上弦の鬼たちは月姫世界に転生したようです。   作:白澄星火

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死徒二十七祖十九位ヴローヴ・アルハンゲリが登場します。
月姫リメイク要素入ってきましたが、アルクとシエルが旧デザですがご容赦を。
二十七祖戦が終わった後、ノエルや狛治も登場します。


第9話:死徒二十七祖⑤

9-1:焼死(ブレイズ)

 

地上では、死体を引き連れて、街を闊歩する男。

 

その上空はいまだに伝承上の怪物たちが支配している。

 

二、三匹葬ったとことで、焼け石に水といった状態であった。

 

さらに、哀絶や童磨が倒したワイバーンやペガサスのさらに上の高度には、北欧神話やドイツの伝承に登場する邪悪な竜、ファブニールが控えている。

不幸中の幸いと言うべきか、初撃以降目立った活動は見られない。

とは言え、もしこの街で再び暴れ始めれば事態は急激に悪化する。

 

しかし、その怪物たちのさらに上空──────。

 

夜空に星の光ではない光点が増えていく。

 

そして次の瞬間、空の怪物目掛け降り注いだ流星群。

だが、その正体は彗星ではない。

 

一部の代行者が使う、黒鍵(こっけん)と呼ばれる概念武装。

 

刀身部分は聖書のページを精製したもので作られ、刻印を刻むことで魔術的な効果を発揮することも可能。

 

扱いが難しいが、使い手次第でいくらでも化ける玄人向けの武器。

 

黒鍵の刀身が複数の怪物たちの身体に突き刺さると、発火や石化などの超常現象が発生した。

だが幻想種は、このくらいでは絶命しない。

黒鍵の主を探して排除すべく、街並みを見渡す。

そこに──────。

 

今度は7.62mmの弾丸が貫く。

戦場において過剰火力と言われる大口径の弾丸。

 

名は"焼死(ブレイズ)"。

七つの死因を持つ聖典から分かれた、代行者シエルの専用礼装。

 

十年クラスの死徒なら根こそぎにする銃弾の雨。

幻想種ともなるとそう簡単には倒せないないが、確実に肉を削っていく。

 

それを地上から眺める一人の男。

 

「うわ~シエルちゃんかな?凄いねえ」

 

彼が感嘆の声を上げると、隣の男が顔をしかめる。

 

「よそ見をするな童磨。腹立たしい。目の前に集中しろ」

 

「そうだね。上はシエルちゃんに任せよう。それに、黒死牟殿もこちらに向かっているようだし」

 

 

9-2:炎の死徒

 

俺の目の前の男。

青白い顔と、飢え切った人間が見せるようなうつろな瞳。

 

仮に死人使いとでも呼ぼうか。

 

その男の周りの死者は、俺たちに気づくと一斉に向かって来る。

 

俺はすぐさま寒烈の白姫を繰り出し、凍らせて動きを止める。

 

しかしそれは囮だったようで、死者ごと巻き込むような形で青い炎が視界いっぱいに広がった。

 

ボウッと音を立て、業火は頭部と右腕を吞み込む。

 

「おおっと、熱いなこれは」

 

俺は透かさず、燃えている部位を斬り落とした。

 

──────ブツン

一瞬だけ意識が途切れる。

 

しかし、すぐに復活する。

相変わらず、おかしな身体だ。

 

そして、新鮮な頭で死人使いの能力を振り返る。

 

(・・・青い炎か)

 

この炎、変わった色をしているが見た目通り特殊で、どうやら人体だけを焼くようだ。

現に、寒烈の白姫は溶けてすらいない。

 

さらに追撃、と言わんばかりに右手をかざす死人使い。

 

立ち上る紅蓮。

今度は本物の炎。鋭利な爪の形になって現れる。

寒烈の白姫は溶け始め、まだ直撃していないにもかかわらずチリチリと俺の肌を焼き始めた。

 

もはや死人使いはどこにもいない。

目の前の敵は炎使いだ。

 

ならば物量勝負。

 

「──────寒烈の白姫」

 

十二体同時、天女の口から放たれる息吹。

それは、灼熱の爪と相殺し合うほどの低温。

 

しばらく拮抗状態が続く。

すると、敵の腕が下がる。

 

炎の手が通じないと認めたのか、眼力だけで俺と対峙する。

対する俺は睨み返すわけでなくにこやかに、彼との初の会話を試みる。

 

「生きているんだか死んでいるんだか分からないねえ。君も死徒ってやつなのかな?」

 

「そうだとも。だが、それは貴様もだろう。頭をかち割っても一瞬で再生するなど、上位死徒とみた。であれば、ここは貴様の主の縄張りか?」

 

「いやあよく言われるんだけどねぇ。俺たちは死徒じゃないよ。そういう君こそ上位死徒というやつだよね?そうだと嬉しいのだが・・・」

 

すると、脳内に声が響く。

 

((童磨、半天狗。目の前の死徒は絶対に逃がすな。妓夫太郎が相手している死徒は生け捕りが難しい。つまり、貴様らにかかっているということだ))

 

(承知しました。妓夫太郎の方は如何いたしましょう?)

 

((妓夫太郎もさっさと戦いを終わらせるよう指示し、そちらに向かわせる。そもそもネロ・カオスは群体によって不死を実現した。だが、この世に私が二人いることなど望まない))

 

そう言い放たれた後、声は止まった。

 

──────やはり、と思った。

ネロという男の"在り方"は無惨様には受け入れられないだろう。

他に魅力的な死徒があれば、そちらを優先するのは必然。

 

だが、俺の予想を外れたのは、ネロ以外の上位の死徒がこれほどまで早く現れたこと。

この幸運は素直に喜ぶべきだろう。

 

現に、隣に立っている積怒殿が急に張り切り始めた。

 

「必ず、必ずや無惨様のお力になりましょうぞ」

 

彼は手を掲げる。

すると、可楽殿、空喜殿、哀絶殿がその手のひらに飲み込まれていく。

 

そして、現れたのは一回り小さいこども。

雷神を思わせる衣装と連太鼓。

一つ一つの太鼓には憎の文字。

 

言伝に聞いていた。

これが半天狗殿の"現"最強形態。

 

──────憎珀天。

 

死徒二十七祖 完

 

 

 

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