あべこべ世界で性別隠しながら無双したかった   作:バグった魔法使い

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やばいやつの封印解いちゃった話


やばい封印を解いてしまった日

冷たい風が頬を撫でる感覚がした。

その感覚に、ルインは目を開ける。

 

「おお、起きたか…よかったぞ…『次の王』」

 

目を開けたルインの視界に飛び込んで来たのは

 

巨大な胸だった。

 

「んん??」

 

「ああ、顔が見えないか…私だ、セッカだぞ?ルインよ」

 

セッカはそう言ってルインは身体を持ち上げられる

ぽにょんと顔が胸に埋まり、体がそのままふわりと浮かぶ

 

柔らかでひんやりしているその感覚に、ルインはウトウトと眠りかけるも、頑張って目覚める。

 

「あの氷の塊に私の力の大半を封じられていた。それを解いて貰った時に感じた。お前は次の代の魔王だと」

 

そのままぎゅっと抱きしめられる。

 

「今一度、私の名を教えよう。私今より遥か昔、初代魔王の気まぐれとして産み落とされ、魔王の資格を得た…先々代魔王『氷雪の鬼姫・雪華(セッカ)』だ。何故生きてるかと言われれば、勇者の手によって力の大半を封印された上にこの洞窟に見逃されたからだな。

 

まぁ、私の事はいい。今代の魔王とこうして巡り会えた事を感謝する」

 

そう言ってセッカはルインを降ろし、そのまま愛おしげにルインを撫でる。

 

「さぁ今代の魔王よ、どうする?私は今気分が良いからな、お前の手伝いくらいはしてやろう。手始めに近くの国でも滅ぼすか?」

 

ニッコリと優しく微笑みながら、氷で出来た金棒を持つ

 

「いや、僕は魔王と勇者の資格があるだけで魔王という訳じゃない…」

 

ルインは大精霊の二人から教えられた通りの事をセッカに伝える

 

「ああ、まだ目覚めてないのか…ん???」

 

『勇者』という単語を聞いた瞬間、セッカは困惑する。

 

「まて、ルイン…お前は何故勇者と魔王の資格がある」

 

ルインは自分の両親が魔王と勇者であり、大精霊と契約せずに自分達で解決してしまったので、自動的に資格が自分に移動したとセッカに説明する。

 

「な、なんだそれは…」

 

その事を聞いて溜息を吐いたセッカは、じっとルイン見つめる。

 

「しかし…逆に考えれば、今この場でお前を襲って子を身籠ればその子に魔王の資格が移る…」

 

「あ、もう光と闇の大精霊と契約させられました」

 

セッカは洞窟の天井を見た。

 

「どうすればいいんだ…」

 

「…なんかすいません」

 

「前代未聞だぞ…一人の存在に『魔王』と『勇者』の資格が収まり、更に光と闇の大精霊がそれを特に何も思わずにさっさと契約するなど…厄介な事この上ないんだが…」

 

「自分でもそう思います…」

 

二人して溜め息を吐く。

 

「しかし、なってしまった以上は仕方ないだろう。元魔王として、今のお前の面倒を見るくらいはしてやる…

 それに…私はこの姿でならただの何処にでも居る一人の冒険者だからな。今でも資格があるかと言えば微妙な所だが…」

 

そう言ってセッカは懐から年季の入った冒険者カードを取り出す。

所々に血がこびり付いて何年も経っているせいか、とても汚れていた。

 

「まぁ、冒険者ギルドに行けば再発行なりはするだろう。

 しかし、これでやっと自由に動けるな…封印されてた期間が長いし、ここから出る事も叶わなかったからな、もう自由に過ごしてやる…」

 

フツフツと溜まりに溜まっていたストレスを発散するように、金棒で氷柱を叩き割る。

 

「さてと、さっさと出るぞルイン」

 

そのまま出口に向けて歩き、出た先では

 

『おいおい、なんで過去の魔王が居るんだよ』

 

『おや、貴方は倒されたはずでは?』

 

「魔王…!」

 

「その人から離れろ、私のご褒美だ…!」

 

光と闇の大精霊とエルフとドワーフが待ち構えていた。

 

「お前達は姿が変わらないな、大精霊ども。

さてと、力を取り戻したはいいがどれくらいなのか把握しないとな」

 

そう言ってセッカは氷の金棒を作るとひょいと肩に担ぐ。

 

「さぁ、血の気の多いエルフとドワーフの小娘ども、せいぜいしなないようにするんだな」

 

「ふん、この姿は仮の姿だ」

 

「元魔王相手なら全力でもいいな」

 

エルフは光に包まれドワーフは闇に包まれて、子供の姿から本来の姿に変化する。

 

「余裕な態度だが、こちらには光の精霊の加護がある」

 

エルフは木の枝を拾うと軽く振る、すると木の枝からしっかりした木刀へと変化し、そのまま木刀を軽く振って構える。

 

「いくら元魔王だとしても、私はエルフの国の女王の娘。舐めるなよ」

 

そんなエルフを横目にドワーフはしゃがんで土を弄り、そのまま土の山を作る

 

「…こっちは闇の精霊の加護がある。元魔王と言っても精霊の加護なしで勝てると思うな」

 

弄って盛った土に手を入れたドワーフは引き抜くように手を引っ張る。

土で出来た大槌が、ズルズルと土の山から現れた。

 

「私はそこのエルフと違ってただ土を弄るか武器を作る程度のドワーフだ。

ただ、戦う事は嫌いじゃない。元魔王、手合わせ願う」

 

軽く大槌を振って確かめると、そのままだらんと脱力しながらセッカを見つめる

 

「ほうほう、どちらも『先祖還り』か、優秀だな。だが…私に勝てるとは思えないがな。来い!」

 

そのまま三者三様に振るわれた武器の余波で木々が折れ、洞窟は崩落する。

 

『あー、ルイン。逃げた方が賢明だぞ。このエルフもドワーフも今のお前の何十倍も強いからな。戦闘の余波で死ぬぞ』

 

そう言って闇の大精霊がルインを抱える。

 

『では私が審判でもしておきましょう。闇はルインを冒険者ギルドとやらに送って下さいね』

 

『はいはい』

 

そのまま闇の大精霊に運ばれながら、後ろで響く大災害のような戦闘音に、ルインは思った。

 

この世界、もしかして化け物の巣窟なのでは? と

 

 

 

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