「の、野良猫!?」

 

「だって、優しいならいいじゃん」

 

そ、そりゃ問題ないならいいけどさぁ……

 

「でもさぁ、楽奈ちゃん。このままだと、登はそよさんしか見なくなるよ?私たちに振り向いてくれなくなるんだよ?」

 

「……」

 

「そんなの私は嫌。もっと登にも私のこと見てほしい!りっきーもそう思うでしょ?」

 

「……何が言いたいんだ?」

 

「私知ってるよ?りっきーも登のこと気になってるでしょ」

 

「は、はぁ!?私がアイツと!?何バカなこと言ってんの?」

 

「登の好きな食べ物は?」

 

「キムチ」

 

「登の家の鍵の構造は?」

 

「ピンが8つのディンプルキー構造、2か月ぐらい前に一回変わってる」

 

「登のチャームポイントは?」

 

「普段はだらしないけど、たまに見せるはにかみ顔がすごくかわいい……あっ」

 

「フッ、完全勝利☆」

 

「し、しまったーー!」

 

あ、愛音に出しぬかれるなんて……くそっ、悔しすぎる!こんなところで痴態を晒すなんて……

 

「立希ちゃんも、登くんのこと好きだったんだね」

 

「ボロが出た」

 

「くっ……そうだよ、悔しいよ。このままアイツがそよとイチャイチャし続けるのを見るのは悔しいよ!」

 

「わ、私も……目の前でずっとイチャイチャを見せつけられるのは我慢できない!」

 

「楽奈ちゃん、それにね。そよさんしか見なくなるという事は……抹茶スイーツ、ご馳走してくれなくなるかもよ?」

 

「取り戻す」

 

「お前なぁ……まあ、野良猫らしいっちゃあ、らしいか」

 

これで、とりあえず四人の意思はそろった……長崎そよ、お前だけに登を渡しはしない!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とはいえ、あいつをどうやって戻すんだ?」

 

「それなんだけど、私心当たりがあるんだ!」

 

「ホントか?お前の心当たりはいまいち信用ならんのだが」

 

「りっきーひどい!とりあえずついてきてよ!来たらわかるから」

 

自信ありげに言う愛音に気おされ、私たちはRingを離れ、愛音が向かう方についていく。しばらく歩いていると、大きな公園が見えてきた。愛音はその中央にあるこの公園のシンボルともいえる噴水付きの池で立ち止まる。

 

「おい、こんな池のどこにそよを戻すカギがあるんだよ」

 

「……『金の小野』って知ってる?」

 

「うん、『金の斧』だな。その小説でしかわからない引っ掛けやめとけ」

 

「それって……あのおとぎ話の?」

 

「うん。最近ネットに流れてる噂なんだけどね。この池に品物を投げ入れると、女神さまが出てきて、投げたものより良いものをくれるんだって」

 

「という事は……」

 

「そよさんは何かの拍子にこの池に落っこちちゃって、その結果あのそよさん……いわゆる『きれいなそよさん』が生まれたという訳だよ」

 

「うん……意味わからん」

 

てか、それどっちかというと某青いロボット野郎の話じゃないか?きれいな~って下りの時点で絶対そうだろ。しかも、本物の金の斧なら汚い方のそよも残るはずなのに、そっちがいないという事はやっぱりきこりの泉じゃねえの?

 

「という訳で、そよさんをこの池に投げ込もうと思います!」

 

「字面だけ見てると最高に狂ってるんだよなぁ」

 

「風邪ひかないかな……」

 

「燈、心配するのは良いんだけど、今心配するのはそこじゃないと思うな」

 

「という訳でさっさとそよさん投げるよ!」

 

「あ、おい!くっそ……行くぞ!」

 

「「うん!(おー)」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして決戦のRingへと舞い戻ってきた私達、MyGO!!!!!-そよ。

 

「よし、いくぞ!」

 

私の声とともに、四人で一斉にそよの周りを取り囲む。

 

「え!?な、何!?」

 

「待ってろそよ……今元に戻してやるからな!」

 

「お、おい!俺のそよに何してんだよ!」

 

そして、私が右足、愛音が左足、燈が右腕、楽奈が左腕を担ぎ、おみこしの要領で風のようにRingを後にする!

 

「……沙綾ちゃん、胃薬ある?」

 

「た、大変ですね」

 

なんか凛々子さんが胃薬をラッパ飲みしてるように見えたけどそんな事に構ってられない!今はそよを元に戻すことが最優先だ!

 

「ねえ!みんな何をしてるの!?ナニするつもりなの!?」

 

「見えた!あの池だ!そよを投げるぞ!せーの」

 

「「「「ゲッター!」」」」

 

「きゃぁぁぁぁぁぁ!」

 

掛け声とともに四人一斉にそよを池の方に放り投げた。そよは甲高い悲鳴を上げながら池の底に沈み、やがて姿が見えなくなる。

 

「これで、女神が出てくるんだよな?」

 

「うん、確かそのはず」

 

コポコポッ……

 

「「「「!?」」」」

 

すると、急に池から気泡が現れ、ギリシャ神話に出てくるような装束を身にまとい、頭にはオリーブの冠をかぶった美しい女性が出てきた。おそらく、こいつが女神……

 

『あなた方が落としたのは、このきれいな長崎そよですか?』

 

そう言うと、さっき投げ入れたそよさんが池から浮かび上がってきた。水滴一つついてないあたり、やはり神なんだなと実感させられる。

 

『それとも、このきたない長崎そよですか?』

 

きれいなそよの反対側にもう一人のそよが浮かび上がってきた。こっちはさっきのそよと瓜二つだが、こっちの方がどこか慣れ親しんだ雰囲気が漂っていた……なら、答えは一つ。

 

「「「「いいえ!落としたのはきれいなそよさんです!」」」」

 

『あなた方は正直な人ですね、ご褒美にこのきたない長崎そよをあげましょう』

 

「「「「やったー!」」」」

 

「えええ!ちょt、わたしは!私はどうなるのぉぉぉ!」

 

きれいなそよは必死に抵抗するが、池の中に帰る女神の手に服を引っ張られ、そのままずぶずぶと池の中に沈んでいった……すまない、きれいなそよ。君のいる世界はここじゃなかったんだ。違う世界で頑張ってくれ。

 

「うん!やっぱりこっちのきたない方がシックリくるよ!」

 

「うん、なんかきたないきたないって連呼されるの嫌だな。とりあえずそのDQN並みの腐った脳みそにチャカぶっ放していい?」

 

「おぉぉ……!」

 

これだよ、私たちはこのそよを待ってたんだよ!

 

「そよちゃん、一緒にRing行こう!」

 

「うん!いいよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!そよー!心配してたんだ「どりゃあっ!」よーそろーっ!?」

 

Ringに戻って来るや否や、そよの胸に抱き着いてきた登だったが、頬に右足の蹴りがめり込んで、周囲の座席を巻き込みながら見事なきりもみ回転をかます。

 

「ど、どうしたんだよそよ!さっきまでの甘々ママはどうしたんだよ!」

 

「あの私は違う世界の私だったの!忘れなさい!」

 

「そんなぁ!あのそよを返してよ!」

 

「ああもう!言っても聞かない子にはお仕置きよ!」

 

『エグゼイド、執行!』

 

『Justice order!』

 

『HYPER CRITICAL SPARKING!!!』

 

そよの目の前にゲームに出てくる必殺技みたいな文字が出てくると、そよが金色のオーラに包まれ、そのまま登に向かって連続キックを高速でをかましていく!

 

「って、あれ……?」

 

「意外と効いてない……?」

 

意外と普通のキックだったと思ったのもつかの間、

 

『究極の一発ゥ!』

 

HIT!HIT!HIT!HIT!HIT!HIT!PERFECT!

 

「あばばばばばばば!!!!」

 

HITやPERFECTという文字とともに次々に登に連撃が入ってきて、最終的に登は爆発した!やっぱりそよはこうでなくっちゃな!

 

「おーい!のぼるー!大丈夫?」

 

「な、なんとか……」

 

「マジか」

 

アレ喰らって大丈夫っておかしいな。

 

「とりあえず、アレで何とか我に返ったみたい」

 

「随分と荒療治な気もするが……」

 

「私は信じてるから。登はこんな攻撃じゃくたばらないって」

 

そんな訳……って思ったけど、剣3本刺さってても普通に会話してたし、今更か。

 

「なんだかんだで、そよも登の事信用してたんだな」

 

「!?ば、バカ言わないで」///

 

とりあえず、一件落着か……

 

「まあ、元に戻ったわけだしそよ!結婚しよ」

 

「よし帰れ、いま直ぐ帰れ」

 

「俺とそよの愛の巣にか?」

 

「お前だけの家だよ、なんでお前と結婚しなくちゃならないの」

 

「そんな!あの時糸守の神社で3年の時を超えて約束したアレは嘘だったのかよ!?」

 

「勝手に記憶を改ざんしないでくれるかな?はぁ……正気に戻ったとか一瞬でも信用した私がばかだった」

 

「そ、そよが泣いている!目から聖水があふれているぞ!ペロペロしなきゃ!」

 

「……」

 

やっぱり変わらなかった変態野郎にそよは無言で肘打ちをかます。うん、これはさすがに擁護できない。

 

「き、気持ちいぃ……あ!白ごはぁ」

 

「教育教育教育教育教育教育死刑死刑死刑死刑死刑死刑」

 

あろうことか、堂々とそよのスカートの中を覗き込んだド変態の顔にそよの脚が突き刺さる。血が出ても、顔が崩れても足の動きは止めない。今のそよはまさにバーサーカーと化していた。これが、これこそが私たちの知っている長崎そよである。

 

 




だめだ、狂気が足りない……もっと、もっと狂気を摂取しないと。
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