あべこべ世界で性別隠しながら無双したかった   作:バグった魔法使い

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続けていくぞー!


バレてしまったあの日

 

そそくさと宿に戻ったルインは泊まって一月以上経つ部屋にサッと入る。

そのまま音を遮断する魔法を部屋にかけ、ドアの鍵を閉めて更に物体強化の魔法をかけて鉄壁にする。

更に部屋に付けられた窓にカーテンをかけ、備え付けのランタンに火を灯す。

 

そこまでしてから、ルインはホッと息を吐く。

 

「バレないようにするのか大変だけど…ああやって気持ち良く魔法を放てるのが楽しい…」

 

ルインは転生者だ。前世では学歴が中の下、顔はちょっと醜いと自分でも思う程度で俗に言う負け組の男だった。

 

そんな前世の死因は飲酒運転の車に轢かれ、ボールのように跳ねて飛んだ後に近くの河原に落下、血の花を咲かせる。漫画かよと思える死因だった。

 

そして次に目覚めたらめっちゃ綺麗な女性に抱かれていた、赤子として

最初は困惑したものの、俗に言うファンタジー世界と知った瞬間に喜び、そこに『自身に魔法の素質がある』事が分かればもう止まらない。

 

両親にねだって魔法書を買ってもらい生活に便利な魔法から戦闘用魔法、補助魔法に状態異常をかける魔法と、様々な魔法を覚えていった。

 

そして冒険者という職があるのを知り、両手両足掴んで必死に止める両親の反対をすごく頑張って抜け出して向かったあの日。

 

貞操観念逆転世界と、ルインは初めて知った。

 

そのまま実家に蜻蛉返り、涙流して迎える両親に、自分の身を守りたいと認識阻害の魔法を始めとした妨害系の魔法を取得し

 

再び止めに入る両親を物理的に剥がして冒険者ギルドに向かって登録。

 

そのまま偶然近くに居た騎士のリュールと盗賊のルディに頼み込んで臨時メンバーとしてクエストに同行。

 

ルインという足りなかった魔法アタッカーを得た二人は爆速で魔物を殲滅出来るようになり、今では二人合わせれば小国の国家予算程度はあるのではないか?というのは本人達の談。

 

性別を隠す為にあれこれするものの、リュールとルディは勘違いしたまま一月経った。

 

そう、冒険者になって一月何もなく無事に過ごせている。

その事実にルインは安堵している。

 

「一月は問題なく隠せてるんだ…このまま隠し通せるといいな…」

 

そう呟いて、ルインは眠気に任せて眠りにつく。

 

 

 

 

 

 

そんなルインの泊まる宿に、二人の冒険者が来た。

 

「すいません、ここが『スズメの止まり木』って宿ですか?」

 

ピコピコと狼の耳と狐の耳を動かしながら、新人冒険者が二人やってきた

 

「ああ、合ってるよ。アンタら新人かい?」

 

宿屋の主人である老婆は、ニコリと笑う

 

「はい!新人冒険者のリルです」

 

「新人冒険者のルナです」

 

狼の方は元気よく、狐の方は静かに答える。

 

「泊まるのは二人部屋かい?」

 

「はい!お願いします!」

 

そう言うと老婆は手元にある宿の表を見る。

 

「ああ…悪いねぇ、角の部屋の隣になっちゃうけどいいかい?」

 

「問題ないです、泊まれるだけ良いですから」

 

ルナがそう答える。

 

「それじゃ、これが鍵だよ。2階に上がって左の曲がって行き止まりから二つ目の部屋だ。間違っても奥の部屋に入らないようにねぇ」

 

「奥の角部屋に誰か泊まってるんですか?」

 

リルが首を傾げて聞く

 

「一月前から魔法使いの冒険者が泊まっててねぇ、余り人と関わりたくないからってわざわざ角部屋に泊まってんだ。トラブルにならないようにね」

 

「分かりました!」

 

ルリが鍵を受け取って足早に階段を登る

 

「…その方が魔法使いなら魔法を教えてもらったりは大丈夫でしょうか?」

 

老婆にルナは質問する。

 

「ああ、冒険者間の事はうちは何もしないよ、自分で何とかするんだね」

 

「分かりました」

 

そう言ってルナはリルを追いかけた。

 

階段を登り、左の角に向けて歩くルナは扉の前で立ち止まっているリルを見た。

 

「リル?どうしたの?」

 

ぼんやりしているリルをルナは揺さぶる

 

「はっ!?」

 

意識を取り戻したリルは、ルナの肩を掴んで部屋の鍵を開けて入る。

 

「ちょっ!?」

 

そのまま鍵を閉めて、リルはルナに向き合う。

 

「ねぇ、ルナ…匂わない?」

 

「匂い?」

 

そう言われて、ルナはすんすん、と匂いを嗅ぐ

 

「…男の、匂い…」

 

はふぅ…と熱い吐息を吐いて、ルナはリルを見る

 

「だよね?匂うよね…男の匂い…」

 

少し息を荒げながら、リルはチラリと隣の部屋の壁を見る。

 

「あ…穴が空いてる」

 

その壁には僅かに、穴が空いていた。

 

その穴に誘われるように、二人して顔を近付けて匂いを嗅ぐ。

 

「ぁ…匂う、すっごく男の匂いがする…」

 

「すごく…濃い…匂い…」

 

その匂いを嗅いで、二人は顔を蕩けさせる。

 

「でも、魔法使いが泊まってるって言ってたよね…?男の人って戦えないのが普通だよね…?」

 

リルは顔を蕩けさせたまま、そう呟く

 

「ん…でも、魔力の動きが見える…ドアに物体強化、部屋全体に音を遮断する魔法をかけてるけど、気配は隠せてない…一人だけ、つまり…隣の部屋に、男が居るのは確実…」

 

ルナはそう言って穴を覗き込む。

 

「じゃあ、魔法使いの男の人って事だよね…?」

 

ピッタリと耳を壁に付けて、リルはルナを見る。

 

「ん"っ!」

 

穴を見ていたルナは顔を真っ赤にして倒れる

 

「ど、どうかしたの?」

 

リルは倒れたルナを抱き抱える。

 

「目線の先、ローブで身を包んだ男が寝てた、しかも超イケメン、やばい」

 

そう呟いた瞬間、リルはルナから素早く手を離して穴を覗き込む。

 

「ほわぁぁ…」

 

確かにルナの言う通り、男が寝ていた。

 

整った顔立ちで、殆ど切っていない銀髪がサラサラとベットに広がっている。

 

「ほ、ほんとだ。男の人が寝てる…」

 

「これは、チャンス。私達がモノにすれば良いと言わんばかりに据え膳されている」

 

ルナは起き上がってそう言う。

 

「冒険者って事は同業者だもんね…うへへへ…すごく好みだし…モノに出来たら最高だよね…」

 

じゅる…と涎を垂らしながらリルは顔を蕩けさせる

 

「モノにする為にも、色々と調べるべき。フリーなのかどうか、そこが問題」

 

「そうだよね、じゃあ明日朝一番で、冒険者ギルド行かなくちゃ。フリーなら…新人だから色々教えてもらう程で、いけるよね…」

 

「いける。不自然さはゼロ」

 

獣になった二人は、お互い頷くと身体の疼きを抑える為に、それぞれベットに入った。

 

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