人生ずっと迷子、この小説もずっと迷子!!!!!   作:柳芽帆奈

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そういや今日は仮面ライダーガッチャードの初回放送ですね。というわけで、こっちも新番組はじめます。(大嘘)


第六話「新番組・仮面ライダーCP」

『〇ルトラマンが拉致されて腹筋ボコボコにパンチ食らって胸のランプが点滅するとあと3分で力尽き果てる』

 

『その時のウ〇トラマンの苦しむ姿にドキドキするってヒーロー凌辱だぜ!』

 

「うん、祥子ちゃん?登?何一緒に歌ってるの?」

 

目の前で繰り広げられる光景にそよは困惑する他なかった。そこには彼女にとって長らく尾を引き続ける存在だった豊川祥子が、ピアノを弾きながら登とデュエットを組んでいたのだ。しかも、歌の内容はどう考えても地上波に出せるような代物ではない怪文書由来の歌である。¥谷プロに消されるからマジで止めてくれ。

 

「え?あぁ、そよ!お前も一緒に歌わないーすたんりーぐ!?」

 

「教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育ゥ!」

 

「そよさん!暴力反対ですわ!」

 

「ついでにお前もじゃ!散々物語をひっかきまわしやがって!視聴者兄貴共を代表して鉄拳制裁じゃあ!」

 

「きゃあああ誰か助けてくださいましぃぃぃぃ!」

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」

 

登をボコボコにしながら、祥子にも黄金の右ストレートが容赦なく突き刺さる。彼女のこぶしにはこれまで9週間以上にわたってアニメで散々楽奈除くMyGO!!!!!メンバーたちを引っ搔き回してきた光景に辟易してきた視聴者兄貴たちの鬱憤が込められている!

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

「痛いよォ……でも気持ちいことしてくれてありがとう」

 

「こいつは変わんねえなぁ……しかも、不倫したシェフの言葉を持ってくるあたり救えないわ……」

 

「シェフと聞いたらお腹がすきましたわね……何か美味しいもの食べたいですわ!奢ってくださいまし!」

 

「「絶対今じゃねえな!?」」

 

「ひ、ひどいですわ!こうなったら力づくでも奢らせてやりますわ!」

 

祥子はそう言うと懐から何かを取り出す。それはなにか輪っかのような形をしていた。

 

「てめぇパルックなんて持ち出して何しようとしてんだ?」

 

「これは蛍光灯じゃないですわ!天使の輪っかですわ!」

 

蛍光灯と勘違いしている登にキレると祥子はその輪っかを頭にのせる。すると、彼女が言ったようにまさに天使の輪のごとく、輪っかが激しく光りはじめる。あまりのまぶしさに思わず二人は目をつぶるのだが、光が収まると彼女の羽丘の制服に所々天使っぽい意匠が入っており、背中には天使たる象徴、純白の羽を備えていた。

 

「ふふふ……ときめき☆ポポロン祥子ちゃん、降臨ですわぁ!」

 

「「痛ぁ……中二かよ」」

 

しかし、そんな祥子に対する二人の反応は冷ややかなものだった。そりゃそうだろう、いきなり天使に変身した挙句に痛さ全開の自己紹介までされてしまっては、誰だってこんな反応をする。

 

「ムキーーっ!もう堪忍袋の緒が切れましたわ!こうなったら暴れまわってやりますわ!」

 

そう言うと祥子はどこから持ってきたのかロケットランチャーを担いで街のいたるところに弾を発射していく。人畜無害な天使っぽい見た目の癖に、やってることは完全に特撮に出てくる怪人のそれである。

 

「きゃははは!自分勝手で救う価値のない奴らにはぴったりな仕打ちですわ!」

 

「ちょっと!完全に中の人ネタじゃない!」

 

「くそっ、そよ!奢ってあげろよ!」

 

「お前のせいで楽奈ちゃんに奢らされたんだよ、忘れたのか?」

 

そよは完全に数話前の出来事がトラウマになっているようだ。

 

「くっ……俺も給料日前で懐がさみしいし……仕方ない、倒すか」

 

「はぁ!?倒す!?相手は人外令嬢♡サキコなんだけど!?」

 

「大丈夫、初華から秘密兵器をもらったから」

 

「初華って……もしかしてあのsumimiの!?どんだけ交友関係広いの!?」

 

驚くそよを尻目に登がカバンから何かを取り出す。それは白を基調にしたベルトで、両側にはカードを入れるようなスペースがあった。まるで変身ベルトのような……というかほぼガッチャンコするアレの色違いである。

 

「……」

 

登はポケットから1枚のカードを取り出し、それをベルトのバックル部分に挿入する。

 

『長崎~そよッ!』

 

「はぁ!?」

 

ノリノリなアップテンポの待機音と突如自らの名前を呼ばれたそよが驚く。まるで自分が変身するかのような流れではないか。その証拠にそよの身体は淡い黄色の光に包まれ始めていた。

 

「2枚目は……こいつだ」

 

『千早~愛音ッ!』

 

登は2枚目のカードをバックルに挿入した。待機音の曲調が変わり、今度はなぜか愛音の名前が読み上げられる。

 

「あ、あれ……?ここどこ……ってそよりん!?」

 

「愛音ちゃん!?どうしたの!?」

 

なんと、愛音がそよの隣に実体化したのだ。しかも、そよと同じように桃色の光に包まれながら。これは一体どういうことだろうか?

 

「あ!あれはリリードライバー!?」

 

「いや何リリードライバーって。なんで愛音ちゃんは知ってるの?」

 

「この世にはさまざまな愛の形がある……男×女、男×男、そして女×女。友愛、恋愛問わず、そんな関係にある二人を人々は『カップリング』で呼んだ……あのドライバーはそんなカップリングの力を戦いの力に変える装置なんだよ」

 

「え、なんか新シリーズ始まった?」

 

愛音の突然の長台詞にそよが困惑している中、登は両側のレバーを引き、カードを中央に重ねる。

 

『ガッチャ~ンコ!』

 

「変身ッ!」

 

すると、二人の身体にも変化が起こり、まるで登に吸い寄せられるかのように動いていく。

 

「え!?なになに!?どうなってるのこれ~!?」

 

「そよ!愛音!おせっせの時間だァ~!」

 

「いいよ~!私の身体、好きに使ってね~!」

 

「イヤッ!イヤッ!イヤぁぁぁ!」

 

正反対の反応を見せながら、二人は光に包まれ、装甲へと身を変えて登の身体に纏わりついて変身が完了する。

 

『あのそよ!』

 

「仮面ライダーCP……ここに見参」

 

(せ、狭いよ!なんなのこれ!)

 

(我慢しなってそよりん)

 

「CP!?なんですのそれは!」

 

「うるせえ!知りたければ俺を倒してから行きな!」

 

啖呵を切ったCPは虚空からそよのベースを取り出す。

 

「フヘへ……そよのベース♡」

 

(気持ち悪ッ!ていうか私のベースで何するつもりなの!?)

 

「なぁに、ちょっと使わせてもらうだけだよっと」

 

そう言うと、ベースのボディからネックを引っこ抜くと、ネックの先から日本刀の刃が現れる。

 

「そうはさせませんわ!」

 

CPの目論見が読めた祥子は、すかさずランチャーを撃つ。しかし、CPはその砲撃を剣で上空へといなす。いなされた砲撃ははるか頭上で大爆発する。しかし、予想外に威力が強い。こんなもんを街中でブッパするなんて正気の沙汰ではないだろう。

 

「くっ、ならば!」

 

祥子はランチャーを放り投げると、天使の輪っかに手をかけ、そのままブーメランのようにCPに向かって投げつけた。しかも、頭の輪っかはすぐに再登はるので何発も何発もCPに向かって投げつける。

 

「くそっ、なんて数だよオイ!」

 

CPは迫りくる輪っかを剣でいなしていく。しかし、かわしきれなかった分が何発かCPの身体をかすめる。

 

「痛ッ……くそ、これじゃあキリねぇぞ……」

 

(登!私が手助けしてあげる!)

 

「マジか、じゃあちょっと代わってくれ)

 

(おっけー!」

 

(ねえ、なんで愛音ちゃんそんなに慣れてるの!?)

 

そよの叫びが届くことはなく、CPの主導権を握った愛音は今度は自分のギターを顕現させ、さっきと同じようにネックを引っこ抜く。しかし、こっちは刀ではなくライフルのようになっていた。そして、それを真ん中で分割し、二丁拳銃のような形態になる。そして、軽いフットワークでかわしながら天使の輪っかに銃撃を打ち込んでいく。

 

「FPSは得意だからね~」

 

(愛音ちゃん?君FPSやってるなんて言ってたっけ?)

 

(まあまあ、この小説でそんなこと気にしてたら負けだからwww)

 

(うるせぇ変態!)

 

一方、天使の輪っかを投げつける事に集中していた祥子は愛音が銃撃で反撃してくるのをまったく予期していなかった。おかげで何発か被弾してしまう。

 

「登!今だよ!)

 

(ああ……!」

 

再び引導を渡された登はレバーを押し込んで蹴りの体勢に入る。

 

『あのそよフィーバー!』

 

(いくよそよりん!)

 

(はぁ……なるようになれ!)

 

「いくぞ!」

 

レバーを引くと、右足にエネルギーを込めて空高く飛び上がる。そして、黄色と桃色の五線譜の軌跡を描きながら祥子めがけてライダーキックをおみまいした。祥子はギリギリのタイミングで天使の輪っかを盾のように前に突き出し、防御を試みる。が、それもむなしく破られようとしていた。

 

「覚悟しな、とき……ポ……ええと、豊川祥子!」

 

「ときめき☆ポポロン祥子ちゃんですわぁぁぁ!最期ぐらいちゃんと呼んでくださいましぃぃぃ!」

 

その言葉を断末魔に、祥子は吹き飛び、爆発した。これにて一件落着……かと思われたのだが。

 

「あれ、意外に爆発デカくないか?」

 

(う、うん……)

 

祥子が出した被害よりも自分たちのキックの威力による爆発の被害の方がずっと激しかったことに気づき、少し複雑な気持ちになる登と愛音であった。いやお前らマジで何やってんだ。

 

「まあいいか、この小説は大体次の話では元通りになってるし」

 

「そうだね!じゃあほっとこっか」

 

なかなかに気の狂った会話である。

 

「はぁ、はぁ……ひどい目に遭いましたわ……「おい」ヒィッ!?」

 

「よくも暴れてくれたなぁおい」

 

「ご!ごめんなさいですわぁ!なんでもしますからぁ!」

 

すっかりビビりまくっている祥子はそよ達の服に縋り付きながら必死に許しを請う。完全逆転である。あの頃の『おためごかしですわ』と言い放った祥子はどこに行ったのだろうか。

 

「俺は許そう」

 

「私も許すよ~、どうせ明日には元に戻ってるだろうし」

 

しかし、二人は意外にあっさりと祥子を許した……が。

 

「「しかしこいつが許すかな!?」

 

二人の視線の先には笑顔のそよの姿。

 

「祥子ちゃん、今何でもするって言ったよね?」

 

しかし、彼女の周りは氷のごとく冷たかった……気がする。

 




「で、そよりん。この後あの人どうしたの?」
「北朝鮮→ロシア→トルクメニスタン→エリトリア→ベネズエラの世界一周旅行に連れて行ってあげたよ~」
「へ、へええ……(おっそろし)」
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