55-1:新上弦の陸 VS 埋葬機関七位
牙を剥く聖女の鉄槌。
シエルに与えられたのは銃だけではない。
曰く。法が人に割り振った七つの死因。
それを武器として結晶化したものが、シエルの持つ第七聖典である。
その中でも、彼女が今手にしている物はあまりにも無骨な裁断機。
ギロチンの刃を重ねた百足の如き蛇腹剣。
そんな規格外の凶器を握ったまま、シエルは踏み出す。
そして、敵である死徒に肉薄すると、大剣を一閃した。
迎え撃つ獪岳が手にするのは、自身の肉から作り上げた刃。
それは、彼が人間の時に愛用していた日輪刀の、姿形だけを模した妖刀だった。
響き渡る鉄の音。
それと同時に、雷光が何度も
何度も、何度も。
そして、数えきれないほどの回数、両者の刃の交わりが行われる中、獪岳が喜びに満ちた表情で口を開く。
「ハハッ・・・ハハハハハッ。楽しいな代行者・・・!」
「いいえ。楽しくなんかありません。ロアの件に加え、貴方のこともあってここ数日は悩みの種が増えた気持ちでしたよ。ですが、それも今日で終わりです、獪岳・・・!」
その言葉とともに、シエルは後ろに飛び、同時に蛇腹剣を複数の刃に分裂させた。
刃と刃の間は、ワイヤーによって繋がれている。
そして、裁断機を持つ腕を大きく後ろに引いた後。
「"枷は解け、骨は外れ、仇は成せり──────その遠吠えは万里を手繰る"」
その洗礼の後、鞭のようにしなりながら、無数の刃が敵に放たれた。
それを刀で受け止める獪岳だったが、刀身は威力を相殺することができず折れた。
そしてそのまま、シエルが放った攻撃は、獪岳の肉体に直撃した。
「・・・ガッ・・・!?」
肩口が割け、鮮血が舞った。
だが死徒にとって、この程度の傷はすぐに回復する。
──────そのはずだった。
「くそっ・・・治らねぇ・・・!」
傷口に手をあてた後、べっとりとこびりついた血を見ながら苛立ちを口にする獪岳。
対照的に、シエルは冷静沈着のまま口を開く。
「この剣は幻想種の骨から作られているのに加え、私の剣術は、死徒が死徒を殺すために、死徒が編み出したものです。さて、今の一撃が思ったより効いているいるようですし、すぐに魂を砕いて──────」
「ハハッ・・・その剣術を使うアンタは何者なんだよ?」
獪岳の問い掛けに、シエルは答えない。
ただ、淡々と。
「──────"主の御名において、第七の死因よ、
断罪者は宣告とも呼べる言葉を口にした。
新上弦の陸 VS 埋葬機関七位 完