上弦の鬼たちは月姫世界に転生したようです。   作:白澄星火

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第46話:狛治 VS 哀絶②

46-1:概念武装

 

狛治の打撃と哀絶の斬撃が正面からぶつかる。

 

両者は"元"鬼と言うことは共通している。

しかし前者は人間として、後者は死徒として生きることを選んだ。

 

そして、そんな二人の最初の激突は──────。

 

ピシリ、と。

狛治の灰錠に亀裂が走る。

 

それを見て、哀絶は物悲しそうに口を開く。

 

「やはりお前は弱くなった・・・」

 

「しつこいぞ哀絶。それとも、俺に何度も言わせたいのか?"お前を殺すには十分だ"、と」

 

「鬼のときよりも、口だけは達者になったようだ・・・」

 

「そうか。なら見せてやろう──────本当に口だけかを」

 

その言葉の後、狛治の身体が前方へ弾かれた。

 

そしてそのまま、哀絶に拳を振るう──────と思いきや、

 

「素流・砕式──────万葉閃柳」

 

真下に向けて、放たれた一撃。

狛治の拳を中心にして地面が放射状に砕かれると、哀絶は身体のバランスを崩す。

 

それにより生まれた隙を、狛治は見逃さなかった。

一気に距離を詰めると、徒手空拳の間合いへ。

 

「素流──────鬼芯八重芯」

 

重く鋭い8連撃が放たれる。

 

似たような技の乱式と比較すると、手数を減らし威力を高めたのが鬼芯八重芯と言える。

 

対する哀絶は碌に防御も出来なかった。

無理もない。

槍の間合いでは無いからだ。

 

哀絶の受けたダメージは深刻で、右半分の頭が無くなり、右腕は肩ごとちぎれ、左腕は肘から先が消えていた。

胸に一つ、腹部には二つ開いた大穴。

 

槍の柄は三分割され、見る影もない。

 

そして何よりも。

 

「傷が・・・治らん」

 

哀絶が弱々しく言葉を漏らす。

対する狛治は不敵に笑った。

 

「驚いたか?俺が今身に着けている装甲は、概念武装というやつだ。お前たち死徒は、復元呪詛によって肉体を修正する。だがこの灰錠は、それを無効化できてしまうんだ」

 

「つまり・・・我々は元居た世界より、相対的に不死性が下がったということだな・・・哀しいことだ・・・」

 

「理解力が高いな。その通りだ。代行者は鬼狩りよりも不死の怪物を殺すことに長けている。さらに、だ」

 

「他にもあるのか・・・勘弁してくれ・・・」

 

哀絶がうんざりしたような口調で、ため息をつく。

対照的に狛治は、調子が出てきたと言わんばかりに、口調が速くなる。

 

「"お前たち"は純粋な死徒じゃないからな。さらに対策が必要だった。だから俺は、最近やっと完成した珠世の特注品を持ってきたんだ。わざわざバチカンまで行って、な」

 

「珠世・・・だと?」

 

「おっと・・・話過ぎた。聞かれているんだよな」

 

「・・・本当に忌々しい女だ・・・どこにいても邪魔を・・・」

 

「今度会った時に伝えておく・・・それじゃあ、さよならだ哀絶」

 

狛治は哀絶の頭に手を置き、洗礼詠唱を始めた。

すると、青白い光と共に、哀絶の身体は塵となり消えていった。

 

狛治 VS 哀絶 完

 

 

 

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