人生ずっと迷子、この小説もずっと迷子!!!!!   作:柳芽帆奈

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我々はこれより過去を切り捨てる。 泣いてはいけない。泣くのは今の生活を嫌がっているからだ。 笑ってはいけない。笑うのは昔の生活を懐かしんでいるからだ。
(ポル・ポト)




第七話「我々はこれより過去を切り捨てる」

「そよぉ……おっぱい吸っていい?」

 

「いいよって言うとでも思った?」

 

「うん!」

 

「殴りたい!この笑顔」

 

「オッケーグーグル、バーサーカーそよの対処法を教えて」

 

『そんなものはありません』

 

「」

 

 開始早々、AIにも見捨てられてしまった登は絶望するが、無慈悲なそよは目もくれずラグビー選手顔負けのタックルを繰り出す。

 

「ああ逃れられない!ライダー助けて!」

 

「……どしたの」

 

「む、睦か!」

 

 そこに通りかかったのは、薄い黄緑色の髪をした薄い表情の少女。若葉睦。こいつも元CRYCHICのメンバーであり、そよに差し入れのきゅうりを突き返されたことでなんか吹っ切れたとのうわさが立ち込めている。

 

「助けてくれ!そよにタックルされてるんだ!」

 

「……めんどくさい」

 

「そんなこと言わずにねぇ!俺をジャッカルしてくれよ!」

 

「……二人とも、その前にちょっといい?」

 

「「ん?」」

 

「なんで睦ちゃん、トラクターに乗ってるの?」

 

「「???」」

 

「いや、なんで『何言ってんの?当たり前じゃねーか』みたいな顔されてんの?え何、私がおかしいの?」

 

 そう、睦はトラクターに乗っていた。もう一度言おう、トラクターである。しかも、アメリカの農家でしか見ないような超大型トラクターである。睦はそのデカいトラクターの操縦席に制服姿でちょこんと座っている。

 

「早く行こ」

 

「ん、そうだな」

 

「ちょっと待ってよ!説明してよ!私と読者を置いてけぼりにしないでよ!」

 

 困惑しているそよを横目に睦と登は学校へと向かっていく。遅れながらそよもついていき、我らが月ノ森学園に行きつくのだが、そこでもまたそよは困惑した表情になった。

 

「な、なにこれ……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごきげんよう、この前もらったたまねぎ、すごくおいしかったですよ」

 

「本当ですか!手塩にかけて栽培した甲斐がありましたよ」

 

「ごきげんよう、朝から精が出てますね」

 

「ごきげんよう先生!キャベツは害虫がつきやすいので、こうして朝からついてないか確認しているんです」

 

「とてもいい心意気です。丁寧なケアと真心が詰まった作物は美味しく育ちますよ。頑張ってくださいね」

 

「ありがとうございます!」

 

 そよの目の前に広がっていたのは、自分の記憶にはない母校の姿だった。校内のあちこちが耕され、朝早くからたくさんの生徒がその広大な農地でキャベツやニンジンなど様々な作物を育て、農業用トラクターで校内を行き交っている。さらに、見上げると校舎の屋上にもビニールハウスのようなものが置かれていた。睦もトラクターを駐車場に横付けした後で自分の大きな菜園できゅうりの手入れを行っている。その面持ちはさながら専業農家のそれであった。

 

「え?月ノ森はいつから農業学校になったの?」

 

「そよ、お前理事長の方針を知らねぇのか?」

 

「理事長?」

 

 そよの頭に浮かんだのは、あの黒っぽい厳格な女性。最近はその理事長の締め付けによって周りでも不満が漏れているとは彼女も聞いていたが、なぜ農業につながるのかは全く分からなかった。

 

「なんでもな、『THE・鉄腕D〇SH』の〇ASH村を見て『月ノ森の精神を宿すには農業を極めることが最も的確な手法である』とか言って、学校全体を週末の二日間で農場に変え、学生全員に作物の栽培を奨励してるんだよ」

 

「何その理由!?理事長が見たテレビで学校の運営方針決まっちゃうの怖いよ!?あと、二日で農場にしたの!?金持ちの巣窟は一味も二味も違うなぁ!?(錯乱)」

 

 理事長の鶴の一声で運営方針がとんでもない方向に変わってしまった上に、そのきっかけがテレビ番組という何とも俗な切っ掛けだったこと、さらにたったの二日で学校全体を農場に仕立て上げられる人脈や財力を目の当たりにして、そよは頭を抱えていた。やはり、タワマン最上階に居を構える彼女も、親が離婚する前は狭いアパート暮らしだったこともあってか、感性はまだまだ庶民のそれから抜けきっていないようだ。

 

「という訳でそよ」

 

「なに」

 

「一緒に夫婦の共同作業をしよう!」

 

「うるさいわぁ!」

 

 朝早い閑静な住宅街にCV.小日向〇香の金切り声が高らかに響く。ちなみに、あの名台詞(なんで春日影やったの!?)より声はデカい。桑と野菜の種を手に持った登の顔にそよの唾液がかかる。

 

「ワァ!そよの唾だァ!感謝感激唾あられ!」

 

「殺してやる……理事長室に凸する前にこいつだけはブチのめしたる……!」

 

「きゅうり食べる?」

 

「いらんわぁ!」

 

 この後、結局きゅうりは美味しくいただいた。そのあとそよは睦と一緒に登を畑に埋めた。後で聞いた話によると、新種のよくわからない野菜が生えたそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「理事長センセ!?理事長センセとかいう大馬鹿ババアはどこにいる!?」

 

 半ば錯乱状態になったそよは理事長室の重厚な木の扉を勢いよく蹴破る。ちなみに、この扉は高級素材でおなじみのマホガニー材、お値段は数十万円である。

 

「いらっしゃい、よく来たわnあちいいっ」

 

 そよの目の前にあるゴールデンオリーブ色のふかふかソファに堂々と座る理事長女史。手にはそよも大好きお紅茶が握られていたが、置くときに勢い余って中身が手にかかってしまい、思わず叫んでしまう。鉄の女・理事長とは言えどもやはり人の子である。

 

「……もう一回やり直してもらっていいかしら」

 

「なんでですか」

 

「やり直さなかったら理事長権限で減点よ」

 

「分かりましたやり直させていただきます」

 

 バーサーカーもさすがの権力には逆らえないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「理事長センセ!?理事長センセとかいう大馬鹿ババアはどこにいる!?」

 

 半ば錯乱状態になったそよは理事長室の重厚な木の扉を勢いよく蹴破る。ちなみに、この扉は高級素材でおなじみのマホガニー材、お値段は数十万円である。

 

「いらっしゃい、よく来たわnあちいいっ」

 

「おい何してんの!?何お前の失敗までやり直してんの!?」

 

「ごめんなさい、作者がコピペの範囲を間違えてしまったみたいね」

 

「はぁ!?作者何しとんねん!?」

 

「という訳でテイク3いくわよ」

 

「いい加減に「減点」……クソッタレ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「理事長センセ!?理事長センセとかいう大馬鹿ババアはどこにいる!?」

 

 半ば錯乱状態になったそよは理事長室の重厚な木の扉を勢いよく蹴破る。ちなみに、この扉は高級素材でおなじみのマホガニー材、お値段は数十万円である。

 

「いらっしゃい、よく来たわね」

 

 今度はちゃんとティーカップを置けたようだ。

 

「よっしゃ」

 

 そして、このガッツポーズ。彼女が提唱する月ノ森生としての自覚とやらはどこに行ってしまったのだろうか。

 

「とりあえずそこに座りなさい」

 

 理事長が指さしたのはテーブルをはさんだ対岸にあるワインレッドの椅子。そよは促されるまましぶしぶそこに座る。

 

「それで、わざわざ私に何の用かしら」

 

「なんで学校をあんな農場だらけにしたんですか!?」

 

「決まってるじゃない。農業は人間の最も基礎たる産業構造。あなたも農業が第一次産業に分類されていることは知っているでしょう?農業を極めることはすなわち人間の基礎を作る事。月ノ森に限らず、すべての教育機関にとって重要なことではないかしら?」

 

「嘘つけDASH見たからだろうが!とにかく!運動場も体育館も全部農場になってるんですよ!しかもプールもレンコンの栽培場になってるじゃないですか!一体どこの戦時中ですか!?運動部も困ってますよ!」

 

「それでも、月ノ森生としての自覚を身に着けるためには必要な痛みなのよ」

 

「いやいや!?座学も普通の授業が全部ストップして、農業の基礎知識を教える授業になってるんですよ!?」

 

「でも、大半の生徒は満足していたじゃない」

 

「くっ」

 

 そよは痛いところを突かれてしまった。実際、登や睦のようにこの学園には異常な適応力を持つ人が大半で、農業方針にもあんまり反対の声が上がっていなかったのだ。

 

「……でも、そうやってわざわざ言いに来たという事は評価するわ。いいわ、考えてあげましょう」

 

「本当ですか!?」

 

「私だって鬼ではないわ。生徒の声には耳を傾けるつもりよ」

 

「……ありがとうございました」

 

 そう言って、そよは理事長室を後にしていった。これで普通の学校に戻るはず……そよはそう信じていた。が、そうもいかないのがこの小説である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『これからの社会は先の予測がつかない変容の時代です。そのためには、自分の見聞を身をもって開拓していく必要があるのです……そんな訳でわが校は無人島開拓を目標とします』

 

「そうじゃねえんだよぉぉぉぉぉぉ!いい加減DASHから離れろぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

 そよの思いとは裏腹に、今度は農場経営から、よりハードな無人島開拓にスイッチしてしまった。しかも、わざわざ太平洋に浮かぶ広大な無人島を学校が買い取るほどの徹底ぶりである。そよ達も校外学習の一環として、トロッコの建設を担っていた。しかも電化工事も込みで、保安システムも構築するという本家以上に本格的な鉄道敷設である。

 

「あのババア!あいつ人の話なんも聞いてねえじゃねえか!?」

 

「まあまあそうかっかすんなて」

 

 そう言ってそよのもとに駆け寄るそよと睦。言わずもがな、頭には安全ヘルメットをかぶり、無骨な作業着を身に着けている。片手にはスパナやトンカチを握り、その姿は学生ではなくまさに一人前の工事作業員である。お嬢様校ってなんだっけ(真顔)

 

「きゅうり食べる?」

 

「いらんわぁ!」

 

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