【完結】翼無き不死鳥は陽を見るか   作:ふくつのこころ

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作者=サンから読者=サンへのクリスマスプレゼント


番外編:悪魔先生のクリスマス

   十二月二十五日の夕方。

   人はこの日を聖夜と呼び、それぞれが様々な過ごし方をしていることだろう。家族と過ごしたり、恋人と過ごしたり、友人と過ごしたりと様々だ。

    駒王学園でも、その光景が見られており無羽うつろの首からは朱乃からクリスマスプレゼントに貰った紅い羽の首飾りが首元で揺れている。紆余曲折あって同居するようになった黒歌には、白音とペアになるようなアクセサリーを渡しておいた。

    そのときの黒歌の反応ときたら、抱きついて頰にキスされた。やはり姉妹間の仲が良い彼女の反応は見ていて可愛らしい。

 

「……あいつらは、どうしようか」

「センセー!メリークリスマァスゥゥゥゥゥ!」

「イッセーさんたら。おはようございます、先生」

「おう、放課後から煩いな兵藤。静かにしろよ、騒がしい。……おい、そんな目で見るんじゃねえ。そのままでいろ。どうした、お前ら」

 

   うおおお!と効果音を背後に貼り付けて全力疾走してやってきた一誠とアーシア。アーシアの方に至っては息一つ乱さずに走ってきたあたり、トレーニングの成果が出たと言ってもいいだろう。このまま武闘派ヒーラーにでもなるつもりなのかと期待を覚えながら、ニコニコ笑顔な彼らを見る。何かを期待しているのか、それとも悪巧みでもしているのか。

 

「フフフ……。センセー、まだ甘いかもしれませんぜ?」

「……ほう?この俺にそのような物言いをするとはな。言ってみろ」

「うっ!……お伝えしましょう、俺が言いたいこととは!」

 

   師による謎の凄みに当てられて一瞬おののく一誠であったが、この一年を師とアーシアと共に修羅場を潜り抜けたスタンド使いの少年にとっては師の凄みくらいなんでもなかった。

   なんでもないのと同時にアーシアの怒りと同じくらい怖かった。これぞ矛盾。この茶番はすっかり学園内で一年もしていると慣れられてしまうもので生徒はうつろと一誠のやりとりに訝しさを感じなかった。

 

「せーのっ、」

「「センセー(先生)!クリスマス一緒に過ごしませんか!」」

「一体全体、どうした当日に」

「はい、イッセーさんと相談したんですけど、一年間の感謝を込めて先生とクリスマスを過ごそうと!」

 

   日々に充実感を見出しているアーシアが指折り数える姿は愛らしい。うつろも一誠もドライグもこんな愛らしい彼女は無羽うつろ眷属中最高の火力を瞬間的に出せる且つ、そのスピードによる治癒は早い。応用性さえ見極めれば、敵に予測をさせないという面でもアーシアの『クレイジー・ダイヤモンド』はおそろしいスタンドだ。

   だからと言って、うつろらは恐れない。普通に接する上では可愛らしく守ってやりたいと庇護欲をそそられる少女でもあるので、アーシアの笑顔を見たいとまで思っている。

 

「……お前らは、本当に変わり者だな。俺と、このトラヴィス=Aと一夜を過ごしたいとは。馬鹿だ、お前らは本当に……」

「俺、センセーがたとえ、どんな過去があっても付いて行きますから。センセーを倒さなきゃいけないってのもあるけど、それ以上にセンセーは俺の師匠だし?」

「私もです。先生は私にたくさんのものをくれました。私もイッセーさんも先生のことを信じています」

 

   クリスマスの日の眷属の告白。それはうつろがーートラヴィスが最も欲しかったものと言えよう。本名が分かっても、記憶が断片的にではあるが戻ってきても彼らの反応や態度は以前のままだ。

 

『おにいちゃんのこと、私は愛してるもの。誰と結ばれても、おにいちゃんはーートラヴィスは私のヒーローで大切な家族』

『私のことを覚えていなくても、君は私を助けてくれた。それだけで嬉しいの。私たち姉妹にとってはトラちゃんは王子様にゃん!』

『姉様と同じ感想です。無羽先生は兄様も同然です』

 

   記憶を失う前の己を知る三人と一体。

   リリー。

   黒歌。

   白音。

   アルビオン。

 

   記憶を失った今の自分を知っている、慕ってくれる二人と一体。

   一誠。

   アーシア。

   ドライグ。

 

「黒歌と白音の塔城姉妹とお前ら。クリスマス会、ウチでやる。俺からも言わせてもらおうか、イッセー、アーシア。今日はメシを奢ってやる」

「え、今なんて……?」

「だから、二度も言わせんな。……メシ食いに来い」

 

   はじめて名を呼ばれたこともあり、動きが止まった一誠。トラヴィスの方に至っては面倒臭そうに頭を掻くが、見ようによっては照れているようにも見える。

   珍しい金色の教師の命令に対し、二人の生徒は顔を見合わせて笑った。

 

「はい、先生!」

「ひゅー!センセー!愛してるぜ!」

「お前、男色の気があるのか……。引くわ……」

「ち、違いますってば!」

「(イッセーさん、先生。大好きです)」

「おい、アーシア。置いてくぞ」

「ま、待ってください!」

 

   真顔で引いた顔をするトラヴィスに必死の弁明をする一誠。

    ふと思いに耽るアーシアにトラヴィスは呼びかけ、アーシアは慌ててトラヴィスらの元へと向かう。アーシアは二人の後を追いかけ、自らの幸せを感じた。

 




ちなみにこのルート、猫姉と猫妹がヒロイン世界
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