じゃしんに愛され過ぎて夜しか眠れない   作:ちゅーに菌

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次回予告詐欺ですが、初投稿です。

たぶん、セイバーウォーズでもキメながら話を作りました。是非、脳みそを溶かしながらご覧下さい。

正直に言いますと……ダークネスさんに負け筋が多過ぎるというか……ヴェノミナーガさんに何しても勝ち目がないにもかかわらず、こちらから心理フェイズは流石に不可能なので、盛り上げようがなかったのでこうなりました。




ダークネス三連戦! その3

 

 

 

「ドロー」

 

手札

5→6

 

 先攻はダークネスから始まり、明日香は息を飲んでいた。

 

「我はフィールド魔法、"ダークネス"を発動」

 

 宙にカードが浮かび上がると、ダークネスの5つの翼にそれぞれセットされたカードが浮かび上がる。

 

「手札及びデッキから"虚無(ゼロ)"、"無限(インフィニティ)"、"ダークネス(ワン)"、"ダークネス(ツー)"、"ダークネス(スリー)"を1枚ずつランダムにセットする。この効果でセットされたカードを確認する事はできない」

 

ダークネス

フィールド魔法 

発動時に自分の魔法&罠カードゾーンのカードを全て破壊する。

手札及びデッキから「虚無」「無限」「ダークネス1」「ダークネス2」「ダークネス3」を1枚ずつランダムにセットする。この効果でセットされたカードを確認する事はできない。

お互いのターンのエンドフェイズに自分フィールド上の罠カードをセットされた状態に戻し、セットされた場所をランダムに変更する。

自分フィールド上の魔法・罠カードがフィールド上から離れた時、自分フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。

 

虚無(ゼロ)

永続罠 

「ダークネス」が発動している場合、以下の効果を発動する。

「無限」が発動していない場合、自分の魔法&罠カードゾーンのカード1枚を発動する。

「無限」が発動している場合、このカードと「無限」の間にあるカードを全て発動する。

 

無限(インフィニティ)

永続罠 

「ダークネス」が発動している場合、以下の効果を発動する。

「虚無」が発動していない場合、自分の魔法&罠カードゾーンのカード1枚を発動する。

「虚無」が発動している場合、このカードと「虚無」の間にあるカードを全て発動する。

 

ダークネス(ワン)

永続罠

自分フィールド上に「虚無」と「無限」が発動している時にこのカードが最初に発動した場合、以下の効果を得る。

●相手フィールド上のカード1枚を破壊する。

その後、「ダークネス」と名のついた永続罠カードが発動する毎に、相手フィールド上のカード1枚を破壊する。

 

ダークネス(ツー)

永続罠 

自分フィールド上に「虚無」と「無限」が発動している時にこのカードが最初に発動した場合、以下の効果を得る。

●自分フィールド上のモンスター1体の攻撃力をこのターンのみ1000ポイントアップする。

その後、「ダークネス」と名のついた永続罠カードが発動する毎に、自分フィールド上のモンスター1体の攻撃力をこのターンのみ1000ポイントアップする。

 

ダークネス(スリー)

永続罠

自分フィールド上に「虚無」と「無限」が発動している時にこのカードが最初に発動した場合、以下の効果を得る。

●相手に1000ポイントのダメージを与える。

その後、「ダークネス」と名のついた永続罠カードが発動する毎に、相手に1000ポイントのダメージを与える。

 

「"ダークネス・アイ"を攻撃表示で召喚する」

 

ダークネス・アイ

星1/闇属性/悪魔族/攻 0/守1000

このカードが攻撃表示でフィールド上に存在する場合、手札のモンスター1体を生け贄なしで通常召喚する事ができる。

このカードのコントローラーは1ターンに1度、自分の魔法&罠カードゾーンにセットされたカードを「ダークネス」の効果を無視して確認する事ができる。

 

 スタンドライトのような形をし、ライト部分が目玉に置き換えられたような黒く肉々しいモンスターが現れる。

 

ダークネス・アイ

ATK0

 

 そして、ダークネス・アイが場に出た直後、目玉がぐるりと回る。

 

「ターンエンドだ。お互いのターンのエンドフェイズに自分フィールド上の罠カードをセットされた状態に戻し、セットされた場所をランダムに変更する」

 

 エンドフェイズ宣言時、ダークネスのフィールドにセットされたカードが入れ替わる様子が見られた。

 

ダークネス

LP4000

手札4

モンスター1

魔法・罠6

 

 

「俺のターンドロー」

 

手札

5→6

 

 そうして、ナイトメアが真剣に手札を眺めているとき、ダークネス・アイの目玉がギョロギョロと動く様子が見えた。

 

 それから数秒経ち、手札をナイトメアが使おうとしたところ――。

 

『おいコラ、ちょっと待ってください』

 

 ヴェノミナーガがデュエルに割り込んで口を開いた。デュエル中に好き勝手にしていることは多々あれど、デュエル自体を止めようとしたことはほとんどなかったため、ナイトメアは目を丸くしている。

 

『待てって言ってるんですよ。そこの宇宙の暗黒面様。カードの効果発動宣言はどうしたかって聞いてるんですよ?』

 

「はい……?」

 

 その言葉にナイトメアは疑問符を上げ、明日香も意味がわからず、首を傾げていたところ、ヴェノミナーガは直ぐに話を続けた。

 

『"ダークネス・アイ"の効果は、このカードが攻撃表示でフィールド上に存在する場合、手札のモンスター1体を生け贄なしで通常召喚する事ができる。そして、もう1つは、このカードのコントローラーは1ターンに1度、自分の魔法&罠カードゾーンにセットされたカードを"ダークネス"の効果を無視して確認する事ができるでしょうが……で、今効果使いましたよね? 最後に会ったのが、幾つか星が生まれて滅びるほど前だからと言って私は忘れていねーですよ!』

 

『………………"ダークネス・アイ"の効果はそういうことだ』

 

 ダークネスはヴェノミナーガの捕捉説明の後、たっぷりと時間を掛けた上で重い口を開いた。

 

「えぇ……」

 

「それは……」

 

 明らかに意図してダークネスはダークネス・アイの効果をあえて宣言していなかったため、ナイトメアと明日香は訝しげな視線を向けるが、当のダークネスはどこ吹く風である。

 

『ダークネスさんったら……まーだ、対戦相手のデュエリストに対してそんなセコいことしてるんですね……百歩――いえ、万歩譲ってそれはいいとしても、ダークネスさんがそんなことやってたら暗黒系デュエルモンスターズの神々の威信に関わるから止めてください』

 

『直接的に関係のない部外者が、デュエル中に私情を挟むでない』

 

『あ゛? 今、なんつったオイ……?』

 

 その瞬間、普段は比較的温厚なヴェノミナーガの気配が荒々しいものになり、発生した闇の力がダークネス世界の空間そのものに多少の亀裂を生むほどに高まっていた。

 

『き、切れた……! 私の体の中で何かが切れた……決定的な何かが……せめてもの情けで顔を立ててやっていたらこの野郎付け上がりやがって……!! こうなったら――』

 

「ちょっと、ヴェノミナーガさん……?」

 

 嫌な予感がしたナイトメアは何か言おうとしたが、両腕でナイトメアの体を押さえ、じりじりと迫りつつ口を開く。

 

同化(GATTAI!)しますよマスター! ちょっと闇の力とデュエルディスク借りますね!』

 

「おい、他人(ひと)の了承を――」

 

 有無を言わさず、ヴェノミナーガはナイトメアの体に侵入すると同時に2人を濃厚な黒紫色の闇が包み込み、全身を隠した。

 

 一度、ヴェノミナーガに同化された経験のある明日香は、髪の色や目の色がヴェノミナーガと同じようになったナイトメアが出てくるのではないかと考えていると、黒紫色の闇が晴れ――。

 

 

 

「じゃーん! マスターの闇の力(ダーク・パウァー)を取り込み、私にユニオンさせ――女神ヴェノミナーガちゃん推参です!」

 

 

 

 斜め上、あるいは下の何かが現れた。

 

 そこにはメデューサ先生として活動している姿ではなく、緑色の宝石が額部分にハマった金のティアラと、豪華な金のネックレスを着け、色白の肌に長い青紫色の髪をし、深紅の瞳をした長身の女性――ヴェノミナーガそのものを人間の女性に変えたような姿がある。

 

 また、上衣には赤い胸当てのみを纏い、下衣には髪と同じ青紫色のスカートタイプのアラビアン衣装を着ており、非常に扇情的な服装をしていた。

 

 ナイトメアが使っていた工芸品のように艶やかなドーマのデュエルディスクが美しさを引き立ており、その美しさは、同性でそのような気のない明日香でも見ているだけでさえ胸が高鳴るほどである。

 

 無論、彼女――ヴェノミナーガが口を開いていない時に限るが。

 

『なんだその姿は……? 巫山戯ているのか?』

 

「へへん、スゴいでしょう? なんたって、いつもの擬態とは違い、今の私は神性を一時的にほぼ全て封印し、ほとんどただの人間になっているんですからね!」

 

 いつもの口調でとてつもないことを言い放つヴェノミナーガ。それに対し、似た神であるダークネスは酷く驚いた様子を見せる。

 

『馬鹿な……神が人に下るだと……? よもやそこまで堕ちたか……』

 

「チッチッチ……わかってないですねこの恐ろしさが――マスターと私で、100万パワー+100万パワーで200万パワー!! いつもの2倍の闇の力が加わり、200万×2の400万パワー!! そして、いつもの3倍の闇の力を加えれば、400万×3のダークネスさん! お前をうわまわる1200万パワーだーっ!!」

 

『……………………どういう意味だ?』

 

「要するに、純粋な()の闇の力と、純粋な人間(マスター)の闇の力を合わせ、私が人間になることで、2つの力を掛け、闇の力が無限大(インフィニティ)なんですよ!」

 

(も、もっとわからなくなったわ……)

 

 ちなみにナイトメア曰く"ヴェノミナーガさんのことをイチイチ相手にしていたら身が持たない"とのことである。

 

「まあ、そんな事はどうでもいいんだ。重要なことじゃない! お前にふさわしいソイルは決まった! 魔法カード発動、"トレード・イン"!」

 

 そうして、ヴェノミナーガは手札のワーム・クィーンを墓地に送りデッキに手を掛けると、そこに闇の力が集中する。

 

「この姿の私のドローは奇跡を呼びますよ……言わばシャイニン――おっとダークド――もやめておきましょう。まあ、もうこの際、ダークネスドローでも、ヴェノムドローでもなんでも構いません! そら、来い!」

 

 そうして、ヴェノミナーガが引いた2枚のカードは――ナイトメアがデッキに入れていないカードであった。しかし、それを知るものはナイトメアと、ヴェノミナーガのみである。

 

 ヴェノミナーガは引いたカードの片方を発動する。

 

「手札から"絶望の宝札"を発動! デッキからカードを3枚手札に加え、それ以外の全てのデッキを墓地に送ります!」

 

手札

5→8

 

 3枚のカードを手札に加え、残りのデッキは全て墓地へ送られる。

 

『馬鹿な……勝負まで投げ捨てたというのか?』

 

「な、なんてことを……」

 

「なに勘違いしているんです?」

 

「なに……?」

 

 ヴェノミナーガは余裕たっぷりの笑みを浮かべてからウィンクをしつつ舌を出して見せた。

 

「あなたに次のターンなんか来ませんよ?」

 

「なんだと……!?」

 

 そう言ったついでにヴェノミナーガはダークネスのデュエルディスク代わりである5枚の翼を端から指を指して口を開く。

 

「ふふん、マスターと合体し、人間になった今の私なら見ればわかります。ダークネスさんから見て右から2番目のカードが"虚無(ゼロ)"! 右から5番目のカードが"無限(インフィニティ)"! そして、挟まれているカードは"ダークネス(ツー)"と、"ダークネス(スリー)"です!」

 

『な……!? なぜわかった!?』

 

 既に伏せた魔法・罠カードをダークネス・アイで確認しているダークネスの様子からそれは真実のようだ。

 

「そんなことすらわからない……だからお前はアホなのだぁぁ! これが真のデュエリストってもんですよ! 見なくとも理解し、引きたいカードは引き当てるのです!」

 

 "まあ、デュエリストの能力の大部分はマスターですけどっ!"と補足してからヴェノミナーガは更に言葉を続けた。

 

「"ダークネス(ワン)"がないと除去は不能で、フィールド魔法のダークネスのせいで、他の魔法・罠はない! 墓地はゼロで、"超電磁タートル"も、"ネクロ・ガードナー"もない! 更に言えばダークネスじゃないから、"速攻のかかし"も、"バトル・フェーダー"も、"エフェクト・ヴィーラー"もデッキにない! 宇宙の暗黒面のクセに恥ずかしくないんですか?」

 

 そう言いつつ、ヴェノミナーガはトレード・インでドローしたカードのもう片方を場に出した。

 

「私は手札から永続魔法、"王家の神殿"を発動! このカードのコントローラーは、罠カードをセットしたターンでも発動できます!」

 

 ヴェノミナーガのフィールド上に古めかしい石造りの巨大な神殿が現れる。

 

「そして、カードを2枚セット! 更に"死者蘇生"を発動! 墓地から"毒蛇王(どくじゃおう)ヴェノミノン"を特殊召喚します!」

 

毒蛇王(どくじゃおう)ヴェノミノン

ATK0

 

「"王家の神殿"の効果により、セットした罠カード、"毒蛇(どくじゃ)供物(くもつ)"を発動! 自分フィールド上の爬虫類族モンスター1体と、相手フィールド上のカード2枚を選択して破壊します! 私は"毒蛇王(どくじゃおう)ヴェノミノン"と、フィールド魔法"ダークネス"、"ダークネス・アイ"を破壊!」

 

「くっ……その前に"虚無(ゼロ)"と"無限(インフィニティ)"を発動。2枚の間のカードを"ダークネス(スリー)"、"ダークネス(ツー)"の順で発動し、2000ポイントのダメージを与える」

 

「うぐぁっ……!?」

 

ヴェノミナーガ

LP4000→2000

 

 ヴェノミナーガに闇の閃光が襲い掛かると共に、毒蛇王(どくじゃおう)ヴェノミノンが内側から燃え盛り、その状態で両腕伸ばしてフィールド魔法のダークネスと、ダークネス・アイを掴んだ。

 

 その直後、ヴァレンチノの全身から迸る炎がフィールド魔法のダークネスとダークネス・アイに燃え移り、その全てを消滅させた。

 

「あはは……流石に人間の体だとちょっとキツい……いや、スゴく痛いですね……」

 

 闇のデュエルでダークネスから2000ポイントのダメージを受けたヴェノミナーガは、額から脂汗を流しながら胸に手を当て肩で息をしつつもデュエルを続行する。

 

「……フィールド魔法"ダークネス"が破壊されたことで、ダークネスさんの魔法・罠カードゾーンのカードは全て破壊されますね」

 

「我のダークネスが……」

 

 これでダークネスのフィールド上には何もカードがなくなった。

 

「さあさあ、お待ちかねです! 当然、私は罠カード、"蛇神降臨"を発動! 自分フィールド上に表側表示で存在する"毒蛇王(どくじゃおう)ヴェノミノン"が 戦闘以外で破壊された時に発動でき、手札・デッキから"毒蛇神(どくじゃしん)ヴェノミナーガ"1体を特殊召喚します! 私は手札から"毒蛇神ヴェノミナーガ()"を攻撃表示で特殊召喚!」

 

毒蛇神(どくじゃしん)ヴェノミナーガ

星10/闇属性/爬虫類族/攻 0/守 0

このカードは通常召喚できない。「蛇神降臨」の効果及びこのカードの効果でのみ特殊召喚できる。

このカードの攻撃力は、自分の墓地の爬虫類族モンスターの数×500ポイントアップする。

このカードはフィールド上で表側表示で存在する限り、このカード以外のカードの効果の対象にならず、効果も受けない。

このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、このカード以外の自分の墓地の爬虫類族モンスター1体をゲームから除外する事で、このカードを特殊召喚する。

このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、戦闘ダメージを受けたプレイヤーは3ターン後、デュエルに敗北する。

 

 いつも見ている姿のままのヴェノミナーガがフィールドに現れる。しかし、ヴェノミナーガを中心に生命、物体、空間さえも侵す神の毒が溢れ出し、水面に落とされた一滴から生まれた波紋のように一瞬で拡がりながら、ダークネスの世界そのものを侵食していた。

 

毒蛇神(どくじゃしん)ヴェノミナーガ

ATK0

 

「私の攻撃力は、自分の墓地の爬虫類族モンスターの数×500ポイントアップします! 墓地に存在する爬虫類族モンスターは、"毒蛇王(どくじゃおう)ヴェノミノン"3体、"ワーム・キング"3体、"ワーム・クィーン"3体、"ワーム・ヤガン"3体、"ワーム・ゼクス"3体、"ワーム・アポカリプス"3体、"ワーム・ヴィクトリー"2体の計20体!」

 

毒蛇神(どくじゃしん)ヴェノミナーガ

ATK0→10000

 

「こ、攻撃力10000だと……そんな馬鹿な……」

 

「さながら私はあなたにとってのレオパルドンです! では喰らいなさい! アブソリュート・ヴェノム!」

 

「ぐ……ぐぁぁぁぁあぁぁぁぁ!!!?」

 

 神のカードによる攻撃はダークネスを貫き、一撃の元にデュエルに決着をつけた。

 

 

ダークネス

LP4000→0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ダークネスは敗れた。そのため、古来よりの(ことわり)に従い、この世界からしばらくは手を引かさせたため、俺とヴェノミナーガさんの目が黒いうちは大丈夫だろう。とりあえず、当初の目的は達成したと言える。

 

 しかし、それはそれ、これはこれである。

 

「正座」

 

『はい……』

 

 場所は変わり、最初のダークネスであった明日香の兄を倒した森の中。明日香の兄と解放された旧館での事件の生徒たちが意識を失って倒れているので、人を呼び、それを待っているところだ。

 

 その間、とりあえず、精霊に戻ったヴェノミナーガさんを正座させていた。蛇の下半身に正座が意味があるかどうかは不明だが、気分の問題である。

 

「ヴェノミナーガさんのしてはいけないことリスト、その17を言ってください」

 

『えーと……"ポテチを食べた手を拭かずにカードに触らず、倒してもいいように炭酸飲料のキャップは毎回しっかり閉めること"』

 

「それはその16です。17は"了承を取らずに他者に憑依や同化をしてはいけません"ですよ」

 

 最近、天上院でも破ったばっかりの項目である。ヴェノミナーガさんの行動で、毎回毎回同じことをしでかす事があるので、注意のためのリストを作っているのである。

 

『今日のはGATTAI!だからノーカンです……』

 

「ああ゛?」

 

『ひぃ!? まあ、近い世界の危機は去ったのですからいいじゃありませんか! それにデュエルを見ていたマスターならぶっちゃけ、ダークネスさんがそんなにデュエルが強くないことはわかったでしょう?』

 

 まあ、それは見ていて思ったことではある。なんというか、拍子抜けだったと言わざるを得ない。宇宙の暗黒面だというから、さぞ強いのかと思えば、なんだか、コンセプトから既に微妙だった気がしないでもない。

 

 正直、ヴェノミナーガさんのデッキを出す必要はなかったと思ったのは、仕方がないことだろう。

 

『まあ、普通に考えてみてもくださいよ。だって、ダークネスさんはカードの裏面から生まれたんですよ? 裏面なんて絵柄もカードテキストもパスワードも書いていないのに……表面から生まれたデュエルモンスターズの神々よりデュエルが強いわけがないじゃないですか』

 

 納得できるようで、やっぱりよくわからないようなことを言われて反応に困った。閉口しているうちにヴェノミナーガさんが更に言葉を吐く。

 

『それに小狡いこともしていましたしね』

 

 まあ、明らかに故意でセコいことをしていたことに対して、デュエルモンスターズの神として怒ることは無理はないと思うが――。

 

『そんなことは正直どうでもいいですけどアイツ! 私のこと更年期とか言ったんですよ!? ピチピチにょろにょろのレディに更年期ですよ!? 更年期! そんなの大義名分さえあればぶっ殺すに決まっているじゃないですか!』

 

「そっちかぁ……」

 

 うーん……どうして唯一フォローしようとした箇所すら自分で削ぎ落とすんだろうなぁ……ヴェノミナーガさんは。

 

 それに小狡いも何も、ヴェノミナーガさんなんてドローでデッキに存在しないカードを引いてたしなぁ……。

 

『そんなの最近ではもっとスゴいことを普通にやってるからいいんですよ』

 

「最近ってなんなんですか」

 

「ねぇ……?」

 

 これもしてはいけないことリストに加えておこうと思っていると天上院が声を掛けてきたので、そちらに対応することにした。

 

「何故か……とても……とてもとても疲れたわ……デュエルモンスターズってなんなのかしらね……この世界って……なんなのかしら……ウフフ」

 

 天上院の顔には影が差しており、背中には間違っても高校一年生の女子生徒が出してはいけないような哀愁が漂っている。横でまだ倒れている兄に寄り添いつつも、そんな永遠の哲学になりそうな題材をぼやく姿は今にも消え入りそうだった。

 

 これはケアしないと第2の藤原優介にでもなるかもしれない等と思っていると、ヴェノミナーガさんがするりと動いて天上院を背中から抱き締めると真面目な顔で叫んだ。

 

『明日香さんの心にこんな傷跡を残して……絶対に許しませんよダークネスさん!』

 

 もちろん、それはネタで言っているつもりなんだよな? な?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 天上院だけが知っているダークネスとのデュエルから数日後。ダークネスに囚われていた者は大半が目を覚ましたが、やはりダークネスとなって闇のデュエルで俺に負けた天上院吹雪だけは目を覚まさないらしいが、命に別状はないということだ。

 

 それと、藤原優介の奴なのだが、オレイカルコスの結界から出したら失礼なことに俺を見た瞬間、泡を吹いて背中から倒れたため、今は天上院吹雪の隣のベッドで療養中だが、数日(うな)され続けているらしい。まあ、忘れられるより怖い、忘れられないものが出来たんだからよかったんじゃないかな?

 

 そして、天上院――もとい明日香のメンタルは持ち直した。あれだけ色々、あって今更苗字呼びは止めて欲しいとのことで名前で呼ぶようにもなった。

 

 最近の目標は、この世界はデュエルで強くなって損はないことに気づいたため、兎に角強くなることらしく、前よりも頻繁にデュエルを挑んできたり、デッキの構築で意見を求めるためにたまに俺の部屋に足を運んでいるのだが――。

 

「リック、お腹が空いたわ」

 

『マスター、お腹が空きました』

 

「2人とも冷蔵庫に残り物があるでしょう?」

 

「えー……リックのご飯美味しいのに……」

 

『ぶー! ぶー! 精霊いじめー! アカデミアの女王いじめー!』

 

「そうよ! よくないわよー!」

 

 最近はこんな感じである。

 

 ちなみに本館の食堂やデュエルスペースで集まらないのかと聞いたところ、この部屋にいて、炬燵で温まっていると何故か妙に落ち着くらしい。ヴェノミナーガさんと仲良く暖を取っている。

 

 なんだかまた似てきた気がする……これはアレか? 副作用とか、後遺症とかそういう類いのものなのか……? とりあえず、何も考えないようにすることにした。

 

 

 ああ、そうだ。藤原優介が消した記憶が人々に全て戻ってきた兼ね合いで――。

 

「ウフフ……藤原優介と、藤原雪乃(わたし)を同じ藤原で呼んだら混乱するわね」

 

「他学年の藤原とかでいいだろ」

 

「あら? あのボウヤは1年の出席日数は足りているみたいだから、復学するなら同級生よ。やっぱり、困ってしまうわね……」

 

「ならそのまま繋げて、藤原雪――」

 

「ダ・メ。雪乃よ」

 

「…………」

 

「嫌なら"ゆきのん"でもいいわよ? その代わり私も"りっくん"って呼ぶわ」

 

「……………………雪乃」

 

「フフッ……よくできました。私の可愛い人」

 

 そんなやり取りにより、半ば強制的に雪乃と呼ぶようになってしまったが、呼び名ひとつの変化で、最近とても雪乃が嬉しそうに見えるため、もっと早くそう呼んでやってもよかったかもしれないと若干後ろ暗さを覚えた。

 

 

 

 そして、何よりもの異様な出来事なのだが――実はあのダークネスはまだ意外なところに残っている件だろう。

 

 そこはなんと――俺の中である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ことの発端はダークネスを倒した2日後の夜まで遡る。

 

 その場所を具体的に言えば、就寝中の俺の夢の中であった。

 

『………………』

 

 夢の中で気が付けば、あのローブを纏った羊頭の大きな骸骨が目の前にいたのだ。ご丁寧に、ベッドの近くに置いていたカード用の棚と、枕元に置いて寝たデュエルディスクとデッキもあった。

 

 リベンジしに来たのかと思い、ダークネス戦はヴェノミナーガさんに持って行かれたため、とても嬉しくなり、デュエルディスクを構えると、ダークネスの方からとても歯切れの悪そうな様子で、ポツリと呟かれた。

 

 

『折り入って汝に頼みがあるのだが……デッキを見てくれないか……?』

 

 

 まさかの提案に目を点にしたものである。

 

 とりあえず話を聞くと、どうやらダークネスに抗う生物なら未だしも、自分より遥か年下のデュエルモンスターズの神こと、ヴェノミナーガさんに手も足も出ないどころか、ゴミのようにデュエルで後攻ワンキルされたのが、とてもショックだったらしく、流石にどうにかしなければならないと決意したらしい。

 

 しかし、ダークネスにも面子があるわけで、表のデュエルモンスターズの神々に頼むような真似は出来ないが、裏の神は自分しか存在しない。そんなとき、思い当たったのが、ダークネスさん曰く、この宇宙で異様に強く、ダークネスの適性もあり得ないほど高く、デュエルのことしか考えていない人間の俺だそうだ。

 

 原初の神さえ、デッキと精神が連結しているのだから、この世界の人間がほとんどそうでも納得だな。

 

 もちろん、俺は二つ返事でOKした。何せ、あんな面白そうなデッキを弄れる機会なんて滅多にあるものではないだろうからな。

 

 ダークネスは宇宙の摂理だし、一回デュエルでぶっ飛ばしたため、次に来るとすれば人類がまだ残っているかも怪しいレベルで時間が過ぎた後なので、俺には最早関係のないことだ。そもそも俺にはダークネスに因縁も何もない。

 

 と、言うわけで早速デッキを拝見したのだが――。

 

「うーん……デッキコンセプトは嫌いじゃないと思うんですが、実質ほぼ【フルモンスター】なのが痛過ぎるんですよねぇ……」

 

『【フルモンスター】か……』

 

 やはり真っ先に思ったことはそれであった。

 

 かといってフィールド魔法"ダークネス"と、それに連なる永続罠カードを計18枚も入れてやがるデッキが【フルモンスター】な訳もない。

 

 要はダークネスさんのデッキは実質【フルモンスター】のようなデュエルを自分で強いているにも関わらず、当然【フルモンスター】に投入出来るような"星見獣(ほしみじゅう)ガリス"や、"次元合成師(ディメンジョン・ケミストリー)"は入れられないにも関わらず、基本的な魔法・罠が全く使えないため、【フルモンスター】と同様にメタが異様に刺さり易い弱点と、フィールド魔法"ダークネス"を破壊されると壊滅するのに守りにくいという博打以前に極めて不安定なデッキなのだ。

 

『なんとかならんか……?』

 

「そうですね。例えばコイツらだと――」

 

 俺はダークネスさんの2枚のモンスターカードを手に取り、棚にあった2枚のカードを出す。

 

ダークネス・シード

星2/闇属性/悪魔族/攻撃力1000/守備力1000

このカードが墓地へ送られた後の2回目の自分のスタンバイフェイズ時に、墓地のこのカードを自分フィールド上に特殊召喚できる。この効果で特殊召喚したこのカードは戦闘で破壊されない。お互いのエンドフェイズ時にこのカードのコントローラーのライフポイントが4000未満の場合、このカードのコントローラーのライフは4000ポイントにする事ができる。

 

ダークネス・ブランブル

星6/闇属性/悪魔族/攻 2000/守 1500

お互いのエンドフェイズ時にこのカードのコントローラーのライフポイントが4000未満の場合、ライフポイントは4000になる。

このカードのコントローラーは1ターンに1度、自分の魔法&罠カードゾーンにセットされたカードを「ダークネス」の効果を無視して確認する事ができる。

 

冥府(めいふ)使者(ししゃ)ゴース

星7/闇属性/悪魔族/攻2700/守2500

自分フィールド上にカードが存在しない場合、相手がコントロールするカードによってダメージを受けた時、このカードを手札から特殊召喚する事ができる。 この方法で特殊召喚に成功した時、受けたダメージの種類により以下の効果を発動する。

●戦闘ダメージの場合、自分フィールド上に「冥府の使者カイエントークン」(天使族・光・星7・攻/守?)を1体特殊召喚する。 このトークンの攻撃力・守備力は、この時受けた戦闘ダメージと同じ数値になる。

●カードの効果によるダメージの場合、受けたダメージと同じダメージを相手ライフに与える。

 

影王(かげおう)デュークシェード

星4/闇属性/悪魔族/攻 500/守2000

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できず、このカードの効果を発動するターン、自分は闇属性モンスターしか特殊召喚できない。

(1):自分フィールドの闇属性モンスターを任意の数だけリリースして発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードの攻撃力はリリースしたモンスターの数×500アップする。

(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、自分の墓地のレベル5以上の闇属性モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。

 

「"ダークネス・シード"と"ダークネス・ブランブル"は効果自体はかなり強力にも関わらず、召喚条件が極めて緩いところがポイントですね。特に"ダークネス・ブランブル"は、"ヘルウェイ・パトロール"で手札から出せる最高打点モンスターです。そして、召喚方法を幾つか用意しておけば、"冥府の使者ゴース"を出し放題で、"影王(かげおう)デュークシェイド"で回収すれば"冥府の使者ゴース"を過労死させれますね」

 

『ほう……』

 

ヘルウェイ・パトロール

星4/闇属性/悪魔族/攻1600/守1200

(1):このカードが戦闘でモンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動する。そのモンスターの元々のレベル×100ダメージを相手に与える。

(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。手札から攻撃力2000以下の悪魔族モンスター1体を特殊召喚する。

 

「生け贄や場を考えるなら、"トラゴエディア"や、"バトルフェーダー"を入れて損はないでしょう。他にも闇・悪魔族のリクルーターなら、"ヘル・セキュリティ"、"ジャイアント・ウィルス"がいますし、"ジャイアントウィルス"は攻撃表示で特殊召喚のデメリットをほぼ無効にしつつ、相手にバーンダメージを与えられますね。単純なリクルーターとしてなら闇・機械族ですが、墓地では確りと闇属性として扱いますので、"クリアー・キューブ"も悪くないですね。そして、これらのリクルーター全般に言えることなんですが、攻撃力がとても低いので、"ダークネス・アウトサイダー"で送り付けるのにも適しています」

 

『ふむ……』

 

ダークネス・アウトサイダー

レベル1/闇属性/悪魔族/攻撃力0/守備力0

手札を1枚捨てて発動できる。自分フィールド上のモンスター1体と相手のデッキのモンスター1体を入れ替える。

 

ヘル・セキュリティ

チューナー

星1/闇属性/悪魔族/攻 100/守 600

(1):このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた場合に発動する。 デッキから悪魔族・レベル1モンスター1体を特殊召喚する。

 

ジャイアントウィルス

星2/闇属性/悪魔族/攻1000/守 100

このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、相手ライフに500ポイントダメージを与える。さらに自分のデッキから「ジャイアントウィルス」を任意の数だけ 表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。

 

クリアー・キューブ

星1/闇属性/機械族/攻0/守0

このカードがフィールド上に表側表示で存在する場合、このカードの属性は「闇」として扱わない。このカードがフィールド上から離れた時、自分のデッキから「クリアー・キューブ」1体を特殊召喚する事ができる。

 

「他にもダークネスモンスターは当たり前ですが、全て闇属性なので"ダーク・アームド・ドラゴン"は出しやすいです。また、このデッキだと魔法・罠を実質使わない関係で手札も余りますから、相手の特殊召喚に手札を1枚コストに手札から特殊召喚でき、相手の除外封じができて腐りにくい"カオスハンター"も輝きますね。リクルーターが増えれば当然、除去や状況に応じてバーンもこなせる"邪帝ガイウス"も使いやすく、"ジャイアントウィルス"から出して2体は戦闘破壊されることで、1000ポイントダメージを与え、"邪帝ガイウス"自体を"邪帝ガイウス"で除外し、1000ポイントダメージを与えることで"ダークネス(スリー)"から2枚を発動できれば合計4000ダメージで決着がつきますね」

 

『なるほど……バーンダメージか』

 

「他にも候補のひとつとして、私の友達も使っているカードですが――」

 

 俺は天音ちゃんから貰ったカードをダークネスに見せる。

 

カース・ネクロフィア

星8/闇属性/悪魔族/攻2800/守2200

このカードは通常召喚できず、カードの効果でのみ特殊召喚できる。このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):除外されている自分の悪魔族モンスター3体を対象として発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、対象のモンスターをデッキに戻す。

(2):モンスターゾーンのこのカードが相手によって破壊され墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動する。 このカードを墓地から特殊召喚する。その後、自分フィールドの魔法・罠カードのカード名の種類の数まで相手フィールドのカードを選んで破壊できる。

 

「この"カース・ネクロフィア"は、とてつもなくフィールド魔法"ダークネス"と相性がいいですね」

 

『おお……! 理想のカードだ!』

 

 まあ、効果さえ知っていればカース・ネクロフィアを相手が破壊することはそうそうないが、この世界は相手モンスターの効果確認が出来ず、基本的に誰も彼もが初見のような状態でデュエルしている節があるので、とんでもない地雷になるだろう。エンドフェイズ時に存在すればいいので、フィールド魔法"ダークネス"などのカードを効果なしで発動しておくだけでも効果がある。

 

『ん……? ふむ……』

 

「どうかしましたか?」

 

『いや、考えてみればフィールド魔法"ダークネス"はエンドフェイズ時にセットし直されるではないか。ならば"カース・ネクロフィア"の効果よりも先にフィールド魔法"ダークネス"の効果が発動してしまうのではないか?』

 

「ああ、エンドフェイズに生じる強制効果、任意効果の処理やコストの支払いなどは、優先権を持つプレイヤーから、好きな順番で処理できるので大丈夫なんですよ。チェーンを組みませんからね」

 

『………………つまりどういうことだ?』

 

「例えばですよ? 妥協召喚した"ミストデーモン"はターン終了時に自壊し、1000ポイントのダメージを与えますが、そのコントロールを"エネミーコントローラー"で奪った場合、"ミストデーモン"の自壊と、"エネミーコントローラー"のエンドフェイズ時にコントロールを戻す効果は、スペルスピードに関係なく、それぞれ任意の順番で処理を行う事ができるんです。ちなみに、この場合、先に"ミストデーモン"を相手フィールドで自壊させればダメージは相手に行きますね」

 

『そうなのか……』

 

「そのように"カース・ネクロフィア"とフィールド魔法"ダークネス"のエンドフェイズ時の効果は、好きな方からプレイヤーが処理していいので、"カース・ネクロフィア"の誘発効果の特殊召喚及び効果処理後に、フィールド魔法"ダークネス"の強制効果で裏側にしてセットし直せるんです」

 

『なるほど……』

 

 まあ、意外とこの辺りは前世の世界でも知られていないところかも知れないな。ゲーム作品だと基本的には勝手に処理されるので尚更だろう。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 そんな感じでたまに夢に出てはダークネスのデッキを弄ったり、普通にデュエルをしたりしているのだ。ヴェノミナーガさんは気づいているどころか"ついにうちのマスター、夢でまでデュエルし始めましたよ……"と呆れられた様子だった。

 

 しかし、そのせいか最近、微妙に日常生活で支障が出ていたりする。というのも――。

 

 埃を被っていた"レッドアイズ・ブラックメタルドラゴン"が、殺意の波動に目覚めたのか"レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン"になり。

 

 裏サイバー流から回収したサイバーダークデッキの"鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン"が、満足したくなったのか"鎧獄竜サイバー・ダークネス・ドラゴン"になり。

 

 折角、買い取り願いの生徒に市場価格より色を付けて購入した"ダーク・シムルグ"が、"ダークネス・シムルグ"になり俺が叫び。

 

 果てはちょっとエモい目元用の黒いマスクをいつでも着けたり消したり出来るようになった等と微妙にありがた迷惑なことが起こるのだが、どうしたものだろうか……とヴェノミナーガさんに相談すると――。

 

『前も言いましたが、マスターは暗黒面にカンストしているので、"ヴェノム・スワンプ"に置いた攻守0のモンスターぐらいダークネスさんの影響をマイナス面には受け付けないので、貰えるものは貰っておいていいと思いますよ?』

 

 という"放置でおk"という大変ありがたい言葉をいただいたので気にしないことにした。とりあえず、"ダーク・シムルグ"と、"鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン"については今度、ダークネスに戻して貰――いや、別にまた入手して今度はダークネス化しないコツでも聞くか。

 

 なんだか、図らずもダークネスの力を取り込んでしまい、藤原優介と結果的には似たような状態になっている気がするが、戦利品ということにしておこう。むしろ、光と闇が両方そなわり最強に見える。

 

『闇と闇しかないんだよなぁ……』

 

 ダークネスから貰った本人が最初に使っていたものと中身は全く同じ、"ダークネスデッキ"を炬燵で確認しつつニヤニヤしながらヴェノミナーガさんの言葉は聞かなかったことにした。

 

『マスター、ダークネスの仮面を貸してください』

 

「いいけど、何に使うんですか?」

 

『お湯を入れたカップ麺の蓋を押さえる丁度いいものがないので』

 

「そうですか。はい、どうぞ」

 

『ありがとうございます』

 

 そんなやり取りをしつつ、そういえばセブンスターズを既に1人は倒していたことを思い出しつつ、2人目のセブンスターズが来ることを心待ちにするのだった。

 

 

 

 

 





ダークネス編のまとめ

・遊戯王らしく、共に戦ってきた精霊と力を合わせ、最後に覚醒し、強大なラスボスを倒す王道展開


~QAコーナー~
Q:なにあの形態?

A:世界をダークネスの危機から守り、希望の未来へと繋ぐために、ラスボス戦で覚醒したリックくんとヴェノミナーガさんの最終形態です(適当)

Q:ダークネス・アウトサイダーでとりあえずヴェノミナーガを潰せばよかったのでは?

A:召喚条件を無視できるのはボスデュエルの方のダークネスA(ダークネス・アウトサイダー)の方だけです。

Q:仮にダークネスにヴェノミナーガの攻撃を防がれていたらどうしたの?

A:ヴェノミナーガさん「私は手札から通常魔法、"アフター・グロー"を発動! 発動後、デッキの"アフター・グロー"をデッキからすべて除外します。その後、このカードをデッキに加えてシャッフルします。次のターンのドローフェイズにこのカードの効果で加えたこのカードをドローした場合、相手のライフポイントに4000ポイントのダメージを与えることができます! そして、私のデッキは"アフター・グロー"1枚のみ! 悔しいでしょうねぇ」


・呟き(読まなくていいところ)
 GXとか5D'sとかでTFキャラやら原作キャラとイチャコラしているだけの胃に優しそうな二次創作が読みたいなぁ……なぜにハーメルンで原作を遊戯王で検索していると、かなりの数がオリジナルの世界線で、オリジナルキャラだけ出して、オリジナルなデュエルしてるんでしょう?(純粋に素朴な疑問)
 個人的になんかこう、二次創作を求めている身としては、それだけで前提として違うので、内容以前にあんまり読む気になれないんですよねぇ。しかし、アニメ原作の二次創作は何故か軒並みかなり前に更新が止まっているので寂しいです(お前が言うな)

 まあ、何が言いたいかと申しますと――。

 当たり前だよなぁ? 俺もやったんだからさ(同調圧力先輩)



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