上弦の鬼たちは月姫世界に転生したようです。   作:白澄星火

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第6話:死徒二十七祖②

6-1:直死の魔眼

 

斬っても斬っても、蛇が巻き付いてくる。

 

・・・キリがない。

 

俺は心の中で舌打ちをする。

 

(こうしている間にも志貴が)

 

彼と周辺の獣たちを一瞥した。

その瞬間──────自身の背後から、岩盤から爆ぜるような音が聞こえた。

 

咄嗟に振り向こうとするが、俺の視線が真後ろを向く前に、アルクェイドの横顔が視界を一瞬遮る。

 

──────そうか、志貴を助けに。

 

(・・・だったら俺は、好きに暴れて良いんだなぁぁ)

 

「血鬼術 跋弧跳梁」

 

血鎌を高速で振り回し、自身の周りに斬撃の嵐が生まれる。

 

すると蛇は、屑のようにボロボロと崩れ落ちていく。

次に、自由になった身体で血鎌を構え直し、ネロの元へ一気に飛ぶ。

 

すると、俺の血鎌は敵の身体へ容易に届いた。

 

──────ぐしゃり

 

上弦以上の不死性を持つ怪物は、もはや回避行動すらとらないのか、あっけなく身体が崩れる。

 

しかしすぐに、地面に転がった別の個体からネロが這い出てくる。

 

そしてまた殺す。その繰り返し。

 

ホテルでのネロとの初戦を思い出す。

 

何度も何度も何度も。

ネロを殺した。

 

その度に何事も無く、再び立ちはだかってきた。

 

・・・その時から、分かってはいた。

俺が持つ強みの一つが、この相手にはまったく無意味だということに。

確かに血鎌は猛毒。一つの命を簡単に奪える。

だが、群体が相手であれば別だ。

 

やはり俺は、ネロに勝てない。

 

こいつに勝てるのは、やはり──────。

 

アルクェイドの方を窺う。

 

すると、彼女は懸命に、志貴に喰らい付かんとする猛獣を斬り払っていた。

 

しかし、志貴を巻き込まないように、控えめに爪を振るっているように見える。

 

そのため、アルクェイドの護りから零れ落ちた猛獣が志貴を襲う。

 

(──────もう、だめ──────なのか?)

 

諦めかけた、その時だった。

 

ばしゃり、と赤黒いものがまき散らされる。

しかしそれは、志貴の血でも、アルクェイドによって狩られた獣のものでも無い。

 

志貴を囲んでいた猛獣が、ナイフで綺麗に両断されたのだ。

 

続けて一匹二匹と葬られ、あたりに血の雨が降る。

その中で、鈍い光を放ちながら両の目がこちらを捉えていた。

 

「あ・・・はははっ。ハハハハハハハハハハハハハハッ」

 

「貴様・・・」

 

ネロは訝し気な目線で睨み返す。

対する志貴は、まるで踊りに誘うかのように構える。

ただし、その手にナイフを握って。

 

「・・・くくっ。俺を殺したいんだな吸血鬼。・・・いいだろう。さあ殺し合おう。ネロ・カオス」

 

明らかに別人となった志貴。

アルクェイドはへたり込み、困惑の表情で彼を見つめている。

 

その後志貴は、驚異的なほどの殺戮能力を見せた。

 

猛獣が四方を取り囲むようにして彼に飛び掛かるが、鋭い牙と爪は虚空をなぞる。

次の瞬間には、猛獣は賽子(さいし)となり、地面にぼとぼとと音を立てて落ちていく。

 

鮮やかな手際で行われる解体作業。

志貴が通った道は死体しか残らなかった。

 

それだけではない。

一番目を見張ったのは、彼が猛獣を一突きで葬る姿だ。

 

これは流石に、人間には不可能だろう。

鬼狩りの中にも、こんな真似をする奴は居なかった。

 

(待て待て、このままじゃネロを本当に殺しちまうんだよなぁぁ)

 

それはネロも同じ考えか、警戒心を初めて志貴に向けた。

今までになく、空気が張り詰める。

 

「よかろう。貴様を我が障害として認識する」

 

死徒二十七祖③に続く

 

 

 

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