先に言っときます。かなり一方的な展開になります。
次の日、第15回目の対戦時刻。
そこには俺。
そして、相対するのはなんと昨日助けたピンクの女の子だった。
まあ、これも何かの縁だろう。
………………助けなきゃよかった気がしないでもない。
「こっちは準備オッケーよ!」
その俺の動向を察してかどうか、彼女は声を張り上げてデュエルディスクを展開した。
「ああ」
俺もそれに合わせ、デュエルディスクを展開する。
『第15回戦 Aブロック決勝 リック・べネットVSツァン・ディレ』
それと同時にアナウンスが流れた。
『開始』
「「デュエル!」」
リック・べネット
LP4000
ツァン・ディレ
LP4000
「ボクのターン!」
あ、畜生…先攻持ってかれた。
「ドロー!」
手札5→6
「"強欲な壺"を発動! カードを2枚ドローするわ!」
手札5→7
引いたカードを見た彼女は小さくガッツポーズした。
あらかわい…
「ボクは永続魔法、"六武衆の結束"を発動。"六武衆"と名のついたモンスターが召喚・特殊召喚される度に、このカードに武士道カウンターを1つ置く。また、武士道カウンターが乗っているこのカードを墓地へ送る事で、このカードに乗っていた武士道カウンターの数だけデッキからカードをドローする。このカードに乗せられる武士道カウンターは最大2つまでよ!」
くねぇ!?
ろ、六武衆だと……。
俺……門渡しちゃったような…。
「さらに"六武衆の結束"を発動。そして……」
彼女は1度、俺にカードを向けてから発動した。
「永続魔法、"六武の門"を発動!」
オウフ……。
『プギャー! なんて盛大なブーメランなんでしょう…ブフッ…』
覚えてろ糞蛇…。
ちなみに六武の門とは…。
"六武衆"と名のついたモンスターが召喚・特殊召喚される度に、このカードに武士道カウンターを2つ置く。自分フィールド上の武士道カウンターを任意の個数取り除く事で、以下の効果を適用する。
●2つ:フィールド上に表側表示で存在する"六武衆"または"紫炎"と名のついた効果モンスター1体の攻撃力は、このターンのエンドフェイズ時まで500ポイントアップする。
●4つ:自分のデッキ・墓地から"六武衆"と名のついたモンスター1体を手札に加える。
●6つ:自分の墓地に存在する"紫炎"と名のついた効果モンスター1体を特殊召喚する。
まあ、手早く言えば紫炎or六武衆を召喚特殊召喚するだけで、六武衆or紫炎の火力上げ、六武衆のデッキサーチor墓地回収、紫炎の蘇生を1枚でこなす頭の可笑しいチートカードである。
王家の神殿無しには進撃の帝王などの庇護を受けないと生きていけないセルケトさんも少しは見習ってくれませんかねぇ…。
「フィールド魔法、"六武院"発動! "六武衆"と名のついたモンスターが召喚・特殊召喚される度に、このカードに武士道カウンターを1つ置く。相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターの攻撃力は、このカードに乗っている武士道カウンターの数×100ポイントダウンするわよ!」
フィールドがどっかの剣客と、CCOが戦った場所のようなフィールドに変わった。石油施設は無いな。
「 永続魔法、"紫炎の道場"発動! "六武衆"と名のついたモンスターが召喚・特殊召喚される度に、このカードに武士道カウンターを1つ置く。 このカードを墓地へ送る事で、このカードに乗っている武士道カウンターの数以下のレベルを持つ"六武衆"または"紫炎"と名のついた効果モンスター1体を自分のデッキから特殊召喚するわ!」
武士道カウンター関連の魔法が5枚…ってことは1体でも六武衆か紫炎を場に出せば確実にモンスターがデッキから出てくるわけかー。
既にモンモンより悪い状況じゃねぇかよ……。
「"真六武衆―カゲキ"召喚! カードに武士道カウンターが乗るわ!」
真六武衆-カゲキ
星3/風属性/戦士族/攻 200/守2000
このカードが召喚に成功した時、手札からレベル4以下の「六武衆」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する事ができる。自分フィールド上に「真六武衆-カゲキ」以外の「六武衆」と名のついたモンスターが表側表示で存在する限り、このカードの攻撃力は1500ポイントアップする。
手の多い真六武衆が召喚された。
真六武衆―カゲキ
ATK200
六武衆の結束0→1
六武衆の結束0→1
六武の門0→2
六武院0→1
紫炎の道場0→1
「"真六武衆―カゲキ"の効果で手札から"真六武衆―ミズホ"を特殊召喚! 武士道カウンターがさらに乗るわよ!」
真六武衆-ミズホ
星3/炎属性/戦士族/攻1600/守1000
自分フィールド上に「真六武衆-シナイ」が表側表示で存在する場合、このカードは手札から特殊召喚する事ができる。1ターンに1度、このカード以外の自分フィールド上に存在する「六武衆」と名のついたモンスター1体をリリースする事で、フィールド上に存在するカード1枚を選択して破壊する。
真六武衆の紅一点であるミズホが現れた。
真六武衆―ミズホ
ATK1600
六武衆の結束1→2
六武衆の結束1→2
六武の門2→4
六武院1→2
紫炎の道場1→2
「"真六武衆―カゲキ"は効果により攻撃力1500ポイントアップ!」
真六武衆―カゲキ
ATK200→1700
「さらに武士道カウンターを4つ取り除いて"六武の門"の効果発動!」
六武衆の結束2→1
六武衆の結束2→1
六武の門4→2
六武院2
紫炎の道場2
「デッキから"真六武衆―シナイ"を手札に加え、自分のフィールドに"真六武衆―ミズホ"が存在していることで自身の効果により、特殊召喚よ! もちろん武士道カウンターが溜まるわ!」
真六武衆-シナイ
星3/水属性/戦士族/攻1500/守1500
自分フィールド上に「真六武衆-ミズホ」が表側表示で存在する場合、このカードは手札から特殊召喚する事ができる。フィールド上に存在するこのカードがリリースされた場合、自分の墓地に存在する「真六武衆-シナイ」以外の「六武衆」と名のついたモンスター1体を選択して手札に加える。
棍棒を2本持った真六武衆が現れた。
真六武衆―シナイ
ATK1500
六武衆の結束1→2
六武衆の結束1→2
六武の門2→4
六武院2→3
紫炎の道場2→3
「そして、再び武士道カウンターを取り除き、"六武の門"の効果を発動よ!」
六武衆の結束2→1
六武衆の結束2→1
六武の門4→2
六武院3
紫炎の道場3
「"真六武衆―キザン"を手札に加え、キザンの効果を発動! 自分のフィールド上に"真六武衆-キザン"以外の"六武衆"と名のついたモンスターが表側表示で存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できるわ! そして武士道カウンターが溜まる! さらに2体以上いることにより、攻撃力・守備力300ポイントアップ!」
真六武衆-キザン
星4/地属性/戦士族/攻1800/守 500
自分フィールド上に「真六武衆-キザン」以外の「六武衆」と名のついたモンスターが表側表示で存在する場合、このカードは手札から特殊召喚する事ができる。自分フィールド上にこのカード以外の「六武衆」と名のついたモンスターが表側表示で2体以上存在する場合、このカードの攻撃力・守備力は300ポイントアップする。
刀を持った黒い真六武衆だ。
真六武衆―キザン
ATK1800→2100
六武衆の結束1→2
六武衆の結束1→2
六武の門2→4
六武院3→4
紫炎の道場3→4
「そして最後にもう一度"六武の門"の効果を発動! デッキから"六武衆の師範"を手札に加えるわよ!」
六武衆の結束2→1
六武衆の結束2→1
六武の門4→2
六武院4
紫炎の道場4
「"六武衆の師範"の効果! 自分フィールド上に"六武衆"と名のついたモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる! そして武士道カウンターが乗るわ!」
六武衆の師範
星5/地属性/戦士族/攻2100/守 800
自分フィールド上に「六武衆」と名のついたモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。このカードが相手のカードの効果によって破壊された時、自分の墓地の「六武衆」と名のついたモンスター1体を選択して手札に加える。「六武衆の師範」は自分フィールド上に1枚しか表側表示で存在できない。
黒い真六武衆の後の姿がそこにいた。
六武衆の師範
ATK2100
六武衆の結束1→2
六武衆の結束1→2
六武の門2→4
六武院4→5
紫炎の道場4→5
「"六武衆の結束"2枚を墓地へ送り、4枚カードをドローよ!」
手札0→4
「永続魔法、"連合軍"発動! 自分フィールド上の戦士族モンスターの攻撃力は、
自分フィールド上の戦士族・魔法使い族モンスターの数×200ポイントアップするわよ! つまり、今は1000ポイントアップ!」
真六武衆―カゲキ
ATK1700→2700
真六武衆―ミズホ
ATK1600→2600
真六武衆―シナイ
ATK1500→2500
真六武衆―キザン
ATK2100→3100
六武衆の師範
ATK2100→3100
「カード2枚セット……これでターンエンドよ」
ツァン
モンスター5
魔法・罠5
手札2
「……………………」
俺は自分のターンになっても暫く動かなかった。
「どうしたの? 戦意喪失?」
彼女が少し誇らしげにそう言った。
「…………ドロー」
手札5→6
「"強欲な壺"を発動…カードを2枚ドロー…」
手札5→7
「俺は1000ライフを払い"旧神の印"を発動。相手の裏側カードを全てめくった後、元に戻す。この時、カード効果は発動しない」
「ピ…ピーピング!?」
リック
LP4000→3000
2枚のセットカードが捲れた。
六尺瓊勾玉
カウンター罠
自分フィールド上に「六武衆」と名のついたモンスターが表側表示で存在する場合のみ発動する事ができる。相手が発動した、カードを破壊する効果モンスターの効果・魔法・罠カードの発動を無効にし破壊する。
究極・背水の陣
ライフポイントを100ポイントになるように払って発動できる。自分の墓地の「六武衆」と名のついたモンスターを可能な限り特殊召喚する。(同名カードは1枚まで。ただし、フィールド上に存在する同名カードは特殊召喚できない。)
「…………"天使の施し"を発動。3枚のカードをドローし、2枚捨てる」
「ちょ…せめて何か反応を…」
「………………ふう…」
俺は溜め息をつくと目を見開き、言葉を放った。
「お前のデュエルは素晴らしかった!」
「え!? あ、ありがとう…」
突然の俺の態度の変化に彼女は顔を赤くしながらそう返した。
「カードのコンビネーションも、戦略も!」
「そ、そんなに褒め無くても…」
「だが、しかし!」
「え?」
彼女のキョトンとした呟きが会場に木霊した。
「まるで全然、この俺を倒すには程遠いんだよねぇ!」
俺は驚く彼女を無視して魔法を発動した。
「"高等儀式術"発動! デッキから"トライホーン・ドラゴン"を墓地へ送り、手札から"仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー"を特殊召喚!」
仮面の付いた杖のようなものを持ち、全身に仮面を付けた儀式モンスターが降臨した。
仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー
ATK3200
「そして! "思い出のブランコ"を発動! 墓地の"トライホーン・ドラゴン"を特殊召喚」
トライホーン・ドラゴン
ATK2850
「"受け継がれる力"を発動! 自分フィールド上のモンスター1体を墓地に送る! 俺は"トライホーン・ドラゴン"を墓地へ送る! そして"仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー"を選択!」
トライホーン・ドラゴンが消えるとその場にはトライホーン・ドラゴンのような仮面が落ちており、それをマスクド・ヘルレイザーが拾い上げると顔に被った。
「選択したモンスター1体の攻撃力は、発動ターンのエンドフェイズまで墓地に送ったモンスターカードの攻撃力分アップする!」
仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー
ATK3200→6050
「そして"巨大化"を発動!」
マスクド・ヘルレイザーが巨大化し、六武衆が小人に見えるほどのサイズになった。
仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー
ATK6050→9250
「俺のライフは"旧神の印"により3000ポイント。お前より1000ポイント下だ…」
「そ、そのために…」
「お前の敗因…それは俺のデッキに対して、打点の低い六武衆デッキで先攻を取った事だ…」
「くっ……」
「止めに"禁止薬物"を発動! 選択したモンスターは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる!」
マスクド・ヘルレイザーの全身の血管が浮き上がり、バイオのスーパータイラントにしか見えなくなってきた。
「"六武衆の師範"を攻撃! 念眼殺!」
マスクド・ヘルレイザーの全身の仮面が全て六武衆の師範を向き、全ての仮面の瞳が光った。
次の瞬間、六武衆の師範を中心に凄まじい爆発が起こり、跡形もなく消し飛んだ。
「あぁぁぁぁぁ!!!!」
ツァン
LP4000→0
「まだ攻撃は残っている! 巨大化の効果で攻撃力は多少下がるが…」
仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー
ATK9250→4450
「念眼殺!」
彼女のフィールドの真六武衆のどれかが吹き飛んだ直後、デュエルディスクに勝利のサインが出た。
いやー、ツァン・ディレちゃんは強敵でしたね。