ソードアートオンライン~過去からの転生者~   作:ヴトガルド

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※9月5日修正済み
※10月1日修正済み


第一層ボス攻略戦

会議の後、俺はパーティ戦闘の基本や装備を整えに行ったキリトとアスナと別れ、鼠のアルゴと待ち合わせをしていた。

 

 

「すまないナ、この後、他の依頼があるんダ。用件は手短にお願いしたいゾ。」

 

「そうか。なら早速だが第一層ボス、コボルト王の情報を教えてくれるクエストがあったかを知りたい。」

 

「確かアー坊もやって無かったカ?今の所それ以外には正規のルートでの報告は無いはずだヨ。」

 

 

「そうか。礼を言う。こちらの用件は以上だ。」

 

俺はそう言いながらアルゴに報酬の1000コルを渡す。

 

「ちなみに正規のルートではないけど昔の情報ならあるヨ。β版ではコボルト王はタワールを副武装にしていたし、トルーパーの数も計12体だったヨ。まぁ昨日出したばかりの攻略本にも乗せてるけどナ。」

 

俺はアルゴに再度礼を言うと、確認の為に道具屋に向かい攻略本を入手して情報を整理した。

 

昨日ディアベルにボス情報を貰ったときの違和感、それは……β版と全く変わらない情報と言うことだ。

 

アルゴの話ではこの第一層攻略本を作る際に必ず裏をとるようにしていたらしい。

 

その課程で命を落とした協力者も多いらしく、今現在1000人程の死者が出たこの第一層の死因の第三位がβ版との小さな違いらしい。

その数約300人以上が情報のみを頼りに攻略し、色々な場所で命を落としたそうだ。ちなみに第一位は自殺で約350人、第二位は単純にモンスターとの戦闘で320人程だそうだ。

 

ただし、これらの死者は実際には最初の二週間にほとんど集中しているらしく、最近では戦闘での死者は居るが自殺はだいぶ減ったらしい。

 

 

まぁ以上の事から、俺は第一層最大の関門であるフロアボス戦がなにも変更されていないとは思えなかった。

 

もっとも俺1人では恐らくボス部屋につく前に武器の耐久性が危険になるだろうからもう確認はできないが……。

 

これは本格的に隠蔽スキルを上げなくては不味いかと思うが街中では使用そのものがマナー違反になる。

 

とりあえず俺は明日までにスイッチ等のパーティ戦闘の基本を教えると言っていたキリトの意見とアスナの技量も見ておくかと思いキリトにメッセージを飛ばした。

 

どうやら2人ともまだ街に居るらしい。

30分後に東門前に待ち合わせをしておいた。

 

 

 

 

 

東門前に着いた俺は再度鼠のアルゴと遭遇した。と言うよりはボロボロのキリトとそっぽ向いているアスナ、それを見てお腹を抱えて大爆笑しているアルゴが居たのだ。

どうやらアルゴの用事はキリト絡みだったのだろう。

3人と合流しとりあえずフィールドに出る。

 

キリトに目的を聞くと、何でもそこそこ防御力の高いクエストMobをスイッチの練習がてら狩りに行くそうだ。

俺は2人に隠蔽スキルをあげたいので使用する旨を伝え、スキルを発動して2人の戦闘を見ていた。

 

2人の剣技は素晴らしかった。キリトの動きには無駄がなく、常に反撃には備えているし、アスナの剣技はただただ美しい。ソードスキルのライトエフェクトが光の帯となっていく姿は流星のようだった。それに技や通常攻撃の正確さはキリトすらも軽く凌駕しているようだ。

 

正直一度手合わせしたいと思えるほどだ。

 

そうこうしてる間ーというか結構堅いボスのはずだが……ー随分と手早く戦闘を終えた2人は、そのボスのドロップ品である細剣“ウインドフルーレ”を強化する為に町に戻ると言い、折れもって後に続く。

2人の後について歩いていると不意に前から声を掛けられた。

 

「曲刀使いさん、あなたの戦闘スタイル、ソードスキルを使わないと聞いたのだけれど……理由を聞かせてもらえないかしら?」

 

フードケープを被ったまま、そう聞いたアスナはジッとこちらを見てくる。

恐らくキリト辺りから聞いたのだろう……。デスゲームとなったこの状況で威力の高いソードスキルを使用しないというのは確かに疑問に思うのも無理はない。

 

 

「現実で多少武術の心得があるのでな。多少の時間とはいえ、身体が動かなくなる硬直時間というのは好きになれん。」

 

「でも確実に当てられる時や当てれば一撃で倒せる時なら問題ないんじゃないか?」

 

「さらに言うならアシストされて身体が勝手に動くのも気持ちが悪い。始まりの町の練習人形には使ったが性に合わんとしかおもわなかったのだ。」

 

俺がそういうと俺の戦闘技術を知るキリトはまぁなんとなく理解してくれたようだが、アスナとアルゴはイマイチ理解できないように首を傾げていた。

 

とりあえずトールバーナの街に戻ったのち、キリト、アスナ、アルゴにボスの変更点について話を聞いてみると3人の着目は取り巻きの数、武器変更、使用ソードスキルの変更だった。

ステータスの大幅変更も案として出たが少なくとも第一層で全プレイヤーの全滅は茅場明彦も望まないだろうし、ラストならともかく序盤ボスが慎重にやっても多数の死者を出すような変更は無いだろうということになった。

 

もっとも油断は出来ないことに変わりないが……。

 

 

とりあえずアルゴは他の攻略組にも俺の抱いた懸念と変更のあり得るポイントを通達しにいき、俺たち3人は変更点にすぐに対応出来るように注意するということで話はまとまった。

 

幸い、俺たち3人は良くいえば遊撃隊ーつまりは倒しこぼしの処理という雑用が担当ーだった。

敵に常に集中する必要は無いのでボスの観察をしやすい……。ある意味では好都合な役回りといえよう。

 

俺は2人と別れると自分の宿屋に向かい明日に備えて休むことにした。

 

 

 

 

 

 

次の日、広場には集合時間の10分前にもかかわらず全員が揃っていた。

攻略組リーダーのディアベルの号令がかかり攻略組45人は迷宮区へと進む。

 

途中不意打ちを食らい戦線が乱れたこともあったが、ディアベルの指揮はなかなかに優れていた。すぐに態勢を立て直す事で致命的な打撃は受けず、無事迷宮区最奥部のボス部屋にたどり着いた。

 

途中キバオウがキリトに何か牽制をしていたがキリトは特に受け答えもせずに流しているようだったので俺も気にとめなかった。

 

 

 

ドアが開き、高い士気のままボス部屋へと流れ込んだ攻略組をディアベルは見事に統率し、危惧した変更点も表にでないままボスは最後の一本にゲージを減らす。

 

そしてボスが武装を変えたのを確認するとその武器はタワールではなく刀に変わっていた。

 

俺はわかりやすい違いだったので安堵していたが、いきなりキリトが大声を出してディアベルに叫んでいた。

 

「武器が情報と違う!!後ろに下がれ!!!」

 

遅れて俺もボスの周りを見る。そこにはディアベル指揮の元、辺りを囲む部隊とコボルト王に向かいソードスキルを発動させようとしているディアベルの姿があった。

 

結果、コボルト王の広範囲の薙払いが囲んでいた部隊を、そして追撃がディアベルを捉えた。

 

まず飛び出したのはキリトだった。

それに続いてアスナと俺が飛び出す。

ディアベルのHPは黄色を過ぎて赤に入ってもまだ減少している。

ここで追撃を食らえば確実に死ぬだろう。

ボスの追撃がディアベルに当たる刹那、キリト、アスナ、俺の3人の剣はギリギリのところでディアベルとボスの間にまに合い3人がかりで追撃の一撃を防ぐ。

 

空中で行われたために踏ん張りもなく吹き飛ばされた3人はすぐに態勢を立て直し、そばに落ちたディアベルの元に駆け寄る。

 

 

「なぜあんな無茶を!」

 

キリトはそう言うとすぐに回復用のポーションを用意したが、その手はディアベルに遮られた。

 

「ラストアタックボーナス……キリトさんなら意味が分かるだろう。……すまない。キリトさん、後は頼む。ボスをたおしてく……」

 

ディアベルは最後の言葉を言い切ることはなく、小さな破砕音と共にその身体をポリゴン片へと変えた。

 

それと同時に辺りにいたプレイヤー達が混乱し始め、追い討ちをかけるようにトルーパーが再度出現した。

 

更に俺たちを狙うコボルト王はその刀を淡いライトエフェクトに包ませた。

 

キリトは俺たちの前に出ると自らも剣を構えソードスキルを発動する。

ボスのソードスキルをキャンセルし、俺たちだけでも撤退するように促したが返事はアスナの神速のリニアーだった。

 

「1人で格好付けないで。パートナーでしょ……?」

 

的確にコボルト王の弱点である喉元にソードスキルを叩き込みながら告げたその言葉は、多少の怯えとそれを上回る確固たる覚悟が含まれていた。

 

アスナのリニアーでのけぞったコボルト王は追加で3回の通常攻撃を受ける。

俺もまたアスナと同じく的確に弱点の喉元を斬りつけたのだ。

しかし2人掛かりで削れた量は最後のバーの0.2割程度、コボルト王の放つ反撃のソードスキルもキリトがキャンセルし、アスナと俺が更に攻撃する。

 

その回数が15回を超えた時にそれは起こった。今までの軌跡からのソードスキルが角度を変えたのだ。

とっさにキリトは発動しかけていたソードスキルをキャンセルしようとするも、間に合わずボスのソードスキルがキリトに直撃する。

更にタイミングが悪いことに、キリトのキャンセルの後に追撃すべく突っ込んでいたアスナもまた、ボスのソードスキルに掠められフードケープが引き裂かれキリトと共に最後尾に居たアオシの元に吹き飛ばされた。

俺が2人を受け止めると同時に、3人に追撃のソードスキルが振り下ろされる。

しかし、唯一スタンにならなかった俺ははその致死の一撃を曲刀を使って受け流し、どうにかやり過ごすことに成功する。

 

しかし、更に追撃を仕掛けてくるボスの一撃は恐らくは先程3人がかりで止めた一撃だろう。

 

つまり受け止める事は出来ない。その上、軌道的に先程のようにそらすのも不可能だ。俺はそれでも何とかダメージを減らすために曲刀を横に構え、筋力を全開にして受けようと備える。

 

 

しかしボスの最後の追撃は来なかった。

緑のライトエフェクトがボスのソードスキルとぶつかり合い相殺したのだ。

会議の時にキバオウを正論で論破した巨漢の斧戦士エギルだ。

 

「いつまでもダメージディーラーに壁やらせられるか!!アンタ、あの2人を回復してやれ!」

 

エギルは3人の中で唯一軽傷な俺にそう指示を出すと仲間の壁部隊と共にコボルト王を抑えに入る。

 

俺はその間に2人と自分にポーションを使用し、キリトはすぐにエギルに声をかけた。

 

「囲むと範囲攻撃が来る!無理にソードスキルでキャンセルしなくてもきっちり防御すれば大ダメージは受けない!」

 

キリトの言葉にエギルは力強い返事をする。しかし……それ以外の部隊はズタボロだ。

 

最初にダメージを受けたディアベルの部隊は竦みながら回復しているし、他の部隊もバラバラに動いていてトルーパーにすらも対応仕切れていない。

 

どうしたものかと悩んでいると後ろから話し声が聞こえた。

 

「あなたなら……あのボスのソードスキルは見切れる?」

 

「……ああ。」

 

アスナがキリトに問いかけた後、アスナは多少悩みながらわかったと一言呟いた。

 

 

「ちゅうもーーーく!!!!」

 

アスナがいきなり出した大声と、いつの間にか破けて消えたフードケープの下の美しい素顔は攻略組全員の意識を一点に集めるには充分だった。

 

「これより、騎士ディアベルの最後の指示をつたえます。

……彼は言ったわ!ボスを倒せと!そして……次のリーダーは彼だと!」

 

アスナは細剣の先をキリトに付けながら凛とした評定でそう言い放ち、キリトへと向き合う。

 

「俺も聞いたぞ!!それにあいつはボスのソードスキルを知っている!ディアベルに従うなら最後の指示にも従うべきだ!」

 

エギルの肯定は最後の一押しになり、攻略組を一塊にする。

 

キリトもまた見事な指揮で周りに指示を出す。

 

やがて、もう少しでボスのHPが削りきれる所まで来て、再度コボルト王は広範囲攻撃を繰り出した。

 

キバオウ率いるE隊の1人がボスの射程に入ってしまい、それにより包囲状態になってしまったのだ。

 

放たれた範囲攻撃スキルがエギルたちとE隊の1人を斬り飛ばし、更にこちらに飛ばされたE隊の1人にボスは追撃を仕掛けようとした。

それを見たキリトが、アスナが、そして俺がボスへと向かう。

 

「アスナ、アオシ!俺たちなら行ける!奴より早く一撃を放つんだ!」

 

 

キリトの叫びと同時に、まずアスナのリニアーが決まり、その反対側を俺が斬りつけた。

それによりスキルファンブルを起こしたボスへキリトの片手剣二連撃技“バーチカル・アーク”の斬撃が決まり、第一層最大の関門だったコボルト王はその身体をポリゴン片へと変えていった……。

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