ソードアートオンライン~過去からの転生者~   作:ヴトガルド

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更新遅くなり申し訳ありません。
MORE DEBAN組三人目、リズベット視線のお話になります。
※10月2日修正済み


第六層~第八層
リズベットの道


「攻略組……か。鍛冶屋として自分でも素材を集められるようにする為に参加したのにな……。」

 

第三層、メノウ村の宿屋で窓から外を見ていた私は、不意に随分今の生活が充実しているように感じている事に気付いた。

 

アルゴの指揮の元で高効率のレベリングに参加してかなり戦いに慣れ、その上、同じパーティーにいるクラインが攻略組を目指しているからだと思う。

 

鍛冶屋としてこのゲームのクリアに貢献することに不満はないし、満足もしている。

始まりの街でずっと居たらきっとこんな事は思わなかっただろう。

 

きっとやるべき仕事をしてそれで満足していた。少なくとも無気力になったりはしないと思う。

……ただ待っているなんて私の性分じゃないもの。

 

 

だからこそいつかは最前線で鍛冶屋を開けるようになりたい……そう考えていた頃、情報屋のアルゴにこのパーティの事を聞いた。私は渡りに船とばかりにこのパーティに参加したし、実際アルゴが信用しているプレイヤーと言うだけあってなかなかに気の置ける仲間達だと思う。

 

クライン達、風林火山のメンバーは気さくで明るいし、シリカも最初こそオドオドしているところも有ったけど今では自然に笑ってる。

アルゴは直ぐに情報を抜き取ろうとはしてるけど、私に鍛冶師としての道を示してくれた。

私はこのパーティに誘ってもらって良かったと思っているし、出来るならずっと一緒に行動したいとすら思っている。

 

 

……でもきっとそれは叶わないだろう。クライン達風林火山は今後は攻略組として動きたいらしいし、アルゴも情報屋である以上はずっと行動を共にはしてもらえないと思う。

シリカは分からないけど……どちらにせよ私達2人で冒険を続けるのは難しいんだろうな……。

 

そんなことを考えながら宿屋の窓から転移門を見ていた。

そこに来たのは少女をお姫様抱っこしている長身の男性プレイヤー……。

 

「……ったく……よくもまぁこんな状況でいちゃいちゃ出来るもんよね……。」

 

あきれた私は溜め息を付きながら様子を見ているとそこに見知った顔のプレイヤーが近付いていくのが見える。

アルゴだ。ここからでは何を話しているのかは聞こえないけど……。

 

私は少しだけ気になり宿屋を出てみることにした。

 

 

一階に降り、宿屋から出てみる。2人に近付こうとすると男は少女を抱いたまま転移門を使って居なくなってしまった。

 

「リッちゃん、こんな夜更けに出歩くのはオネーサン危ないと思うナ。何か用事かニャ?」

 

「あんたも同じく出歩いてるでしょ~?……さっきの男は知り合い?何だが妙な感じだったけど……。」

 

「ん~……まぁ企業秘密かナ?リッちゃんと一緒でオレっちも情報屋としての誇りがあるんでネ。聞きたいなら基本料1000コル+口止め料になるけど……どうすル?」

 

「別にそこまでして聞きたい訳じゃないから別に良いわ。それよりもあと5日位で第六層までいくって言うのは本気なの?それぐらいならまだ最前線でしょ?あの層は」

 

「翡翠の秘鍵を第五層まで終わらせるならそれくらいはかかるしネ。フィールドだけなら最前線でも戦えるくらいのレベルにはなってるヨ。メタリックアメーバ様々サ。」

 

確かに今のパーティ平均レベルでも16は行っている。……というかレベル15に届いていないのはシリカだけだ。だから確かに無理ではないだろうが、何故だろう……あまり中層にとどまらせたくない理由でもあるのかしら……。パワーレベリングは確かにしていたし、そのおかげで一気にレベルは上がったけどいきなり一気に三層も上の層に移ろうとしているのは少々アルゴらしくないような気がするけど……。

 

 

アルゴは用事があると言い残し、私に宿屋にいるように言いながらどこかに行ってしまった。

まぁ確かに誰もプレイヤーのいない夜のメノウ村には、特別用事でも無ければ居ても仕方ないんだけどね。

 

私は溜め息を1つ着いて宿屋に戻ると、何故か一階の広場にクラインが座り込んでいた。

 

「あ、あんた何でそんなとこに座り込んでるのよ。びっくりしたじゃない!」

 

「ん、お、おぅ、すまねぇ……いや、何でもねぇんだ。……それよか嬢ちゃん、今日は大人しく宿屋に居とけ、な?」

 

「さっきアルゴにも同じ事言われたんだけど?何があったのよ?ここは一応圏内なんだから別に危険はないはずでしょ?」

 

私の話を聞いて明らかにしまったと言いたそうな顔を浮かべるクライン、……隠し事が下手ね。

 

「い、いや!!大したことじゃねぇんだ。ただよ、明日から第四層だしよ?つかれちゃなんねぇだろ!?」

 

明らかに慌ててついた嘘。明日の四層への移動はアルゴの都合で昼だもの。

……。

 

「あっ!いけない、私ったらこの層で手に入れておこうと思ってた素材を取りに行くの忘れてたわ。明日だと時間ないしちょっと今取ってくるわね。すぐそこのフィールドだし。」

 

「それならオレが取ってきてやるって。女子供の夜の一人歩きなんざ危ねぇしよ。」  

 

「鍛冶スキル持ちじゃないと手に入らない素材なのよ。別にこの辺りのmobに遅れを取るようなレベルじゃないし別に良いわよ。」

 

クラインは何かを言い掛けて口を結び、やがて頭に手をやって首を振る。

 

「……わぁった!わぁったよ。ちゃんと話す。ちゃんと話すから頼むから宿屋から出ねぇでくれ。おりゃあ仲間に死なれたくねぇんだよ。」

 

やがてクラインは先程自分がみた物をぽつりぽつりと話し出してくれた。

要は先程、プレイヤーを殺そうとした奴がいて、更にそれを返り討ちにしている男性プレイヤーがいたらしい。

そのプレイヤーはまだこの辺りにいる可能性もあるらしく、出来れば出ないで欲しいという事だった。

その男は一緒にいた少女を護る為にプレイヤーを殺したようだが、その後、少なくとも目が合ったときには全く動揺もしていない様子で歩いていったらしい。

 

確かに、誰かを護る為に仕方なく返り討ちにしたのなら理解もできるし、人となりもさほど悪くはないと思う……。

でも、クラインがその男に感じたのは“慣れ”らしい。

 

恐らく、男は殺しに慣れている。そう直感し、その男には声もかけられなかったのだそうだ。

 

 

「それによ、見たときはそいつらデュエルしてたんだよ。それを見た限りじゃ俺達なんか相手にもならねぇ。レベルとかじゃなくて明らかに戦い慣れてんだ。」

 

「……なるほどね。そりゃ確かに隠したくもなるわね。でもね、ホントに隠すなら少なくともそんなとこで動揺してんじゃないわよ。もし私じゃなくてシリカがここにいたらどうするわけ!?」

 

「す、すまねぇ。……でもよ、あの男が連れてった女の子が気掛かりで部屋にも戻る気分になれなかったんだよ。もしなんかあったら……ってな。」 

 

「……はぁ。行くわよ!」

 

なおも落ち込んで座り込んでしまったクラインの腕を引く。全く……気になるなら行動すりゃいいのよ!行動すりゃ!

 

困惑したように慌てるクラインだけどあんまり抵抗しないとこ見ると理解はしてるみたいね。

 

「っと、そうだ、その男や女の子の特徴は?探すにしてもそれが分からなきゃ探せないじゃない。」

 

「あ、あぁ、そうだな……男の方は俺くらいの身長で黒髪、結構な色男で眼光は鋭い感じだな。あとなんとなく幼い感じの顔立ちだった。んで女の子の方は倒れてたし男が抱き抱えて連れてったから顔までは見えなかったけど黒髪のセミロングだったよ。」

 

「……それって……捜索中止、アルゴの居るとこ調べてそっちに当たりましょ。さっきそいつら転移門に入っていったからこの付近には居ないわ。」

 

「いや、そんならそれで別に良いんだけどよ。何だってまた……」

 

クラインが喋ってるのはスルーしてフレンドリストからアルゴの現在地を探す。

 

どうやら第六層の主従区にいるみたいね……。

私はクラインの腕を引き、転移門に入る。

 

「転移、ハルジオン!」

 

 

 

 

 

 

ハルジオンについた私達2人は直ぐにアルゴの居るであろう場所に向かう。

有る程度近づくとクラインが手で制してきた。……索敵を使用するとどうやらアルゴの周りには5人、プレイヤーの反応があった。

クラインが私の腕を掴んでそばにあったNPCハウスに連れ込む。

 

 

「ちょっと、なんなのよ?その角の先にアルゴ居るんだからそこで聞いちゃえば良いじゃない!」

 

「ちょっと待てって!ここの二階から見れんだからよ、先ずは誰と話してんのか確認してからでも声かけんのは遅かねぇだろ?」

 

……確かに別に遅くはない。それにさっきみたいに近づくとすぐ居なくなるんじゃ顔も確認出来ないしね。

そう考えた私はクラインと共に窓から下を覗き、その容姿を確認する。

 

1人は褐色の肌にスキンヘッドの大柄な男性、それにフードケープをつけた女性に隣にいるのは黒いロングコートを着た少年、後の2人は先程メノウ村でみた長身の恐らくはまだ少年だろう。そしてその横には先程男性に抱えられていた少女がいた。

 

アルゴを含め、六人が六人ともなにやら深刻そうな表情で話しているようだ。

 

 

「キ、キリの字……?それにやつぁさっきの奴じゃねぇか……。」

 

……先程までの話しとクラインの反応を見ればだいたい分かる。

恐らく、先程私が見かけた男性がクラインが警戒をしたプレイヤーなのだろう。

 

「……知り合い?」

 

「あ……あぁ……一番最初、まだこのゲームがデスゲームだとは知らなかった頃にな、俺を助けてくれたプレイヤーなんだ。」

 

「……行くわよ。あんたの知り合いも居るんだから話を聞くくらいは出来る。そうでしょう?」

 

私はクラインの返答を聞く前に腕をつかみ道に出た。

すると急に六人の内の2人はその場所を離れていくのが索敵の反応でわかった。

 

私達2人が路地にはいるとやはり先程までいたクラインが警戒していたプレイヤーとその男が抱えていた少女が居なくなり、4人のプレイヤーしか居なかった。

 

「……リッちゃん、宿屋で寝てるように言っといたロ?まぁ何事もなくてなりよりだけどナ。」  

 

 

振り返ってこちらを見るアルゴの表情からは心配と安堵、それにほんのすこしの困惑が見て取れる。

 

「……さっき第三層で起きたことはクラインから聞いたわ。彼はその瞬間を目撃して居たの。それを踏まえて聞くわよ。あなた達は何を企んでいるの?」

 

4人が4人とも不思議そうな表情を浮かべてこちらを見てくる。……あれ?私、変な事言ってないわよね?

 

「……クライン、久し振りだな。元気してたか?」

 

「お、おぅ、俺らもあともう一頑張りで攻略組に合流出来そうだからよ、もうちょいしたらよろしくな?」

 

「なぁ、誰か紹介してくんねぇか?嬢ちゃん、訳がわかんねぇってツラしてんじゃねぇか。」

 

「そうね。ねぇキリト君、あなたから名前は聞いているけど初対面なんだからちゃんと紹介しなさいよ。」

 

「あ、あぁ。そうだな。こいつはクライン、俺とは始まりの街で会った仲だけど顔はともかく信用できる奴だ。……顔はともかく。」

 

二度言ってる。それ重要かしら……?……じゃなくて!

 

「じゃなくて!アルゴ!あんた説明くらいはちゃんとする気有るんでしょうね!?クラインは一部始終見ていたのよ!?なんであんたらはPKしたプレイヤーとそんなに仲良さそうなのよ!?」

 

「あ~……見てたプレイヤーはクラインだったのカ。んでリッちゃんが聞いてオレっちが何か知ってると思って来たんだナ?」

 

「おぅ。まさかキリの字まで居るとは思わなかったし、あの男と会ってるたぁ思っちゃ居なかったけどよぉ。」

 

「まぁクラインには元々話しはしてあったんだし別に話しても構わないだろうとは思うけどな。ただ……君に話しても平気なのかが……。」  

 

「それはオレっちが保証するヨ。リッちゃんは秘密を漏らしたり、アー坊みたいに単独で無茶したりはしないサ。」

 

そうアルゴが発言したことでキリトと呼ばれた少年も安心したように溜め息を一つした。

そしてぽつりぽつりと話し出す。PoHというプレイヤーの事、そしてその仲間の疑いがあるというプレイヤー、更にはそいつらの考え方と所行を。

 

どうやらそこまではクラインも聞いていたみたい。特に何も反応はしていない。私は私でPKやMPKを平然と行う者が本当にいると言うことにショックを受けた。

 

「それと……クライン達はアオシを危険視しているみたいだけど、むしろ奴らと正面切ってぶつかっているのはアオシだからな。アイツが奴らと同類な訳はないよ。」

 

「でもよぉ……奴はプレイヤーを殺しちまったってのに顔色一つ変えなかったんだぜ?いくら何でも可笑しいだろうが……。」

 

「まぁ多少は気にした方がいいだろうが……奴がプレイヤーを殺したのは正当防衛だったってのは事実なんだろ?俺は奴とは第一層ボス攻略から見てるが、むしろ他のプレイヤーを護ろうとしているところを何度も見てんだぜ?PKを憎みこそしても、奴らに加担するようには見えねぇな。」

 

「……わかったわよ。付き合いの長いあんたらがそう言うなら先入観で判断しないようにするわ。」

 

「ところで……リッちゃん、さっきのアー坊もだけど彼らは攻略組だヨ?商売はいいのかニャ?」

 

アルゴに言われて改めて彼らの装備を見る。……なるほど。確かに攻略組というだけあってかなりのハイスペックな装備だ。

今の私じゃ強化はともかくまだ作成するのは無理そうね。

 

「キー坊、アーちゃん、それにエギルの旦那、良い機会だから紹介しておくヨ。彼女は今現在では間違いなく最高のプレイヤー鍛冶屋、リズベットだヨ。注文とかしてみたらどうだイ?」

 

「ほう……ならこいつはいるか?ストレージにゃはいらねぇから今の所余ってんだけどよ。」

 

エギルがそう言ってリズベットに渡したのはネズハからキリトへ、キリトからエギルへと渡ったアイテムだ。

鍛冶屋から譲られたものだから有れば便利だろうと思ったのだが……。

 

「あ~……申し訳ないんだけどそれは有るのよ。どちらかというとお得意様になってもらえると嬉しいかな。」

 

そう言ってリズベットはエギルとフレンド登録をし、残る二人にも登録をしてもらえるようにウィンドウを出……。

 

「悪い!ちょっと急用みたいなんだまた今度登録させてもらうよ。」

 

突然黒髪のーアルゴからはキー坊と呼ばれていたープレイヤーがそう言って走っていってしまった。追随するようにフードケープをかぶったーアーちゃんと呼ばれていたー少女も一礼をして走っていってしまう。

 

「ちょっ、なんなのよ!?」

 

せっかく攻略組のお得意様が3人できると思ったのに……。

 

「まぁあの二人だからナー。リッちゃんも最前線で商売出来るようになればすぐにまた再会すると思うヨ。……そうだ、エギルの旦那はちょっと時間あるかナ?」

 

「ん?……まぁ仲間との合流予定の時間もあと1~2時間位はあるが……。」

 

「ならこの二人と一つクエストをクリアしないカ?アースドラゴンの討伐クエなんだけど、報酬の竜骨をリッちゃんに生成してもらえばこの層までで確認されている両手斧の中では最強の攻撃力を誇る竜骨の斧が作れるゾ?」

 

「ほう……そりゃあ助かるな。だがその二人は平気なのか?」

 

「2人だけだと無理だナ。正直エギルの旦那以外のタンクには頼めない難易度だヨ。」

 

「それなら俺の仲間と言った方が安全だろう?」

 

エギルの真っ当な疑問にアルゴは指を左右に振りながら答える。

 

「これがまた鍛冶スキル300以上のプレイヤーが最低1人は居ないと受けられないんだナ。その上パーティー上限が3人と結構厳しめのクエなんダ。まぁクラインのお兄さんに関してはレベルは問題ないはずだヨ。経験を積ませておきたいっていう親心みたいなものサ。」

 

アルゴは更にと竜骨以外にも、レアドロップでアースドラゴンの角という素材が出ることを私達に教えてくれた。何でも角は刀作成に使える可能性があるらしい。

 

断る理由が無いし、私はそれを受けたいと言うとアルゴが手を差し出してきた。

……守銭奴ね。いや、ホントに。

私達全員からそれぞれ2000コルを受け取るとアルゴは用事があると人混みに消えていった。

……そういえばいつも昼間は私達に付き合ってくれてる事が多いけど夜になるとあんまり見かけなくなるわね……。いつ休んでるのかしら……。

 

 

私達3人はアルゴの情報の通りにアースドラゴン討伐クエストを受注するとフィールドに出てから北に20分程歩いた先にある山へと辿り着いた。

 

私が驚いたのはフィールドmobの攻撃力、そして気持ち悪さだ。この層は蛇型のmobが多く、毒や麻痺毒などを喰らわせられる可能性が高いようだ。

実際初戦で私は麻痺に、クラインは毒を受けている。

 

幸いアルゴの忠告道理解毒ポーションは常に20以上ストレージに入れてあるので大事には至らず、初戦もエギルが1人で倒してくれたが、今後はそうならないように常に解毒ポーションを飲んで耐毒を最大にしておいた。

 

その後の戦闘では流石に初戦のような窮地には一切ならずに切り抜け、目的地へと辿り着いた。

……ちなみにエギル曰わくタンクは元々耐毒が高い上にエギルは更に常に解毒ポーションをフィールドにでる前には飲むようにしているらしい。

敵の攻撃を受け止める以上は常に警戒していて損はないとの事だ。

 

……流石は攻略組、心構えから違うわ。

 

 

3人が広場に到着すると急にボコンと地面が盛り上がり、地中から体長10メートル以上は有りそうな巨大な蛇が現れる。

頭に一本一メートルは有りそうな角が生えているその蛇の名前は

“ザ・サーペント・ドラゴン”

固有名にtheがつく所謂ネームドボスという奴だろう。

……正直私は今怖いと心底思っている。

攻略組に入れるのかも知れない。そう考えたのは甘い幻想でしかなかった事を思い知らされた。

蛇の眼光ににらまれた瞬間に呑まれた私に褐色の巨漢が大声を上げて走っていくのが見えた。

 

「お前ら!解毒ポーションを飲んだらこいつの硬直を見定めて全力ソードスキルを一本入れろ!!良いな!」

 

「お……おう。」

 

「わ、わかったわ。」

 

私と同じように呑まれていたらしいクラインも慌てて武器を握り直し、2人で解毒ポーションを飲み干した。

 

数分の間、私達2人はただ敵の動きを観察することに集中し、蛇竜の行動パターンを覚えることに必死だった。

幸い、蛇竜の攻撃力はボスにしてはそこまで高くないのか、エギルのHPもこの数分で二割程削れている程度で済んでいる。

 

蛇竜の行動パターンは三つ

・尻尾の横薙

・角でのかち上げ

・毒霧のブレス

のようだ。

毒霧のブレスの後の硬直時間は比較的長く、大凡にして7秒、後の二つは約3秒程の硬直時間のようだ。

 

私達はエギルの指示道理、攻撃と攻撃の合間にソードスキルを打ち込んでいく。私は一発、クラインは二発打ち込んでいるようだ。

更にエギルはエギルでその合間にポーションを飲むことでHPの減少を最小限に抑えている。

 

これなら行ける!なんだ、最初の印象だけが怖いだけじゃない。

……私がそう思い、現在持っているメイススキルの最強連撃技を発動させた時だった。

 

「次!HPが赤になる!いったん離れろ!」

 

エギルの大声にしまったと歯噛みする。今、蛇竜はブレス直後の長時間硬直時間になっているはず……それも私の四連続技のソードスキルが発動し、蛇竜のHPを削った事で変わっていた。

 

本来硬直時間で動けないはずの蛇竜は即座に反撃をして来たのだ。

角によるかち上げ、まともに受けた私の身体が宙に投げ出される。

私は何とか振り返ると眼前の行動に驚いた。

本当に……比喩でもなく本当に目の前に蛇竜の巨大な口が有ったのだ。

私は何とか抵抗しようとメイスを取り出したけど間に合わず、視界が真っ暗闇に変わった。

 

…………丸飲み……?HPを見るもかち上げで減った三割以外は減って……いや、減り始めている。本当に少しずつだけど確かに減っている。

私は無我夢中で……それこそホントの本当に必死に暴れた。

外の音も光も届かない。喋りたいのに声がでない。手や足を動かしているのにネチョッとした感触は消えてくれない。

 

もう気が狂いそう……その上、HPは尚も減っている。今は五割を切った。

 

私、死ぬの……?

 

四割

 

こんな事なら攻略組のフィールドなんていかなければよかった。

 

三割

 

もし、もし万が一助かったら二度と最前線なんてくるもんか

 

二割

 

……嫌だ!こんなとこで死にたくない!誰か、誰か助けて……。

 

一割

 

死にたくない、やだ、止まりなさいよ……!ねぇ!

 

 

 

 

 

 

 

 

私の目に見えるHPバーのゲージがほとんど見えなくなった。私は目を閉じ、死にたくないと暴れる。

……私が死んだら誰か泣くのかな……お父さん、お母さん、ごめんなさい……。

 




ちょっと半端ですが今回はここまでにします。
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