TRPGの日の常   作:李徴@虎

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この内容は 2023/8/20 時点での設定での日常です。

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銀色の旅路

檜之矢(ひのや)さん、あなたの両耳は今の我々の医術では原因不明で治せません。』

『肺と生殖器も同様です。レントゲンにはまるでその部分だけが無くなったかのように白い靄しか映っていませんでした…。』

『私達も機器の故障に撮影の繰り返しで原因を究明しましたが、変わることはありませんでした…。』

『ですが身体に影響はありません、まるで元から無かったかのように生きることができます…しかしあなたは障害者と同様です。』

『しっかり精神と共に休んでいきましょう。時間が障害を乗り越えるかもしれません。それがあなたの為です。』

 

 

 

朝に日差しが目に入って、アタシはゆっくりと起き上がる。夢は………見た気がするけど忘れた。確か昔の夢だったと思う、病院で告げられた夢。あれから一か月か二か月か、結構経った気がする。

そのまま起き上がると身体を伸ばしながらトイレ付きのユニットバスへ。そこで鏡を見るとボサボサな髪をしたアタシがいた。そういえば髪の毛を整えることも最近していない気がする。これじゃあ采美(すみ)に怒られ…ないか。

もったいないからそのまま風呂で顔ごと洗い流す……凄い洗い辛い。なんでホテルのユニットバスってこんなに狭いんだろうなぁ。ま、風呂を自由に使えるだけでも助かるけどさ。

そんなこと考えながら全裸で上がってゆっくりとパンツとシャツを着る。……あれ、これ洗ったっけ?絶対洗ってないよな。なんかシワだらけだ。というか下着とか洗ったのっていつだったっけ?………今日のうちにコインランドリーへ行ってこよう。

 

 

 

 

-◇-◇-◇-◇-◇-

 

 

 

 

「――――――――――。――――――――――――。」

 

ホテルの鍵を渡すと、そのまま荷物をもって外に出た。朝食のあるホテルに泊まっててよかった、腹の音を響いたまま外に出たらグニャグニャになってたかもな。

大きなバッグを持ってると不思議と周りから視線が多くなる。仕方ない部分はあるものの、見つめられるのはあまり慣れていない。案外分かるものだ、周りから見られているというのは。

まぁそんなことを考えていても何か変わるわけじゃないし、アタシ自身だって気にしない。……でも流石にしわくちゃの服を見られるのは恥ずかしいけど。

 

 

「―――――。」

「――――!」

「―――――――――。」

 

 

後ろからアタシと同じくらいの男子が友達と一緒に走っていく。三人組で一人は先頭で活発そうと、一人は心配そうについていって、一人はお気楽そうに笑顔で。

道すがら色んな人がいる。忙しそうなサラリーマン、学校をサボったんだろう高校生、朝方に仕事が終わったんだろう何してたか分からない中年さん、近所の公園で井戸端会議をするお母さん達。

……特にお母さん達の方に出会っちゃダメだ、なんか色々コソコソ言われながらこっち見てるし、苦手なんだよなぁ。

アタシはここら辺の学校に通ってない子供ですよ~っと。

 

………ふう。長く早歩きするだけでも疲れる。これで旅を続けているのは中々大変だ…。景色見るだけでもいいんだけど、食べることも好きだからなぁ。

そうだ、近くの公園とかにでも行こうかな。日向ぼっこくらいで休んでもいいよね。

 

 

 

そんなことなかったよ。凄い絡まれてる。

 

 

「―――――?」

「――――。―――――――――――。」

「――――――!――――――。」

 

 

アタシの恰好見てるのか?確かに腕カバーとかで隠してるけどさ、そこまで気にするほどなんだな~。

というか暑い………スマホ見たけど37度はもう身体から火が出てくるよ~~~。

あっっっづうううい……………。

…………………………考えるのもアレだ。腕カバー外そう。一回水とか腕に浴びれば十分涼むかも。よいしょっと……。

……………まぁ、しょうがないと思う。

 

 

「―――――――!」

「―――――。」

「―――――――――――――――。」

「――――――――。」

「―――――――。」

 

 

あれ、いつの間にか女子が来てる。や、アタシは別に何もないって。

というかみんな同じ学校なのかな、めっちゃ喧嘩してるし。あ、叩いた。

ったく、もう!アタシは別の学校のだって!言わないと分からないのは流石にだしさ、仲良くするくらいしてほしいなー。

お、行ってくれた。よかったよかった。じゃあアタシはこれで行こう……ぐえ。な、なに?

………うん。うん。ありがとうね。ちゃんと伝わってるよ。

ありがとう、もう会えないだろうけど、それじゃあね。

 

 

 

ふぅ…。ああいうこともあるもんなんだね。

今のアタシより昔のアタシの方がもっと嬉しかったかもしれないけど…過去は振り返らない!アタシは大人になっているのだ!

……………うん、悲しくなってきたからやめる…ん?

 

おばあさん倒れてるっ!……大丈夫ですか!?

奥、逃げて…ひったくり!待てッ!!

息が切れるっ……そこまで長く追いかけられないっていうのに……ハァ…ハァ…!

じゃあ、屋根の上からショートカットする!……よし、着地!してからの~バッグを喰らえッ!!!

 

 

………ハァ…ハァ……ハァ……ひったくり犯め、悪いことしちゃダメだぞ…。

……とりあえず財布をおばあさんに届けなきゃなあ。…うん、いたいた。

おばあさん、財布ですよ。もちろんちゃんと取り返したやつ。それじゃあアタシは………うん、うん。分かってるよ。

大丈夫、感謝は伝わってるから。………何言ってるか、分からないけどさ。

それじゃ、行くね?……………あ。

 

コインランドリーの場所くらいは聞くべきだったかな…。

 

 

 

 

-◇-◇-◇-◇-◇-

 

 

 

 

もう外が暗いや。

 

待ってる間暇だなあ。

 

今夜どうしよう、どこで寝ようか。

 

ここらへんなら駅内かな。

 

……………。

 

 

 

寂しいな、すっごく寂しい。

も采美も、元気にしてるかな。

アタシ、もうすぐで終わるからさ。待ってなよ。

 

やること全部終わったら、いつかまた会おうな。

 

大丈夫だ。アタシは、きっと。

 

鈴鹿、アタシのやれることはそろそろ終わりだね。

 

そこまで、頑張ろうね。それで、(くろがね)(こがね)を守るのお願いね。

 

 

………あ、乾燥機が。乾いたかな。




登場人物:檜之矢銀

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