ソードアートオンライン~過去からの転生者~   作:ヴトガルド

9 / 30
一日空きまして申し訳ありません。お気に入り、感想ありがとうございますm(_ _)m今後も頑張らせていただきます。

※10月2日修正済み


第三層
創始者の心得


第三層……あの後、オルランド達に三層主従区にて待つと伝え、1人先に来た俺だが三層に足を踏み入れ最初に思った感想は美しいだった。

巨大で神秘的な森は木漏れ日が至る所に差し込み、幻想的な雰囲気を醸し出している。

 

「操がここにいたらなんと言ったのだろうな……。」

 

ものの数分だろうか……森に見とれていた俺は1人主従区に向かい歩き出す。

恐らく先に行ったキリトとアスナがそろそろアクティベートしている頃だろう。

敵も出てくるだろうから油断は出来ないな。

相変わらず一撃の威力が弱い俺は、多数の敵に囲まれた場合武器の耐久力に不安を覚えるのだ。

現在レベルは15まで上がってはいるが、ステータス比率は8:2で敏捷寄りなのは変わらず、装備に必要な筋力値を常にクリアしている程度にしている。

 

特にそれで問題な訳ではないが、通常攻撃の威力はやはりソードスキル無しである以上、他の者の5分を1程度しか出ない。

パーティーを組んでいればまだ問題ないがこうしてソロになるとなかなかの問題だ。

 

「一撃の威力か……現実ならば首を斬るだけで問題ないのだがな……。」

 

急に後ろからカーソル反応が現れた。振り返ると2メートル程度はありそうな樹木のモンスターがノロノロとこちらに近づいてくる。

 

俺は即座に曲刀を抜き、すれ違いざまに斬りつけた。

モンスター“トレント・サプリング”は斬られたことなど全く感じないかのように反撃してきた。

俺はトレント・サプリングが放った枝による刺突を少し身を捩りかわし、更に斬りつける。

そのような攻防を2~30程繰り返すも敵のHPはまだ2割程残っていた。

 

……厄介だな。決め手に欠ける……。

 

アオシは曲刀を逆手持ちに持ち替えると、相手の攻撃をかわし、この世界に来てから初めてとなる技を放つ。

 

御庭番衆式小太刀一刀流“回転剣舞”

 

本来刀と脇差しの中間の刀“小太刀”を使用する技だが、曲刀の間合いは曲がっている分小太刀とさほど変わらない。

その剣技は自らの前世、四乃森蒼紫が得意とした技で、今までは現実世界よりも弱いこの世界の身体能力の影響で使用できなかった。

しかしレベルも上がり幾分強力になった今の身体は現実の自分自身と変わらない動きが出来る感覚だった。

 

現実でも再現できるようになったのは半年前と比較的最近だが、元々使用していた記憶があるからか、身体にとても馴染む感覚がある技の一つだ。

 

一瞬三斬のこの技は本来ならば鉄をも切断出来る威力を誇るが……。

威力までは再現出来ないだろうと予想して放った技ではあったが、予想外の出来事が起きていた。

曲刀を黒いライトエフェクトが包み込んだのだ。

闇を纏う一瞬三斬の刃はトレント・サプリングを分断し、楽々残りのHPを吹き飛ばした。

しかし、そんなことよりも俺に産まれた疑問、それは“システム的アシストは無く、技後の硬直も起きていないのにライトエフェクトが発生した”と言うことだ。

 

それともソードスキルにはそういった物も有るのか……?

とりあえずそういった事に詳しいアルゴかキリトにでも会ったら聞いてみよう。

そう考え再度主従区に向けて出発した。

 

途中三度の戦闘があり、先程のが偶然のバグなのか、それともそういったものかを試してみたが、どうやら回転剣舞に関しては毎回同様の現象が起きたことから偶然やバグでは無いようだ。

しかし単純な斬撃にはライトエフェクトが付与しない事から、恐らくは速度と連撃数……もしくはイメージなどが考えられるか……。

 

考えているうちに主従区“ズムフト”に着いた。どうやら既に二時間たったようでアクティベート化は自動でされたようだ。

街中は沢山のプレイヤーが歩き回っている。その中に探していたプレイヤーの1人、アルゴの姿を見つけた。

辺りをキョロキョロと見ているようだが、誰かを探しているのだろうか……。

 

 

「お、アー坊!遅かったナ。どこで道草くってたんダ?」

 

近づいていった俺と目が合うなりあっという間に距離を詰めるアルゴにそう言われたが、ここは人も多く、場所を変えた方が良いと考えた俺はアルゴの手を引き移動し始めた。

 

「おォ?アー坊積極的だナ、でもオネーサンは高いゾ?」

 

「……そんなつもりがあるわけがないだろう。ここは人が多いから場所を変えるだけだ。」

 

「ニャハハハハハハ!相変わらずアー坊はジョークが通じないみたいだナ。でもオネーサン、そんなにはっきり言われたらショックだゾ?」

 

引かれている方とは逆の手で目元を拭う、明らかな嘘泣きをするアルゴに小さくため息を着きつつ、近場にあった宿屋の二人部屋を一つ借りる。……その際にもアルゴが「オネーサンを襲う気だナ!?」などといっていたが無視して部屋に入り施錠した。

 

「アー坊、それで結局なんなんダ?まさか本当にオネーサンを襲う気なわけじゃないんだロ?」

 

相変わらず飄々としているアルゴにまず攻略組にいる斧使いの情報を聞いた。

しかし返答は4人で全てエギルのパーティーメンバーのようだ。

一応未確認情報としてはキバオウのチームに1人片手斧使いは居るようだが、なんでも第三層に上がってから加わるようになったようで前回のボス戦には出ていないそうだ。

 

「そうか……出来れば黒ポンチョの男と同じく慎重に行う事を前提に調査を頼みたいんだが出来るか?」

 

「やれと言われればやるけどサ、理由くらいは教えて貰わないとナ~。」

 

あまり大事にはしたくはないが状況的に仕方あるまい。

アルゴに前回アルゴがナーザとボス部屋に入ってくる前の状況と出来事を説明した。

それを聞いたアルゴは少し考え依頼を了承してくれたが、恐らく難航するだろうと言うことだ。

理由はその2人は確実にスキルスロットを2つ使用し、斧と普段の武器を使い分けているのだろうという予想だからだ。

隠そうとしているものは相手が追い込まれるか、偶然熟練度上げをしているところを見る以外には分からないからだそうでそれには俺も同意する。

 

「それデ?それだけが聞きたいことなのカ?それならわざわざ宿屋まで連れ込む必要は無いんじゃないかナ?」

 

「ソードスキルの3連撃に硬直時間がなく、アシストによる速度上昇も無いものがあるものなのか知りたい。」

 

「お、ついにソードスキルを使用したのカ。でも3連撃位からだと戦闘中にはわかる程度はしっかり硬直するゾ。それに曲刀カテゴリーの3連撃はβでは熟練度も350以上だから、さすがにまだ誰も習得出来ていないんじゃないカ?アー坊今いくつダ?」

 

「確か二層ボス前で200だったな。今の数値は……220だ。……ん?このスキルは……?」

 

そこにあったのはボス戦前には確実になかったスキルだ。

“創始者の心得”

スキルの説明を読もうとしたところでアルゴの見せロの一声で中断させられ、ウィンドウを可視化して見せる。

 

「“創始者の心得”……?β時代ではこんな情報は出回っていないナ。なになに……《システムアシストと同等かそれ以上の速度で放たれた連撃に対しソードスキルの威力アシストのみを付加する。また創始者のみ登録した技後の硬直時間を0にする。》……これは相当価値のあるスキルだナ。習得条件に心当たりは無いのカ?」

 

「……そこに書いてある事はしたが……。」

 

「それだけならオレっちにもでてるはずサ。アー坊よりも完璧な敏捷振りだからナ。」

 

「ふむ……ならば後はソードスキルを実戦では使用したことがない位しか思いつかないな。」

 

事実それ以外は思い当たるものは無い。確かにアルゴの言う通り、俺以上に敏捷に振っているイスケやコタローなどは、攻撃速度のほぼ全てにおいてソードスキルに近い。最も身体を上手く動かせてないせいか上手く繋げられては居ないようだが……。

 

「それは確かにあり得るナ。よし、その件もオレっちが裏付けはとっといてあげるヨ。」

 

そう言うとアルゴは俺に10000コルを譲渡するトレードウィンドウを出してきた。

情報屋としてその価値があると踏んだのだろう。

 

アルゴと別れた俺はイスケ、コタローとナーザ達にメッセージを飛ばす。

分かれる前にアルゴから買ったこの層の情報の一つ、ギルド設立を行う予定だ。

設立しておく事で得られる能力ボーナスは今後に役に立つだろう。

 

やがて集合場所に到着するなり、異様な光景を目の当たりにさせられた。

……全員が片膝立ちで俺に頭を下げている……という。

 

「ふざけているのか?そう言ったことは必要ない。そもそも目立つ行動はするな。」

 

俺の一言に、新しく入ったナーザ達4人は一斉にコタローに話が違うじゃないかなどと言っていることから、コタローのいらない入れ知恵のせいだろうと予測する。

 

「お頭、この層のギルド設立クエストを受注してあるでゴザル。拙者等としてはお頭にマスターになっていただきたいのでゴザルよ。」

 

いまだに言い合いをしているコタロー達を放置し、イスケからその話を聞く。

俺としても行おうと思っていたクエストを事前に受けておくとはなかなか気が利く。

 

「俺も作ろうと思っていた所だ。イスケ、ご苦労だったな。すまないが早めに済ませたい。あの5人を連れてきてくれ。」

 

イスケが仲介に入り5人は素直に着いてきた。

 

どうやらイスケ、コタローは共にレベル13に、ナーザがレベル10、オルランド達3人はレベル12だったようだ。

オルランド達は自慢だった武具も今はない。またナーザも育てていたのが鍛治である以上、他のスキル熟練度は低く、戦闘能力ボーナスは願ってもないものだろう。

 

この層では今まで行っていた黒ポンチョ捜索に情報収集、レベルの底上げといった所か……。

 

「あ、お頭、拙者はそのクエストの間別行動でかまわないでゴザるか?アクティベートしたばかりならもしかしたら奴が居るのではないかと思うのでゴザる。」

 

人数的にも1人あぶれることもありコタローの申し出を受けることにしようとは思うが……。

 

「ふむ、イスケ、すまないが捜索は2人一組で頼めるか?少々いやな予感がするのでな。」

 

「御意。」

 

黒ポンチョがいる可能性は高い。それだけに1人で事に当たらせるのは危険と考えたのだ。

さて、先ずは……こうして俺達は1日半ほどの時間をかけてギルド設立クエストをクリアした。

 

ギルド《御庭番衆》が発足したのは第1回三層攻略会議の直前になるのだった。




9月14日修正済み
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。