S.H.I.E.L.D.長官のボディーガードは魔女   作:LemoИ

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続きです。後2話くらいでアベンジャーズ編終わらせたいなと思ってます。その後閑話を幾つか挟んで、彼女の過去編を少しやって、ウィンターソルジャー編に移ろうかなと。

2025.5.14 修正しました


アベンジャーズ②

「フューリーの近くに居る銀髪の女に注意しろ。油断したら死ぬぞ。」

 

洗脳されているバートンはクインジェットの中に居る傭兵たちにそう忠告しながら愛武器の弓を展開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モルガンの登場でその場の論争は冷めたものの、一触即発とも言える状況なのは変わっていなかった。

 

その瞬間、モニターの1つが何かの通知音を鳴らした。

 

「ヒットした。」

 

「これはマズイ……」

 

バナーが何かに気付いた瞬間だった。

 

耳を劈く爆発音と同時に、部屋は炎に包まれた。

モルガンはいち早く気付き、フューリーをその身を呈して護りに回った。

視界の端でナターシャとバナーがラボの窓ガラス割りながら転がっていくのが見えた。

 

「緊急プロトコル発生!総員配置につけ!」

 

艦内中に、緊急時のアナウンスが聞こえてくる。

 

「モルガン!!状況は!!」

 

フューリーの声で、ヘリキャリアとリンクさせてあるタブレットを起動させる。

その端末の端は衝撃でヒビが入っていた。

 

「外部で爆発が起きました。第3エンジンが停止。タービンはかろうじて無事ですが、空中ですと、修理が出来ません。これ以上の被害が起きる前に修理が必要かと。」

 

フューリーは隣に居るモルガンの被害報告を受けて、直ぐに判断を下した。

 

「モルガン、ブリッジだ!何がなんでも守り抜け。」

 

いつの間にか、モルガンの右手には漆黒の杖が握られていた。

杖には、見たこともない青白い紋様が描かれ、杖の先は鋭利な刃になっており、槍に見えなくも無かった。

先程までのスーツの姿からは想像も出来ない装備だった。

 

「承知しました。」

 

「行くぞ!」

 

そう言ってフューリーは持っていた拳銃を抜き、周囲を警戒しながら2人はボロボロのラボを後にした。

キャプテンとスタークはその現象を見て顔を見合わせた。

 

 

 

 

 

「……」

 

「言いたいことは分かってる。それよりスーツを着ろ。」

 

「そうだな」

 

そして2人もそう言ってボロボロのラボを後にした。

モルガンは、ブリッジに向かって撃ってきた弾丸を、杖を漆黒の剣に変化させノールックで叩き落とした。そしてくるりと体の向きを変えて、左手に握られていた銃で、敵に向かって発砲した。

 

「スターク!!第3エンジンだ!!」

 

フューリー空気の薄い外での修理を彼に任せることにした。

 

「了解。」

 

「コールソン、安全のため独房を封鎖。武器庫から兵器を取って来い!」

 

「ロマノフ!「ナターシャ!!」

 

モルガンにしては珍しく焦った口調になっていた。

 

「大丈夫よモルガン…………大丈夫よね…?」

 

ナターシャは隣にいる唸り声を上げるバナーを見て不安げな声を出した。

 

「方向転換、方位180!」

 

「着水させるんだ!」

 

「ナビシステム調整中のため方角が不明です。」

 

「太陽が昇ってるだろ!」

 

「……昇ってます…。」

 

「だったらそれを左に見ろ!海の上に出るんだ!タービンがもう1つイカれたら落っこちるぞ。」

 

フューリーはトラブルの1つを冷静に対応していた。

 

「マスター!バナー博士がハルクに変身し、格納庫でソーと戦闘中です!」

 

モルガンの所有するタブレットには艦内のトラブルが逐一報告されていた。

 

「格納庫から全員避難させろ。」

 

「了解です。」

 

「私が」

 

そう言ってマリアが動いた瞬間、円柱状の何かがブリッジの床に転がされた。

その物体が何なのかは戦闘職の者は一瞬で判断出来た。

 

「っ!」

 

「手榴弾!!」

 

モルガンは真っ先に前へ出て、杖を床について魔力による壁を展開した。

何とか、爆発を防げたが、その轟音でブリッジの中は混乱に包まれた。

モルガンは、フューリーの周りに結界を展開し、自身はすぐ様反撃に移った。

 

「普段は、前に出ないんですがね……」

 

 

そんな事を漏らしつつ、上着の中に仕舞っていたグロック19を抜き、左手でそれ構えた。

その数秒後、爆発と共に扉からライフルを構えた傭兵が侵入してきました。

素早く1人に鳩尾に魔力で強化した左足による蹴りを入れ、その隣りの敵に発砲。

肘鉄を敵の顔面に打ち込み、ヘルメット越しに相手の脳みそを揺らし意識を刈り取った。

気絶した敵を床に転がし、その後ろから敵が撃ってきた弾丸を、杖を漆黒の剣に変化させノールックで叩き落とした。

そしてくるりと体の向きを変えて、左手に握られていた銃で、敵に向かって発砲した。

フューリーとマリアは援護に周りつつ、艦内状況の改善に努めた。

 

「ハルクとソーがラボ第4フロアに出現。下のフロアは状況不明。」

 

「長官!このままではハルクに破壊されます!」

 

マリアの叫び声から焦りを感じ取った。

 

「奴の気を逸らせ。」

 

「護衛機60、ラボにターゲット出現。直ちに攻撃せよ!近づき過ぎないこと。」

 

マリアはハルクの対処に護衛の戦闘機をハルクの対処に向かわせた。

その間もモルガンは敵へ発砲を続けた。

この状況はかなり不味いが、彼女は焦ること無く、冷静にひとつひとつをこなして行った。

 

ほぼ1人での戦闘だが、ブリッジから廊下に押し返し、白兵戦ではなく、撃ち合いになっていた。

だが、彼女は遮蔽物で射線を切ることは一切せず、自身の武器で全ての弾丸を防いで見せた。

杖の形を変化させ刃で防ぎ、数発飛んできた時は、杖ごと回転させた。

頭部に向かって放たれた弾丸は首を傾ける事で回避した。

その異様な戦闘スタイルや能力は、敵に威圧と恐怖を与えるのに十分だった。

 

 

「ターゲット!暴れてます!!」

 

 

フューリーやマリア、そして戦闘中のモルガンの耳につけた通信機にハルクの対処に向かった戦闘機のパイロットの声が聞こえた。

直接は見ずとも何らかの形で撃墜されたのは明白だった。

モルガンは、通信機を気にしつつ、着実に敵を減らしって行った。

 

1人のライフルが弾切れになった事で、距離を詰めてきた。

彼女はそのナイフをすんでのところで交わし、足払いで相手のバランスを崩した。

そして、杖を後頭部に叩きつけることで意識を刈り取った。

 

「……誰1人この先には行かせません。」

 

強者の余裕とも言える冷静さ故に相手は攻めあぐねていた。

 

だが彼女が、侵入経路の廊下の敵の殲滅に集中している間に、背後のブリッジで爆発が起こった。

 

「なっ?!」

 

その音に気を取られ焦った瞬間、廊下の先にいる敵が発砲。

焦りながらも、杖で防ぐが、左の肩と二の腕に命中してしまった。

 

「あっ!ぐっ…………」

 

「モルガン!!」

 

予想して無かった痛みから、思わず顔を歪め、左腕から服越しに血が滲んだ。

後ろからフューリーの焦った声が聞こえたが、意識をそっちに向ける余裕も無かった。

 

怪我の状態、そしてチャンスとばかりに発砲しようとしている敵。

出し惜しみしている場合では無かった。

 

彼女は左手のグロックを床に投げ捨て、右手の杖を斧の様な形に変化させた。

そして、己の力の一端を解放するための詠唱を行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『モルゴース』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉と共に、斧で床を叩き、激痛に堪えながら血が滲む左手を視線の先の敵に向ける。

すると、彼女の足元が青白く光り輝き、魔力によって創られた漆黒の波がその足元から溢れ出て、数人の敵に襲いかかった。

 

敵たちは予想外の攻撃に為す術も無く、津波に飲み込まれるかのように巻き込まれ、無力化された。

 

「はぁ…………」

 

敵の排除を確認し、彼女は、廊下の壁にズルズルと寄りかかり床に腰を下ろした。

右手に握っていた杖を消滅させ右手で負傷した左手を抑える。

余裕の無い頭でどうにか魔力で応急処置を施す。

傷の修復よりも出血を止める方を優先させたが、痛みでなかなか集中出来なかった。

 

だが、敵は彼らだけでは無かった。

視界の端でブリッジに居る人達の頭上を細長い何かが通り過ぎて行った。

その数秒後突如、耳に着けていた通信機にノイズが走った。

 

「第1エンジン停止しました。」

 

「……まずい…」

 

モルガンの弱々しい声を合図にしたかのように、ヘリキャリア全体が傾き始めた。

固定されてない荷物が滑り始め、エージェント達はそれぞれ何処かに掴まって助かろうともがいた。

 

モルガンも床に放ったグロックを拾ってホルスターに仕舞い、右手で近くのパイプに掴まった。

 

「稼働中、コントロール出来ません。」

 

「第1エンジン完全に停止しました。」

 

ブリッジの方から焦り混じりの叫び声が聞こえてくる。

 

「バートンにシステムを破壊された。奴は今ら独房エリアに向かっている。誰か行けるか?すまん、モルガンが被弾して行けそうに無い。」

 

「エージェントロマノフです。了解。」

 

通信機越しに震え気味のナターシャの声が聞こえ、モルガン自身も不安な気持ちを抱えたが、現状ロキに太刀打ち以前の問題の彼女にはどうしようも無かった。

アベンジャーズを除けば最大戦力と自覚しているからこそ、ここで使いものにならなくなった事に歯痒さを覚えていた。

 

「スターク!落下している。」

 

第3エンジンを強引に復活させることでどうにか安全に着水させようという作戦だ。

 

「おい、モルガン!」

 

彼女は視線をほんの少し上に上げると、己が仕えるべき男の心配そうな顔があった。

彼はしゃがみこんで目線を彼女に合わせた。

 

「今すぐ医療班を「私は……はぁ…大丈夫です。それより他の人や、後ロキを……」

 

「……ちっ、死ぬなよ命令だ。」

 

「……無論です。」

 

そして、フューリーはロキの独房の方へ走っていった。

だが、ロキは既に脱出し甲板のクインジェットに乗り込もうとしていた。

 

「総員、墜落に備え配置につけ!」

 

数分後、モルガンはほんの少し浮遊感を感じ取った

若干痛みで朦朧とする頭で、スタークが居る第3エンジンが生き返ったのだと察した。

その後、白い制服の医療班が彼女の元にも現れ、左腕の手当てが行われたが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コールソンがやられた。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

普段聞かないフューリーの重い、悲しげな声が耳に届く。

 

「…………うそ…」

 

フューリーのその通信による報告でモルガンの頭の中は真っ白になり、直ぐに理解が出来なかった。

 

「医療チームが向かいます。」

 

「もう来ている……」

 

「マスター!冗談はやめてください、マスター!」

 

彼女は普段の焦りからは想像も出来ない慌てた声で、通信機越しにフューリーに話しかけた。

 

「いや…死亡も確認した。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブリッジでは、フューリーとマリア、そしてキャプテンとスタークが暗い雰囲気の中ブリッジの後方のテーブルの周りに居た。

 

 

「コールソンの上着にこれがあった。サインを貰い損ねたようだな。」

 

そう言ってフューリーは、血が染み付いた数枚のキャプテン・アメリカのカードを本人の方に投げた。

 

「八方塞がりだ。通信は不能。」

 

フューリーが現状を暗く述べていると、ブリッジに続く扉が、何かが爆発したかのように開けられた。

いや、開けられたと言っていいのかすら怪しい。

本来は自動だが故障によって無理矢理手動になっていた扉は、怒りに任せたモルガンの蹴りで吹き飛び、蝶番があっさり外れたことによりブリッジの床に転がった。

金属の扉は、彼女のハイヒールの形に凹んでいた。

 

手当て受けた彼女は、左腕の傷を包帯で巻き、骨折した時の様に釣り下げていた。

そのため、普段のようにスーツを着ることが出来ないため、肩に羽織る形で身につけていた。

普段は綺麗な銀髪も、戦闘後のためか薄汚れていた。

 

そんな彼女の怒りの表れように周りのメンバーは唖然としていた。

また襲撃かとマリアは腰の銃に手を当てたがモルガンと気づき手を元あった場所に戻した。

 

「……失礼しました……マスター、修理費は私の給料から差し引いてください。」

 

 

申し訳なさそうに俯く彼女の様子は普段ならギャップによる可愛さがあったが、今はそんな場合では無かった。

 

「あぁ、そうさせて貰う。話を戻そう。キューブの在処も不明。バナーも…ソーも…なんの情報も無い。大事な仲間も失った…………。私のせいかもしれん……確かに我々は四次元キューブで兵器を作ろうとしていた……だがそれだけでは無い。同時にもっと危険な計画も進行中だった。その計画は…スタークは知っている。」

 

モルガンは一瞬頭を巡らせたがスタークが知っているという言葉で、直ぐに何の事か理解した。

 

「その名をアベンジャーズ計画と言う。」

 

「目覚しい力を持った者達を集め、チームを組んで、より大きな力にする。彼らが力を合わせれば、強大な敵にも必ず立ち向かえると思っていた。フィル・コールソンは死ぬまで信じていた。その実現を」

 

フューリーがそう言い終えた瞬間、スタークは立ち上がりその場を後にした。

 

 

コールソンの言葉は自分に向けられた言葉では無いのに、モルガンは何故か目頭が熱くなっていくのを感じた。

泣くわけには行かないと思い、眉間に皺を寄せ、唇を噛み締めるどうにか堪える。

 

だが、マリアには見破られてしまい、モルガンは優しく彼女に抱擁された。

細いながらも逞しい彼女の腕に包まれ、何度か隣に居た時に嗅いだ彼女の匂いで安心したのか、ダムが決壊したかのように、蒼い瞳から大粒の涙が溢れ出した。

 

「...わだじが……」

 

「……うん」

 

肩が濡れる事を気にすること無く、マリアは優しく彼女の背中を撫でていた。

 

「あっぢに居れば……」

 

フューリー程では無いが、コールソンとはこれまで何度も同じ任務をこなしてきた。

モルガン自身も珍しく彼のことを他のエージェントよりも信用し、コールソンも彼女のことを信頼していた。

特別な感情を抱いていた訳ではなく、ただひたすら良い仕事仲間、良い同僚という関係だった。

 

「あなたは悪くないわ…」

 

それはモルガン自身も分かってはいた。ブリッジに居るフューリーを護る事の方が彼女の優先順位としては上。

だが、それで彼の死を受け入れられる程、今の彼女は冷たい人間では無かった。

いや、普段の彼女は冷酷そのもの。

しかし、親しい人物に対しては例外だった。

 

 

「わがってるげど……」

 

 

「えぇ、そうね…………」

 

 

 

 

「まぁ、ヒーローなんてもう古いがな……」

 

フューリーは一言そう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静かなその空間には、ただひたすらモルガンのしゃっくり上げる音とマリアが慰める言葉が響いていた。

 

 

 




モルガンが泣くのか、ここまで弱るのか?これに関しては各々の解釈によって変わって来るのかなと思います。モルガン陛下は同僚が4んだくらいで泣き喚いたりしない!こんな弱らないって思う方には申し訳ないです。周囲の環境故に、人間味が増しているからこその弱さや優しさと理解して頂けたらと思います。
その前の扉ぶっ壊すのは、バーサーカー適正あるし、解釈一致であって欲しいです。
戦闘シーンは、STARWARSのジェダイがライトセーバーで攻撃を防ぐ様子をイメージして頂けたらわかり易いかも。ただ、実弾で弾き返せないので、左手で銃を撃つ感じにしました。

後、1話の後に気付いた事なんですがFGO二部6章の妖精達は、金属がダメだった様な記述を思い出したんですが、流石にこのMCUにおいてその設定を守り抜くのは困難な気がしたので、それはこの物語のモルガンには無い設定でお願いします。後、妖精眼も……
ご都合主義で申し訳ないです。
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