第51話:事件①
51-1:遠野邸での激闘以降の出来事
遠野邸での激闘が終わった後、代行者──────狛治は、慌ただしく働いていた。
怪我人の保護や、破壊された建物と荒れた敷地の再整備などを各機関へ依頼を済ませ、シエルやノエルとの情報共有を実施。
もちろん、仕事はそれだけでは終わらない。
代行者の増援手配はマーリオゥが動いたものの、ロアが使用していたであろう地下施設の調査については狛治が行った。
それが終わったあたりで増援が総耶市に到着したため、出入り口周辺に配置指示を出した。
そして、メンバーの配置が完了した後、泣く泣くロアを地下に再び解き放った。
それらを、たった2日後に済ませたのだから、狛治の処理能力の高さが伺える。
しかし。
その次の日に、事件は起きた。
地下施設を監視していた代行者が、ほとんど殺されたのだ。
不幸中の幸いか、シエルはロア監視の後方指揮を、狛治は総耶市の見回りをメインにしていたため、犠牲にはなっていない。
尤も、先述した者たちはそう簡単にやられる人材ではない。
だが実際、犠牲となった者たちは、いずれも有数の実力者であった。
すぐに実行犯の調査が始まった。
最初に候補として上がったのはもちろん監視対象である"蛇"。
しかし、いくら天才魔術師ミハイル・ロア・バルダムヨォンであろうと、そんなことは不可能だと教会内部の関係者誰もが思っていた。
その理由は、解放した際のロアは、獪岳にやられた際のダメージが大きく、数日は回復に専念しなければいけない状態だったからだ。
では、玉壺や半天狗によるものか?
それも、一部の者から声が上がったが、少数派に留まった。
理由は、彼らの首領である鬼舞辻無惨と言う男が、代行者を極端に恐れているため、教会の利益の確信に触れるロア関連を妨害するとは考えにくいというものだ。
すると残るは──────。
◇
51-2:事件詳細①
報告に上がった、事件の詳細を見てみると、まず思うのが人手不足だ。
ロア監視という重要な任務にもかかわらず、である。
確かに、今回の任務に集った代行者は全体的にレベルが高い。
しかし、組織として考えると別で、今の隊形は前衛に戦力が集中しすぎていた。
後衛は実質シエル一人のみで、その他は有象無象であった。
例えば、代行者──────ノエル。
彼女はどう考えても、任務の重要性に対して釣り合っていない。
ただそれは、彼女自身が良く分かっているとは思うが。
ただし、ノエルが担当しているのは遊撃要員であった。
特定の出入り口で待機するわけではないため、責任も比較的軽い。
そのため、命の危険を感じることはまず無い。
実際ノエルもそう思っていたはずだ。
だがしかし。
その淡い期待は、無情に打ち砕かれることになる。
事件②に続く