S.H.I.E.L.D.長官のボディーガードは魔女   作:LemoИ

3 / 8
この作品の存在?忘れてねぇよ!(前回2023/8/21に更新)
最近のMARVEL作品が色々残念でモチベだだ下がりだったんだよ!(やっぱりエンドゲームが最高潮だったんだなぁって感じつつネズミープラス観てます)
この作品、原作沿いなんで比較的書き易くはあるんですがね…
ブルアカより話数少ないのに、こっちの方がお気に多いのってこっちの方が需要あるってことすかね…
今の時期多少は余裕があるので(実は筆者は大学院生←これ重要)、更新頻度上げようかなと。
ニューヨーク決戦を終わらせ、閑話を幾つか挟み、誕生からフューリーと出会うまでの過去編駆け足でやって、ウィンターソルジャー編に行こうかと。

ブレイブニューワールドはまぁまぁ楽しめました。
サンボルとファンタスティック4に期待してます。

今回、オリジナルの部隊を用意しました。
隊員の名前とかまでは出さないと思うんで、そういう連中が居るんだと頭の片隅にでも置いて頂ければ…

正直ニューヨーク決戦どうしようかとか思ってたんですが、全く陰ながらでは無い流れにしちゃいました…緊急事態故のイレギュラーと思ってください…

こっちは久しぶりの更新なので感想等お待ちしております!!!

後、この度筆者直々に主人公描きました〜

【挿絵表示】



アベンジャーズ③

「お見苦しい所をお見せしてしまい申し訳ありません。是非記憶の中から消して頂けたら幸いです………すみません、マリアありがとうございます。」

 

マリアから借りたハンカチを目尻に当てて、涙腺から零れた水滴を拭い取った。

元々化粧関係に疎い彼女は、マリアやナターシャに、ことある事に化粧品やアクセサリーを贈られてきた。

しかし、この多忙さ故に軽い化粧に留めていた。

そのおかげで涙で化粧が崩れる、なんてことにはならずに済んだ。

 

「気にしないでくたさい…… 」

 

「でも…」

 

その時、モルガンのスマートフォンの通知が鳴った。

ポケットから取り出し、ロックを外して通知を見るとそこに書いてあったのは…

 

「……クリントが目覚めたそうです。すみませんマスター、一旦失礼します。」

 

そう言ってモルガンはブリッジを後にした。

 

 

◇◇◇

 

 

『分かってないな…』

 

私は、ヘリキャリアの中にあるクリントが拘束されている部屋を訪れました。

聞き馴染みのある彼の声が、私の右耳に装着されたワイヤレスイヤホンからしました。

 

「……。」

 

私は、部屋の前に立っている警備のエージェントに会釈し、その部屋の中を見つめていました。

部屋に付いている大きめの窓の向こう側では、ナターシャが彼の介抱をしていました。

まだ警戒してなのか、クリントの両腕には拘束具が装着されています。

 

私は、2人の様子を静かに眺めながら、すぐ近くの壁に寄りかかった。

誰にも言う気は無いが、疲労は間違いなく溜まっている。

先程泣いたのもあるだろうが。

 

スタークやロジャースと違い、S.H.I.E.L.Dに身を置いている私とナターシャ、クリントは少なからず交流がありました。

特に、私と違い、ナターシャとクリントは現場で同じ任務を共にすることも何度もありました。

故に、今回の出来事は心苦しいものでした。

 

『はぁ……誰かに脳みそ乗っ取られたことあるか?』

 

『空っぽにされ、別のものを詰め込まれ……その気持ちが分かるか?』

 

バートンのその言葉に対するナターシャの返事は…

 

『私もそうだった。』

 

「……。」

 

私は、ニック・フューリー直属の部下のためS.H.I.E.L.Dエージェントのクリアラインレベルも高いため閲覧出来る情報も多い。

当然ナターシャの経歴も知っています。

だからこそ、私は、ナターシャのその言葉の重みを理解することが出来ました。

 

『はぁ、はぁ…どうやって俺を?正気に戻した?』

 

『何も覚えてないの?頭を殴ったのよ。』

 

先程まで、私自身も余裕が無くて把握しきれて無かったが、ナターシャがバートンの相手をして倒したことは、報告として伝わってはいました。

 

『…ありがとう。』

 

そして、ナターシャはバートンの腕の拘束具を外していく。

 

『ナターシャ、俺は何人仲間を『やめて。自分を責めないでクリント。ロキがやったことよ。相手は魔法を使う怪物。私たちにはどうしようも無かった。』

 

その言葉に、私は思わず負傷している左の二の腕を右手で掴んでいました。

 

「いっ……。」

 

ついさっき被弾した方の腕。

一瞬痛みが走り、声が漏れた。

ですが、今日負ったこの痛みは私自身への戒め。

無力で何も出来なかった自分への。

 

『ロキは、逃げたのか?』

 

『えぇ。行き先を聞いてない?』

 

『何も聞かなかった。俺からは何も。』

 

バートンの拘束を外したナターシャが、窓の方へ近づいてきました。

そして、外に居た私と目が合いました。

親しい筈だが、私は何故か気不味くなり、視線を窓から足元の方に落としました。

 

『だが直ぐ行動を起こすはずだ。今日にでも『みんなで止めるわ。』

 

『みんなって誰だ?』

 

『誰でもいい。残った皆で。1人はすぐそこに居るし。色々あって心配だけど。』

 

そう言ってナターシャは、後ろ向きのまま親指で私の方を指してきました。

ナターシャの言葉でバートンはやっと部屋の外に私が居ることに気付きました。

 

『まぁ、ロキの野郎を矢でぶち抜いてやれたら気分が良さそうだな。』

 

そうね…

 

「私もあの男を一発殴りたいですね…。」

 

『いつものあなたね。』

 

『お前は?お前はスパイだ。兵士じゃない。なのにこの戦争に参加したがってる。何故だ?ロキに何かされたか?』

 

『何も……ただ。』

 

『ナターシャ。』

 

『……過去を暴かれたの。』

 

『あいつには借りがある。』

 

『借りは返す。』

 

 

◇◇◇

 

 

時々思う…

 

 

私はエージェントらしくないエージェントだと思う。

じゃあ、ヒーローか?と聞かれるとそんな正義感も持ち合わせていません。

私が今ここに居るのも、誰かを守りたいという志よりも、燻っていた私をマスターが拾ってくれたという成り行きに近い部分があります。

己の存在に対する疑問……

 

ですが、今の私にこんな感情は必要ありません。

今はただ、マスターの前に立ちはだかる脅威を排除する冷徹な従者(サーヴァント)であれば良いのですから。

 

 

◇◇◇

 

 

ナターシャとクリントの様子に一先ず大丈夫だろうと判断した私は、ヘリキャリアの中に与えられた自室に戻りました。

 

任務に必要な物が入っているクローゼットと、部屋の端の方に置かれた折りたたみ式のベッド、金属製の無骨なデスク、洗面台と鏡。

女性の住む部屋としてはかなり殺風景だと思います。

私は手に持っていたアームホルダーを雑に外して、ベッドに放りました。

 

この肉体は常人よりも治癒が圧倒的に早いです。

幸い銃弾は貫通してたので、後は時間経過で回復します。

先程まであった痛みもだんだん消えつつあります。

なので、もう必要ありません。

 

ただ、それでも周りは私が傷つくと焦るのは不思議です。

 

穴の空いたワイシャツとスーツは脱ぎ、デスクの背もたれにかけました。

安くはありませんが、恐らくこのまま捨てることになるでしょう。

髪の毛は一度ゴムを解いて、その銀色の束を自由にしました。

 

そして、クローゼットの中から私は、グレーのインナーの上に黒光りの皮やラバーに近い素材の服を着てチャックをした。

左胸の所には、濃い灰色の鷲のロゴが描かれています。

最後に、特殊繊維によって防刃加工の施された黒いロングコートを取り出し、袖を通しました。

 

女性エージェントが着るには少々地味すぎるかもしれません…

 

そして、最後にハイヒールを脱ぎ、ヒールの低くて戦闘に向いた黒い靴に履き替えました。

髪の毛がゴワゴワで少々不快だが、それはもう諦めることにしました。

洗面台に置いてあった櫛で梳かし、鏡を見ながら、その美しい白銀の髪の毛を再度髪ゴムでまとめます。

慣れた手つきで髪を結んだ私は、鏡に写る己を見つめました。

 

100人に聞いたら99人くらいは休息を推奨してきそうな顔です。

元々表情筋が無い自覚はありますが、今はそれに加えて睡眠不足による隈や疲労が追加されています。

 

しかし、敵はこちら側を気遣ってくれません。

戦いはいつも急で、予想外なのですから。

 

ちょっと特殊な立場だけど、私もS.H.I.E.L.Dエージェント…

現状は、あまり良くない…だけど、それは何もしない理由にはならない。

 

覚悟を決めた私は、部屋を後にしました。

 

 

◇◇◇

 

 

マスターとマリアは、ブリッジのガラス張りのところで並んで空を眺めていました。

ブリッジに入った私も、2人の近くへと歩いていくと会話が聞こえてきました。

 

「長官。」

 

「どうした?ヒル。」

 

「そのカード、コールソンのロッカーにあったんですよね。上着じゃなく。」

 

「正しく導くためだ。」

 

「……?」

 

あのカードが、ロッカーにあったとしたら、何故血が…?

 

『第6格納庫より無断発進。』

 

1つは、人間サイズの赤い物体。

つまり、アイアンマン。

そしてもう一機はクインジェット。

おそらく、ナターシャやバートン達……

 

「ロキを見つけたんだな。何としてでも通信機能を回復させろ。」

 

「全てモニターしたい。」

 

「了解。」 「了解しました。」

 

 

◇◇◇

 

 

復活させたモニターの1つには、スタークタワーから一直線に伸びる謎の光がありました。

そして、その光のエネルギーによって生成された裂け目が現れました。

 

私にはその裂け目のエネルギーが見て、その正体が分かりました。

分かってしまいました。

 

「キューブ……。」

 

「民間人の保護がまだ出来ていません!」

 

モニターを操作していたエージェントから、現状をマスターに報告しています。

別のモニターではアイアンマンがエイリアンを駆逐している様子が映っています。

 

「あの…マスター。」

 

私は、彼の眼帯に覆われていない方の眼をじっと見つめました。

 

「分かっている…。」

 

私が言いたいことは何も言わずとも彼に伝わりました。

いつもなら、私の出撃を認めることはありません。

ですが、今日の返事はいつもと違いました。

 

「……無茶はするな。ちゃんと無事に帰ってこい。」

 

「承知しました。ありがとうございます。」

 

私は早歩きでブリッジを後にしました。

廊下に出た私は、直ぐにインカムから司令を出しました。

 

『15分で支度を。クインジェットの準備もお願いします。』

 

『了解です!』

 

私の招集の連絡を聞いて、準備をする音が向こう側で聞こえた。

 

甲板へと向かう途中、銃火器を装備した一団が廊下を早歩きしていた私に合流しました。

 

「隊長、こちら準備完了しています。仮眠してた連中も叩き起しました。パイロット達も既にクインジェットの方に居ます。」

 

「分かりました…では行きましょうか。」

 

これから始まるのは、私にとってイレギュラーな戦い。

そして、表舞台に立たない私が、マスターのためにこの身に宿る力を使う時。

 

◇◇◇

 

甲板への扉を開けると、強風が私たちを襲いました。

私は、コートの襟を左手で押さえつつ、視線の先にいるクインジェットに足を進めました。

 

後ろのハッチから乗り込むと、既にパイロットと副隊長が離陸準備を進めていました。

 

私の周りでは、既に乗り込んだ隊員が各々銃などの装備を点検等をしています。

重装備の特殊部隊と、普段着と変わらないロングコートの私。

ヘルメットと防弾ベスト、身体中のプロテクターとは非常に対称的な姿かもしれません。

 

ですが、これがいつも通り。

私たちの間では既に見慣れた光景です。

 

メンバーが揃うと直ぐにジェットは離陸し目的地へと目指しました。

それは、既に彼らが戦っているマンハッタン。

 

「今回は部隊を二分します。片方は敵の殲滅と味方の援護を。もう片方は一般人の保護を第一優先としてください。」

 

『『『了解!!!!』』』

 

私が部隊の動きを説明した瞬間、メンバーの1人が絶望的な声を漏らした。

 

「た、隊長……あれ。」

 

どう説明したら適切でしょうか…

モニターに映っているのは、超巨大な蛇や竜に似た怪物が、時空の裂け目から出てくる様子でした。

それがマンハッタンのビルを破壊して回っていました。

 

「そんな……」

 

私は、無意識のうちに唇を噛んでいました。

 

 

◇◇◇

 

 

シールド内部において私達のことを知る人物は少ない。

構成員も、何人いるのかも不明。

ある意味都市伝説的存在。

その部隊は……

 

S.H.I.E.L.D所属、対異星特殊作戦部隊……通称『Team Wizard(ウィザード・チーム)

 

そしてこの部隊は、私──モルガン・ル・フェをリーダーとしている

 

S.H.I.E.L.D長官であり私のマスター、ニック・フューリーが直々に厳選し、採用した信用に足る戦闘職のエージェントによってのみ構成されている。

連携力も個々の実力も折り紙付き。

 

この部隊が発足した根底にある理由。

それは、地球人以外の存在…或いはその力を用いる者と相対する日が来た時のため。

 

私と因縁のあるあの立方体と、私の妹分に近い彼女(彼女は姉と言い張っているが)。

それらの存在が私達の部隊が存在している理由となった。。

 

つい先日は結局戦闘はしませんでしたが、メキシコにも派遣されました。

 

ここまでの事態になるとはマスターも予測はして無かったとは思います。

ですが、宇宙には私たち以外が存在することだけは事実としてありました。

そして、必要になると判断したからマスターは、私とこの部隊を編成したのです。

 

隊員達も、こんな私に着いてきてくれて本当に感謝してもしきれません。

 

アベンジャーズが表舞台で輝く希望ならば、私たち『Team Wizard(ウィザード・チーム)』は陰で生きる執行官とでも言いましょうか…

 

ほとんどのエージェントは、ニック・フューリーの後ろを歩く秘書兼ボディーガードの私しか知りません。

経歴どころか、年齢すら不詳の私に疑惑の目を向ける人も少なくありません。

こんな女にS.H.I.E.L.D長官を護れるのか?と。

 

しかし、当然私と戦場を共にしたエージェント達は何人も居ます。

その時彼らは、普段とはかけ離れた私の姿を目の当たりにしました。

そしてエージェント達の間では噂として広がり、こんな二つ名も生まれました……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狂戦士(バーサーカー)』と。

 

 

 

◇◇◇

 

「…隊長、本当にあそこに行くんですか?」

 

コクピットに座るクインジェットのパイロットは、遠目に映る敵を見て冷や汗をかきながら本音を漏らしました。

 

モニターには先程から変わらず、エイリアンの軍隊が街を破壊し続けている様子が映っています。

 

ですが、それを拒む者達が居ました。

 

 

アイアンマンが注意を引いた蛇を、ハルクはその拳で押さえつけました。

そして最後にスタークのミサイルが撃ち込まれて、蛇は巨大な肉片に爆散しました。

 

アイアンマン

キャプテンアメリカ

ソー

ハルク

ナターシャ

クリント

 

彼らは1箇所に集まりました。

 

 

 

「アベンジャーズ……。」

 

 

……コールソン。

 

 

あなたの願いは叶いましたよ。

 

 

 

◇◇◇

 

クインジェットは、出せる速度MAXで、マンハッタンへと向かっています。

 

戦闘区域に近づいてきたのを見て、私はチームのメンバーに指示を出すことにしました。

 

「敵は空を飛んでいます。上からの援護も必要です。機体の銃火器の準備もお願いします。」

 

まずはクインジェットのパイロット2名へ指示を出す。

 

「了解っ。」

 

「後それと……」

 

そして私は、常識外れの作戦をパイロット両名に伝えました。

 

「本気ですか?」

 

「えぇ、本気です。」

 

「マジかぁ……。」

 

「これまでの任務で見てきたあなたの操縦技術を信じてます。」

 

 

「各員、間もなく戦闘地域に入ります。相手は未知の相手。私たちのこれまでの常識が通じる保証はどこにもありません。万が一の場合は遠慮なく私に連絡をください。」

 

「『『了解!!!』』」

 

「…行きましょう。」

 

私達が乗っているクインジェットは、機関銃で近くの一掃して、ある程度安全を確保してから着陸しました。

そして、ハッチから、隊員が流れるように出て行きます。

 

先頭に居た隊員2名が、ライフルを構えて周囲を確認し、他がそれに続いて行きました。

最後に私がクインジェットから外に出ました。

そして、耳に嵌めていたインカムから、ナターシャに通信を繋ぎます。

 

「エージェントロマノフ……お待たせいたしました。」

 

『モルガン!?』

 

「現在、私の部隊が展開中です。これから、民間人の保護及び敵の殲滅に入ります。」

 

『…分かったわ!!』

 

◇◇◇

 

ハッチの外は、混沌そのものでした。

既にモニターでニューヨークの状況は見ていましたが、実際目の当たりにすると…

 

「……急ぎましょう。」

 

二つに分けた部隊は、直ぐに私の指示通りの動きを開始しました。

自動車やマンションを遮蔽物にしながら敵に発砲していきます。

 

だけど、私は彼らと一緒には行かない。

一旦外に出た私は、脚力を強化して、クインジェットの上部に乗った。

 

「え゛、隊長??」

 

「空中戦は私が。地上をお願いします。民間人は、地下シェルターかビルの中へ誘導してください。」

 

私は、唖然とする隊員たちへ指示を出しました。

 

「え、そんなことより何しようとしてるんですか!?」

 

私に背を向ける副隊長が、グレネードランチャーでエイリアン数名を吹き飛ばしました。

 

「会議している暇はありません。役割分担です。」

 

「あぁ、もう知らないっすよ、モルガン隊長!!」

 

機内からパイロットの叫び声が聞こましたが、それでも私の指示通りにクインジェットは再度離陸させてくれた。

 

「……。」

 

クインジェットで器用にビルの間を縫うように飛び、機関銃と私の魔槍で倒すという作戦。

無謀かもしれないけど、これが手っ取り早いと思う。

 

 

敵は大量にいて、こちらが探すまでもありませんでした。

視線の先には大勢のエイリアンが空飛ぶホバー?みたいのに乗っていて、エネルギービームの様なものを一斉に撃ってきました。

 

私はその攻撃を、魔槍と魔力で展開したバリアで弾き、クインジェット自体も、機体を傾けることで回避します。

 

「一箇所で止まらずに、移動し続けてください!こちらが合わせます。」

 

『了解っ!』

 

私は、右手の魔槍を構えて、クインジェットからすぐ近くを飛んでいた敵の乗り物へ飛び移りました。

 

「消えなさい。」

 

私は、魔槍を青白い魔剣へ変えて、素早く数名の敵の首を斬り裂きました。

そして、墜落する前に、クインジェットの上へと跳んで戻って行きました。

 

それを再度繰り返し、

 

私は、ジェットの屋根に着地したら、すぐに魔槍を構えて、別の敵へ攻撃を放ちました。

 

「死になさい!!!」

 

見慣れた青白い攻撃は敵の乗り物の背部に命中し、墜落していきました。

しかし…

 

「多いですね……」

 

それでもやることは変わりません。

私は剣から数発の斬撃を飛んでいる敵へ放ちました。

 

すると、ビルからライフルを持った敵が3人、機体の上に飛び移って来ました。

 

敵の一人を前蹴りでジェットから突き落とし、二人目は魔槍の先端を突き刺します。

そして、三人目は右腿に入れてた拳銃で頭部を数発撃ち抜きました。

 

敵の死体を機体から蹴り落としていると、空から多数増援が更に襲ってきました。

 

「しつこいですね…」

 

10機程度が、クインジェットの後ろに続きこちらを撃ってきました。

私はその攻撃を魔槍で防ぐことで、被弾を弾こうとしました。

パイロットも機体を制御して頑張っています。

 

ですが、全て防ぎきる事は出来ず、私が載っているクインジェットも遂に、翼に攻撃をしてしまいました。

左のタービンから出火し、機体が傾き始めました。

 

『隊長!!!』

 

通信機越しにパイロットの焦る声が聞こえてきました。

 

「っ……緊急着陸してください!!」

 

『ちくしょお!』

 

プロペラやエンジンを利用しつつ、クインジェットは、アスファルトを削りながら墜落のような着陸をしました。

ですが私はその勢いに耐えきれず、ジェットの上から地面に転がっていきました。

 

「いっ…………はぁ!!」

 

ボロボロのアスファルトを数回転がった私は、すぐに起き上がって魔槍から攻撃を放ち、近くに居た二人の敵を貫きました。

更に、数名の敵が細長いライフルを向けてきました。

今度はその敵を…

 

「潰れなさいっ!!!」

 

魔槍を剣に変えて、私を狙ってきた敵へ青白い斬撃を扇状に放ちました。

そして、剣から両刃の斧へと変化させ…

 

「モルゴース!!!」

 

斧が青白く輝いて、足元から溢れた漆黒の波が敵に襲いかかりました。

 

「はぁ……」

 

私の攻撃が落ち着いたのを見て、パイロットの2人が、機内に残っていたアサルトライフルを構えてこちらにやってきました。

 

「敵は私が倒しますので、お二人は、民間人の救助をしてる部隊との合流をお願いします。」

 

「了解です!」

 

二人は遮蔽物に隠れ、他の隊員に通信を始めました。

心配してないといったら嘘になってしまいますが、他の隊員と合流出来れば大丈夫でしょう。

 

すると突然、その時少し離れた所にあるビルが轟音を立てながら崩れ始めました。

 

こちらに向かって来る一体の蛇が遠目に見えました。

先程まで使っていた攻撃では倒しきれないでしょう…

 

ではどうするか…。

 

私は左手を天へと掲げ、久しぶり(・・・・)にこの言葉を発しました。

 

 

『オークニーの雲よ!!!』

 

 

その言葉を口にした瞬間、何も無かった空中にどす黒い雲が発生しました。

普段よりも大きな青白く光る魔槍が数本顕れ、蛇の頭部を滅多刺しにしました。

 

針山に針を刺すかのように貫かれた蛇は私の所に辿り着く前に沈黙しました。

 

その時、マスターからとんでもない通信が入ってきました。

 

『スターク、聞こえるか?ミサイルを積んだ戦闘機がそっちに向かった。あと三分で、ミッドタウンが丸ごと吹き飛ぶ。』

 

 

何故、スタークへ名指しで連絡したのか……

私は、マスターの考えを一瞬で理解しました。

 

「スターク!!」

 

幸いにも、彼は比較的近くにいました。

 

私は、群がる敵に向かって魔槍から青白い攻撃を放ち、彼を援護します。

その攻撃で数体の敵を倒し、残ったのは物理的に切り裂きました。

私はボロボロのスーツに灯る双眼を見つめ…

 

「行きなさい!!」

 

『どうも魔女さん。』

 

私の声を聞いてスタークは、スラスターを起動して高速で飛び去っていきました。

 

私では、高速で飛ぶミサイルに追いつくなんてことは出来ません。

今出来るのは、出来るだけ多く敵を倒して時間を稼ぐこと。

 

身体を斜めにして敵のビームを躱し、斬撃を飛ばす。

そして、地面に…

 

「あっ……」

 

着地した瞬間、足の力が抜けてしまいました。

知らぬ間に、肩で呼吸もしていました。

 

何となく理由は察せました。

ここまでの戦闘で思ったより消耗していたみたいです。

能力が能力なのでキャパはある方だと思っていたのですが…

 

「はぁ、はぁ…魔力の使い過ぎですか………ぐぁっ!!」

 

ここまで、防げていた敵のビームが遂に、私の身体に命中してしまいました。

腹と背中に激痛が走り、私は頭を瓦礫に打ち付けていました。

防弾加工がされているコートでも異星人の攻撃を防ぐのは厳しかったようですね…

若干ぼやける視界の端にはどんどん集まってくる敵の姿が見えました。

 

私は激痛を堪えてほんの少し身体を起こし、空間認知を広げることで周囲の敵を全て捕捉しました。

そして…

 

「内側から……壊れる!!!」

 

左手を握りしめました。

その瞬間、敵の内側から黒い棘が生えて串刺しにしました。

 

「はぁ…」

 

私は、魔槍を杖代わりにして体重をかけながら、よろよろと立ち上がりました。

その時でした。

私が戦っている通りの上を、赤い物体が飛んで行きました。

それが誰なのかは言うまでもありません。

肩には白いミサイルを背負い、スタークタワーに向かっていきました。

 

そして彼は、そのまま上空の次元の裂け目へと入り、姿は見えなくなりました。

 

数秒後、急に敵たちが、電池が切れたかのように倒れ始めました。

巨大な蛇も、動きを止めて、ビルの上へ突っ込みました。

 

裂け目の向こう側は分かりませんが、大元を破壊した可能性が高いです。

 

そして、スタークタワーの上から放たれていたレーザーのようなキューブの光も消滅し、裂け目は閉じ始めました。

その閉じる瞬間、アイアンマンがするりと落ちてきました。

 

 

上空から、回転しながら落ちてくるアイアンマン……

明らかにいつもと動きが違います。

 

ですが、そのまま地面に衝突することは無く、緑色の巨体が彼をキャッチしました。

遠目で彼らの無事も確認出来ました。

 

「はぁ、終わり……ですかね。」

 

私は、近くに放置してあった埃まみれのセダンのボンネットに腰掛けました。

 

「隊長!!」

 

副隊長と他数名が私の所に小走りで近づいてきました。

隊員たちも装備はボロボロで、激戦を繰り広げたことが窺えます。

 

「皆さん……お疲れ様でした…明日からは一週間程休みにしましょう。上の人が何を言おうとも黙らせるので安心してくださ、つうっ……」

 

立ち上がろうとしたら、被弾した脇腹に激痛が走った。

左手で抑えると、掌は己の血で赤く染まっていました。

 

「隊長?!」

 

「今すぐ、迎えのジェットを呼びます!!」

 

「いえ、少し休めば……。」

 

「何言ってるんですか!あんな無茶な戦い方して…」

 

先程までの死闘が嘘だったかのような会話…

 

人付き合いが本当に苦手な私でも、久しぶりに安心感が身体中を駆け巡りました。

 

そして、私はヘリキャリアから送られた来たクインジェットに乗せられてマスターの元へと帰りました。

 

もちろん、無事とは言えないのでマスターからは、叱られました。

 

今日ばかりはマリアも助けてはくれませんでした。

 

◇◇◇

 

ここは、ニューヨークのセントラルパーク。

そこにアベンジャーズのメンバーが揃いました。

鎖に繋がれたロキは大人しくソーに連れられています。

私は彼ら様子を、途中で購入したコーヒーを啜りながら運転席から眺めていました。

 

ソーとロキはキューブを入れた装置を持ち、起動させました。

すると二人は青白く光り輝き、その場から消滅しました。

 

おそらく、ソーの父親が治めているアスガルドへ

 

スタークとバナーも同じオープンカーに乗り込んでいる様子が窓越しに見えました。

キャプテンアメリカがヘルメットを被らずにバイクに跨ったのは……見なかったことにしましょう。

 

そして、私はクリントとナターシャの二人を迎えに愛車で公園を訪れていました。

ちなみに、車種はメ○セデス・ベンツCLS。

真っ黒の外観に防弾加工が施され、車内にも至る所に魔改造が施されています。

その辺りはよく分かりませんが、エンジンも通常より速度が出るのに交換してるんだとか。

 

昨年にマスターが、全然給料を使わない私に見かねてこの車をボーナスにと押し付けてきました。免許はマスターに言われて、もっと昔に取ってあります。

約1年でこの車に多少愛着が湧いてしまったのは、マスターの目論見に嵌ったようで若干不服ではあります。

 

運転席に私、助手席にはナターシャ、後ろにはサングラスをしたクリントが座り、車は緩やかに走り始めました。

 

◇◇◇

 

見送りから帰って来るとマスターから、委員会の連中との会話について簡単に教えていただきました。

 

彼らは、飛び抜けた力を持つアベンジャーズの面々や、今回の原因となったキューブの処遇、そして主犯のロキを地球で裁かなかったことについて、言ってきたそう。

 

今回の勝利も紙一重の要素が多かった。

 

各々癖が強く、最初は凸凹でチームとして何のまとまりもありませんでした。

しかし、彼らはロキと、彼が率いたチタウリを退けた。

それは紛れもない事実なのです。

もし、またあんな奴らが現れた時には、きっと彼らは再び集まり、立ち向かってくれるはずです。

 

今はこれで大丈夫でしょう。

 

◇◇◇

 

今回のニューヨークの戦い……それは、この先忘れられないくらい大きな出来事でした。

 

宇宙人の存在が大衆に知れ渡り、この世界は大きく変わりました。

 

ですが、私のこれからは変わらないでしょう。

私はヒーローではありません。

私の本職は、S.H.I.E.L.Dエージェントとしてマスターを護り、支え、職務を果たすことです。

そのため、今後彼らのように、表舞台に立つかも分かりません。

今回戦ったのは、間接的ではあれどマスターのためでした。

 

もちろん、S.H.I.E.L.Dでの仕事においても不安な要素はまだまだあります。

それは組織としても、個人としても。

こんな私に務まるのかと思う時もあります……。

 

ですが、もしまた、あんな連中がやってきた時には、私もS.H.I.E.L.D長官を補佐するボディーガードとして…ひとりの魔女として、やれるだけのことをするだけです。

 

 

◇◇◇

 

 

ニューヨーク決戦から数ヶ月経ったある日、マスターからとあるファイルを閲覧するように命じられました。

 

そして、私に着いて来いとだけ。

 

移動中そのファイルを開くと、そこに書かれていたのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「タヒチ計画……?」




The Avengers Complete ▷▶▷ Next up is Short Story/Agents of S.H.I.E.L.D.
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