あべこべ世界で性別隠しながら無双したかった 作:バグった魔法使い
両親を引き剥がして向かった精霊信仰する国、
入る時に何あるのかと思えば、自然に入国できた。
その事をラッキーと思いつつ、ルインは冒険者ギルドを目指す。
そんな時、不意に何かの気配を感じて振り向く
しかし目線の先には誰もいない。
「なんだ、気のせいか…」
『ほう?気のせいだったか?』
『目に映るものが真実のみとは限りませんよ?』
両側から響く声にルインはバッと両脇を見る。
『ん?やっと気付いたか』
『そうですね、入国して即座に気付くと思ったんですが』
その二人の姿は余りにも変わっていた。
『ん?なんだジロジロと』
片方は腰まで伸びた紫髪を揺らして睨み付ける。その肢体の大半を黒い炎が包んでおり、明らかに普通の人ではない
『あら、何か不明な点がありますか?』
片方はショートボブの金髪を揺らして微笑み、その肢体の大切な部分を光で隠し、それ以外は惜しげもなく晒している。
その姿にをルインはただ突っ込む
「いや、明らかに属性と見た目が逆じゃないですか?」
『『はい?』』
その言葉に、二人して首を傾げる。
「いや、なんで闇っぽい精霊が身を晒さないように炎でほぼ全身隠してて、光っぽい精霊が逆にほぼオープンしてるんですか」
『いや、恥ずかしいだろう、人前にこんな露出度で出るのは』
『まぁ、闇はまだまだ恥ずかしがり屋なんですね。自らを信じるならばその殆どをさらけ出しても何も言われませんよ?』
『お前は開放的過ぎるんだよ、光』
自分を挟んで言い合いを始めた二人に、ルインはそそくさとその場を離れようと一歩踏み出す。
『『ダメだ(ですよ?)』』
二人の言葉に、ルインの体はピタリと止まる。
『全く、魔王の器があるのにこんな事で逃げ出すな』
『ええ、勇者の器であるのにそのような逃げ腰はいけません』
魔王と勇者、聞き慣れたその単語にルインは言葉を返す
「もしかして、父さんと母さんに何か関係が」
『バリバリあるな、なんせ私は闇の大精霊。魔王となる存在と契約して、その力を振るう者だ』
『私はその逆、光の大精霊。勇者となる存在に助力し、その道を切り開く者』
そう二人して言った後に微妙な顔をして言う
『なんだが…』
『なんですけど…』
『『ここに来ないまま、今代の
「えーっと、つまり…僕の両親は本来争い合う存在だったと?」
『それがまさか始めて会った瞬間に魔王が勇者をお持ち帰りして』
『そのままお互いに依存してゴールするなんて予想出来ませんよ』
はぁ、と光と闇の大精霊は溜め息を吐く。
『そして産まれたお前は、そんな勇者と魔王、両方の資格を持つ』
『そしてこの地に来た以上、私達と契約して貰います』
そう言ってずいっと近寄る二人の大精霊を見て
「すいません、私はそんなすごい存在じゃないんで!」
そう言うと転移魔法でその場を離脱する。
『んな…転移魔法だと…あの歳で最難関と呼べる魔法が使えるなんて予想外だが!?』
『ふふ、私達から逃げましたね?ここは精霊を信仰する国、私達の一声があれば、貴方を探し出すなんてちょちょいのちょいなんですから…』
驚く闇の大精霊とは対照的に、光の大精霊はクスクスと笑う。
『さぁ、皆様?私達の愛おしい契約者が逃げてしまわれました。どうか見つけて欲しいのです』
その声音は甘味のように街の人々に染み込む。
すると一人、また一人と、ルインを探し始める。
『毎回思うが、お前のその力、明らかに私が持ってた方が良いだろ』
『闇も持ってるはずでしょう?私とは違い、悪を誑かし意のままに操る力ですが』
クスリと光の大精霊は笑う。
その言葉に闇の大精霊は答える。
『はぁ…何百年も待った契約者だ、私も逃す気はない…ただこの街は真面目な奴が多いから私の声が届かないんだよ』
そう言ってごろんと寝転がる。
『まぁまぁ、このペースならすぐに見つかりますよ…ほら』
そう言って見つめる先には
幼い見た目のエルフとドワーフに挟まれて連行されて来る、ルインの姿があった。